鳥取砂丘でスノボ!?海に向かって直滑降が楽しすぎると話題のサンドボード

2017.05.19

新しいスポーツとしてアクティビティ好きが注目するサンドボード。鳥取砂丘の勾配を利用して専用のボードで滑り降りるスリル満点の体験です。レッスンを受けられるのは日本ではここだけと聞き、さっそくチャレンジしてみました。

延べ2万人以上が体験した砂丘観光の目玉!

やって来たのは鳥取県鳥取市にある鳥取砂丘。県を代表する観光地で、有名すぎるあまり「鳥取って砂漠の中にあるんでしょ」と誤解している人も多い……とか。
▲鳥取砂丘の入口。階段を上ると広大な砂丘が広がる

千葉県や静岡県にもサンドボードができる場所がありますが、安全性やスケール、ロケーションなど、他と比べても鳥取砂丘は「サンドボードの聖地」と呼ばれるほどダントツ人気の場所。2016年までに全日本サンドボード選手権が11度も開催されています。
▲受付場所の「らくだや」。のぼりが目印です

サンドボードスクールは予約が基本ですが、定員に空きがあれば当日でも参加可能。受付は鳥取砂丘入口の真向かいにある土産物店「らくだや」の休憩所で行っています。
▲開始30分前から受付開始。次々と参加者が集まってきます

スクールは1日3回実施され、1回の定員は50人。対象は10歳以上ですが、年齢に達しない場合でも保護者同伴などの条件が満たされれば参加できるそうなので、ファミリーで体験したい場合は問い合わせてくださいね。
▲主催者でインストラクターも兼ねる前田靖志(まえたやすし)さん

鳥取砂丘サンドボードスクールは鳥取砂丘や鳥取県の観光の目玉として、行政の支援を受けて2004年にオープン。2016年までに延べ2万人以上が参加し、GWなどのハイシーズンには1日の定員150人が連日いっぱいになるそうです。
▲専用のボードは前田さんが手づくり

サンドボードはオーストラリアやペルー、アリゾナなどの砂丘地帯で1980年代後半から始まったスポーツで、日本に知られたのは2000年頃。
市販されているボードは安全性が不安だったり濡れた砂地での滑りが悪いため、鳥取市内でサーフショップを経営していた前田さんがスクールを始めるにあたり、スノーボードを改造して試行錯誤で専用のボードを手づくりしたそうです。

鳥取砂丘は巨大な遊びのフィールドだった!

▲砂丘の遊歩道を歩いてゲレンデへ移動

さて、受付が終わったら砂丘に入って、ゲレンデを目指します。移動はもちろん徒歩。受付場所から約5分ほど歩くと、小高い丘の向こうに日本海が見えてきました。
▲ファットバイク体験ツアーのグループも

近くでは砂地専用の太いタイヤを付けたファットバイクの体験ツアーも行われていました。鳥取砂丘ではサンドボードやファットバイクの他にもパラグライダーやシーカヤックなど計7種類のアクティビティが行われていますが、砂丘の魅力を発信するため、それらの主催者たちで「鳥取砂丘アクティビティ協会」が結成されています。
▲取材日(2017年4月)の鳥取砂丘はとてもいい天気で、気温は25度以上にも

ゲレンデは鳥取砂丘の東端で、写真の右端あたりになります。正面(真ん中)に見えているのは砂丘最高峰の「馬の背」で、海面からの高さは約50m。その手前には、今年(2017年)巨大化したことが話題になった「オアシス」も見えます。
▲ゲレンデの上に立つとテンションも上がる

いよいよゲレンデに到着です。この日は気温が上がったこともあり、ここまででうっすら汗をかいてしまうほどでしたが、真っ青な日本海や空を目の前にすると気分爽快。参加者からも「イエ~イ!」「オ~!」とさまざまな声が上がっていました。
▲サンドボードスクールの会場になる急斜面のゲレンデ

