外国人旅行者に大人気!奈良の指定文化財をリノベした町家宿

2017.05.19

奈良公園の近く、文豪・志賀直哉の旧居など歴史ある建造物や古い町家が残る高畑町。そこに2016年にオープンした「NARAMACHI HOSTEL & RESTAURANT(ナラマチホステル&レストラン)」は、指定文化財(奈良市)をリノベーションした全国でも類を見ない宿泊施設&レストラン。その魅力を探るべくお邪魔してきました。

指定文化財に宿泊できる魅力

HOSTEL(ホステル)とは、リーズナブルに宿泊でき、海外からの旅行者が多く、交流スペースなどがある宿のこと。
こちらでは、お客さんの8割が海外からの旅行者だそうで、訪れた客は皆「アメージング!」と口をそろえて感動するのだそう。

建物は、奈良市の指定文化財である、築160余年の商家「青田家住宅」。
青田家は「横田屋」の屋号で代々醤油の製造販売を行ってきた豪商で、建物はずっと非公開でした。
▲安政3(1856)年に建てられたという商家「青田家住宅」。町になじんでいます

指定文化財は、別の用途で使用することが難しいうえ、釘1本打つのにも畳1枚張り替えるのにも申請が必要。簡単に改装ができないため、“経年劣化による美”を大切にしながら、古き良きものはそのまま保全。補修すべきところのみ直す作業を行い、2年という年月をかけて「NARAMACHI HOSTEL & RESTAURANT」をオープン。指定文化財を宿泊施設にすること自体、今まで例がなかったことも年月がかかった要因の一つだそうです。

立派な商家の引き戸を開けると、目の前に飛び込んでくるのは、昔懐かしいかまどが存在感を放つロビー。太い梁を生かした高い天井が印象的で、江戸時代の建築様式をそのまま残した居心地のいい空間です。
▲かまどはディスプレイではなく、現役で使われているもの

かまどの前にソファ席が配されるなど、外国人旅行者が喜ぶ和モダンな造りのロビーには、青田家の調度品を展示するほか、大きな神棚があります。
そして、煮炊き用のかまどの横には、近くにある世界遺産・春日大社の神様にお供えするための専用のかまどがあり、青田家がいかに豪商だったかが伺えます。
▲春日大社の神様用のかまど。写真家・篠山紀信も撮影に訪れ、写真集『シルクロード』に掲載されています

ドミトリー、個室、1棟貸しが揃う、蔵を改装した客室

客室は、「醤油蔵」「奥蔵」「内蔵」の3つの蔵をそれぞれ改装してお部屋に。男女混合ドミトリー、女性専用ドミトリー、個室、1棟貸しなどタイプ別になっているので、旅の用途に合わせて選べます。

「醤油蔵」は男女混合ドミトリー。天井が高く、朝は天窓から光が入り込み、心地良く目覚めることができます。
▲男女混合ドミトリー。1泊4,000円(税込)/人

女性のひとり旅や女性同士で宿泊するなら、「奥蔵」にある女性専用ドミトリーがおすすめ。木材を使用した、温かみのある部屋です。部屋のすぐ前にシャワールーム、トイレ、洗面台があるのも便利。
▲女性専用ドミトリー。1泊4,000円(税込)/人

「奥蔵」にはメゾネットタイプの個室もあり、4人家族やグループで使用するのに最適です。
▲クイーンサイズほどある幅広いベッドを1階と2階に備えます。1泊16,000円(税込)/室、1部屋4名まで
▲蔵の外壁を利用した「奥蔵」の内壁。手書きされた部屋番号もおしゃれ

1棟貸しできる「内蔵」は2階建て。
▲母屋から庭をはさんだ向かいに建つ「内蔵」
▲1階はフローリングにソファが置かれ、蔵の中とは思えない快適さ
▲2階は屋根裏部屋のような楽しさも。1泊32,000円(税込)/棟、1棟貸し8名まで

「新・和食」がいただけるレストランを併設

宿泊は素泊まりのため食事は付きませんが、館内にはランチ、ディナー、カフェバー使いができるレストランがあります。
宿泊者でなくても利用でき、朝食は原則宿泊者のみですが、前日の22時までに予約すればいただくことも。

料理のコンセプトは「インターナショナルジャパニーズ」。和食の料理人が独自のアイディアで、大和牛や大和肉鶏、ヤマトポーク、大和野菜など大和・奈良の食材を使って仕上げる創作和食です。
▲二間続きの和室をレストランとして利用。席に限りがあるので予約がベター

ランチは、定食、丼、麺、カレーとコース料理があり、すべてセットのフリードリンク付き。なかでも人気の3品をご紹介します。

「大和肉鶏の親子丼」は、大和肉鶏の肉と有精卵を使った、文字通り“本当の親子”丼。しっかりとした肉の旨みととろっとした卵が絡まって人気の高い一品です。
▲「大和肉鶏の親子丼」1,200円(税込)

「究極の特製野菜カレー」は、古代米に、野菜からとったダシにスパイスを調合した特製ルーをたっぷりとかけ、カボチャやタマネギをはじめ奈良県産の季節の野菜の素揚げをトッピング。
▲「究極の特製野菜カレー」1,000円(税込)。ベジタリアン向けメニュー

本日の主菜に季節の小鉢2種、大和・奈良野菜サラダ、お造り盛合せ、古代米、味噌汁、奈良漬が付く「ならまち定食」は、バランスよく食べたい人におすすめ。
▲「ならまち定食」1,400円(税込)。この日の主菜は「ポークのグリル てりやきソース」

もう一つの楽しみは、別棟にある蔵を改装した隠れ家的バー。
▲こちらも宿泊者でなくても利用できます

1階はカウンター、2階は座敷で、くつろぎのスペースとして外国人客にも好評。奈良産のお茶「大和茶」を使ったカクテルなどもあり、外出しなくても夜の大人なひとときを楽しめます。
▲1階のカウンター。夜はムードある雰囲気に

宿泊しなくても楽しめる設備も完備

館内には他にも楽しめるスポットがいっぱい。
その一つが蔵を改装した「ギャラリー」。
▲昔の醤油造りの道具や看板が掲げられたギャラリーの入口

中に入ると中央に、青田家住宅を1/10の縮尺で再現した模型が展示され、四方を囲む壁には青田家が所有していた調度品とそれが入っていた木箱がセンスよくディスプレイされています。
▲精巧に作られた青田家住宅模型。見比べてみるとおもしろい
▲東京のデザインチームが行ったという調度品のディスプレイも素敵

「ギャラリー」の前はテラスになっていて、天気のいい日はお茶をしたり、夏から秋にかけてはバーベキューなどもできます。
▲夏になると右手前にあるジャグジーが開放されます。気になる人は水着の用意を

エントランスには、伝統的なクラフト製品や現代日本人アーティストの作品を扱うギャラリーショップ「守破離(しゅはり)」を併設。センスが光る和の雑貨を販売していますので、ぜひ立ち寄ってみてください。
宿泊だけでなく、さまざまな楽しみ方ができる「NARAMACHI HOSTEL & RESTAURANT」。
悠久の歴史ある奈良で、海外の旅行者とともに日本文化に触れるステイを。
白崎友美

白崎友美

奈良の編集制作会社EditZ(エディッツ)の編集者。大阪、京都で雑誌や通販カタログなどの制作を行い、現在は居住する奈良県に軸足を置き、奈良の観光関連のガイドブックやホームページなどを制作。自社媒体の季刊誌『ならめがね』にて、「ユルい・まったり・懐かしい」奈良の魅力を発信している。

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