一生モノの爪切り「SUWADA」に出会える工場見学in燕三条

2017.03.22 更新

爪切りといえば、どれくらいの値段をイメージしますか?今、ものづくりの街・新潟県三条市で作られる約7,000円もする爪切りが、日本のみならず海外でも大人気という情報をキャッチ!なぜそこまで高価な爪切りに魅せられるのか?その秘密を探りに、製造しているSUWADAのオープンファクトリーへ。そこには、気の遠くなるような職人技とアーティスティックな世界が広がっていました。

▲海外からも注目を集める高級爪切り。その人気の秘密に迫ります!

ものづくりの街・燕三条で誕生した、 世界が絶賛する匠の爪切り

こちらが、国内外で人気を博しているSUWADAの爪切り。個人はもちろん、ネイリストや医療業界の人たちからも高い支持を受けているアイテムです。
▲特許技術も盛り込まれているSUWADAの爪切り。写真手前:「ブラック L」(税込5,400円)/写真奥:「クラシック S」(税込6,804円)

ひと目見ただけでフォルムのインパクトが強いですが、その凄さの真髄は切れ味。
すべての工程が職人の手作業によるもので、1丁が完成するのにかかる期間は約3カ月。生産数は約10種類、年間約10万丁にものぼります。そこまで作っても2~3年待ちのモデルもあるというから、その人気の高さが伺えます。

この注目の爪切りを手がける諏訪田製作所があるのは、新潟県三条市。江戸時代から金物の街として発展した地域として知られています。諏訪田製作所は大正15(1926)年より、刃で針金を挟んで切ったりする大工道具「喰い切り」の生産から始まり、2016年に創業90年を迎えた老舗企業です。
▲モデルチェンジの歴史。デザイン性の高さも印象的ですが、あくまでも機能を追求した結果とのこと

戦後、喰い切りの技術を生かす形で「爪切り」の開発をスタートして以来、お客様や職人の声をもとに進化を続け、現在の形とクオリティ、さらに高い人気を確立してきました。
▲諏訪田製作所のテーマカラーは黒。鍛冶職人が鉄を叩く暗い空間やススをモチーフに、外装や内装、機械、作業着も全て黒で統一

諏訪田製作所の工場の特徴は何と言ってもスタイリッシュなオープンファクトリー。予約不要・入場無料で誰でもその職人技を間近に目にすることができます。

2011年のオープン以来年間約3万人が訪れており、一度その繊細な職人技を目にすると、初めて諏訪田製作所の世界観に触れた人はファンに、すでに製品を使っている人はさらにファンになってしまう、そんな場所となっています。

と、いうわけで、早速工場の中へ入ってみましょう!
▲今回案内してくださった諏訪田製作所営業部の水沼樹(たつき)さん。オシャレな作業着は、燃えにくい素材だったり、機械に引っかからないよう袖が短かったりと実用性も高い

この道70年のベテランも目の前に!惜しげもなく披露される熟練の技

まず到着した時点から、ドシン…ドシン…という鈍い音が外まで響いている諏訪田製作所。

どんなにすごい機械が稼働しているのかドキドキしながら工場に入り、最初の工程として紹介してもらったのが「鍛造(たんぞう)工程」です。
約1,000度の高温で熱した高級刃物鋼材料を400tもの力で圧し叩いて鍛え、硬い刃の爪切りのベースを作ります。振動の正体はこの機械でした。
▲鍛造中。職人が金属の微妙な赤味の変化で温度を判断する
▲1本の材料を鍛錬し、中心部分の特に固い3割のみ使用。手前の金属の切り出してある部分だけが使われ、周りの7割は廃棄

工場はガラス越しに見学しますが、モニターを通して色々なアングルで中の様子を見ることができちゃいます。
▲見学用通路からでは見られない部分も、これならばっちり。後ろの赤い鉄が入っている籠の中身は全て廃材です。鍛造の工程は主に午後のみ

つづいては隣のメイン工場へ移動して、次の工程「研磨研削」へ。
「研磨研削」と一言で言っても、工程の数はなんと20工程!
▲3mものサンドペーパーを回転させて研磨。諏訪田製作所には20代から80代まで42人の職人が在籍しており、約3割は女性。一人前になるには10年かかると言われている

