昭和レトロな川越・菓子屋横丁に甘~い誘惑が止まらない

2017.04.25 更新

川越の人気スポット「菓子屋横丁」には22軒もの菓子屋・駄菓子屋が軒を連ねています(2017年4月時点)。そこには子どもの頃よく食べていたお菓子や、川越名物であるさつま芋を使ったお菓子など、甘い誘惑がいっぱい。横丁へ踏み込めば、誰もがそんな誘惑のとりこです。今回は、そんな菓子屋横丁の散策を楽しみながら、手作りの飴屋「玉力(たまりき)製菓」では、飴作りの様子も見せてもらいました。

▲食べ歩きも楽しい菓子屋横丁。写真は「稲葉屋本舗」の「むらさき芋まんじゅう」。1個100円・税抜

埼玉県川越市にある菓子屋横丁へのアクセスは、西武新宿線「本川越駅」や東武東上線の「川越市駅」から徒歩約15分。菓子屋横丁方面に向かって歩いて行くと、小江戸の雰囲気が残る川越を代表する観光スポット「蔵造りの町並み」が現れます。メイン通りを進んで行くと、左手に「菓子屋横丁」を示す案内板があるので、その方向へ進みましょう。
▲案内板を左に曲がる
▲菓子屋横丁に到着!

明治から続く歴史深き菓子屋横丁

子どもの頃、駄菓子屋に通った思い出がある人も多いはず。スーパーなどで昔懐かしいお菓子が売られていると、つい手に取ってしまうという人もいるのでは?そんな、童心に返らせてくれる駄菓子屋が集まる菓子屋横丁の歴史は長く、明治時代から始まります。
当時は、今のようにお菓子にたくさんの種類はなく、ほとんどが飴を製造販売していたお店だったそうです。
▲飴細工をイメージしたガラスが散りばめられた石畳は風情があり、散策気分が盛り上がる

その後、1923(大正12)年に東京が関東大震災によって被害を受けると、東京に代わって駄菓子を製造供給するようになり、駄菓子屋が増えたと言われています。多いときには70軒ほどの業者が、現在の菓子屋横丁がある場所で営業していました。

時代とともに大手菓子メーカーの大量生産などが始まり、菓子屋横丁では、菓子は製造せずにさまざまな駄菓子を全国から取り寄せ、販売のみ行うお店が多くなりました。
▲今も、軒先に駄菓子がずらりと並び、昭和レトロな風景が残っている

2001年には、ハッカ飴や駄菓子、団子のかおりが漂う貴重な場所であることが評価され、環境省が選定した「かおり風景100選」に選ばれました。

菓子屋横丁に唯一残る、手作りの飴屋「玉力製菓」

そんな菓子屋横丁に入ってすぐ右手にあるのが、大正3(1914)年創業の「玉力製菓」です。玉力製菓は、菓子屋横丁で飴を手作りして販売しているお店。小さなお店の中には、色とりどりの飴が並び、甘い香りがふわりと漂ってきます。
▲たくさんのお客さんが、ここでしか買えない手作り飴を買っていく

時間帯が合えば、飴を作っている様子を店内のガラス越しに見学することもできます。
今回は特別に、飴の製造工程を近くで見せていただきました。
玉力製菓では、女将さんの久保田淳(じゅん)さんと、息子さん夫婦の3人で飴を作っています。

おじゃました時は、ちょうど桜模様が美しい組飴を作っていました。まずは、砂糖を煮て水飴にします。大きな鍋の中で10kgの砂糖が溶かされていました。
▲鍋で砂糖を溶かす。ぐつぐつとかなりの高温だ
▲熱々の水飴をステンレスの容器に一気に流し入れる
▲水飴はうっすらとべっこう色をしている。何度かひっくり返して粗熱をとっていく
▲だんだんまぁるくまとまってきた

つづいて水飴を分割し、桜模様を組むときに必要なパーツごとに色をつけていきます。
桜模様の組飴では、花びら部分に桜色、中央部分に緑と黄色を使います。
色素を混ぜ込み色合いを調整。パーツによってはさわやかな酸っぱさを出すために酸を入れたり、香料を入れたりします。
▲緑色の色素を練り込む

「甘いだけではなく、ちょっと酸っぱい部分もあったりしたほうが美味しいので、作る飴に合わせて味も調整しています。冬は甘いほうが好まれるし、夏は爽やかなほうがなめたくなるでしょ」(女将さん)
▲水飴を巻き付けながら練っていく機械があり、この機械にかけると空気を含んで白くなっていく
▲こんなに白くなった!ここに赤い色素をほんの少し足して、うすい桜色を出す
▲水飴をパーツごとに色づけしたら、パーツを組んで桜模様を作る

