今注目の福井・三国で町家ステイ。暮らすように旅しながら、まちと人の魅力にふれる

2017.04.30

福井県の北に位置する坂井市三国町には「町家」が多いのをご存知ですか?町家といえば京都を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、三国の町家は当時の佇まいを残しながら新しいショップやゲストハウスに生まれ変わっている、今注目の場所なんです。今回はそんな三国エリアを散策しながら、町家を体験してみましょう!

まちが生まれ変わる「三國湊町家プロジェクト」

まずは簡単に、三国がどんな場所なのかをご紹介しましょう。
三国は福井県の北、坂井市にある海に面した港町。室町時代に「三津七湊(さんしんしちそう)」という日本の重要な港の一つに選ばれていて、江戸時代から明治時代にかけても「北前船」の寄港地「三國湊(みくにみなと)」として栄えていました。
▲三国は夕日が綺麗な港町。近くには「三国サンセットビーチ」もあります

通りを歩くと、昔ながらの町家がたくさん残っているのがわかります。
▲文芸人も多く訪れたという三國湊。近松門左衛門による歌舞伎の最高傑作といわれる「けいせい仏の原」は三國湊が舞台になっています

しかし、風情のある町家も老朽化が進み、取り壊されることが増えてきました。そこで、三国エリアでは歴史や文化の象徴である町家の活用を目指す「三國湊町家プロジェクト」が進んでいます。

県や市、大学などたくさんの人たちが関わっているこのプロジェクトは、空き家となっている町家の入居者を公募し、当時の趣を残しながら改修した物件を貸し出すというもの。これによって新しいショップが続々と誕生しているんです。今回はそんなニュースポットもご紹介しますね!

築100年以上の薬屋が生まれ変わった「詰所三國」

えちぜん鉄道三国芦原線・三国駅から10分ほど歩くと、今回滞在する宿、「詰所三國(つめしょみくに)」が見えてきます。
▲1日2組限定。左棟は「行雲(こううん)」、右棟は「流水(りゅうすい)」と入口が2つに分かれています

こちらは薬屋だった築百数十年の町家を改修してできたゲストハウス。
東洋文化研究家のアレックス・カー氏がプロデュースを手がけた場所として話題になっています。

カー氏と言えば、古民家再生の第一人者であり、これまで彼が手がけた徳島県の祖谷渓や奈良県の十津川村の古民家はいずれも素敵なゲストハウスとして生まれ変わり、大きな話題を集めました。

「詰所三國」はどんな宿になっているのでしょう……期待が高まります!

「行雲」「流水」と2室ある部屋はそれぞれ定員4名。
グループで宿泊する時はコネクティングルームにして行き来することも可能です。

「行雲」のお部屋に入ってみると……わぁ素敵!
町家の造りは残しながらも、吹き抜けのあるリビングはスタイリッシュな空間に生まれ変わっています。
▲ぬくもりのある間接照明が居心地の良い空間をつくりだしています
▲壁一面ヒノキが使われている浴室。いい香りが漂っています

まさに暮らすように旅することができるゲストハウス。現代のスタイルに合わせられたしつらえで、とても快適に過ごせそうです。

階段を上ると薬屋だった頃の看板や調度品が残されており、昔の味わいはちゃんと残されています。
▲見ているだけで楽しい昔の看板たち

お隣の部屋「流水」は「行雲」と同じく4名まで宿泊が可能ですが、こちらはなんと客室が母屋と蔵に分かれています。
▲坪庭を通って離れの蔵へ

母屋と蔵、どちらにもキッチンとバスルーム、ベッドルームが備えつけられています。
▲セミダブルサイズのベッド2台が配されているベッドルーム。ゆっくり旅の疲れを癒すことができます
▲キッチンはIHコンロが備えつけられており、冷蔵庫やレンジといった家電から食器、カトラリーまで揃っているので、連泊の時も便利です

「詰所三國」の周辺は和・洋さまざまな飲食店が充実しているので足を運んでみるのもおすすめ。また、地元飲食店の特別メニューをケータリングしてもらうこともできるので、お部屋でゆったりくつろぎながらいただく贅沢なひとときを過ごすこともできますよ。※ケータリングは夕食のみの予約制(1名あたり5,000円・税込)
▲地元・坂井市出身で現在は東京と三国町でレストランを経営する小川智寛シェフが監修するフレンチデリ「HALF MOON BAY(ハーフ ムーン ベイ)」のケータリングメニューは好みに合わせてアレンジも可能(写真は一例)
▲地元の海の幸をふんだんに使った「魚志楼」のケータリングは、三国港で水揚げされた甘エビをこれでもかというほど楽しめます(写真は一例)

三国散策するときはぜひ立ち寄りたい「三國湊座」

翌日は三国のまちを散策してみましょう。

「詰所三國」から東に数分歩くと見えてくるのが「三國湊座」。もともと木材屋の倉庫だった場所を改修したお店で、2006年にオープンして以来、三國湊の散策拠点として歴史散策ツアーやレンタサイクルの受付、ライブなどの各種イベントを行っています。
週末はもちろん、毎年5月19~21日に行われる北陸三大祭の一つ「三国祭」や毎年8月11日に行われる「三国花火大会」にはものすごい数の人が訪れるのだとか。
中は広々。甘味処や食堂も兼ねていて、こちらの「三國バーガー」は三国の名物として大人気なんですよ。
▲地元の食材を使ったメニューがずらり

