新潟名物・笹団子作り!おしゃれな老舗団子屋で体験してきた

2017.04.22 更新

新潟の定番土産の一つ「笹団子」。昔は家庭でも作られていましたが、最近ではなかなか自家製を目にすることはなくなりました。そこで、古民家をリノベーションした素敵な団子屋さんで笹団子作りを体験できると聞き、早速行ってきました。

▲今回作った「笹団子」とはよもぎの団子生地であんこを包み、笹で巻いた郷土菓子。お店によってきんぴらや味噌餡など、あんこ以外のものを包むことも

築150年以上の古民家を再生!里山の風景に包まれる老舗団子店

笹団子作りを体験するべく、向かった先は新潟県長岡市。JR長岡駅から、車を20分ほど走らせた先にある「江口だんご本店」です。
▲1,500坪もの敷地に広がる本店は、お団子の看板が目印。駐車場も広々

江口だんごは1902(明治35)年に創業し、2017年に創業115年を迎える老舗。良質な国産米とよもぎの柔らかな新芽の部分のみを使った、こだわりの笹団子を作るお店として知られています。
▲再生した古民家や、古い部材を使った店構えが趣深い

江口だんごがこの地に本店を移したのが2005(平成17)年。その際に長岡市内にあった約150年前の古民家を1階に、さらに新潟県十日町市の古民家の部材を2階に移築し、まるで昔からこの地にあったかのような、風情溢れる店舗を構えました。
▲お店の裏側には、雄大な里山の風景が広がる

里山を臨むのどかな地域ですが、周りに目立つ商業施設もないので、商売をするには向かないのでは…と思いきや、なんとここのお店を訪れる人は年間20万人!

そう、ここはテイクアウト、イートイン、そして和菓子作り体験ができる、甘いもの好きにはたまらない人気の老舗団子屋なのです。
▲趣のある引き戸を開けると、非日常のレトロな空間へ
▲お米王国新潟らしく、串団子や大福など餅菓子がずらり

店内には常時25種類ほどのお菓子が並び、年間にすると約70種類にものぼるそうです。

たくさんのお菓子に見とれていると、販売コーナーの横に笹団子を実際に作っている「匠部」のコーナーを発見。ベテランの職人たちが団子に笹を巻く華麗なる手さばきを見ることができます。
▲このあと実際に自分で笹団子を作ってみて、匠部の皆さんのスピードの凄さに改めて感服

それでは、私も早速笹団子作り、挑戦させていただきます!

社長直伝!分かりやすいレクチャーで、楽しく新潟伝統の笹団子作り初体験

体験する場所はショップとは別の敷地内の建物、古材で建てられた「餅土間」です。
▲ショップから中庭を移動して、菓子作り体験長屋「餅土間」へ

「土間」は家庭料理の味が生まれる場所であり、風習を受け継ぐ場所。また、かつては餅をついた場所でもあるということで、「餅土間」という名前が付けられたそう。

ここで体験できるのは、小学高学年以上対象の「笹団子作り(2個)」(税別950円)のほか、2歳からできる「串団子作り(2本)」(税別800円)や小学生以上対象の「どら焼き作り(2個)」(税別950円)の三種類で、土・日・祝日のみ開催。笹団子作りとどら焼き作りは要予約、串団子作りは予約優先で、空きがあれば参加できます。どれも難しくはないので、子どもも一緒に楽しめます。
▲笹団子作り、いよいよスタート!

今回笹団子作りを指導してくださったのは、江口だんご4代目の江口太郎さん。東京赤坂と大分別府での修行を経て、1992(平成4)年に長岡に帰郷。以来、商品・店舗開発を手がけながら、地元の食文化と結びついた活動を積極的に展開しています。笹団子作り体験では、4代目自ら講師になることも多いそうです。

目の前に用意された材料は、新潟県産のよもぎを使った生地と、北海道の小豆を炊いた粒あん、そして新潟の笹と縛るための草の紐・スゲです。
▲笹団子2個分の材料。生地の原料のお米をもち米100%にするのが江口だんご流で、お店によってはうるち米も入るなど、レシピは様々

手袋をして、さらに生地がくっつかないように油を薄く塗ってから、あんこと生地を半分にします。
ここは目分量なのですが、不器用さがもろに出て均等にできず。後々大きさに差が出てしまいました…。
▲「大きさが違うと、違う食感が楽しめますよ」と江口さんからの温かいフォロー

次に左手に生地を平べったく伸ばしたら真ん中にあんこを乗せます。右手で生地のヘリをあんこに沿って上に上げて包みこむのですが、この時引き伸ばしすぎると団子の厚さにムラが出てしまうので、最初に手の平で生地を均等に伸ばすことがコツです。
すっぽりあんこを包めたら、俵型に整形します。
▲江口さんは片手であっという間に包んでしまう職人技を見せてくれました。これができるようになるには3年はかかるそう

今度は笹を3枚重ねて、あんこ入りの俵型に整えた団子をオン!

