浅草橋で「つまみ細工」のヘアアクセを手作り!江戸時代から続く伝統工芸を体験

2017.02.27 更新

東京観光では江戸情緒溢れるスポットをめぐる予定の人も多いはず。折角なら、江戸の文化を感じられる体験をしてみませんか。東京・浅草橋には髪飾りなどで使用される江戸時代から伝わる技法「つまみ細工」の体験型店舗があり、そちらでヘアアクセや小物が気軽に作れると聞き、実際に体験してきました。

浅草橋から徒歩約7分。つまみ細工の体験型店舗「つまみ堂」へ

おもちゃ、人形、文具などの問屋街としても知られる浅草橋。江戸通り沿いには生活に彩りを添える雑貨やビーズ店など興味がそそられ、立ち寄りたくなるお店がたくさんあります。

JR浅草橋駅から浅草方面に向かって江戸通り沿いを道なりに歩いていくと、左手につまみ細工の専門店「つまみ堂」が見えてきました。本日はこちらで、東京都指定の伝統工芸つまみ細工を体験します。
▲赤い看板とガラス扉のカラフルな花が目を引く外観
店舗に入ると、一足早く春が訪れたかのような鮮やかな花の形をした、つまみ細工の数々に目を奪われます。店内には、つまみ細工を作るための素材や、職人が手がけた完成品などが販売されています。

また、ここ「つまみ堂」では、つまみ細工に関心がある人への一日体験のほか、作家、講師による基礎・応用講座も開講。つまみ細工を気軽に楽しめる本格体験型店舗です。
▲色とりどりのつまみ細工。使用する材料は圧倒的な品揃えを誇る店舗です
▲つまみ細工の見本。これらが布で作られているなんてビックリ!

そもそも、つまみ細工って?

つまみ細工とは、小さな正方形の布をピンセットで「つまみ」「折りたたみ」、それら複数を組み合わせて草花などを表現。櫛やかんざしを華やかに彩る、江戸時代から伝わる技法です。

布をつまんで作られることから「つまみ」、その細工でできているため、「つまみ細工」と言われているそうです。

今から約200年前の京都で、宮中の女官が着物の端切れから作ったことに始まり、その後、庶民にも広がり、舞妓さんの花かんざしに使われるように。やがて江戸に伝わったのだそう。
▲小さな正方形の布がひとつひとつの花びらに。花や草木など様々なモチーフを作ることができます

折り方は2種類!使用する布の色・素材で多彩な表現が可能

折り方には、丸くふっくらとした花弁が特徴の「丸つまみ」と、細く先が尖った花弁が特徴の「剣つまみ」の2種類があり、布には一越ちりめんや正絹などが使用されます。布の色や素材の組み合わせ、また折り方で、多彩な表現ができると聞きました。

精巧な作品の美しさに見とれ、これから始まる体験に期待が高まります!
▲一輪の花に仕上がったつまみ細工。上段:ボリュームがあり、可愛らしい雰囲気の一越ちりめん、下段:伝統的な製法「引染」で染められた羽二重(正絹)
▲七五三用髪飾り(税込5,250円~)。一輪花をはじめとするパーツを組み合わせて、オリジナルなものを作ることができます。七五三前の時期はたくさんの人が素材を購入に訪れるのだそう
▲成人式用髪飾り(税込10,000円~)。人生の節目の記念にハンドメイドする人も。つまみ細工は見た目の可愛さから、外国人観光客にも人気なんだそう

所要時間約1時間のつまみ細工体験!ヘアゴム、根付ストラップなど7種類から選択

さっそく、店舗スタッフの方に教えていただきながら、つまみ細工を体験してみることに。体験では、パッチピン(花・蝶)、ヘアピン、マグネット、ヘアゴム、ベビークリップ、根付ストラップの7種類から、布は好きな色を5枚または7枚選ぶことができます。料金は材料費込みで、事前に予約が必要です。