徐々に細かいヤスリで削っていき、最後はスポンジのようなもので磨くことで滑らかになり、金属なのに冷たさよりも温かみが感じられる手触りに仕上がります。

そして刃が左右ぴったりと合うように仕上げる「合刃(あいば)調整」へ。ここがSUWADAの技術の真骨頂。
左右の刃を合わせて光にかざしても光が透過しなければ合格という、もはやマイクロメートルの世界!それを目視と指先の感覚で削り、一致させるという凄技です。
▲左側の2つの製品のように刃の合わせ部分に線で出るうちは、まだ隙間がある証拠で、右側にいくにつれて隙間がなくなっている

どこが刃の境界かがわからなくなって初めて次の工程に移れるという合刃調整で活躍する職人の一人、小林英夫さんは御歳85歳で職人歴は70年!
若手の2倍のスピードで仕上げていく現役バリバリの達人です。
工場内は機械音が大きいので職人のみなさん耳栓やヘッドフォンをつけていますが、小林さんはいつもバッハを聞いているそうです。
▲全国から届く、使い込んだ爪切りの刃先を修理している小林さん

何十年も前に手掛けた製品が修理に送られてくることもあるそうで、「里帰りしてきたみたいで嬉しいね」と小林さん。
▲状態が一つひとつ違うので、通常の合刃よりも高度なテクニックが求められる。アフターメンテナンスは、何年何十年経ってもOK(有料)

そしていよいよフィニッシュの「刃付け工程」。これが特に責任重大!
「これまでたくさんの職人の手をリレーしてきた製品を最後、薄く鋭い刃に研いでいきます。研ぎすぎても割れやすくなり、研ぎが足りないと切れ味もよくありません」(水沼さん)
▲刃付けのひとコマ

知れば知るほど、その作業の細やかさにただただ感嘆。
通路自体は数十mほどですが、説明を伺いながら職人技を間近に眺めているとあっという間に時間が経ってしまいました。
▲ガラスのすぐ向こうに職人の姿を見ることができます

職人=アーティスト!工場=遊び心満載の美術館!?

併設のギャラリーコーナーでは会社の歴史や製品の変遷、オープンファクトリーの取り組みなどを、実物や映像を通じて知ることができます。
▲美術館のようなスタイリッシュな空間
▲円柱の棒が、約3カ月の工程を経て爪切りになります

さて、ギャラリーや工場を見学していると気になるオブジェが視界にちらちらと頻繁に入ってきます。

ちらっ。
▲展示空間を照らし出している照明

ちらちらっ。
▲こちらは金属製の盆栽!

エントランスにも、どーん!
▲訪問すると最初に強烈な2体のオブジェがお出迎え。諏訪田製作所の精霊だそうです(笑)

これらは鍛造工程の時に出る「7割の廃材」を使ったオブジェで、すべて職人たちが手掛けたもの。なんてアーティスティック!

ところでオープンファクトリー化であったり、アートであったり、おおよそ「工場」のイメージからはかなりかけ離れている諏訪田製作所。
「製造するための工場」と考えれば、しなくてもいいとも思えることを敢えてする理由が気になるところです。

「100円で爪切りは買えます。なのに7,000円もする爪切りを選ぶって、かなり『思い切って』の行動ですよね。そんなお客様に対して、製品を通じてでしか7,000円分の価値を伝えられていないのは果たしていいのか。全ての工程を公開することで、価値を理解してもらえたらと考えオープンファクトリーにしました」と水沼さん。
▲諏訪田製作所のマークは「点丸マーク」と呼ばれ、日本にしかない記号(句読点)をモチーフに、「SUWADAにしか作れない製品」を表現

実際に6年営業してみて、予想外のメリットもあったそうです。

「職人の意識が変わりました。人に見られることで、技術の高さが伝わっている実感や『これが誰かの一生ものになる』というリアリティが生まれたりしています。『職人ってすごい!』という声も直接伝わってきて、お客様との距離がぐっと近くなりましたね」(水沼さん)。

カフェ併設のスタイリッシュなショップで 新感覚の爪切り体験、してみよう!

こうなったらやっぱり試してみたくなります、諏訪田製作所の爪切りの実力!
さぁ、試し切りもできるショップへレッツゴー!!
▲道路を挟んで工場のお向かいにあるショップ

ここでは爪切りの試用はもとより、購入もできます。
▲SUWADAの爪切りはグッドデザイン賞をはじめ、国内外の賞を多数受賞
▲お試し用に用意されていた7種類の爪切り。素材やサイズ、さりげない持ち手のデザインなどが異なる

それではさっそくその切れ味を確かめてみることに…
▲試し切りは切れ味を確認したり、手の大きさにあったものを選べるのがいい!

