福井生まれの「ボルガライス」は洋食の最強コラボ!?おすすめ3店に行ってきました

2017.03.28

福井県越前市の武生(たけふ)地区には、30年以上前から地元の人に愛されてきた「ボルガライス」というソウルフードが存在します。ボリューム満点で子どもから大人まで大人気のボルガライスは、お店によって味も特徴もさまざま。今回はボルガライスのことなら日本一詳しい、日本ボルガラー協会の会長“ボルガチョフ”さんにおすすめの3店を紹介していただきました。

諸説ある「ボルガライス」の謎

「ボルガライス」を求めて越前市にやってきました!ボルガライスって何?福井の名物ってカニや羽二重餅じゃなかったっけ?そんなボルガライスビギナーの私だけでは心細いと、今回はボルガライスに詳しいある方をゲストとしてお店巡りにお誘いしてみました。

「おーい!」

待ち合わせ場所に向かうと、何やら手を振る人が。
素敵な笑顔で出迎えてくださったのは、日本ボルガラー協会の会長「ボルガチョフ」こと、波多野翼さんです。

「日本ボルガラー協会」とは、ボルガライスが好きでたまらない越前市の職員たちで結成された団体のこと。地元で古くから愛されているボルガライスを盛り上げ、地元民も含め多くの人たちに越前市の良さを知ってもらいたいと、2010年に設立されました。

そもそも「ボルガライス」とはどんな料理なのでしょうか?
「『ボルガライス』はオムライスにトンカツをのせ、お店こだわりのソース(カレーを除く)をかけた料理なんです。オムライスのなかのごはんや、最後にかけるソースもお店によって微妙に違うので、変化を楽しめると思いますよ」とボルガチョフさん。

オムライスにトンカツ…、まさに育ち盛りの中高生が喜ぶ夢のようなメニューじゃないですか!

「ボルガライス」は30年以上前に誕生したと言われており、東京の洋食屋さんが出していた「ボストンライス」が原型になっている説や、お店のスタッフがたまたま作った料理が評判になった説など、名前の由来や発祥は諸説あります。

巷では「イタリアのボルガーナ地方で食べられていた」「ロシアの『ボルガ』という料理から名付けられた」など架空の説も飛び交っており、真実は今でも闇の中なのです。

謎に包まれている「ボルガライス」。知れば知るほど期待が高まってきました!早速最初のお店に行ってみましょう。

とろり半熟卵がやみつきになる「伊万里」

まずやってきたのはボルガライス発祥のお店とも言われている「カフェド伊万里」(以下、伊万里)です。
「伊万里」は、昭和61(1986)年から30年以上続く喫茶店。朝はモーニングを提供しており、毎日通う常連客も多い人気店です。また、漫画家・池上遼一さんの妹さんが経営しているお店としても有名で、店内に飾られている池上さんが描いた貴重な原画を目的に来店するお客さんも多いそうです。
▲店内のいたるところにある池上遼一さんの原画

オープン当時から提供し続けている「ボルガライス」は、創業当時のスタッフが作ったのが始まりだそう。しかし、そのスタッフが急逝したため、当時の味を覚えている人たちが受け継ぎ「ボルガライス」を作り続けてきました。

「伊万里」のボルガライスはオムライスの中がケチャップライス。玉ネギ、ニンジン、ピーマン、マッシュルームなどたくさんの野菜がザクザク入っています。
まずは野菜を炒めながら、トンカツの準備もしていきます。注文を受けてから肉を切り、揚げるのが「伊万里」のこだわりです。
▲「家で作るとトンカツかオムライス、どちらかがいつも冷めてしまうんです。美味しく作るには手際の良さが重要ですね」

「『ボルガライス』ってオムライスとトンカツを同時進行で作らないといけないので、スピード勝負なんです。本当はトンカツは衣をつけた状態のところまで仕込んでおきたいところなんですが、『伊万里』は肉の鮮度を大切にしているので、注文の度に肉を切リ出すところから始めているんですよ」と、熱く語るボルガチョフさん。
手早くケチャップライスを完成させると同時に、いい感じの色に揚がった熱々のトンカツも出来上がりました。
▲肉厚のトンカツは一口サイズに

「ボルガライス」はオムライスの上にトンカツをのせるものが多いのですが、「伊万里」ではトンカツが少しでも冷めないよう、先に卵の上にのせます。
▲フライパンに溶き卵を流し込み、半熟になったところでトンカツをどーん!