さらに笹をもう一枚当てて、すっぽり団子を包みます。
▲この時、笹の合わせ方が上手くないと、団子がはみ出してしまうので特に集中!!

ここからはスゲで縛る作業に。
これが結構な匠の技で、レクチャーを受けていると「ふむふむ」と理解できるのですが、いざ自分でやろうとすると手が絡まりそうに(笑)。
▲江口さんと同じ動きをするはずが肘の位置がおかしい
▲笹の巻き方やスゲの結びが甘くならないように、真剣モード
▲なんとかそれらしい形になりました!

達成感に浸っていたら、「4割くらいの人が、蒸しあがると団子が笹の脇からはみ出るから、はみ出ててもショックを受けないでくださいね(笑)」とのお言葉が。見た目で上手くいってても油断できません。

それではいよいよ、せいろの中へ!
▲もくもくと湯気が立つせいろに並べる

包んでから蒸すことで団子に笹の香りが馴染む「後蒸し製法」も江口だんごのこだわり。蒸してから笹に包む方法もあるそう。

蒸すこと30分…

笹団子が完成しました!
▲売り物みたい(?)な出来に大満足。団子がはみ出る問題は…セーフ!!

団子もあんこも江口だんごクオリティなので、味は間違いなし!賞味期限は3日間。
できたては熱いので、冷ましてからその場で食べるのはもちろん、持ち帰ってからゆっくり食べてもOK。家で家族と体験話を交えながら食べれば、美味しさも格別だと思います。
▲笹団子作り体験にはドリンク付き

普通は笹を上から下にめくるだけで食べられますが、団子が笹にぺったりくっついてしまった場合は、バナナの皮のように笹を裂きながら団子をはがして食べます。
▲もち米100%なのでもっちりと弾力が強く、食べ応え◎

ただ作るだけではなく自然と親子の会話も弾むような、穏やかな趣が溢れているこの餅土間。ここで過ごすひと時は、きっと楽しい思い出になるはず。ぜひ気軽にチャレンジしてみてください。

カラフルな五色団子に目移り!お茶の先生が立てるお抹茶に、ホッ

江口だんご本店に来たら、ショップ2階の甘味処も全力でおすすめです!
▲里山の美しい景色を飾る、十日町の古民家を利用した甘味処。土日の午後1時からは、1階の吹き抜けからピアノの生演奏も聞こえてくるそう

甘味処の一番人気は5種類の団子を一口ずつ食べられる「五色団子のお抹茶セット」(税別600円)。しかもこのお抹茶、毎日13時から16時の間にオーダーすると、喫茶スペースの一角でお茶の先生が立ててくれるのです。
▲あんこ・抹茶・ごま・醤油・海苔の5種類で、彩りもきれい。どれから食べるか本気で悩みました
▲なんとお茶の先生がフロアに!とはいえ、お作法を気にせず、気軽に飲んでOK

5種類それぞれにあんの味がしっかりと立っていて、一番を決めるのは難しい…。特にインパクトが強かったのは、珍しい海苔の団子。食べる前は味のイメージができませんでしたが、海苔の香ばしさがマッチして美味!
▲これで600円(税別)!お得!

他にも焼きたての団子や和スイーツ、さらに食事メニューも充実しています。新潟県外から遊びに来た際には、特に新潟の郷土料理「のっぺ」と、せいろでふかしたての長岡名物「醤油赤飯」がセットになった「長岡赤飯御膳」(税別900円)をぜひ。
ソフトクリームやジュースもあるので、抹茶の苦味はまだちょっと早いかな、という子供でも楽しく過ごせます。
里山の景色に目を和ませながら、ふと窓の右側に視線をずらすと、何やら蔵のような建物が?
▲綺麗ながら、こちらも歴史がありそうな蔵。奥の白い雪の部分は棚田

江口さんに伺ったところ「カフェ併設のロールケーキの専門店なんですよ」とのこと。
和菓子屋さんがロールケーキ?どうして?