パチン!

のはずが…あれ?ほとんど衝撃がない。切りたい部分に切りたい分だけ優しくアプローチするような感覚!こうなると普段自分が使っている爪切りの切れ味が大味に感じます。
▲持ち手もしっくりと手の平に馴染みます。刃の切れ味と手馴染みの良さが人気の秘密

爪への当たりは優しいけれど、切れ味は鮮やかにスパッ。
だからこそ切った後の爪の切り口がざらつかないので、ヤスリをかけなくても爪先で引っ掻いてしまったり、繊維に爪が引っかかることがありません。この切れ味はすごい!
▲爪への当たり具合が驚くほどソフトで、おもわず笑ってしまう!

デザイン性だけではなく、切るフィーリングまで爪切りの概念が変わりそうです。

しかも刃先がカーブしているので、緩やかなカーブがつけやすい。この時購入しに来ていたお客様も「これならヤスリがいらないね」と喜ばれていました。

こうなったら俄然、SUWADAのマイ爪切り、欲しくなります!

今回はここでしか購入できない「ファクトリーリミテッド」(税入5,940円)をセレクト。しかもショップ限定の名入れサービス(税込540円)もお願いしてみました。
▲フォントはアルファベット6種類、かな5種類から選べます

待つこと約10分で完成!
▲黒いメタルケースに入れてからロゴバックに。ラッピングサービスもありますが、こちらも素敵なパッケージ

これから日々使っていくのがとっても楽しみです。家族にも喜ばれそう!

要チェック!カップにバッグ、Tシャツも スタイリッシュなSUWADAグッズ

自分用はもちろん、お土産やプレゼントにも引き合いが多いというこの爪切り。
「名入れをして内祝い等にもご利用いただいています。『一生ものの日用品』になると思いますよ」(水沼さん)

他にもショップでは、バッグやTシャツなどSUWADAのオリジナルのロゴが入ったグッズも種類豊富に販売されています。
よく見ると、実際に工場で使われているロゴ入りコンテナまで!文房具や雑貨など何でも収納しやすそうですが、工具を入れたら一気にプロ仕様っぽくなりそうです。
▲オリジナルグッズはオンラインでの取り扱いはなく、取り扱いはこちらのショップのみ

さらにこちらのショップでは、アウトレットの爪切りや盆栽用のハサミ、栗の皮むき器なども購入できます。アウトレットとは言っても、切れ味は通常の商品と全く同じなので、SUWADAクオリティをしっかりと感じられます。

併設のカフェでは、イタリアのエスプレッソマシンで淹れたコーヒーで一休みも。
メニューはエスプレッソ(シングル150円・ダブル300円)、マッキャート(200円)、オレンジジュース(300円)など7種類(すべて税込)。
▲工場の映像を見ながらコーヒーブレイク

でもどうして工場にカフェが?

「せっかくわざわざ来ていただいたので、ゆっくりしていって欲しいですから。工場は1日4回掃除をしますが、それも全てお客様に気持ち良く来ていただくためです」(水沼さん)
▲ロゴ入りのカップ&ソーサー。これらもショップで購入できます
▲ショップ内の商談室にも、200kg(!)の廃材のシャンデリアが

最初はただその値段に驚いていましたが、工場見学の後は「納得!」を超えていつの間にかファンになってしまっていました。
特に試し切りの感動は新鮮で、読者の方にもトライしてほしいっ!
是非オープンファクトリーで一丁の爪切りに込められたこだわりを肌で感じ、そしてショップで実物を試用&ゲットしてみてください。

一生モノのマイ爪切りを持つって、かっこいいと思います!
丸山智子

丸山智子

ライター・コピーライター。新潟をもっと楽しくするWEBマガジン「にいがたレポ」参加ライター。東京の編集プロダクション、広告制作会社を経て2014年より新潟でフリーランスに。イベントの宣伝・広報、地方情報誌、住宅情報誌、会報誌等での執筆、広告の企画制作などの分野で活動中。関心分野は、和菓子・日本文化・舞台芸術。

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