絶妙な半熟加減で火から離し、ケチャップライスの上へ。そこへ少し甘めの自家製デミグラスソースをかけていきます。
▲ソースはオムライスがひたひたになるくらいまでしっかりかけていきます
▲「ボルガライス」(800円・税込)
▲トンカツと卵、ごはんを一口で食べるのが「ボルガライス」の流儀

口に入れると濃厚なデミグラスソースと半熟卵が絡まったケチャップライスが口の中で広がっていきます。まったりとした卵とソース、具の野菜の甘みが絶妙なバランス。肉厚のカツはしっかりとした存在感がありますが、やわらかくジューシーです。
▲途中からタバスコを加えて味の変化を楽しむのもあり

洋食屋の技が光る「ヨコガワ分店」の定番ボルガライス

「次はこちらのお店です!」とボルガチョフさんに案内していただいたのは、JR武生駅から徒歩5分のところにある「ヨコガワ分店」。
▲「総社大神宮」のすぐそば。お昼時になるとひっきりなしにお客さんがやってきます
▲お店にかかっている「ボルガライス有ります」のタペストリーがかわいい

老舗洋食屋として昭和44(1969)年に創業した「ヨコガワ分店」。名前に“分店”とあるのは、「ヨコガワ本店」から暖簾分けされたことから。しかし、本店は残念ながら閉店してしまい、今は「ヨコガワ分店」だけが残っています。

店内に入ると見えるのは、オープンキッチンのカウンター。シンクや鍋に至るまでピカピカに磨かれた清潔感のある店内です。
▲カウンターは12席ほど。座敷席もある
▲昔ながらの洋食メニューがずらり

もともとはハンバーグやステーキが中心でしたが、ボルガライスは約30年前からメニューに加わりました。

洋食の基本となるのはソース。ボルガライスにも使われるこの特製ソースは、何種類もの野菜を使い、毎日継ぎ足しながら時間をかけてコトコト煮込んで作っています。
▲トマトソースやウスターソースをブレンドして作った特製ソース

まずはトンカツの仕込みから。こちらも注文を受けてから豚肉に衣をつけていきます。
▲肉の味をしっかり感じられるよう、パン粉は砂のようにきめ細かいものを使っています

リズミカルにごはんを炒め、チキンライスを作っていきます。
▲具は鶏肉、玉ネギ、グリンピース
チキンライスが出来上がると同時に卵も手早くかき混ぜ、もう一つのフライパンにサーっと広げていきます。

「ヨコガワ分店」で使う卵は、ニワトリの餌に福井県敦賀市名産である昆布の粉末を混ぜているとのこと。そのため卵の旨みも濃いそうです。
▲極薄に広げた卵にチキンライスをのせ、見事な手つきで巻き込んでいきます
▲なんてきれいなオムライス!このままでも十分美味しそうです

ちょうど良いタイミングでトンカツも揚がりました!
▲ほどよい厚みのトンカツはしっかり油切りすることで、サクッとした食感を生み出しているのだそう

オムライスの上にトンカツをのせ、先ほどの特製ソースをかけたら完成です。
▲ここまで約5分。手際の良さにうっとりしてしまいます
▲「ボルガライス」(930円・税込)

丁寧につくられた「ボルガライス」は、見た目と同じく味も上品。トマトが効いた少し酸味のある自家製ソースはサラッとしているのでくどくなく、オムライスとトンカツの味をキュッとまとめます。
▲サクサクのトンカツと薄焼き卵、チキンライス、ソースがマッチした完成された一品です
▲「何度食べても飽きない味なんですよね~」と満足そうなボルガチョフさん