蔵造りのロールケーキ専門店「雪甘月」へ

ショップと甘味処のある建物を出て、中庭を囲むように外回廊を抜けます。
▲蔵に向かうまでの外回廊も趣深い
▲この地面の装飾は淡路瓦
▲中庭にはしだれ桜の木があり、春はお花見、秋はお月見などイベントスペースになっている

「雪甘月」のショーケースに並ぶのは、まあるいロールケーキ。若い人がロールケーキをきっかけに来店することで、一緒に和菓子にも興味を持ってもらえたら、という思いが込められているそうです。
▲ロールケーキはプレーンと村上番茶の2種類。「朝焼いてその日のうちに売り切る『団子屋スタイル』です」と江口さん

数あるお菓子の中でも何故ロールケーキを選んだのでしょうか?
「とってもきれいな月を見て、『これをお菓子で表現するとしたら』と考えたことがきっかけです。江口だんごでは『原点回帰』を重視しています。日本における洋菓子の原点ともいえるのは16世紀に日本へ伝わった南蛮菓子のカステラ。そのカステラ(スポンジ)の要素を膨らませていったところ、ロールケーキがピッタリじゃないかと。新潟は雪国なので粉雪のような粉糖をかけた『甘い月』に仕上げています。それで店名も『雪甘月(ゆきかんげつ)』なんですよ」。
▲2階の喫茶スペースにも、月にちなんだアートが飾られている

江口さんが月に惹かれたのには、日頃から抱いている里山の姿やお月見など日本らしい景色や行事への関心の高さが関係しているよう。実際秋には月見のイベントも行っているそうです。
▲こちらは江戸時代の上越市の蔵を移築・リノベーションしたもので、1階と2階にイートインスペースもある

伝統のお菓子、風土、風習を次世代にも残したい。当主の熱い想いが詰まった文化発信地

こだわりの店作りの理由を伺ったところ、「私が修行時代に訪れた湯布院で、再生された新潟の古民家に出合ったんです。その時に、新潟がその価値に気づいてこの地に残していくべきだと思ったんです」と江口さん。
▲雪甘月1階のイートインスペースも、里山の景色を楽しむことができるよう設計されている

10年かけて、古民家再生はもちろん、「里山、川、田んぼがあって、車で訪れやすい国道沿い」というイメージにぴったりのこの土地を見つけ本店を移転。さらに昭和30年代に姿を消した「幻のもち米」と呼ばれる大正餅が近くの地域にあることが分かり、それを復活させるなど、この地に運命的なものを感じているそうです。

初めて来ても心が和み、本物の良さを肌で感じられる江口だんご本店。
そこが「遠くても行きたい!」と、連日たくさんの人が訪れる秘密なんですね。
▲梁一つをとっても、100年以上建物を支え続けてきた迫力が感じられる

笹団子の巻き方を学んで、ちょっと新潟偏差値が上がった1時間。
新潟に暮らしていてもなかなか覚える機会はないので、貴重な体験ができました。

江口さんのお話の中で、特に印象的だったのが「古くていいものにちょっと手を加えて次世代に残したい。そのためには共感してもらうことが一番で、店舗作りやイベント、商品開発に反映させています」。
確かに江口だんご本店でのひと時は、地元の風土・風習に根ざしたものが感じられ、食べ物、環境、建築など「新潟にはこんなに“いいもの”があるんだ」と気づかされた時間になりました。
▲土地の文化を気軽に、楽しく学べるのがいい!

暖かい季節は、近くの国営公園でお花見をして江口だんご本店でお茶をするのが、周辺に詳しい人の定番コースだとか。車で10分ほどの距離に植物園や酒造、博物館などもあるので、家族旅行やピクニックを楽しみながらここで一息つくのもいいですね。
県外の方にも、新潟文化を気軽に楽しんで知ってもらえるスポットになっています。

心和む古民家で、この土地ならではの食文化に親しむひと時。
江口だんご本店で、ぜひ親子一緒に新潟らしさを美味しく味わってみてください!
丸山智子

丸山智子

ライター・コピーライター。新潟をもっと楽しくするWEBマガジン「にいがたレポ」参加ライター。東京の編集プロダクション、広告制作会社を経て2014年より新潟でフリーランスに。イベントの宣伝・広報、地方情報誌、住宅情報誌、会報誌等での執筆、広告の企画制作などの分野で活動中。関心分野は、和菓子・日本文化・舞台芸術。

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