相撲部屋伝統の味を引き継ぐ、両国ちゃんこ鍋の名店3選!

2017.03.02

東京の下町・両国で相撲の歴史と切り離して語ることができない料理といえば、「ちゃんこ鍋」。昨今の相撲ブームで賑わいを見せる相撲の本拠地で、相撲観戦や東京下町観光の際に寄りたいちゃんこ鍋の名店3軒をご紹介します。

▲グツグツ煮立つスープに種類豊富な具材。写真は「ちゃんこ巴潟(ともえがた)」の「国見山ちゃんこ」

「ちゃんこ」って鍋のことだけじゃない!?

「ちゃんこ鍋」とは、相撲部屋で食べられるたくさんの具材が入った鍋料理のことを言います。相撲部屋ごとに味や具材が異なり、各部屋こだわりの味が所属力士によって引き継がれています。

もともと「ちゃんこ」とは、鍋だけではなく、相撲部屋で力士が食べる料理を総称した呼び名。その中でも鍋は経済的で、肉や野菜がたっぷり入って栄養バランスが良く、力士が心身共に強くなるために一年中手軽に食べられる食事として、相撲界から一般に浸透しました。
▲「ちゃんこ霧島」両国本店8階から一望できる両国の街並み

元大関「霧島」、陸奥親方が手掛ける「ちゃんこ霧島」

▲8階建てビル全体がお店。繁忙期には約320席が満席に!

まずはJR両国駅徒歩1分の「ちゃんこ霧島」へ。こちらのお店は、大関「霧島」として名を馳せた、13代目陸奥親方(みちのくおやかた)の店。陸奥部屋の味を継承したちゃんこ料理に味も見た目も楽しめるインパクトのあるアラカルト料理、さらに立地の良さもプラスして、ちゃんこ鍋初心者におすすめのお店です。

陸奥親方も時間が許す限り店舗を訪れ、1卓1卓客席をまわりご挨拶をされるそうです。中でも大相撲開催中に親方がお店に姿を現すと、店内はより一層盛り上がりをみせ、拍手喝采になることも!
▲5階には両国国技館と同じ錦絵が描かれた襖の個室もあり、雰囲気抜群

フロアごとにテーブル席や座敷、宴会場、個室など、多様なニーズに応えられるよう、様々な席が用意されています。店内各所には、親方の現役時代の記念品や写真が飾られており、個室もそれぞれ趣向を凝らした内装になっています。
今回は、相撲にちなんだ襖絵のある掘りごたつタイプの個室へ案内されました。

くどくないのにコクがある、まろやかなスープ!

▲味が選べる「ちゃんこ鍋」(1人前:税込3,030円)※2人前から注文できます。画像は2人前

こちらのちゃんこ鍋は、味噌、塩、醤油、キムチの4味からお好きなものを選ぶことができます。お店の方のおすすめは、陸奥部屋でもよく食べられているという、味噌と醤油の特製ブレンド味!メニューには載っていませんが、どなたでも注文できます。今回は、そちらをいただきました。

具材は鶏肉や豚肉、ホタテ、海老、油揚げ、もちろん野菜やきのこ類もたっぷり!様々な具材が入っているので、次はどれを食べようか選びながら楽しんで食べることができます。
▲鶏肉や豚肉、ホタテ、海老など、ボリューム満点!

生姜がアクセントになった陸奥部屋直伝の鶏のつみれは、弾力のあるぷりぷりの食感。野菜も食べやすいサイズにカットされています。

スープは、陸奥部屋のちゃんこ鍋と同じ鶏ガラ豚骨出汁を基本としています。それを、煮詰まりすぎず〆までおいしく食べられるよう、板長が研究を重ねて完成させたそうです。くどくないのにコクがある、まろやかな味わいで、隠し味の柚子胡椒がピリッときいて、最後の一口までしっかり味を引き締めていました。
▲ランチ「きりしま定食」(税込1,300円)

お昼には、味噌と醤油を合わせた「霧島味」のちゃんこ鍋1人前に刺身三点盛や小鉢等がつくランチメニューがあります。リーズナブルにちゃんこ鍋が味わえるとあって、とても人気があります。

味も見た目も楽しめるサイドメニュー!

