食べ放題&デザートづくりでイチゴまみれ!谷川岳の雪どけ水で育った甘いイチゴを独り占め

2017.03.10

新潟との県境、群馬県最北端に位置するみなかみ町は、山々に囲まれた水源の町。ここに2016年、誕生したのが「たくみの里 いちごの家」です。甘くジューシーな品種の「あきひめ」を、日本百名山の一つ、谷川岳の雪どけ水で育てた“雪どけいちご”。いちご狩り体験はもちろん、スムージーや大福など、さまざまな形で楽しめると聞き、訪れました。

▲赤いいちごは見ているだけで幸せな気持ちに

めざす「たくみの里 いちごの家」があるのは、標高500m、みなかみ町の須川平(すかわだいら)地区。
JR上越新幹線の上毛(じょうもう)高原駅から「猿ヶ京温泉」行きの関越バスで約20分、雪深い山あいの道を走ると、「たくみの里」停留所に到着します(車の場合は、関越道・月夜野ICを降りて猿ヶ京方面へ約15分)。

「たくみの里」は、東京ドーム約70個分の敷地に木工、竹細工、和紙などの手作り体験ができる施設「たくみの家」が20軒以上点在する一大観光拠点。昔ながらの日本家屋が並び、まさに「日本の原風景」といった景色が広がっています。「いちごの家」は「たくみの里」に隣接していますが、独立した施設です。
▲訪れたのは雪が残る2月上旬。遠くに見える山々と古民家が美しい

「たくみの里」停留所から徒歩5分。大きなハウスが2棟、見えてきました。手前が受付兼カフェ、奥がいちご狩り用の畑です。
▲一面の雪景色に、赤いいちごの看板が映える
▲雪どけ水で育てたいちごを表現したロゴマークもキュート!

手前のハウスで受付を済ませたら、さっそく、いちご狩り用のハウスへ。
足を踏み入れた途端、思わず「あったかい!」と叫んでしまいました。それもそのはず、内部温度は22度。湿度も高めです。晴れていたこともあって日差しもたっぷり、上着のいらない暖かさです。
▲赤く色づいた美しいいちごに目が釘づけ。ハウス内には上着をかけるハンガーや荷物置き場も完備

ラフティング人生から一転、いちご栽培農家に

「いちごの家」は2016年1月1日にオープンした新しいいちご農園です。
なぜこの地で始めたのですか?と代表の安部則幸(のりゆき)さんに伺うと、意外な答えが返ってきました。
「ぼく、もともとはラフティングをやっていたんです」
▲笑顔が素敵な「いちごの家」代表・安部則幸さん

安部さんは、アウトドアのスペシャリスト。大学卒業後、ニュージーランドで出合ったラフティング(急流下り)に魅せられ、以来、ラフティング一筋の人生を送ってきました。
海外での滞在を経て1998年、日本のウォータースポーツのメッカ、みなかみ町に移住。アウトドアツアーを開催する会社を立ち上げます。

しかしラフティングのシーズンは夏。冬のアウトドアスポーツのツアーも開催していますが、やはり長い冬を乗り切るだけの収入は見込めません。
悩んだ末、たどり着いたのがいちご栽培でした。

とはいえ農業経験はゼロ。2014年から1年間、いちご栽培を学びに長野県小諸市のいちご農家へ通い、ノウハウを習得しました。2015年6月からハウス建設に着手、9月にいちごの苗を定植し、2016年1月に晴れてオープンとなったのでした。
「いまは頭の中がいちごでいっぱい。一年中、いちごと向き合う日々です」と安部さん。
広いハウス内では約1万株の「あきひめ」を、谷川岳の雪どけ水をたっぷり使い、「雪どけいちご」と名づけて丹精込めて育てています。

「あきひめ」は長めの円錐形、やわらかくて甘みが強く、ジューシーな品種。酸味が少なめなので、小さなお子さんでも食べやすいとのこと。

「味の好みは人それぞれ。酸っぱいほうが好きという方は、色づく前の少し白い実を選んでいただくといいですね」と安部さん。

なお、ハウス内は日中に温度が上がるため、冷たいいちごを楽しむには、朝イチがねらい目だそうです。

プライベートエリア制でゆったり楽しむいちご狩り

目の前に広がる鈴なりのいちごを眺めていたら、もうたまりません。
摘んでみても、いいですか……?