「夏は、暑いからとエアコンをつけてしまうと水飴が固くなってしまうからつけられない。さらにストーブもつけるから本当に暑いですね」(女将さん)

ていねいに工程を教えてくれる久保田さんご家族。でも、お話しをしているあいだも、手は素早く動いていました。作業が体に染みついているようです。
▲黄色と緑で作られたパーツを、薄ピンク色の棒で包む
▲最後に大きな桜色の水飴で覆う
▲出来上がった水飴の塊を息子さんが細く伸ばして切り、女将さんへ渡す
▲息子さんから受け取った飴を、木の板で押さえながら伸ばし、形を整える

「この作業台や、飴を伸ばす時に欠かせない板は木で出来ています。ステンレスや大理石などの素材だと、飴の熱を取り過ぎちゃってだめなのよね」(女将さん)
▲飴が細く伸びたら包丁の背の部分を、木棒でトン、トン、トンと叩いて切る
▲見事な桜模様が現れた!
▲出来立ての飴。次々と出来上がる飴は網目のある台に入れて完全に熱を冷ます
▲棒状にしたパーツの両端はどうしても桜模様がきれいに出ないので、ぐるりとリボン型に巻いたり、鳥の形にしたりして販売する
▲この日はにっき飴も作られていた
▲出来上がった桜模様の組飴(220円・税込)
ほかにも、女将さんが漬けた梅が入った梅飴や、薬屋さんと薬草を調合して入れたのど飴、ハッカ飴など、たくさんの種類を作っている(写真はざらめをまぶした色とりどりの飴と、ニッキと黒砂糖の飴。どちらも220円・税込)。

「昔はここらへん全部、飴屋さんでした。一軒くらいは残さないとと思ってね、家族みんなでがんばって続けています。うちのお店も一時は組飴の製造はしていなかったんですが、30年前にやはりこの飴作りの技術を残したいと復活したんです。ここに来てほっとしてもらえたらと思っています」(女将さん)
▲飴作り50年の女将さんと、息子さんのお嫁さん

息がぴったり合った飴作りの技術に感動の連続でした。ひとつひとつの飴が、こうして久保田さんご家族の手で作られていると知ると、美味しさもひとしおです。
どこかほっとする味わいの秘密が分かったような気がしました。

昔懐かしい駄菓子に心躍る

玉力製菓をあとにして石畳の町を眺めると、改めてどこもかしこもお菓子屋さんという光景に驚かされます。菓子屋横丁を訪れる多くの人がついつい購入してしまうのが、大きな麩菓子。この日も、麩菓子を持った人を何人見かけたことか。もちろん私も買いました!
▲長さ80cm(350円・税抜)と95cm(400円・税抜)の麩菓子。「松陸」という老舗菓子店の手作り菓子だ
▲ふわっと軽くサクサクした食感。とっても美味しかったです!
▲松陸の店舗は2軒並んでいて、麩菓子のほかにさつま芋スイーツなども販売している

ほかにも、子どもの頃によく買っていた駄菓子に再会できるお店がたくさんあります。
▲「よしおかYA」。屋台をイメージしたような店内
▲小さなお菓子をちょこちょこ買うのも楽しい
▲「江戸屋」。駄菓子のほかにベーゴマなどのおもちゃもあり、品ぞろえが豊富
▲お菓子の量り売りもしていた

おいしくて、見た目も楽しい駄菓子。気になるものをちょこちょこ買っても安いのはうれしいですね。駄菓子選びに夢中になって、時間を忘れてしまうかも。

ランチは菓子屋横丁名物の「芋そば」を

町を散策してお腹がすいたところで昼食にぴったりなのが、菓子屋横丁内にある「和楽花音(わらくかのん)」です。ここでは、そばの麺にさつま芋が練り込まれた「芋そば」を食べることができます。松陸の隣にあり、赤い暖簾が目印。
年中人気のメニューという「芋そばのけんちん風」(842円・税込)を注文しました。

麺に芋が練り込まれていると聞くと、ぼそぼそしているのでは…とか、甘いのかな…と想像しますが、食べてみると、なんともなめらかな口あたり。甘くもなく、そばの風味がしっかり感じられて、おいしい!
▲麩、ニンジン、こんにゃく、しいたけ、大根などの具がたっぷり