子供から大人まで大人気という、サイドメニューも注文してみました。お酒のおつまみにぴったりの手羽先や、力士にちなんで相撲コロッケなど男性も満足のビッグサイズメニューがあり、みんなでシェアしないと食べきれないほどの大きさ!
▲親方が現役時代から好きでよく食べていた、板長が作る甘辛い「霧島手羽先」(税込540円)。胡椒がピリッときいた大人の味
▲デミグラスソースがたっぷりかかった「相撲コロッケ」(税込1,080円)。カレー味の特大ポテトコロッケの土俵の上に、力士に見立てた鶏団子がのっています
▲土俵を模した直径10cmはある大きな「ちゃんこおにぎり」(税込650円)。子供も自分で鮭ご飯といくらに海苔を巻いて食べることができます
▲霧島オリジナル焼酎 900mlボトル(税込3,240円)

オリジナル焼酎は、芋と麦の2種類。ラベルは、陸奥親方の現役時代の写真がプリントされています。また、赤霧島や黒霧島をはじめとする名酒も各種揃えているので、ちゃんこ鍋を囲みながらおいしいお酒をゆっくりと味わえます。

2016年11月にオープンした、JR両国駅西口直結の江戸の雰囲気を再現したフードテーマパーク「両国江戸NOREN」にも、店舗があります。両国江戸NOREN店は、雨の日でも駅から濡れずに行くことができます。両国江戸NOREN店のみのメニューもあるので、両国本店を訪れたことがある方も楽しめますよ。
▲両国江戸NOREN店入口正面には、1991年初場所の霧島優勝額が飾られています

家族や友達など、年齢問わずみんなで楽しめるバラエティ豊かなメニューが魅力の「ちゃんこ霧島」。大人数での宴会や、ちゃんこ鍋初心者、子連れでも気軽に行ける人気店です。

昭和の名力士「巴潟」が創業。受け継がれる老舗の味「ちゃんこ巴潟」

▲道路を挟んで両側に本店と新店が向かい合います ※写真は新店

次に訪れたのは、JR両国駅徒歩3分の「ちゃんこ巴潟」。2016年に創業40周年を迎えた老舗です。昭和の名力士、元小結「巴潟」(9代目友綱親方)が、1976(昭和51)年10月に9代目友綱部屋の跡地に、力士時代の四股名を屋号として創業しました。

友綱部屋の伝統的な味を基本とした、塩、味噌、醤油、水炊き(ポン酢)の4大ちゃんこ鍋には、部屋ゆかりの名力士の四股名がついています。

冬には「国見山(塩味)」や「巴潟(味噌味)」、お肉をたっぷり食べたい方や海外の方からは「太刀山(醤油味)」が人気だそうですが、果実を使った自家製ポン酢で食べる水炊き「矢筈山(ポン酢味)」も気になります。

今回は、イワシのつみれがたっぷり入った「国見山ちゃんこ(塩味)」をいただきました。

新鮮な朝どれイワシを使った絶品つみれ!

▲「国見山ちゃんこ(塩味)」(1人前:税込3,240円)※2人前から注文できます。画像は2人前

国産の鶏ガラをじっくり煮込んで出来る透明度の高いスープは、板長が、仕入れた材料の状態や天候に合わせて、毎日味付けを微妙に変えて、こだわりの味を作り上げています。

ここで注目したい具材が、自家製のイワシのつみれ!スープに負けないこだわりで手作りしています。ちゃんこ鍋の具材に欠かせないつみれは、語源が「摘みいれる」という言葉であることから「白星」を連想させ、多くのちゃんこ鍋で欠かせない定番の具材となったそうです。
▲具だくさんの「国見山ちゃんこ(塩味)」。一番手前がイワシのつみれ