「どうぞどうぞ。ヘタのあたり、付け根を持って手前に90度に曲げ、ぽきっという感触があれば大丈夫。無理にひっぱると、茎ごととれてしまうので気をつけてくださいね」(安部さん)

「ぽきっ」といわないときは、別の方向に曲げてみるとすんなりとれることもあります。
▲とれた!赤くキラキラと輝くいちごは、まるで宝石のよう

一口頬張ると、たっぷりの甘い果汁が口からあふれんばかりに。うーん、至福のひと時。
▲果汁がしたたり落ちないよう気をつけて

いちご狩りは30分間食べ放題(料金は時期により異なる)。広いハウス内だと、ここも、あそこも、と必要以上に気がせいてしまいませんか?
「いちごの家」では、お客さんに少しでもゆっくりいちご狩りを楽しんでもらおうと、「プライベートエリア制」を導入しています。

1グループにつき1レーンが割り当てられるので、他の人への気兼ねは無用。家族や友人とおしゃべりしながら、写真を撮りながら、ときにはイスに座りながら、ゆったりと過ごすことができます。
▲通路を挟んで両側の1レーンをグループで独占できる

品種が「あきひめ」1種類なのも、お客さんにゆっくりしてもらいたいから。たしかに種類が多いと「全種類制覇しなくちゃ!」と欲張ってしまい、じっくり味わえないまま終わってしまいそう。これはうれしい心遣いです。
▲こんなジャンボサイズも!甘さもピカイチ

なお、参加者には練乳の入ったミルクトレイが配られます。なんと練乳は、つけ放題!
いちごは先端のほうが甘いので、練乳は比較的酸味のあるヘタ側につけるのがポイント。もともと甘い品種ですので、お好みで。
▲トレイは練乳入れとヘタ入れの2つに区切られている

いちごへの思いは人一倍!最新技術でいちごをもっとおいしく

夢中でいちごを摘んでいると、安部さんが「ちょっとあちらを見てください」と指をさしました。見ると、ハウスの中央に小さな白い箱が置かれています。
これこそが「いちごの家」自慢の最新機器、プロファインダー。ハウス内の温度と二酸化炭素濃度、湿度、日射量を24時間計測しているのだとか。
▲モニターには24時間、そのときどきの積算温度や二酸化炭素濃度などの数値が

果物栽培に欠かせないのが、積算温度です。これは毎日の平均温度を足した値で、果物の場合、開花から収穫までの積算温度がおおむね決まっています。

いちごの積算温度は600度といわれています。600度に達する頃に実が赤くなり、食べごろになるのだそうです。たとえば平均20度で管理すれば30日で収穫できますが、15度の場合は40日かかるというわけです。
平均温度を低く保つと生育は遅くなりますが、そのぶん味はのっておいしくなるということで、「いちごの家」では50日以上かけてじっくり育てています。

管理のポイントは、いかにいちごが光合成をしやすくしてあげるか。
ハウス内は閉め切っているため、日中、いちごが光合成を始めると室内の二酸化炭素濃度はどんどん下がっていきます。そんなときはヒーターをたいて二酸化炭素をプラス。夜はいちごが二酸化炭素を出すので、ヒーターは控えて濃度を調節。
日々モニターで数値をチェックしながら、光合成に最適な環境をつくっているのです。
▲いちご狩り用と別のレーンでは、新たな品種を試験栽培中

このほか、来シーズン用の苗の育成や年に一度の定植作業、古い葉っぱの摘み取りといった日々の手入れなど、仕事はつきませんが、安部さんは「いちご、かわいいです(笑)」と、わが子を見つめるように目を細めていました。

たくさん摘んだら、いちごデザートづくりを体験しよう!

