タコ壺漁の漁師宿、男木島の「民宿さくら」でタコを満喫!

2015.08.26 更新

瀬戸内海に浮かぶ人口200人足らずの男木島(おぎじま)。住民の多くは漁師さんです。タコがよく捕れる島で、「男木島では昔っからよくタコ飯を作るの」と話すのは、タコ飯を看板メニューとする「漁師yado 民宿さくら」の女将さん。「特別なものではないのよ」と言うけれど、民宿さくらのタコ飯は口コミで広がり、日本各地から人がやってきます。

漁師の島「男木島」の魚介に恵まれた日常ご飯

「漁師yado 民宿さくら」は、タコ壺漁と刺網漁を営む大江哲夫さんと妻の和美さんが2011年に始めた宿。2010年に男木島が「瀬戸内国際芸術祭」の舞台になり、10万人近くが訪れたものの、当時は男木島に宿が2軒しかなく、島内外から宿が必要だという声が高まったことがきっかけでした。
▲漁船が行き来する男木島港から5分ほど歩くと民宿さくらに到着する
▲大江哲夫さんと妻の和美さん
実は元々哲夫さんのお母さんが夏限定で民宿をしていて「私も手伝っていたの。泊まる人をもてなすのは好きだった」と和美さんは微笑みます。哲夫さんのお母さんが亡くなって閉業し、漁業1本でやってきたなか、20年ぶりに再開することに。
「主人も人をもてなすのが好きだし、お互いやろうやろうって準備を進めたのだけれど、料理は何を出そうかと思って。考えたって普段食べているものしか作れないからお金をとるのも気が引けて。でもね、島の外から来てくれる人が口々に『何言ってんの。普段食べてるものこそ、私は食べたい』って」
▲朝食にも哲夫さんが捕った魚を出してくれた。海から揚がったばかりの魚を朝から食べられるとはなんとも贅沢
そう話す和美さんの料理は、夕食も朝食も美しく盛り付けられていて、プロ同然の美味しさ。驚いていると「私の母が料理屋をやっていて、そこで働いていた時に料理や盛り付けを学んだの。何より主人が魚を捕ってきてくれるから出せるのよ」とにっこり。哲夫さんも嬉しそうです。

口コミで広がり、リピーターが多い「タコ飯」

民宿さくらの看板メニューが「タコ飯」である理由を尋ねると、こんな答えが。

「何気なく出していたら、口コミで広がっていつの間にか(笑)。想像もしてなかったわ。だからこそタコ飯の作り方もいろいろ探ったの。タコを乾燥させるのがいいのか、生がいいのか炒めるのがいいのか」。
▲炊く前のタコ飯
今はタコをさっと湯通しして、中は生の状態でご飯と炊いているといいます。「生」でできるのは、捕れたてのタコが手に入るからこそ。
この日も目の前で作ってくれ、「さぁ炊き上がったよ」と炊飯ジャーからおひつに移すタコ飯に一目惚れ。ご飯は優しい桜色。ころころと入っているタコは、まるで桜の蕾のようです。そこに刻んだミョウガとシソを混ぜて完成。米の甘みが生き、香草の香りが食欲を誘い、タコのプリッとした食感が心地良い。何度でも食べたくなる美味しさです。
▲自家菜園では四季折々のいろんな野菜を作っている。タコ飯に入れるシソも自家製
宿で会った20代の女性は「さくらさんのご飯は本当に美味しい。男木島もさくらさんも大好きで、半年に1、2回泊まりにきていますよ」と話します。
▲宿で一緒になった人同士、自然と会話が弾む
「うちはこの子みたいな若い女性の一人旅が多くて、同じようにリピートしてくれるの。失礼だけどお客様というよりもう娘同然(笑)」と和美さん。

タコ壺漁を体験!

民宿さくらを知ったきっかけを女性に尋ねると、「声をかけてくれたんですよ」と哲夫さんに目をやります。

「僕は男木島に来てくれる人にすぐ声をかけるからね(笑)。漁に付いてくる?って誘うとけっこう喜んでついてきて、楽しんでくれるよ。こういう漁業体験ってお金を取っていることが多いって聞いたんだけど、僕はお金とるつもりで声をかけてないからいつも無料」と笑います。
▲哲夫さんとタコ壺漁へ。手でタコ壺を引き上げているのは、男木島では哲夫さんだけで「原始人かって言われる」と笑う
▲希望があれば漁に連れて行ってくれて、ちゃんと汚れないような服まで用意してくれる
筆者もその女性と一緒にタコ壺漁に行くことに。海は穏やかで、船の上で感じる風が気持ち良い。海にポツンと浮かぶブイの側に船を止め、哲夫さんが縄をひっぱり上げるとザパッとタコ壺が出てきました。
さらにひっぱり上げると次々とタコ壺が出てきます。「うちは小さいから600や800個のタコ壺しか使いよらんよ。他は1000個以上使っている」と哲夫さん。そんなにたくさんのタコ壺が男木島の周りを囲んでいたとは!
タコ壺の中を覗くと、タコが「やぁ!」と言わんばかりに足を器用に動かして出てきます。
▲タコ壺から出てくるタコ。8本の足を器用に使ってあちこちに逃げる。
哲夫さんが掴んで船の中の水槽に入れても水槽から出てきて縦横無尽に逃げるタコ。再び哲夫さんが掴んで水槽に入れて…という繰り返し。滑稽で船の上で笑いが途絶えません。

ちゃんと逃げないようにしてから、この日は捕った1匹のタコを目の前で刺身にしてくれました(漁や料理はその時々によって変わります)。
▲捕ったタコを刺身にしてくれた。捌き方も学べる良いチャンス。
残りのタコは高松や大阪に出荷されるほか、これから民宿さくらに泊まりに来るお客様のお腹の中へ。
哲夫さんと一緒に漁船に乗ってタコ壺を引き上げ、和美さんからタコ料理を教わり、宿で一緒になった人とタコ料理の美味しさに感動する。そんな民宿さくらでの「タコ」を通じた時間はとても豊か。

「また友人を連れて泊まりにきます!」そう言って民宿さくらを後にしました。
黒島慶子

黒島慶子

醤油とオリーブオイルのソムリエ&Webとグラフィックのデザイナー。小豆島の醤油のまちに生まれ、蔵人たちと共に育つ。20歳のときに体温が伝わる醤油を造る職人に惚れ込み、小豆島を拠点に全国の蔵人を訪ね続けては、さまざまな人やコトを結びつけ続けている。 (編集/株式会社くらしさ)

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