炊飯土鍋「かまどさん」を世に送り出す、伊賀焼窯元 長谷園を訪ねる

2017.04.04 更新

余暇を利用して陶芸教室に通うなど、焼物好きな方におすすめなのが、三重県伊賀市にある「伊賀焼窯元 長谷園(ながたにえん)」。長谷園といえば、メディアでも話題の炊飯土鍋「かまどさん」を作っている窯元です。歴史的建造物や陶芸体験など、魅力たっぷりの長谷園をご紹介したいと思います。

▲「かまどさん」をはじめとした、さまざまな伊賀焼陶器

「かまどさん」が生まれた伊賀焼窯元 長谷園

三重県伊賀地方は良質な陶土が採取でき、登り窯の燃料に最適とされる赤松の木が豊富に原生していたため、古くから「伊賀焼」と呼ばれる陶器が焼かれてきました。
伊賀の陶土は約400万年前の堆積層から採取されるもの。
高温で焼くことで細かい気孔ができるため、“呼吸をする土”といわれているのだそう。
ザラザラとした粗土の表情は、とても素朴で温かみがあります。
この陶土で作られた鍋は遠赤外線効果が高く、食材の芯までじっくり熱を伝えるのと同時に、蓄熱力も高いので、火を止めてもコトコト煮込むような効果が続くんですって。
これまで長谷園では、その特長を活かした多くの土鍋がつくられてきました。
▲大ヒット商品「かまどさん」 2合炊き8,100円(税込)

中でも代表的なのが、“火加減いらず”“手間いらず”なのに、まるでかまどで炊いたようなご飯ができる炊飯土鍋「かまどさん」です。
▲天日で乾燥させるために並ぶ土鍋
▲「耳」と呼ばれる土鍋の持ち手を付ける作業
土鍋で炊いたご飯がとても美味しいと口コミで評判が広がり、電気炊飯器が主流の時代にもかかわらず、炊飯土鍋「かまどさん」は大ヒットしました。

一粒ひと粒がしっかりとしていてツヤツヤ。
ふっくらとしたご飯は、噛むほどに甘みが際立つ極上の炊きあがりです。

そんな大人気の「かまどさん」が作られる伊賀の土に触れてみたい!という方に朗報。
長谷園の体験工房で行われる陶芸教室では、伊賀焼の作家先生に指導を受けながら伊賀の土を使った作陶体験ができるんです。

陶芸教室で伊賀焼の作陶を体験

高い天井に立派な梁が横たわる情趣に富んだ体験工房へやってきました。

今回は「かまどさん」で炊いたツヤツヤご飯が映えるような、オリジナル茶碗づくりにチャレンジしてみたいと思います。
まずは、作家先生にお手本を見せてもらいます。
コロコロ転がしながら、陶土を均等に細長く伸ばします。
ずっといじっていたいほど、手のひらに感じる土の感触が気持ちいい!

「あんまりのんびりしとると、土が乾いてヒビが入るよ。力を入れんと、スゥ~っと滑らかにな…」と先生。
丸い棒状に伸ばした土を器の形に積み上げ、指先でなじませていきます。

「土いじり終了~!」

作陶体験にかかる時間は約1時間。陶芸用粘土1kgで茶碗約2個分を作れます。体験料金は1名 2,500円(税別)~ ※5名より受付。要予約

あとは先生が色付けをして焼いてくださるので、すべてお任せです。
「焼き上がりが楽しみ~!」
ジャーン!こちらが焼きあがったmy茶碗。
きれいなキャラメル色。土の温かみが感じられるステキなお茶碗に仕上がりました。
ツヤツヤご飯が映えそうです。
通常1~2カ月ほどで、焼き上がった作品を自宅へ配送してもらえます。(送料別途必要)

長谷園の歴史ある登り窯

陶芸体験を楽しんだところで、敷地内を散策してみましょう。

長谷園は1832(天保3)年に伊賀市丸柱に築窯してからこれまで、伊賀焼の伝統と技術を継承してきました。敷地内には歴史的建造物が残され、「16連房旧登り窯」をはじめ、「母(おも)や」や「大正館」などが、国の登録有形文化財として認定されています。
▲1832(天保3)年から1970年代まで稼動していた「16連房旧登り窯」

斜面に沿って、ド迫力の「16連房旧登り窯」!
日本で現存しているこの大きさの登り窯は、これだけだといわれているそう。
▲横に薪が積み上げられたこちらは、現在も活躍している窯

展示室と資料館で伊賀焼を楽しみ尽くす

▲風情ある佇まいの第一展示室

長谷園では、第一から第三までの展示室で陶器が展示・販売されているほか、資料館では伊賀焼の歴史に触れることもでき、伊賀焼を思う存分楽しむことができます。 第一展示室には「かまどさん」や燻製料理が楽しめる土鍋、炭火焼きのようにふっくらと食材を焼き上げるグリル鍋など、見ているだけでワクワクする調理土鍋がずらっと並び、あれもこれも欲しくなってしまいます。
▲「かまどさん」以外にもさまざまな土鍋や雑貨が販売されている第一展示室

長谷園の展示室に並ぶ陶器をみていると、食卓を囲む楽しげな団らんの光景が目に浮かんできます。
▲伊賀焼の人気作家さんの作品が並ぶ第二展示室
▲土鍋を中心に花器などのインテリア商品が並ぶ第三展示室
▲歴史ある伊賀焼の作品が収蔵されている、第三展示室2階の資料館
▲資料館には、繊細で美しい京絵付けが施された伊賀焼の展示も

歴史的建造物「母や」を拝観

▲国の登録有形文化財に認定されている200年以上の歴史を持つ「母や」

「母や」は、毎年5月2・3・4日に開催される「窯出し市」などのイベント時にのみ、お座敷や庭が開放されます。
今回は、特別に拝見させていただくことに。
▲風格ある構えがステキな玄関
▲趣のある凛とした空間のお座敷
▲立派な茅葺屋根が印象的な、庭から見た「母や」

3日間でのべ3万人近くの人が訪れ、賑わいをみせる「窯出し市」。開催期間中は「母や」にも陶芸作品が展示されます。

必見!レトロな雰囲気がステキな休憩室「大正館」

▲国の登録有形文化財に認定されている「大正館」

第一展示室の向かい側にある大正時代に建てられた「大正館」は、現在休憩室として使われています。
BGMにジャズが流れる、とってもおしゃれな空間。
事務所として使われていた当時の調度品なども展示され、レトロな雰囲気が楽しめます。
▲休憩室として利用されている「大正館」館内

自販機のセルフで楽しむコーヒーは、紙コップではなく伊賀焼のカップで。
飲み終わった後のカップは、おみやげとして持ち帰れるんですよ。
350円(税込)で、コーヒー+伊賀焼のカップ。粋なおもてなしに、ほっこり気分です。
▲登り窯の横にある階段を上れば、里山の自然が一望できる展望台や遊歩道が

写真で見る機会はあっても、なかなか実物を目にすることはできない「登り窯」をはじめとした国の登録有形文化財の数々。伊賀焼の歴史にふれ、作家さん指導のもと作陶を体験するなど、陶芸好きにとっては嬉しくてたまらない、貴重な経験になるはずです。
ぜひ、陶芸仲間を誘って「伊賀焼窯元 長谷園」を訪れてみてはいかがでしょう。
Yukitake

Yukitake

三重の雑誌「Edge」をはじめ、さまざまな雑誌・情報誌において、グルメ・観光などの記事を執筆。女性目線の取材とソフトな文体を大切にしています。

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