親子で楽しみながら学べる!火山博士とめぐる桜島ガイドツアーへ

2017.05.18

鹿児島のシンボルといえば、ご存知「桜島」。勇壮な景色を眺めるだけではもったいない!火山をもっと身近に感じたい!!ということで、親子で楽しめる桜島ガイドツアーへ参加。火山ガイドさんの説明を聞きながらビュースポットをめぐって、桜島の魅力をたっぷり堪能してきました。

フェリーに乗って一路、桜島へ

鹿児島空港から桜島へのアクセスは、約1時間30分。高速道路で鹿児島市街地へ移動し、鹿児島港からフェリーに乗船して桜島に渡ります。鹿児島港と桜島港を結ぶフェリーは年中無休で24時間運航(1時間に1~5便程度)しています。まさに鹿児島市中心部と桜島を結ぶ海の道といった感じでしょうか。今回は車ごとフェリーに乗船して桜島へ。係員さんの案内でスムーズに乗船できました。
乗船時間は約15分。車を降りて上階にある客室へ移動すると、エアコンの効いた快適な室内に売店やテレビモニター、軽食コーナーがあります。さらに上の甲板へ出れば、近づいてくる桜島の雄大さに見とれてしまいます。海風を感じながら次第にワクワクしてきました。

いよいよ桜島へ到着。桜島ビジターセンターで火山ガイドさんと合流

この日私たち親子が桜島へ向かったのは、「桜島ガイドツアー」へ参加するため。活火山・桜島の魅力をガイドさんに詳しく解説していただきながら、あちこちに点在する見どころを巡る約3時間のツアーです。参加費は一人5,000円(税込)で、2日前までの申し込みが必要です。
フェリーを降りて、桜島ガイドツアーの集合場所「桜島ビジターセンター」へ向かいます。車を走らせること約2分、すぐに建物が見えてきました。ここは噴火の歴史やメカニズムを解説したミニ博物館となっており、観光情報やお土産コーナーも充実。入館無料で見学できます。
▲今回、ガイドをしてくださる福島大輔(ふくしまだいすけ)さん。火山博士でもあり、NPO法人桜島ミュージアムの理事長でもある、まさに桜島マスター!

ビジターセンター内でまずは自己紹介。
「初めまして。火山博士のだいちゃんです。好きな食べ物は何かな?」
娘が「ハンバーグ!」と答えます。
「もしかして中にチーズが入っているタイプ?僕もそれ大好き。なんだか僕たち友達になれそうだね!」
少し緊張気味だった娘を、出会って2分で笑顔にしてくれた火山博士の福島さん。子どもゴコロを掴むのもお上手です!

桜島は天然の博物館!?
噴火の歴史と溶岩パワーを学ぶ

この日参加する「桜島ガイドツアー」は、まず「桜島ビジターセンター」で噴火の歴史と火山のメカニズムについて学び、ビジターセンター前に広がる「溶岩なぎさ遊歩道」を散策。その後、車に乗り込んで「湯之平(ゆのひら)展望所」や「黒神ビュースポット」、「黒神埋没鳥居」、「桜島口(さくらじまぐち)」などのビュースポットをめぐります。
最初に案内されたのはシアタールーム。200インチの大型スクリーンでは迫力の映像で桜島の魅力が紹介されます。上映時間は約10分で、桜島の歴史や概要をサクっと頭に入れることができました。
シアタールームを出て、桜島の模型前へ。「現在地」と記されたプレートが海の上にあります。「ドラえもんのひみつ道具のタイムベルトをつけて、200年前の同じ場所にタイムスリップすると、ほら見て。海だよね。僕たちは海の中にドボンと落ちてしまうんだよ」(福島さん)
ビジターセンターのあるこの場所は大正3(1914)年に起きた大正大噴火で、溶岩が海を埋め立ててしまったエリアだそう。島の形状をも変えてしまう溶岩パワー、凄まじいです。模型を観察すると、稜線の途中の山肌から溶岩が出てきているのがわかります。