やってきました!これが「三國バーガー」です。
▲「三國バーガー」(580円・税込)

地元産の炊いたお米が練りこんであるバンズに福井県産ビーフを使ったパテ。隠し味に三国名産の「花らっきょう」が挟んであり、レタス、トマト、タマネギといった野菜もすべて福井で採れた完全地産地消のバーガーです。
▲大きな口を開けてパクリ

ごはんが入ったもちもちのバンズの後にくる、パテの食感!
つなぎが入っていないので、肉そのものの味をしっかり楽しめます。
自家製の甘めのバーベキューソースに隠し味の花らっきょうがいいアクセントになっています。
▲「三國湊座」すぐ横の空間は「マチノニワ」という名のオシャレな憩いの場となっているので、のんびり散歩してみてください

蔵がレトロな空間に生まれ変わった「American Slut」

次に訪れたのは金物店の土蔵を改修して誕生した「American slut(アメリカン スラット)」。
▲外観からすでにオシャレ!しかし土壁の風合いはそのまま活かされています

こちらはアメリカ帰りのご夫婦が2015年にオープンしたアンティークショップです。

高校生の頃からアンティークが好きでたまらなかったという奥さんの春田尚子さんは三国出身。ご主人の和宏さんと一緒にいつか雑貨店を開きたいと思っていたところ、この物件の入居者募集を知り、滞在先のアメリカから地元に帰ることを決めたそうです。

お店には、アメリカをはじめヨーロッパや北欧などさまざまな国で仕入れたコレクションが並んでいます。
▲宝箱をひっくり返したかのようなときめく空間
レトロなランプにヴィンテージのアクセサリー、思わず集めたくなるようなバッジやキーホルダーの数々……。アンティーク好きの女子にはたまらない空間ですね。何時間でも居たい!
▲あー、店内のどこもかしこもフォトジェニックです

「近くに海があり、四季折々の景色を感じることができる三国はとっても素敵な場所です。ぜひゆっくりとしていってくださいね」
と春田さん夫妻。
お二人と話しているだけで、三国のことがますます好きになりそうです!
▲ご主人の春田和宏さん(左)と奥さんの尚子さん(右)。とても素敵なご夫婦でした

地元産の素材を使った絶品ジェラート

さらに通りを歩いていると、町家だけでなく、こんなレトロな建物を目にすることができます。
こちらは「旧森田銀行本店」の建物。大正時代に三国の豪商として名を馳せていた森田家が創業した銀行で、文化庁の登録有形文化財となっています。
▲館内は自由に入場可能(9:00~17:00)。福井県で一番古いコンクリート造りの建物だそうです

すぐ近くにジェラート屋さんを発見!
早速入ってみましょう!
こちらのお店「CARNA(カルナ)」は、同じ三国町内にある「おけら牧場」から取り寄せた搾りたてのジャージー牛のミルクや平飼い養鶏の卵、地元産のフルーツや野菜を中心に使ったジェラートをつくっています。
▲ミルク、チョコ、ラムレーズン、ピスタチオ、みかん、三国の海の塩など年間100種類以上出しています

サイズはミニ、シングル、ダブル、トリプルと4種類。
私はダブル(400円・税込)で「三国の海の塩」と「にんじん」を注文しました。
▲コーンから溢れんばかりのボリューム!

「三国の海の塩」は東尋坊のすぐ近くにある雄島から海水を汲んでつくっています。ミルクの甘さの中にほんのり感じる塩気が絶妙なバランス。後味もさっぱりしています。

「にんじん」は信じられないほど甘く、野菜という感じはまったくしません。なんとにんじんを5時間近くじっくり蒸し、甘みを最大限にひきだしてからミルクベースと混ぜるのだそう。にんじんが苦手な方も果物感覚で美味しくいただけると思いますよ。

さらにダブル…と言いつつ、おまけの一口でもう一種類加えてくださいました。この気前の良さが嬉しいですね。
▲もう一種類は三国のお隣、あわら市でとれた「さつまいも」味。こちらもなめらかな口どけでした
「農家さんに分けてもらった野菜や果物がどうやったら一番美味しくなるか、いろいろ試しているうちについつい種類が増えてしまうんです」
と、店長の山崎大和さん。

次訪れた時にはどんなジェラートが並んでいるか、とても楽しみです!
いつの時代も変わらず、訪れる人たちをあたたかい笑顔で迎え入れてきた三国のまち。日本海側というと、寒く厳しいイメージがあるかもしれませんが、三国のまちに滞在していると、このまちの穏やかな雰囲気を感じることができると思います。
三國湊を巡りながら、暮らすように旅する特別な旅。まちの魅力、人の魅力にふれながら巡っていると、あなたもきっとここが好きになるはずですよ。
石原藍

石原藍

ローカルライター。 大阪、東京、名古屋と都市部での暮らしを経て、現在は縁もゆかりもない「福井」での生活を満喫中。「興味のあることは何でもやり、面白そうな人にはどこにでも会いに行く」をモットーに、自然にやさしく、心地よい生き方、働き方を模索しています。趣味はキャンプと切り絵と古民家観察。

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