人気上昇中のせり鍋は、冬から早春まで食べられる仙台の新名物!

2017.03.06 更新

牛タン、牡蠣、ずんだ、笹かま、仙台牛に金華サバなど、美味しいものがいっぱいの宮城県。そんな中で近年頭角を現しているのが「せり鍋」です。テレビや雑誌などでも見かけることが多くなり、東京在住の芸能人にまでファンがいるほど。でもこの「せり鍋」、寒い時季にしか食べられない期間限定メニューなんです。さて、一体どんな鍋なのでしょう?

せり鍋を有名にした店で味わうプレミア感

仙台でせり鍋をメニュー化する店が増えたのはここ数年のこと。その中で今回ご紹介する「居酒屋侘び助」は、なんと11年も前から「仙台せり鍋」というネーミングで出していて、元祖と言っても過言ではない存在。仙台のせり鍋を語りたいなら、ぜひとも押さえておきたい名店です。    
▲お店は昭和の良き時代の温もりが伝わってくる木造の建物
お店は戦前からの建物を改装。 仙台中心部は昭和20(1945)年に大空襲を受けているので、このような建物は希少です。席数は座敷とカウンターで16、ほかに4名用の個室を用意。仙台の桜の名所でもある西公園から徒歩5分ほどの所にあって、ちょっと隠れ家的な雰囲気もあるお店です。
▲今回はカウンター席で「仙台せり鍋」(1人前1,620円※写真は2人前)をいただきます。具はせりと鴨肉だけというシンプルな鍋料理です

ところでせりってどんな食べ物?

ツユが沸騰するまでの間、簡単に解説しましょう。せりは春先に日本中に出回る野菜で、「春の七草」のひとつですね。せり自体は特に珍しいものではないのですが、仙台では食べ方に特徴があって、鍋にする場合は根っこまで食べるんです!根っこまでまるごといただくのが地元独自のせり鍋で、一緒に入れる具や味付けは店によってさまざまです。
▲仙台市の南隣の名取市で生産されているせりを使います
これがせりの根の部分です。この店では毎朝、女将さんが名取まで仕入れに行きます。朝採りのせりは甘みが強いんだそう。
根っこや茎に付着している砂などを落とす作業、実はすごく大変。女将さんや店のスタッフが何時間もかけて丁寧に取り除いてきれいな状態にします。

ついに鍋にせりを投入!

具材をまるごと投入したいところですが、一度に全部入れるのはNG。それではせっかくのせりの食感を楽しむことができません。「居酒屋侘び助」の「仙台せり鍋」には、段階を踏んでせりを味わうスタイルがあるんです。女将さんが面白おかしく説明してくれるので、最初はやってもらいましょう。
▲まず鴨肉を投入    
まずは鴨肉です。ツユに旨みとダシを加える役割も果たします。いろいろな肉を試して、最終的に鴨肉に落ち着いたそうです。
▲続いて根っこの部分を折れないように入れます
せりを鍋に入れる時は、器一杯分だけにしておきましょう。
最後に茎と葉の部分。せりの香りが湯気に混ざって立ち昇ります!
しなってきたらもうOK!しゃぶしゃぶのようにくぐらせる程度で充分です。
ささっと取り分けて、ツユを入れて器一杯分のできあがり。ツユ自体は醤油ベースの薄口で甘じょっぱ系。せりの個性を包み込むような優しい味わいです。
▲「うわー!美味しい!」と、モデルの二人もご満悦な様子  
意外に瑞々しい根っこ、しゃきしゃきした食感の茎、特有の香りがたまらない葉。それぞれの特徴を堪能しましょう。   
▲2杯目からは自分たちでやってみましょう
何度も言いますが、食べる分だけを鍋に入れるのがポイントです。茹で過ぎるとせっかくの食感が台無しになってしまいます。
「おっと、ツユは全部よそっちゃだめよ」と隣のお客さんからのアドバイス。あれ?宮城県を中心に活動しているタレントのワッキー貝山さんじゃないですか。
▲「ワッキー貝山さん、いつの間に!?」
「この後、〆はダブルで、うどんとご飯がくるからね。これもまた美味いんだ」。しかしワッキーさんは、どうしてこの店のせり鍋に詳しいのでしょう…?

仙台せり鍋、いよいよ〆に!

せりを食べつくしてしまったら、次は後半戦。鴨とせりのダシが加わり、最初の頃よりも一層深い味わいになったツユに、うどんとご飯が順に入り、特製うどんとスペシャル雑炊に!
うどんが入りました。ツユはこのくらい残っていると理想的。蕎麦屋のツユとはまた違った味わいです。
女将さんが玉子をといて鍋に入れてくれます。ふわっとした玉子とじになるように小技を効かせてくれます。
▲とってもいい具合に茹だってきました   
▲「玉子がトロふわのうちに食べてよ。ツユが絶品でしょ?」。「確かに!想像以上のまろやかさです」。
続いてご飯が投入されました。雑炊用のご飯は、炊き立てをわざわざ水洗いして、よけいなぬめり気が出ないようにひと手間かけているそうです。
うどんを食べている間に煮立ってきました。雑炊も玉子とじ。こちらも女将さんがやってくれます。女将さんこだわりの部分なのでお任せしましょう。
▲旨みをまとめて味わい尽くす、まさにフィナーレの雑炊
最初のせり投入から少しずつ旨みやダシが加えられてきたツユが、しっかりご飯に沁み込んでいてたまりません!
▲ごまラー油をかけてちょっとピリ辛に。お好みでどうぞ
▲ごちそうまさでした!(うどん、ご飯、玉子はせり鍋の料金に含まれています) 
「最初はこれだけ?と思いましたが、お腹いっぱいです」
「女将さんとのお話もとっても楽しかったです」とモデルの二人も大喜びでした。
「地酒の品揃えも自慢なんですよ」(女将さん)。女将さんに自分の好みを伝えて、おすすめの地酒を訊ねてみましょう。ちなみにワッキー貝山さん、女将さんの息子さんだそうです。(なるほどせり鍋の説明も面白いはずですよね)
せりを単なる具材の1つではなく、鍋の主役に据えて、そのせりを存分に味わい尽くす、という食べ方の鍋は仙台でもなかなかお目にかかれません。また、一般にせりが市場に出回るのは11月中旬~3月頃ですが、この店では、名取のせり生産農家との繋がりがあるので、9月末~ゴールデンウィークまで「仙台せり鍋」を味わうことができます。体も心もほっこり温まる「仙台せり鍋」。仙台に来たら外せないご当地グルメです。
さとう謙一

さとう謙一

アパレル業界から脱サラし2002年頃から断続的にフリー執筆者。企画、編集、指導もこなす。 これまでの担当件数は約6,000件、現地取材は東北地方を中心にのべ4,000カ所を超える。趣味はロックバンド活動と犬の動画を見ること。特撮オタクでもある。仙台市出身&在住。

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