福島さんが「地中のマグマが板状に上昇してきたせいで、頂上の火口からではなく、途中の山肌から出てきてしまったもので、これを“割れ目火口”と言います」と教えてくれました。山肌を突き破るほど大量のマグマが上がってきたんですね。
大正大噴火の写真前で「飛行機に乗ったことはあるかな?飛行機が飛ぶ雲の上の高さが大体地上8,000mくらい。ところが大正大噴火の噴煙は1万8,000mの高さまで上がったんだ」と説明してくれます。
空を飛ぶ飛行機よりも高いところから噴石が降り注いだと想像すると、とても恐ろしいですね。
▲火山弾などの噴出物が降り積もった様子を表す地層断面図の模型

「さて、この地層はどれくらいの時間をかけてつくられたものでしょう?」と福島さん。
地層といえば何千年も、はたまた何万年もの年月をかけて形成されるイメージがありますが、なんとこの2mほどある軽石層、たった1日で軽石や火山灰などの噴出物が降り積もってできた、というから驚きです。改めて桜島ってすごい!
▲溶岩の流出から100年単位で見られる植物の移り変わりが再現されているジオラマ

ジオラマコーナーでは、冷え固まった溶岩だらけの状態から、やがて、コケ類、ススキなどの草類、クロマツなどの陽樹、豊かな森に群生する陰樹の順に現れる植物の再生を表す植生遷移(しょくせいせんい)を学びます。

過去に幾度も大噴火が発生し、さまざまな時代に異なる場所へ溶岩が流れ出た桜島では、植生の違いを実際に見て確かめることができるそう。「桜島はまさに、天然の博物館なんです!」と笑顔で語る福島さん。説明を聞く娘の目も、キラキラと輝きはじめました。

溶岩地帯へ出発!植生に着目して眺めてみると、新しい発見がいっぱい

噴火の歴史や自然景観の移り変わりについて学んだ後は、いよいよ外に出て溶岩地帯を散策しに出発です。錦江湾に面した「溶岩なぎさ遊歩道」を歩いていると、生い茂る草や松の木の根元に、溶岩を見つけました。
「溶岩をよく観察してみて。ほら、コケが生えているのが分かるね」と福島さん。近くにはススキや松の木もみられます。植生遷移を学んでから景色を眺めてみると、楽しみながら見つけられる発見がいくつもありました。
ここでクイズが出されました。
「大正大噴火で流れ出た溶岩が、この遊歩道があるあたりまで到達するのにかかった時間はどのくらいでしょう?(1) 2時間(2)2日間(3)2週間、さあどれ?」
娘が「2日!」私が「2時間!」と答えます。
「正解は、2週間でした!」意外なほどゆっくりだったのですね!

当時、溶岩の流れる先に住んでいた人たちが、大急ぎで家を解体し、別の安全な場所へ運んでもう一度組み立てたというエピソードが残っているほど、ゆっくりだったそうです。

温泉は火山の恵み!
360度のパノラマ足湯を堪能すべし

遊歩道をさらに進むと、足湯コーナーを発見しました。こちらは全長が100mもあり、日本最大級の長さなのだそう。ダイナミックな景観を眺めながら楽しむポカポカ足湯!なんて贅沢なシチュエーションでしょうか。うっかりタオルを忘れても、ビジターセンターにて1枚300円(税込)で購入できるのでご安心を。
▲地下1,000mから湧出する天然温泉を利用した足湯。赤褐色の湯が特徴的

桜島随一のビュースポットへ!
眼前に広がる大迫力の山肌へ大接近

絶景足湯を堪能した後は、車に乗り込んで「湯之平展望所」を目指します。ビジターセンターから車で約15分。標高373m、桜島の4合目付近にあり、一般の人が行くことができる最も高い場所です。荒々しい山肌が広がる景色は、まさに壮観!
「桜島は横長の形に見えるよね。でも実は、北岳と南岳という2つの山が合体してできた複合火山という2つの山なんだよ」と福島さん。娘が「えーっ。知らなかったー!今までずっと、ひとつの山だと思ってた!」と声をあげます。またひとつ、桜島について詳しくなりました。
▲「湯之平展望所」から望む鹿児島市街地。夜景スポットとしても有名

ここで、1つトリビアを教えてもらいました。「湯之平展望所」には7つのハートが隠されているんだとか。探してみると石垣のなかにハート型の岩を発見!駐車場へ続く階段にも見つけました。全部見つけられたら何かいいことがあるかも!
▲石垣の中に隠されたハートストーン。7つ全て見つけてみたくなります

