ヘルシーランチが人気。「荘内藩しるけっちぁーの」で庄内の汁文化を楽しもう

2017.05.04 更新

日本で唯一、ユネスコの「食文化創造都市」に選ばれている山形県鶴岡市。「世界から食を楽しみ、学びに訪れたくなるまち」を目指して、町全体で「食」をテーマにした様々な取り組みを行っています。そんな鶴岡市の食文化を知りたくて、世界を舞台に活躍するイタリアンシェフ・奥田政行さんプロデュースのお店「Zupperia(ズッペリア)荘内藩しるけっちぁーの」を訪ねました。

※「Zupperia荘内藩しるけっちぁーの」は移転・リニューアル予定(2017年6月現在)
▲庄内地区特産の「孟宗汁(もうそうじる)」(右下)は、4月下旬から5月中旬のランチセットに登場

“おいしい”町の、おいしい店

鶴岡市は山形県の日本海沿岸に位置する城下町。山岳信仰の場「出羽三山」を有する町としても有名です。県外からの交通の拠点となる「おいしい庄内空港」から市街地までは車で30分程。空港の愛称も「おいしい」なんですね。
「Zupperia荘内藩しるけっちぁーの」は、町の中心部にある致道博物館(庄内藩主酒井家の屋敷跡)に隣接している古民家風のレストラン。JR鶴岡駅からは車で約10分のところにあります。
庄内の食文化をけん引する奥田シェフが最初に手掛けたイタリアンレストラン「アル・ケッチァーノ」の姉妹店です。
庄内地方には「寒鱈汁」や「孟宗汁」等、受け継がれてきた「汁」の食文化があります。そうした食文化を「知る」ことと、鶴岡市の特産物「シルク(絹)」。店名は、この3つの「しる」から「しるけっちゃーの」と命名されました。
▲奥田シェフ(真ん中)と調理担当の柳澤岳さん(右)、フロア担当の茶間聡子さん(左)

入口の戸を開けると奥田シェフとスタッフの方々が笑顔で出迎えてくれました。
▲店内にはカウンター席と大きなテーブル席があります

「汁」が主役のランチメニュー

▲「ランチセット」1,500円(税込)には季節ごとに変わる「汁」と「季節の小鉢」、魚、お漬物がつく

今日のお目当ては「ランチセット」。在来作物や地場野菜、日本海で獲れた魚、特別な飼料で育てられる高品質で低コレステロールの庄内豚。そして、「庄内彩鶏(さいけい)」というブランド名で育てられている鶏肉──と、山形の旬の食材をまるごと使ったヘルシーな料理が楽しめます。

今日のメインの汁は「めばる+ぎばさ汁」。シンプルに味噌を使った優しい味で、地元で作った豆腐も入っています。納豆よりも強力かもしれない「ぎばさ」の粘りにびっくり!
▲海藻の仲間「ぎばさ」のネバネバ度が半端ない!

「ぎばさ」はアカモクという海藻で、山形、秋田など、主に日本海側の地域で食べられてきました。フコイダン、鉄分、ミネラルなどの栄養素を摂取できるヘルシーな食材です。
▲調理担当の柳澤岳さんにメニューを紹介していただきました
▲野菜と、魚か肉の料理が楽しめる「季節の小鉢」

今日の「季節の小鉢」は、左から里芋とイカのえごま味噌和え、身が軟らかくて鶏肉特有のクセがない「庄内彩鶏」の袋蒸し、ホタテの稚貝とアサツキの酢味噌和え、たらこの醤油漬と、少しずついろんな料理が楽しめて1,500円(税込)とはなんとリーズナブルな!
▲里芋とイカをえごまと味噌で和えたもの
▲プリッとした食感のホタテの稚貝がうまい!
▲季節を感じる「サクラマスのあんかけ」を食べて庄内を堪能

山形の県魚でもある「サクラマス」。川で生まれ、春になると降河して海へと向かい、翌年の春に生まれた川に戻ってくる、庄内に春の訪れを告げる魚です。
▲厚い身に、優しい味わいの餡を絡めていただく

鶴岡では、醤油、酒、砂糖で味付けられた甘い餡をかけた料理が昔から食べられてきました。「サクラマスのあんかけ」は5月の天神祭りのときに欠かせない料理として伝承されてきたものです。

