湧水と歴史のまち島原の名物甘味「かんざらし」を味わう

2015.11.24

市内のいたるところに湧水ポイントがあり、生活のすぐそばに豊富な水がある島原のまち。そんな長崎県・島原で、家庭でも作られていたという名物甘味「かんざらし」を味わい、情緒たっぷりの街並みを歩くぶらり旅へ出かけませんか?

古くから湧水に恵まれた島原のまち

▲島原城が築城された江戸時代のはじめ、城の西側一帯に造られた武家屋敷と水路

古くから湧水に恵まれ、「水の都」と呼ばれる島原のまち。市内には今なお約50カ所の湧水ポイントがあり、全体の湧水量は1日に22万トンというから驚きです。これだけ湧水が多いのは、約220年前の普賢岳の噴火がきっかけといわれています。

寛政4(1792)年、普賢岳の火山活動に伴う地震で、島原市の西にそびえる眉山が大崩壊。このときの大きな地殻変動で島原地区一帯に地割れが生じて地下水が噴出し、以来、島原地区のいたるところに地下水が湧出するようになったというのです。

アーケードの中にあるお茶屋さん「しまばら水屋敷」

島原市の中心地にある一番街アーケード内。ここに、明治時代の木造建築を茶屋として再生させた「しまばら水屋敷」があります。
敷地内にある池も島原市内有数の湧水ポイント。1日約4,000トン(毎秒50リットル)もの清らかな水が湧いており、この水は町内の各家へ水路で流れ、今なお生活用水としても利用されているそうです。
▲敷地内に湧き出る水の透明度の高さに驚く

その豊富な湧き水を利用して作られているのが、今回の旅の目的でもある島原名物「かんざらし」です。
▲柔らかくて素朴な味わいの「かんざらし」(税込324円)

「かんざらし」とは、もち米が原料の寒ざらし粉で小さな団子を作り、熱湯でゆでたものを島原の湧水で冷やして、蜜をかけたもの。ここ「しまばら水屋敷」では、寒ざらし粉を練る水にも敷地内の湧水を利用しているそうです。

冷水にさらす時間は2~3時間程度。大量の冷たい流水が必要なことから、湧水が豊富な島原の名物となりました。ここ島原には、市内各所に湧水ポイントが点在していたため、以前は各家庭でも作られていたそうです。

現在、島原市内には、「かんざらし」を提供するお店がいくつかあり、味つけや団子の大きさはそれぞれに異なりますが、「しまばら水屋敷」の「かんざらし」は、甘さ控えめで粒が小さいのが特徴です。
▲湧水で点てた抹茶も一緒にどうぞ。「かんざらしお抹茶セット」(税込648円)
▲風情たっぷりの座敷
現在、島原市内では「島原スウィーツ散歩路(さんぽみち)」というイベントが開催されています。参加費(税込800円)を支払い、スウィーツチケットを手に入れると、次のような特典を受けることができます。

●島原スウィーツ散歩路オリジナルタンブラー(湧水を飲みながら散策できる!)をプレゼント
●島原名物かんざらし1杯と引換え(対象店鋪15件/2015年11月1日現在)
●島原お土産スウィーツ3品と引換え(対象店鋪23件/2015年11月1日現在)
●各店鋪で利用できる各種特典・サービスあり


「しまばら水屋敷」の「かんざらし」も1杯と引換えの対象なので、ぜひ利用してください。

名物スイーツを味わった後は湧水群の散策へ

▲水路を元気に泳ぐ錦鯉の群れ

アーケードを出て数分歩くと、昔ながらの水路に錦鯉が泳ぐ「鯉の泳ぐまち」に到着。この鯉は、昭和53(1978)年、豊かな湧き水を観光に活かそうと、地域の町内会が中心となって放流されたものなのだそうです。
▲四季折々の風情を感じる「四明荘」

「鯉の泳ぐまち」のすぐそばには、2014年4月に国の登録有形文化財になった湧水庭園「四明荘(しめいそう)」があります。庭内には、大小3つの池があり、1日約1,000トンの湧水量があるそうです。ここは無料の休憩所でもあるため、散策に疲れたら、縁側に座って池を泳ぐ鯉を眺めながら、ひと息つくのもおすすめです。
いたるところに水路や湧水スポットがあり、一部の水路には鯉が泳ぐ島原のまち。水が流れる音を聞き、ゆったりと泳ぐ鯉を眺め、素朴な味わいの名物甘味をいただく――。のんびり、穏やかな一日を過ごす、豊かな旅となりました。
寺脇あゆ子

寺脇あゆ子

福岡を中心にグルメや旅などを中心に活動するフリーの編集者・ライター。美味しいものがあると聞けば、行かずにはいられないフットワークの軽さが自慢。主な仕事はグルメ情報誌「ソワニエ」、greenz.jpなど。

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