集え、若者たちよ!“デカ盛りボルガライス”の「江戸屋」

最後にやってきたのは「越前めん処 江戸屋」(以下、江戸屋)。うどん、そばをはじめ、地元で愛される食堂としてさまざまなメニューを出していますが、実は “デカ盛りの店”としても有名で、全国から大食い自慢たちが完食を目指してやってきます。
「江戸屋」の定番「和風ぼるがらいす」のサイズはミニ、並、大盛、特盛、デカ盛り、メガ盛りの6種類。
お客さんの要望に応えているうちに、どんどんサイズが大きくなっていったのだそうです。
▲サービス精神旺盛の店主・栗塚明さん。「ぼるがらいす」と平仮名なのは、和風にこだわっているからとのこと

「じゃあ、どれにしようか?せっかくならデカ盛りいってみようか?」
という栗塚さんのお言葉に甘えて、今回は「ぼるがらいす・デカ盛り」に挑戦することにしてみます!大丈夫でしょうか……(不安)。

「江戸屋」さんは作り方も豪快!まずは和風だしを効かせた溶き卵10個分をフライパンに流し込み、その上にデミグラスソース味のごはん(なんと1kg!)をのせていきます。
▲ごはんの上にも小さく刻んだトンカツがのっています
▲フライパンごとエイっとひっくり返します。重そうです
オムライスにも負けないくらいの大きなトンカツをのせ、最後にデミグラスソースをかけると出来上がりです。
▲「ぼるがらいす・デカ盛り(ごはん1kg)」(ミニうどんつき、2,400円・税込)

繰り返しますが、「江戸屋」のメニューはすべてのサイズが大きめ。ミニサイズでも女性であれば十分満腹になるサイズだと思って問題ないでしょう。
▲左奥の「ミニぼるがらいす(ごはん200g)」(ミニうどんつき、700円・税込)と比較するとその大きさは歴然としています

思わずひるんでしまうこの大きさ。しかし出されたものは完食しないと気が済まないので、俄然燃えてきました。
早速いただいてみましょう!
▲ケーキ入刀ならぬ、“ぼるが入刀”
▲大きな口を開けて、いただきまーす!

卵はかつおの風味が効いていて、まるで「だし巻き卵」のようにフワフワ。デミグラスソース味のごはんは油で炒めていないのであっさりしていてまさに“和風”です。
▲これは完食できるかも!どんどん食べ進められます

ミニサイズを食べ終えたボルガチョフさんやカメラマンさんたちも一緒につつきながら、最後まで美味しくいただきました。
▲見事に完食!ごちそうさまでした!

定番メニュー以外にも、過去には夏は冷やし中華と掛け合わせた「ボルガ冷麺」、冬は「鍋ボルガ」など、期間限定メニューも登場した「江戸屋」。
今後は夏に「ボルガおろしそば」も予定しているそうで、今から待ちきれません!

コラボ商品のお土産はいかが?

日本ボルガラー協会設立当初は5店舗だった「ボルガライス」のお店も、今では20店舗以上。
越前市内の給食の献立にも登場するなど、ボルガライスの認知度は高まるばかりです。

さらには企業と「ボルガライス」がコラボした商品も誕生し、今では県外からも熱い視線が注がれています。
▲地元の菓子メーカー「日野あられ」とコラボしたおかき「ボル菓゛(ぼるが)」(150円・税込)は地元・越前市のスーパーや鯖江市にある道の駅「西山公園」などで販売されています
▲「オタフクソース」とコラボした「ボルガライスソース」(972円・税込)は、業務用にもかかわらず、越前市内のスーパーでは品薄になるほど人気!

今後どんな商品が生まれるのか、ボルガライスの盛り上がりからますます目が離せません!
一度食べるとやみつきになる美味しさの「ボルガライス」。福井を訪れた際はしっかりお腹を空かせて、いろんなお店を食べ歩いてみてくださいね。
石原藍

石原藍

ローカルライター。 大阪、東京、名古屋と都市部での暮らしを経て、現在は縁もゆかりもない「福井」での生活を満喫中。「興味のあることは何でもやり、面白そうな人にはどこにでも会いに行く」をモットーに、自然にやさしく、心地よい生き方、働き方を模索しています。趣味はキャンプと切り絵と古民家観察。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。

こちらもおすすめ

もっと見る
PAGE TOP