今回いただいたサクラマスは身が厚く、食べごたえあり。ふっくら、しっとりとした魚の食感にまろやかな餡がとても相性良かったです。

鶴岡が「食文化創造都市」なワケ

鶴岡市がユネスコの「食文化創造都市」に選ばれた理由を奥田シェフにうかがうと…。

「鶴岡でとれる食材は凄いことはわかっていても、売り込み下手で奥ゆかしい庄内人気質のせいか、現在のように認められてはいませんでした。なんとか、庄内の食材に光をあてることができないかと思い、2000年にイタリアンレストラン“アル・ケッチァーノ”をオープンさせ、自分でできる手法でPRしていきました」
▲とても気さくに話をしてくれる奥田シェフ

ある時、全国誌で「鶴岡の食材が凄い!日本一の羊がいる町」と鶴岡市が取り上げられたことがきっかけで、全国から「食」を求めて人がやってくるようになりました。

具体的にどこが凄いのか、どうして鶴岡の食材が美味しいのかを尋ねると、
「鶴岡市は夏暑くて冬寒く、四季がはっきりしていて、山岳気候、温帯性気候、海洋性気候、東南アジアの気候帯という4つの気候帯と、性質の異なる7つの土壌が存在する珍しい地域です。それが美味しい食材が育つ理由」と奥田シェフ。
▲店内には庄内の食材を紹介するボードが!

「例えば、市内でヨーロッパに近い性質の土があるところに種をまけば地中海性の作物もおいしくできる。雪に弱い作物以外、すべて適地適作が可能という特異なところなんです。今では“地産訪消”ということで、国内だけでなく、海外からも食べに来てくれる町になりました」と奥田シェフ。
▲イタリア スローフード協会国際本部主催「テッラ・マードレ2006」で、世界の料理人1,000人に選出された奥田シェフ(日本からは11人)

「自家採取で守り続けてきた農家が多いため70種類もの在来野菜が存在し、山菜、キノコなどの天然ものも豊富で、138種類の魚が獲れる鶴岡。季節ごと、それぞれの食材に“汁”が存在するので、地域の人たちは無限大の汁文化を楽しんできたんです」
▲孟宗や厚揚げ、しいたけがたっぷり入った、地元産の「孟宗汁」(提供は4月下旬~5月中旬)。庄内の水はミネラルやカルシウムが豊富で、煮崩れせずに美味しい汁ができる

素材と向き合い、素材の良さを引き出す料理の数々

話を聞きながら、違うメニューも食べてみたくなり、奥田シェフおすすめの「揚げないカツカレー」を注文!

庄内豚が入ったカレーの上には、庄内豚の薄切りをさっと茹でたものに油で炒ったパン粉を衣の代わりにかけています。肉を油で揚げていないからとってもヘルシー!

キャベツの和え物が添えてある、「しるけっちぁーの」でしか食べられないカレーライス。揚げないカツに使用している庄内豚はとにかく軟らかく、パン粉のサクッとした食感とうまくコラボ。カレーをたっぷり絡めていただきます。
▲「揚げないカツカレー」は、デザート付き(この日はソーダのシャーベット)で900円(税込)
▲揚げていないカツ!? カレーに絡めて食べる肉は軟らかく、程よい歯ごたえ

締めは和デザートで。鶴岡の郷土のおやつ「笹巻き(ちまき)」を注文。この地域では“黄色い笹巻き”が一般的だそう。もちもちの食感とつるんとした喉越し!金色に輝くぷるぷるスイーツは、黒蜜と青きな粉を絡めて召し上がれ。
▲笹巻きは350円(税込)、左奥の「あるけっ茶」は400円(税込)
▲黒蜜がとろ~ん!

他に「コーヒーぜんざい」や「アーモンドミルクプリン」等のデザートも通年で提供しています。「甘酒オレ」が気になりつつ…次回のお楽しみに!
奥田シェフがお店にいたら気軽に声をかけてみてください。楽しいお話が聞けそうですよ。

周辺には「致道博物館」の他に、大正天皇の即位を記念して大正4(1915)年に建立された「大宝館(たいほうかん)」や、明治36(1903)年に建てられ、国の重要文化財にも指定されている「鶴岡カトリック教会天主堂」などの観光スポットがありますので、街めぐりの途中に訪れてみては。

撮影:佐藤友美
佐藤昌子

佐藤昌子

エディター&ライター。山形県知事認可法人アトリエ・ミューズ企業組合専務理事。山形県内を中心にタウン誌、フリーペーパーや企業広報誌等ジャンル問わず、印刷物の企画、取材・編集の仕事を手掛ける傍ら、モデルハウスのディスプレイやリメイク等『気持ちの良い暮らし方』も提案している。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。

こちらもおすすめ

もっと見る
PAGE TOP