お刺身でも食べられる新鮮な朝どれイワシを毎日20kg、大相撲開催中や土日には倍の40kgをさばいて作っています。40kgのイワシは200~250匹分!それを一匹一匹手作業で3枚におろし、皮をむいてミンチにしてから、大きなすり鉢で味付けをしながらすりこ木で練っていきます。

絶妙な力加減で優しく練ることにより、ふわっとした食感のつみれになるのは、まさに長年鍛えた職人の技!
▲毎朝市場から届く新鮮なイワシを包丁で3枚におろしていきます。40kgのイワシからとれる身は16kg程度
▲つみれは味と食感が決め手!大きなすり鉢とすりこ木で味付けしながら丁寧に練り、手でひとつひとつ形を整えて、つみれを完成させます

このように手間暇惜しむことなく作られたイワシのつみれを含むたくさんの具材と、スープの入った鍋がテーブルに運ばれてくると、お店の方が目の前で手際よく作り始めます。

お店の方が丁寧に作るちゃんこ鍋は、「煮頃、食べ頃」を見極めて、おいしく出来上がったところで「どうぞお召し上がりください」と待ちに待ったひと言。
▲ちゃんこ鍋は作るスタッフによって味が変わらないように、作り方の手順を徹底

具材は他に鶏もも肉や豚肉、鮭やハマグリなどの魚貝類、さらに白菜、たまねぎ、ゴボウ、しいたけ、水菜など野菜も盛りだくさん!
▲新鮮なイワシを使用しているので臭みもなく、ふわふわ食感!調味料にも配慮しているので、イワシ本来の味が楽しめる優しい味付けです

ワクワクしながら具材を器に盛ったら、まずはそのままひと口。味がしっかりとしみ込んだ食材に、いくらでも食べられそうな上品であっさりした味わいのスープ。あっという間になくなってしまいました。

2杯目はすりゴマを入れて、風味を変えてみます。口の中にふわっとゴマの香りが広がり、1杯目以上に味を豊かにしてくれます。好きな具を取り合うように食べていたら、気付けば完食していました。
▲写真左・鳥つくね焼き(2本 税込702円)/写真中下・串焼き(2本 税込864円)/写真右・さつま揚げ(税込864円)

サイドメニューも充実しています。特に人気なのは、1串10cmはある食べごたえ充分な串焼きと鳥つくね焼き。一口で食べられないほどの大きさで、とってもジューシー!

次は、レモンをかけてさっぱり食べる、野菜の味も楽しめるさつま揚げ。低温で20分かけてじっくり揚げるので、白く綺麗に仕上がるそうです。調理に時間がかかるので、早めに注文するのがおすすめです。

相撲と共に歩んだ歴史を感じる店内は、老舗店ならでは!

▲趣のある店内はカウンター席からテーブル席、座敷などがあります。椅子は横幅があり、ゆったり座ることができます
▲板番付表。開業の記念に行司さんが書いてくれたものだそう
▲創業当時の写真や名力士の手形など、相撲に関する品が多数店内に飾られています

今回ご紹介したのは本店ですが、新店も合わせると約300席あります。冬や土日、大相撲開催時には予約で8~9割が埋まってしまうそうです。行く前には早めに予約するのをおすすめします。

時津風部屋直伝の味!元大関「大内山」ゆかりの「割烹ちゃんこ大内」

▲駅から向かうと、京葉道路を超えてすぐの静かな住宅街にあります

最後に訪れたのは、JR両国駅から徒歩4分の、元大関「大内山(おおうちやま)」のご長男が切り盛りしている「割烹ちゃんこ大内」。「大内山」が所属し、ご主人が小さいころから馴染みのあった時津風部屋(ときつかぜべや)の味付けのちゃんこ鍋です。ここで提供されているちゃんこ鍋のひとつ「鳥そっぷ鍋」という名称は、瘦せ型の力士を「そっぷ型」と呼ぶことにちなんで名づけられました。