今回は、5弁の花のヘアゴムと蝶の根付ストラップに挑戦することにしました。まずは、布の色選びからスタート!
▲7種類と豊富なバリエーションから、体験したのはヘアゴム(写真右下)と根付ストラップ(写真中央下)。約1時間程度で作れて、お土産になるのも嬉しい
▲体験では一越ちりめんを使用。24色から好きな色を選ぶことができます。今回、ヘアゴムでは5色7枚、根付ストラップでは4色8枚を選んだため、さらに色数が多くなりました
▲根付ストラップに使用するパーツ。こちらも色を選べます
▲悩んだ末、こんな組み合わせにしました。できあがりが楽しみです。右:ヘアゴム、左:根付ストラップ

【1】花や蝶をのせる土台を作る

さっそく、花や蝶をのせる土台作りに入ります。2枚の同色の布を使って、丸型の台紙をくるみます。一越ちりめんは柔らかく、しなやかな触り心地です。
▲1枚は台紙に合わせてぴったり布をカット。もう1枚は、のり代部分も残して少し大きめに。正方形の四隅を切り、丸に近づけていきます
▲のり代となる部分には切り込みを。布と台紙を一緒に持って、はさみが台紙に当たったら離す感じに。5mm感覚で切り込みを入れていきます
▲布の準備ができたら、竹串に米粒1粒程度の分量の木工ボンドを台紙に塗ります。ボンドの水分で布が縮んでしまうため、多く付けすぎないように注意します
▲台紙の面全体にボンドを薄く広げ、台紙を布で包んでいきます。爪をうまく使うと丸くきれいに仕上がるのだそう。そして、もう1枚の布を蓋をかぶせるようにぴったり貼り合わせれば、土台作りは完成です

ここでは、花と蝶の2つの土台を作成。この後、土台にゴムとストラップを店舗スタッフの方がつけてくれました。

【2】花びらを装着するのりを準備

つまみ細工の基本道具は、ピンセット、のり、竹べら、のり板の4点。これらは、店舗スタッフの方が用意してくれます。花びらの接着に不可欠なのりは、職人も使用しているという水分量の少ないでんぷんのりを使用。まさに本格的です。

僅かな水分量でのりを練るには経験が必要なため、店舗スタッフの方がのりを準備してくれました。
▲竹べらを水に浸してから、適量ののりをのり板に(触ってみると固い)。乾くと透明になるのだそう
▲板の上で練っていきます。練ることで滑らかに柔らかくなり、粘着力がアップ。段々と艶が出て滑らかに。10分程しっかり練るとちょうど良い状態になるのだそう
▲練り終わったら、ひとまとめにして俵の形にし、板の上に薄く均一に伸ばしていきます
つまみ細工ででんぷんのりを使用するのは、のりの乾きが遅いからだそう。「乾きを気にせず、形をきれいに整えることができるんです」と店舗スタッフの方が教えてくれました。

【3】折って、つまんで…、花びら作りに挑戦!

のりの準備が整ったら、いよいよ、丸つまみの花びら作りに。見本のようにふっくらと可愛い花が作れるか心配ですが、練習の時間を設けてくれるので安心です。ピンセットの持ち方、手の使い方など、店舗スタッフの方が丁寧に教えてくれました。コツをつかんだところで、本番に入ります。
▲左手に布を持ち、右の角から1mm上にピンセットを入れて布をはさみます
▲布を手前に返し、三角形になるように折ります。右手の手首を返すのがポイント
▲合わさった角が左になるように向きを変え、角を左手で押さえながら、折り目(輪)の方からピンセットを入れ、左の角から1mm上をはさみます
▲左手の人差し指を台にして、ピンセットではさんだ布を手前に返し、上の角を下の角に合わせます
▲さらに小さな三角形になったら、布の中心を右からピンセットではさみ、左手の指をそえて下部に出た布を上に返します
▲ここで、折り目の3つの山の高さをそろえます
▲そして、布の先端をピンセットではさみ、のりを広げた板の上に垂直に入れて…
▲手前に倒し、す~っと前方に押していきます。布の合わせ目と底面にのりが染み込むように、5分ほど時間を置きます。同じ要領で、他の花びらも布を折り、つまんで作っていきます
▲この花びら作りでは、布に折り目をつけないように折る・つまむことが美しく仕上がるポイントなんだそう
▲このように花びらが並んだ状態は、屋根瓦を葺(ふ)いたように見えることから葺くと言われるそうです