さて、「いちごの家」に来たら、ぜひ味わっていただきたいのが、自慢のいちごをふんだんに使ったデザートの数々。
休憩室に移動し、まずは、「いちご大福づくり」(1個200円・税込)を体験させていただきました。
右はハウスで摘んできたいちご、左の大福には……切れ目が入っていますね。
もうおわかりかと思いますが、つくりかたは以下の手順です。
いちごのヘタを取ります。
大福の切れ目に、いちごを差し込みます。
以上!簡単ですよね!
▲お茶の無料サービスも

差し込むいちごのサイズはご自由に。上のサイズだと見た目はきれいですが、食べてみると、大福が意外と大きい。途中でいちご不足になってしまいました。せっかくのいちごづくしなのに、ちょっとさみしい。そこで……
やってみました、特大いちご大福!!先端に練乳もつけて、スペシャルに。こんなふうに自由にカスタマイズできるのも、自分で摘んだいちごを使えるからこそ。家族や友人とわいわい言いながらつくるのも、楽しいですね。

いちごとミルクのハーモニーを楽しむスムージー

次は安部さん考案のレシピに基づいた、いちごスムージーづくりです。
まずは冷凍いちごと牛乳をミキサーに入れます。いちごと牛乳はあらかじめはかった量が出てきます。次に砂糖、練乳を加えます。
▲砂糖と練乳は、はかりの数値をよーく見て加えて

材料を入れたら、10~30秒、ミキサーにかけます。
まん中に渦巻きが見えたらできあがり。簡単、あっという間です!
▲いちごスムージーづくりは2名から。体験料は1人500円(税込)

暖かいハウスにいたせいか、冷たいスムージーがひときわおいしく感じます。いちごのつぶつぶもそのまま、フレッシュないちごの酸味と牛乳・練乳のダブルミルクの甘みが絶妙なハーモニー!生のいちごとはまた違ったおいしさでした。

オーナーいち押しのオリジナルスイーツ「雪いちご」

「これだけは食べていってよ」と、安部さんがフリーザーから削られた冷凍いちごを取り出しました。
先シーズン採れたいちごをフレッシュなまま冷凍、それをかき氷機で削ってつくる100%いちごのかき氷、「雪いちご」です。昨夏、数あるデザートの中でも一番人気だったとか。
▲シャリシャリのいちご氷に練乳をたっぷり!雪いちご500円(税込)

これまたスムージーとも違う食感!なんともいえない爽やかな味わいがたまりません。これぞ、いちご好きに贈りたい究極のいちごデザート。さんざんいちごを堪能したはずなのに、スプーンが進みます。

カフェでは「雪いちご」やスムージーをはじめ、パンケーキなどのデザート、各種飲み物を年間、季節を問わず味わうことができます。生のいちごはもちろん、焼きドーナツやクッキー、ジャムなどオリジナルのいちご製品も販売しているので、お土産にぜひどうぞ。

いちご狩りは1月から6月下旬頃まで楽しめます。3月中はまだまだ雪の残るみなかみ町。白い雪の中、赤いいちごと過ごす時間はロマンチックですし、寒さと暖かさのコントラストはドラマチックです。雪がとける頃、いちごはいよいよ旬を迎えます。鈴なりの甘い「あきひめ」と、冷たい「雪いちご」やスムージー。
ここでしか味わえないいちごとデザートを楽しみに、ぜひ訪れてみてください。

撮影/池田宏

この記事で紹介しているプラン

髙松夕佳

髙松夕佳

編集者、ライター。ひとり出版社「夕(せき)書房」。全国各地への取材では、土地ことばや風景印、スタンプを集めるのがひそかな楽しみ。

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