パワースポット「氷の七滝」へ!クロスカントリースキーで雪原ハイキング

2017.03.04 更新

ノルウェーが発祥の地といわれるクロスカントリースキー。一般的なスキーのイメージはリフトで山頂まで行き、滑って下りてくるものですが、クロスカントリースキーは違います。スキーと登山をかけあわせたスポーツ、それがクロスカントリースキー。今回は標高ごとに景色が変わる岩手県八幡平(はちまんたい)を舞台に、23回も転びながら筆者自身が感じてきたクロスカントリースキーの魅力をたっぷりとお伝えします。

八幡平はパウダースノーに恵まれたスキーの聖地

北緯40度に位置する岩手県八幡平市は、良質なパウダースノーに恵まれたスノーエリア。関東や関西など全国からスキー客が訪れます。
▲「LODGE CLUBMAN」のロッジ。宿泊もできるので、3世代でスキーを楽しんでいく人も多いとか

今回お世話になった「LODGE CLUBMAN(以下、クラブマン)」には、スキーや登山のガイドが常駐しており、年間を通して様々なアクテビティーが楽しめます。冬は樹氷などを見られる各種スキーのマウンテンガイド、夏はカヤックやマウンテンバイク、ノルディックウォークなど、八幡平の自然を存分に感じることが出来るプランが盛りだくさん。

その中から、初心者歓迎、手ぶらでOK!というクロスカントリースキー体験に参加してきました。雰囲気を気軽に楽しむ往復2時間の半日コースと、「氷の七滝」を目指す往復4時間の1日コースがありますが、せっかくなので1日コースにチャレンジです!

クロスカントリースキーって?

まずはクラブマンで30分程、服装チェックや注意点などの確認を行い、自分のサイズに応じたスキー板やブーツなどの道具一式をお借りして、いざ出発。スタート地点となる登山口までは、ガイドさんが車で送迎してくれるから安心です。
▲今回ガイドしていただいたクラブマンの倉金(くらがね)さん。数々のインストラクター資格を持つ

標高600mの場所まで移動すると、目の前に大自然のパノラマが広がっていました。平地とは違って雪もフワフワと柔らかく、歩くと足が沈むほど。
▲スタート地点から見下ろす八幡平の景色。青空にも恵まれて最高の気分

ここでクロスカントリースキーの道具における特徴をご説明します。スキー場などでの滑降に利用されるアルペンのスキー板と大きく違う点は2つ。
1つはスキー板の裏にステップカットと呼ばれるうろこ状の滑り止めがついていること。アルペンのスキー板は裏に何も加工がなくツルツルで滑りやすい状態ですが、クロスカントリースキーは山をのぼることもあるため、後ろに滑らないようにステップカットがついています。
▲クロスカントリーのスキー板は、後方向に滑らないようにステップカット加工が施されている

そしてもう1つは、スキー板につま先部分しか固定しないという点。坂を滑るアルペンスキーではつま先、かかとの両方を固定しますが、平地を滑るクロスカントリーの場合はかかとでしっかり踏み込んで進んでいく必要があるため、かかとは固定されていないのです。
▲つま先の先端の一部しかスキー板に固定しない

今回は往復5km、時間にして4時間というかなり本格的なコース。
い、生きて帰って来られるのか…?ゴクリとしながらも真冬の雪山へと入っていきます。
目標はパワースポットといわれる「氷の七滝」を見ることです!
▲準備運動もしっかりして、いってきます!

クロスカントリースキーなら、スピーディーに楽しく移動できる!

雪深い地域での移動手段としてはじまったというクロスカントリースキー。ノルウェーでは、買い物や通学のときもスキーで移動するというから驚きです。確かに、こうして雪山を登ってみると、歩くよりもはるかにスピーディーに移動出来ることに気づきます。

「左右の手に持っているストックを自分の前足だと思って。足だけで歩こうとすると大変だよ」と倉金さんが言うように、足だけではなく、ストックも使って4本の足で歩くのがポイントだそう。
▲雪山をひたすらのぼる。足より、結構腕にくる

「前に体をもっていく感覚。スキー板の前部分に体重をのせていくように、右足、左足の順に踏み込みながら体を前に押し出していく感じでやってみて」と、歩行中にも倉金さんから親身なアドバイスが送られます。
▲頭では分かっていても、感覚がつかめずに転ぶ。「気持ちは前に行ってたんですけどね~」と言い訳する筆者

前日までの降雪のおかげでコースはパウダースノー&バージンスノー(まだ誰も足跡をつけていない状態のこと)。雪が柔らかいので転んでも痛くはないのですが、起き上がろうと手をついてもフワフワの雪に手が沈んで、冗談みたいに起き上がれないのです。そんな時は手に持っているストックを一旦、体の横に2本並べて置いて、そこに手をつくとストックの浮力で起き上がれるのだといいます。
▲腕の力があれば、この方法でも起き上がれるが…
▲筆者は起き上がれずに、倉金さんの力を借りる

ちなみに、基本的にガイドさんは助けてくれません。自分で起き上がる力を身に着けてほしいというのが倉金さんの考え。
「転ぶことは決して悪いことではありません。なぜなら、転んだ分だけ起き上がるのが上手になるからです」
そうか…クロスカントリースキーも人生と同じ。転んだら、起き上がればいいのだ!