同じように、蝶の羽部分になる丸つまみも作っていきます。

【4】土台に花びらを1枚ずつ接着

いよいよ、花びらや蝶の羽を先ほど作った土台に接着していきます。
▲まず、土台にのりを指で均一につけます
▲土台の中心に花びらの先端を1枚ずつしっかり置いていきます
▲花びら同士が土台に均等になるようバランスよく配置します。この調整が仕上がりの決め手に
▲後ろからも、広げたり、閉じたり…。花びらがふんわり開くように仕上げていきます。このとき、土台の接着面から布が浮かないよう要注意
▲同じように、根付ストラップにつける蝶も仕上げていきます。蝶のつけ方が花びらと異なるのは、土台に対し同じ色の布(羽)を左右対称に配置すること
▲少しずつ蝶の形になってきたでしょうか

【5】最後にパーツを飾り付け

花と蝶の成形が終わったら、花芯のパーツ、蝶の飾りを付けます。完成まであと少しです!
▲蝶は胴体にあたるパーツをボンドでしっかり固定!すると、蝶になりました
▲花芯のパーツは色や大きさを選べます。合わせる色・大きさで印象が異なるので、慎重に選びます
▲完成!こんなに可愛くできました。右:ヘアゴム、左:根付ストラップ。根付ストラップは帯飾りにもなると聞き、嬉しさ倍増♪
細かい作業が多く、最初は慣れませんでしたが、店舗スタッフの方が要所要所で丁寧にコツを教えてくれたので、きれいに仕上がりました!

店舗では体験、講座の受講以外にも、必要な材料がセットになったつまみ細工キットが販売されています(のりは付いていません)。自宅でじっくり取り組んでみるのもオススメです。
▲根付ストラップのキット(税込800円)。お土産にも良さそう

四季折々の情景を粋に表現。つまみ細工は奥深い!

体験終了後、日本伝統工芸つまみ細工協会代表理事も務める店主の高橋正侑(まさゆき)さんのご厚意で、明治・大正・昭和の名工が手掛けた作品を見せていただきました。
▲襟元のつまみ細工のピンがおしゃれな、店主の高橋さん。つまみ細工がもっと知られて身近になるよう、ワークショップなど様々な活動を行っています
京都のつまみ細工は季節の花をメインに表現するのに対し、江戸は情景を表現。どこか遊び心があり、粋なんだそう。小さな布1枚から、様々な表現が可能なつまみ細工の奥深さに圧倒されました。
▲四季折々の花鳥風月を表現した、明治・大正・昭和の名工によるつまみ細工。風流漂う美しさです
▲慶事の席で使用されたのでしょうか。左:横ざし「松に鶴」(昭和10年頃)、右:横ざし「おだまさ」(昭和8~9年)※共に石田竹次氏作

つまみ細工の魅力に開眼!自分だけのオリジナルが作れるのは嬉しい

体験を終えて、伝統的な技法で身近なアイテムを手軽に作れる楽しさを実感しました。
布の表情で多彩な表現が可能なつまみ細工の魅力にはまりそう!完成品も可愛く、当日に持ち帰れるのも嬉しいです。自分が手を掛けたものだからこそ、愛着がわきますよね。

友人や家族と体験すれば、一緒に作った時間もすてきな思い出になります。ぜひ一度体験してみてください!
▲最後はこんな風にラッピングしてくれます。自分で作ったとは思えない出来栄えに感激!
福島寿恵

福島寿恵

東京都葛飾生まれ。某美術大学洋画科卒。台東区在住の地の利を活かし、風情ある街並み散歩が目下の趣味。進学、結婚、旅行関連記事のディレクター&ライターとして活動中。(制作会社CLINK:クリンク)

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