ゲレンデの全体はこんな感じです。
ところで、さっきから勝手にゲレンデと言っていますが、ここはサンドボード用に整備された場所ではなく、自然の地形そのままの場所。山陰海岸ジオパークの一部で、国立公園の特別保護地区にも指定される鳥取砂丘は砂や植物の持ち出しも禁止されていて、自然を壊すような行為は禁止されています。
▲今回の参加者は26人。小学生もいました

参加者全員を前に、前田さんがボードの装着から基本姿勢、滑り方、止まり方などをレクチャーします。といっても、時間にして10分足らず。真っすぐ滑るだけなら4つのことを覚えるだけなので、とても簡単です。
▲こちらが基本姿勢。これができれば滑れるはず……

その1)膝を曲げて重心を落とす
その2)内股にして重心を真ん中に
その3)左手で膝をしっかりホールド
その4)体を開かず肩越しに前方の遠くを見る

どうです?とても簡単でしょ。筋力や特別な技術も必要としないので、子どもでも女性でもできるはず。転んでもゲレンデはやわらかい砂なので痛くもないし、障害物もないので安心して滑れます。

レクチャー後はヤル気と体力に合わせて自由に

▲ソックスを履いたままでボードを装着

ボードは靴を履かず、ソックスの状態で装着します。素足では砂との摩擦で足が痛くなることがあり、靴だとかかとが浮くなど重心のコントロールが難しいため、この方法がベストということ。ソックスを忘れると参加できないので、必ず準備してくださいね。
▲さっそくゲレンデを滑降。果たして転げずに下まで行けるか……!?

基本を教わったら、各自自由に滑ります。ゲレンデの幅は100mほどありますが、衝突などの危険を避けるため10人くらいが順番に滑ります。
▲滑ってみると、ゲレンデの急勾配が実感できる

斜面の長さは80m前後で、海の直前まで一気に直滑降します。ゲレンデの傾斜は32~35度。スキー場なら上級者コースに匹敵する傾斜角で、見ているのと実際に滑るのとではスピード感やスリルがまったく違います。
▲すぐに上達するのは意外にも……

見ていると、1本目から転げずに下まで行けるのは意外にも子どもや女性が多いことに気づきました。もちろん初心者ばかりですが、前田さんに理由を尋ねてみると、重心が低いことと、恐怖心が強い分だけ基本を忠実に守っているからだそうです。
▲スノーボード経験者でも最初から上手には滑れない

スノーボードと同じように見えるので経験者は有利かと思いましたが、雪と砂では摩擦の強さがまったく違うため、むしろ経験や体が覚えている動きが邪魔をして、サンドボードが難しく感じてしまうのだとか。
▲滑るときは掛け声を意識しながら

スクールでは人が滑っているときに回りから声をかけることも教えてくれます。そのかけ声とは「離すな!我慢!遠くを見て!」。左手を膝から離さず、スピードが出ても重心を動かさず、真っすぐ前を見ること。とにかく基本さえ守れば自然に真っすぐ滑って、ゆっくり止まることができます。

SNSにアップしたいので動画も撮ってみました。

で、私の1本目はどうだったかと言うと……ご覧のとおり。あれほど注意していたのに、いざ滑り出してみるとどうしても足下を見てしまい、途中で転倒です。ま、自己採点で70点というところでしょうか。
▲体力がある人は立て続けに何本も滑走

30分ほどでほとんどの参加者が転げずに滑れるようになりました。足下の砂がやわらかいため、下まで滑ってそのまま斜面を上るのは体力の無駄づかい。ゲレンデの端まで迂回して土嚢(どのう)袋を積んだ通路で上り、また滑りはじめます。滑るよりも歩くほうが体力を使いますが、滑るのが楽しいので歩きながらもみんな笑顔です。
▲「よーい、スタート!」でサンドボードGPが開幕!