冬の森の静寂さを感じながらすすむ

スキーでの歩行にも慣れ、冷たい澄んだ空気の中をスキーで進んでいくと、極寒の自然の中にも、様々な植物や動物の痕跡を見ることが出来ました。
▲野ウサギの足跡発見!他にもカモシカやリスやクマの足跡が見られるそう
▲びっしり生えたキノコ発見。なんだかカワイイ

スキーで歩きながらも、途中で倉金さんが木の種類や自然現象などについて教えてくれました。
「クロスカントリースキーの魅力は、ほとんど手つかずの自然を間近に感じられることです。特に八幡平は標高ごとに景色が変わるので、景色に注目しながら進んでいきましょう」
▲見上げるほど高い木々。人の手が加えられていない大自然を眺めながら歩こう
▲カラマツの林。真っ白な雪の中に真っ直ぐにそびえ立つカラマツはどこか厳か

これが氷瀑!目的地「氷の七滝」に到着

スキーで山道をのぼることおよそ3時間。精も根も尽き果てる寸前の状態でしたが「あと200m、頑張りましょう!」という倉金さんの言葉にふんどしを締めなおし、ラストスパートをかけます。
▲のぼり、最大の難所。傾斜がきつく、所々に石が埋まっている。とにかくスキーは「ハ」の字にして外側に体重をかけて、のぼる!

そして、道が拓けた先には、今回のお目当て「氷の七滝」が!
▲こちらが氷の七滝!思わず到着の雄叫びを上げる

七段の階段状になっている斜面を流れ落ちる「七滝」。ラッキーセブン的な意味でパワースポットと言われているのかと思いきや、初代征夷大将軍の坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)がこの地を訪れた際に、戦の神を奉ったことから勝負運が上がるという伝説があるといいます。
▲全体が凍った状態がコチラ。人の大きさと比較するとその大きさがよく分かる

当日は全体の7割程しか凍っていなかったものの、落差25mの滝の迫力に感動!雪が少なく足場が安定しないため近くまで行くことは出来なかったのですが、寒さで凍った幻想的な「氷瀑(ひょうばく)」の景観を見ることが出来、とても満足です。
▲滝つぼの様子。滝の真下から眺めると何倍もの迫力だそう

七滝を見ながらいただく!倉金さん手作りのランチにほっとひと息

氷の七滝を見学し終えたところで、すぐ近くの休憩エリアでランチをいただきます。ランチはなんと倉金さんの手作り。この日はクラブハウスサンドとあたたかいスープでしたが、日によりメニューは変わるそう。
▲お湯を沸かして準備。大量の水を背負ってきてくれた倉金さんに感謝
▲雪でテーブルとイスを倉金さんが作成。ランチの準備はものの5分で完成。スゴイ!
▲自家製の生ハムと鴨のスモーク肉の組み合わせがクセになる、お手製のクラブハウスサンド。沸かしたばかりのお湯で作ったスープも冷えた身体に沁みる
▲七滝をバックにランチタイム。温かいスープもいただいてエネルギーチャージ

氷の七滝を目の前に眺めながらのランチは格別。標高800mまでスキーでのぼって来られたことに達成感を得られずにはいられませんでした!

下山こそが肝だった、そして感動のゴールへ

お腹もいっぱいになったし、あとは下山。のぼりよりもはるかに楽なのではないか?という私の考えは甘かったことを後に知ることになるとは…。
▲油断して、下山スタート直後に転ぶ

下山時、斜面を滑り降りていく際に気を付けることは3つ。膝をスキー板と同じ間隔に開くこと、足の裏でバランスをとること、目線を5m先に置くことです。
▲倉金さんに教わったとおりに進むものの、相当なへっぴり腰

「あとは八木さん、自分を信じて!」(倉金さん)
そうか。私は自分を信じていなかったのだ。自分はクロスカントリースキーなんて出来ない、そう思い込んでいたのではないか…。そう思い直してスキー板を進めると…。
▲50mほど転ばずにシューっと滑ることが出来た!冷たい空気を切る心地よさ

あんなへっぴり腰だった私も、下山後半からはスイスイ滑ることが出来ました。これも私を見捨てずに指導してくれたガイドの倉金さんのおかげ。のぼりは3時間程かかりましたが、くだりはその半分の1時間半程で戻って来られました。山の上からの景色は見晴らしもよく、とにかく清々しい!
▲出発から4時間、なんとかスタート地点まで戻って来れた!

決して簡単ではないけれど、ガイドさんのレクチャーさえ受ければ長距離ハイキングも楽しめるクロスカントリースキーツアー。冬の八幡平の大自然を自分のペースで楽しめる「歩くスキー」に、あなたも挑戦してみませんか?
撮影:前川 寛子
八木絵里

八木絵里

劇団ゼミナール所属。飛び道具系女優として活躍する傍ら、声の仕事やライターにも挑戦。好奇心旺盛な獅子座のB型。(編集/株式会社くらしさ)

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