時津風部屋のちゃんこ鍋は、鶏ガラ出汁の醤油味にキャベツを使って甘味を出すのが特徴。出汁で使う鶏は、2本足で立つことから「力士が土俵に手をつかない」ことを連想させ、縁起が良い材料とされています。
▲アットホームな雰囲気の店内。元大関「大内山」の現役時代の記念の品が店内所狭しと飾られています

開店時間になるとあっという間に店内はお客様でいっぱいに!席は座敷とカウンター席のみですが、1席1席がゆったりしているので、寛いで食事を楽しめます。

コスパ最強!1人前とは思えないボリュームに驚愕!

▲「鳥そっぷ鍋」(1人前:税込2,750円)※1人前から注文できます。画像は1人前

ちゃんこ鍋は2人前からのオーダーが多い中、「割烹ちゃんこ大内」では1人前から注文できるので、ひとりでも気軽に寄ることができます。でも、この量!念のため、本当に1人前か確認してしまいました。

「お店でも1人前を2人で食べるのをおすすめしているけど、おひとりでの来店も大歓迎」とご主人。実は女性ひとり客も多いのだとか。
▲つみれを貝殻の器を使って、お店の方が手早く作ってくれます

つみれから始まり、次に鶏肉、野菜、豆腐と次々に鍋へ具材が投入されていきます。
▲具材をすべて入れて煮立つのを待ちます。完成まであと少し…。蓋を開けた瞬間に湯気が立ち上ります
▲これで1人前とは思えないボリューム!
▲しっかりと味がしみ込んだキャベツ

魚貝類が入っていないお肉だけのシンプルさに、甘くてシャキシャキ食感のキャベツ。山芋が入ったプルンと弾力のある鶏のつみれや豆腐など、具材すべてに鶏出汁の優しい味がしみ込んでいて、寒い日の冷え切った体を内側から温めてくれます。こんにゃくやかまぼこなど、歯ごたえにも重視したちゃんこ鍋になっていました。

〆は雑炊やうどん、お餅などがありますが、スープの旨みを最後まで味わえる雑炊がおすすめ。なんと、〆にうどんを食べた後に雑炊を食べる方もいるそうです。迷ったら複数選ぶのもアリ!
※〆用ごはん(税込430円)、うどん(税込280円)、お餅(税込200円)

お酒がすすむ一品料理も豊富!

その他、唐揚げや自家製卵焼き、お刺身、天ぷらなどアラカルト料理も豊富。今回は、ご主人のおすすめの「マグロ山かけ」と「ししゃも」の2品をオーダー。5~10月は旬の「カツオのたたき」をおすすめしているそうです。
▲出汁がきいた山芋にマグロ、卵の黄身が絡み合う「マグロ山かけ」(税込1,250円)。青のりの風味がアクセント
▲サイズ重視!食べごたえのある大きい雄の「ししゃも」(税込880円)
▲ご主人とホールを担当されている息子さん

ご家族でお店を切り盛りしているので、まるで自宅にいるような気分でアットホームな雰囲気の中、お鍋を囲めます。一人でもちゃんこ鍋が食べたい、そんな時には「割烹ちゃんこ大内」がおすすめです。
野菜不足が気になる方にもおすすめの、栄養たっぷりのちゃんこ鍋。1年中おいしく頂けるので、相撲観戦や下町散策の後に、是非ちゃんこ鍋の本場「両国」へ足を運んでみてください。
岸 久美子

岸 久美子

東京在住フリーライター。好きなことは海・山・ビールにワイン、たまにスポーツ観戦。気になる場所には行ってみないと気がすまない性分で、ちょっと暇ができると旅に出るフットワークの軽さがウリ。知らない文化に触れ刺激を受け、一緒に暮らすウサギに癒される日々。(制作会社CLINK:クリンク)

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