噴火を間近で体感できるかも!?
噴煙立ち上る「昭和火口」を観察しよう

「湯之平展望所」を後にして向かったのは「黒神ビュースポット」。2006年以降、活発に活動を続ける「昭和火口」を見学できるポイントです。この辺りは昭和21(1946)年の昭和噴火で溶岩が流れてきたエリアで、大正大噴火の際にできた溶岩地帯と比べると植物が少なく、殺伐とした風景が広がっています。

運が良ければ噴火を間近に観察でき、噴火していなくても火口から立ち上る水蒸気を眺められることから、活火山を間近に体験できる場所となっています。
▲噴煙が立ち上る南岳の「昭和火口」

地中に埋まった鳥居!?
噴火当時の凄まじさを物語る

突然、不思議な光景が目に飛び込んできました。鳥居が上部1mほどを残し、ほとんど地中に埋まっています。ここは、「黒神埋没鳥居」と呼ばれるスポットで、かつて「腹五社(はらごしゃ)神社」にあった高さ3mほどの鳥居が、大正大噴火による噴出物でたった1日のうちに埋まってしまったそう。
「神様を祀る大切な場所のものだから、掘り起こそうという声も上がったけれど、噴火の記憶を後世に残そうという当時の村長の決断により、噴火直後の姿が残されています」と福島さんが教えてくれました。
▲「黒神埋没鳥居」の奥にある「腹五社神社」の本殿。知る人ぞ知るパワースポット

流れ出た溶岩が桜島を半島に変えた
大隈半島とつながる必見ポイント

最後の目的地は、「桜島口」と呼ばれるスポット。下の写真左側に見える大隅半島と、右側に見える100年前に形成された桜島の溶岩とで植生が異なっており、大噴火で陸続きとなったことがうかがえる貴重なスポットだそう。何も知らなければ通り過ぎてしまいそうな場所ですが、実はものすごい歴史が隠されている場所だったんですね!
桜島口から出発地点のビジターセンターへ戻ってきてガイドツアーは終了です。桜島は車で1周約1時間とコンパクトな範囲に、火山の魅力を伝える観光スポットが点在しています。もしも、何の知識もなくただ景色だけを眺めて回っていたら、その魅力の半分にも気づけていなかったかもしれません。

今回、福島さんのお話を聞きながら噴火の歴史を知り、植生に着目して巡った桜島ツアーでは子どもと一緒に、たくさんの感動と発見に出合うことができました。
▲降灰や火山ガスに強いことから、桜島で多く栽培されている椿。美しく花開き、立派な実をつけます

ガイドツアーの終わりに立ち寄りたい
桜島のオススメスポット2選

ガイドツアーのコースには含まれませんが、桜島へ来たらぜひ立ち寄りたいスポットを2つご紹介します。まず1つ目は2004年、桜島で開催された長渕剛さん伝説のオールナイトコンサートの成功を記念してつくられた「叫びの肖像」。
フェリーターミナルから南へ約2kmの場所にあり、50トンもの桜島溶岩を使った迫力満点のこのモニュメントを見に、数多くのファンがこの地を訪れます。ファンならずとも、この肖像のようにぜひ桜島へ向かって叫んでみて。
もう1つは「桜島シーサイドホテル」にある絶景露天風呂。日帰り利用で気軽に立ち寄ることができます。鉄分を多く含む湯は女性特有の冷え性や婦人病にも効果があるといわれています。天気が良ければ本土最南端の佐多岬や薩摩富士として知られる開聞岳まで望めるほか、空と海の青さと茶褐色のコントラストは桜島の温泉ならではの光景です。日帰り利用もできる家族湯もあります。
▲晴れた日の爽快感は格別!海と一体となったかのような開放的な景色を堪能できます
活火山の魅力を学びながら、迫力の絶景を堪能できた今回の桜島ガイドツアー。地球の力強い鼓動を五感で感じる旅となりました。天然の博物館で親子一緒に感動できる旅へ出かけてみませんか。
有村千絵

有村千絵

2012年よりフリーの編集者・ライターとして活動開始。「魅力の見える化」をモットーにジャンルを問わず記事を執筆中。休日は地元・鹿児島の日帰り温泉へ出かけては湯浴みを満喫し、湯あがりグルメやご当地スイーツの食べ比べに精を出す。シンプルな暮らしに憧れつつも、立ち寄った道の駅であれやこれやと買い込んで帰るのが楽しみの一つとなっている。

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