シュワシュワ~っと銀色の泡に包まれるラムネ温泉

2015.09.19

作家の大仏次郎が「これぞ、ラムネの湯だぜ」と旅行記『絵の国豊前豊後』で世界トップクラスの炭酸含有量を誇る「長湯温泉」を紹介したのは、昭和9(1934)年のこと。71年の時を経て、平成17(2005)年、建築家・藤森照信によりさらに魅力を高めた大分県・長湯温泉のラムネ温泉館を訪ねました。

学術的にも認められた炭酸泉パワー。その凄さをラムネ温泉で体感!

▲南伸坊(みなみしんぼう)氏が手掛けたキャラクターの看板が目印

大分自動車道の湯布院ICから竹田市へ車で走ること約50分。古くから湯治場として親しまれてきた長湯温泉に到着しました。ラムネ温泉館(大丸旅館)は、長湯温泉でもいちばんの人気スポット。朝10時のオープンと同時に、入れ替わり立ち替わり客が訪れます。
おとぎ話に出てくるようなメルヘンチックな建物を手掛けたのは、建築家の藤森照信。藤森建築を訪ねて来た人には「温泉だったなんて!」と驚かれることもあるそうです。漆喰と焼き杉、白黒のストライプ柄のシンボリックな建物は、なんだか愛嬌がありますね。
▲中庭には、紳士な装いの犬のモニュメントもありました。メルヘンですね~
▲三角屋根のてっぺんからニョキッと生えているのは、厳しい環境に強く長寿のシンボルとして尊ばれてきた松の木。建物全体をほっこりとした雰囲気に仕上げています。
昭和8(1933)年、ドイツで温泉治療学を学んだ松尾武幸博士に、「世界でもまれな炭酸含有量を誇る炭酸泉」と紹介された長湯温泉。松尾博士によって、”飲んで効き、長湯して利く 長湯のお湯は 心臓胃腸に 血の薬”という歌が残されたほど、その泉質は優れているといいます。長湯の町全体に飲泉所があるように、ラムネ温泉館の一角にも飲泉所がありました。
匂いを嗅いでみると、微かに鉄っぽい匂いがします。ひと口飲むと、口のなかでラムネのようにシュワシュワとはじけ、鉄の味が広がりました。なんだか体にとても良さそうです。
期待を膨らませて、いざ、温泉へ!
脱衣所から入ると内湯があります。内湯は42度くらいのにごり湯。漆喰の壁や浴槽が赤茶色に変化しているのは、炭酸泉の成分の結晶が付着しているからだそうです。季節やその日の体調に合わせて、温度の低い外湯と高い内湯を上手に使い分けるのがポイントだそうですよ。
そして、こちらが外湯です。
シュワシュワと泡が湧き上がっているのがわかりますか? 炭酸は熱を加えると気化する性質があるため、温度が上がることによって炭酸含有量が下がりますが、ラムネ温泉の外湯の温度は32度。炭酸含有量は、約1,380ppmと長湯温泉のなかでもトップクラス。まさに、好条件に恵まれた世界屈指の炭酸泉なのです。
▲手を入れただけで、こんなにも泡がびっちり!

外湯に浸かると、体中がすぐに泡で包まれました。この炭酸ガスが皮膚から吸収されて、血流を促進。心臓への負担を和らげ、高血圧やリュウマチなど、体の痛みにも効果があるといわれています。泡に包まれること約20分。爽快感というか、心地よい疲労感のような他では味わったことのない感覚に襲われました。新陳代謝が活発になるといわれる炭酸泉は、血流が良くなるため体への影響も強く、長く浸かり過ぎるのは禁物。長くても40分くらいまでを目安にしてくださいね。

さて、万年肩こりの私…。帰り道は、なんと肩のあたりがスッキリ!体が軽く感じます。ウワサには聞いていましたが、ラムネ温泉の凄さを実感できました。(あくまで個人的な感想です)
ラムネ温泉の魅力は、泉質や建築だけではありません。温泉の利用者に無料で開放されている併設の美術館では、久住の風景を愛し描いた高田力蔵の絵画や、その画家と親交を深めた川端康成の書などを中心に展示。竹田市の文化的な歴史に触れることができます。
▲漆喰に藁が混ざる白壁がなんとも温かい空間は、そこにいるだけでほっこりした気持ちになります
受付の隣には、ラムネ温泉のキャラクターをプリントしたTシャツ1,500円(税込)やバスタオル1,500円(税込)、バスマット1,500円(税込)など、かわいいアイテムがずらり。温泉に浸かっていた時から気になっていた虫よけ札500円(税込)も人気です。
ラムネ温泉を満喫したところで、ラムネ温泉サイダー300円(税込)を最後にいただきます。香料不使用、温泉水マグナ使用のサイダーは甘さ控えめ。のど越しスッキリです。

古くは奈良時代から湯治場として人々を癒してきた長湯温泉には、今も多くの人が長期滞在の温泉療養に訪れています。最近は、2泊3日の”プチ湯治”も流行っているとか。温泉通な人たちからも、「絶対に行くべき!」とオススメのラムネ温泉。その魅力にすっかりはまってしまいました!
隠岐ゆう子

隠岐ゆう子

大学でデザインを学んだ後、大手印刷会社に入社。制作ディレクターとして5年勤めた後、フランス・パリに語学留学へ。現在は、九州・山口を中心に編集・ライターとして活動している。無類の旅好きで、暇とお金さえあればヨーロッパを中心に旅する行動派。旅、温泉、スイーツのキーワードに目がない。

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