たっぷり入った野菜の出汁が、味わいをアップしています。女性オーナーが開発したというだけあって、ヘルシーでやさしい味。お好みでネギや生姜を入れてもおいしいです。
▲麺にはさつま芋が約3割練り込まれている。季節によってさつま芋に含まれる水分が違うので割合を調整しているそう
▲店では川越の地ビール「COEDO」(左から「Ruri」594円・税込、「Beniaka」756円・税込、「Kyara」594円・税込)も飲める

「芋そば」のほかにも、「カレーそば」やさつま芋を使ったスイーツなどもあるので試してみて。

くまなく歩いて、食べ歩きとお土産探しを楽しもう

芋そばを食べておなかいっぱい!と思ったはずが、再び石畳を歩いているとおいしそうなお菓子が次々と目に入り、ついつい手が伸びてしまいます。
食べて納得!食べ歩きにぴったりなおすすめのお菓子を紹介します。
▲「池田屋本店」の焼きだんご。炭火で焼いてあり、香ばしい香りが食欲をそそる。小ぶりサイズがかわいらしい。1本70円(税込)
▲「あんだんご」や、「桜あんだんご」など季節の素材を使っただんごが1本から気軽に買える
▲行列が出来ていたのが、たいやきのお店「かわしま屋」
▲人気はこの「芋あん」。甘すぎないほどよい甘みの芋あんがたっぷり。120円(税込)
▲さつま芋スイーツ「いもスティック」(1カップ100円・税込)。さつま芋をカットして素揚げしたシンプルなものですが、揚げたてのほくほく感と、素材の甘みが絶品
▲さつま芋の産地だからこそ生まれた味わい。「浜ちゃん」というお店で買える
▲「稲葉屋本舗」ではふかしたての「むらさき芋まんじゅう」1個100円(税抜)を買うことができる
稲葉屋本舗に行ったら「くず湯」を買うことをお忘れなく。国産の上質な葛粉を使って手作りしているくず湯は絶品!体もぽかぽかと温まります。写真左からプレーン(白)620円・10枚入、抹茶(緑)670円・10枚入、生姜(黄色)670円・10枚入、詰め合わせ 680円・8枚入(すべて税込)。
▲お昼ご飯を食べた和楽花音の店内で売っている「たこせん」(200円・税込)もぜひ食べたいグルメ。2枚のえびせんに、たこ焼きが挟んであり、テイクアウト可能
▲両側からぐっと押しつぶして食べる。えびせんとたこ焼きの相性がバッチリで、何個でも食べられそう…

一軒一軒が趣深く、歩いていると昭和レトロな空気に包まれ、童心に返ったような気持ちに。そんな中、新しいお店も発見!
「ベーカリー楽楽(らくらく)」です。
入口を入ると正面にショーケースがあり、パンがぎっしりと並んでいます。国産小麦、天然酵母を使用した無添加のパンは大人気。県外からもパン好きたちがやって来るそうです。
▲ソフト系、ハード系のさまざまなパンがある。川越の芋を使ったパンも人気
▲おすすめの「お味噌のパン」(1個180円・税込)。生地に秩父味噌が入っていて、味噌の風味とちょっぴり甘めの味わいが新鮮

取材中も、終始多くの観光客で賑わっていた菓子屋横丁。単に駄菓子屋が集まっているだけでなく、昔はここで多くのお菓子が作られていたという歴史や、この菓子屋横丁を大切に守り抜きたいという、それぞれのお店の人たちの想いを感じることができる場所でした。

近くには縁結びの神様として信仰を集める「川越氷川神社」もあるので、併せて参拝に立ち寄るのもオススメ。帰りは本川越駅まで歩いてもいいですが、蔵造りの町並み沿いにあるバス停を通るバスは、JR・東武鉄道の川越駅へ行くので利用してもいいでしょう。
ぜひ甘く楽しい一日を過ごしてみてください。
齋藤春菜

齋藤春菜

編集者、ライター。出版・編集プロダクションデコ所属。女性の美容・健康・ライフスタイルに関する書籍、雑誌を多数編集・執筆。文芸、料理、アート本の編集も行う。全国各地へと取材に訪れたさいには地元のおいしいお店を必ずチェックする。編集を担当した本に『お灸のすすめ』『瞑想のすすめ』(ともに池田書店)、『足もとのおしゃれとケア』『わたしらしさのメイク』(ともに技術評論社)、『はじめてのレコード』(DUBOOKS)、『顔望診をはじめよう』、『月の名前』、『健康半分』などがある。

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