みんなの疲れが出はじめた頃に、前田さんが「レースをしよう」と参加者を集めました。初心者ばかりなのでボードに立って滑るのは危険なため、ボードに座ってソリの要領で競争です。年齢・性別・体力のハンディがほとんどないので、楽しく遊べました。
▲サンドスライダーは年齢制限なしで参加できる

サンドボードと並行してサンドスライダーのレッスンも行われます。2人乗りのソリのようなもので、座って乗るので保護者がいれば幼児でも遊べます(税込3,000円/1人利用の場合は税込2,000円)。

見るだけじゃない砂丘の魅力を感じて欲しい

▲「サンドボードをきっかけに鳥取砂丘のファンを増やしたい」と前田さん

このスクールでは上達を目指して何度も訪れるリピーターは少なく、ほぼ全員が初心者とのこと。前田さんも「シャカリキになって技術を指導するより、滑らなくても砂丘の魅力を感じてもらうことのほうが大切」と、楽しく遊べることに重点を置いています。
▲参加者とのコミュニケーションも欠かさない

熱心に滑っている人にはアドバイスを、疲れて退屈そうにしている人には砂丘のマメ知識やギャグで元気復活をと、前田さんは常に参加者に目を配り、2時間のスクールが楽しく過ごせるように動き回っています。
▲鳥取生まれで鳥取育ちの前田さんは砂丘の伝道師

鳥取砂丘は南北2.4km、東西16kmに広がり、観光砂丘としては日本最大級のスケール。それだけに観光で訪れると歩くのに疲れて、せっかくの雄大な自然を満喫できないまま帰る人も多いそうです。

前田さんは「転んで頭から砂に突っ込むのも砂丘の魅力。起き上がって見る砂丘の大きさや日本海の美しさは、体感した人だけの特権です。普通の観光では味わえない砂丘の自然をサンドボードで体感してほしい」とスクールの主旨を話してくれました。
▲終了する頃には全員に仲間意識が芽生える

参加者同士で滑り方や遊び方を考えて、自由に楽しめるのもサンドボードスクールの特徴です。もちろん砂丘の自然に影響を与えたり、危険な行為は前田さんがチェックしていますが、意識せずとも知らない人と仲よくなれ、最後の記念撮影では別れを惜しむ声も聞こえました。
▲コインシャワーは3分税込100円

解散後は隣接の土産物店に設置されているコインシャワーで汗を流してリフレッシュ。車で5分ほど走ったところには、海を見ながら温泉に浸かれる「砂丘温泉ふれあい会館」もあります(入浴料税込560円)。
▲乾いた喉にはたまらない梨ソフトクリーム(税込300円)

受付場所の「らくだや」では砂丘名物の梨ソフトクリームを販売していました。甘過ぎないサッパリとした味わいで、汗をかいた後にはぴったり。普段はあまり甘いものを食べない人でも、きっと美味しく感じると思いますよ。
▲普段着で参加できる手軽さも人気の理由

サンドボードは手ぶらで観光のついでに体験できる手軽さも魅力のひとつ。動きやすい服装でソックスさえあれば、特に準備する物はありません。ただ、手軽とはいえスポーツなので飲料水は必携。それから日差しの強い日はサングラスや帽子も。女性は日焼け止めも用意しておくといいでしょうね。
気持ちのいい汗をかいて砂の上に転んで、童心に戻った気分で楽しい時間を過ごせました。また鳥取砂丘に来る機会があれば、もう一度チャレンジしてみたいと思います。
あ、それから皆さんにアドバイス。サンドボードをするなら、絶対に砂丘観光の前に。広い砂丘を歩き回った後では疲れてしまい、サンドボードをする気力も楽しみも半減しますよ。
廣段武

廣段武

企画から取材、撮影、製作、編集までこなすフリーランス集団「エディトリアルワークス」主宰。グルメレポートの翌日に大学病院の最先端治療を取材する振り幅の大きさと「NO!」と言わ(え?)ないフレキシブルな対応力に定評。広島を拠点に山陽・山陰・四国をフィールドとして東奔西走。クラシックカメラを語ると熱い。

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