“ツウ好みの花火大会”「大曲の花火」で日本一の花火師が決まる!

2016.07.01

数ある花火大会のなかでも歴史があり、全国から選りすぐりの花火師だけが参加できる全国花火競技大会、通称「大曲の花火」が今年も秋田県大仙市で開かれます。日本三大花火大会の一つといわれ、今年で90回目を迎える「大曲の花火」は他の花火大会と何が違うのか、何が観客を魅了するのか…その魅力をご紹介しましょう。

名だたる花火大会の中でも、「大曲の花火」はひとあじ違います。明治43年(1910年)に競技大会として始まった歴史はもちろん、出場することが一流花火師たちの目標でもある権威ある大会なのです。

その理由は、花火をつくった本人たちが自らの手で打ち上げる競技大会であること。「昼花火」「10号割物(わりもの)」「創造花火」の3部門において、参加28社の花火師たちによりその技が競われます。

花火は、デザインや色彩、創造性、ストーリー性などにより評価され、「昼花火の部」優勝者には「大会会長賞」、「10号割物の部」優勝者には「中小企業庁長官賞」、「創造花火の部」優勝者には「経済産業大臣賞」、また特別賞として「文部科学大臣奨励賞」、そして、総合優勝者には「内閣総理大臣賞」が授与されます。

今年は誰が内閣総理大臣賞をもらうのか?それを観客たちが花火を見上げて品定めできるのもまた「大曲の花火」の特徴でしょう。

何と言ってもここ大曲は花火の街。花火通り商店街あり、地元花火業者あり、そして大曲花火倶楽部による花火鑑賞士認定試験あり…。花火ツウになるなら大曲に行くしかありません!

とは言っても、夏の風物詩である花火はやはり、友達や恋人同士、家族などで連れだってシートを敷き、枝豆やとうもろこしを頬張りながらのんびり眺めるのが一般的。そんな風情は大切ですが、「大曲の花火」には人口4万人弱の街に全国から約80万人が訪れるのですから、見に行くにはある程度の覚悟が必要です。

大曲だけ!昼花火の競演が美しい

会場となる雄物川(おものがわ)右岸の河川敷では、向こう岸から打ち上げる花火が視界いっぱいに広がります。川岸に近い桟敷席ともなればもう迫力満点です。


腕自慢たちが技を競う百花繚乱の花火大会ではありますが、熱狂的ファンの歓声に包まれれば、そこはもう競演ならぬ狂宴。
▲夕刻から始まる「昼花火」
競技会のはじまりは、夕刻から始まる「昼花火」です。「昼花火」は昔から花火ツウが好む雅趣に富んだ花火でしたが、競技会が行われているのは全国でもいまやここ大曲だけとなりました。

「昼花火」は光の代わりに色煙を駆使して見せる「煙竜(煙物)」と、色煙で牡丹や菊を表す「煙菊」などの組み合わせで美しさを競います。紅、黄、青、緑、紫などの鮮やかな色煙がまだ明るい空に模様を描き出し、その模様の多様性や色彩の鮮明さがポイントになります。

個人的にですが、「昼花火」を見ると花火っていいなーと思います。音と光で魅了するのではなく、狼煙のように上がって色彩と造形で魅せる伝統的な「昼花火」は和の世界。その煙の揺らめきに情緒的な奥深さを感じるのです。
▲「煙竜」では、ヒュ~という音とともに、紅、黄、青、緑、紫などの鮮やかな色煙がまだ明るい空に模様を描き出します

花火ツウ必見!「10号割物」の魅力

「昼花火」が終わって休憩の後、大会のメインである「夜花火」が始まります。高らかに華々しく、夕闇の空いっぱいに花火が打ち上がってスタート。そして花火師たちがそれぞれ「10号割物」と「創造花火」を披露していきます。

「割物」とは、菊の花のように球状に開く花火大会おなじみの打ち上げ花火。なかでも内径30センチの尺玉=10号玉は代表的な存在で、地上約330mの上空に、直径320mほどの大輪の花を咲かせます。

「10号割物」の競技は、花火師一人あたり10号玉2発で勝負します。1発目は、伝統的な「芯入割物」といわれるもの。外側の花火の中心点に同心円を一つ以上作ることで輪が重なって見える、日本の花火最大の特徴です。

2発目は、星がキラキラと長く光りながら枝垂れていく「冠菊(かむろぎく)」や、色とりどりの小さな花が咲き乱れる「千輪(せんりん)」などの「自由玉」といわれるもの。1発目と重複しないものが求められ、いずれも夜空に描かれる整った美の芸術性と技術性が評価されます。
▲整えられた伝統的な美を堪能できる「10号割物」

大曲は創造花火発祥の地

最後は、「花火は丸くなくともよい。三角、四角でもいい」という斬新な発想から生まれた「創造花火」。花火師たちはそれぞれにテーマを決めて表現します。色彩、リズム感、立体感といった創造性を追求され、音楽がある場合はそのイメージと合っているかどうかなども審査のポイント。

昭和39年(1964年)の大曲全国花火競技大会から全国で初めて取り入れられた花火で、現在、各地で打ち上げられている創造花火の原点です。
▲創造花火
混雑のなかでの花火鑑賞ではありますが、「大曲の花火」最大の見どころとして毎年「これだけは見たい!」と誰もが言うのが「大会提供花火」。スタッフが丸1年練り上げて企画する花火の今年のテーマは「行雲流水(こううんりゅうすい)」です。

空をいく雲や流れる水のように、物事に執着することなく、自然の成りゆきに身を任せ、日々新たに変化し、進化し続けること。「大曲の花火」の伝統をしっかりと受け継ぎながら、進化し続ける決意が込められているといいます。
競技花火以外にもスポンサー花火や前年度内閣総理大臣賞受賞者による特別プログラム、そしてエンディングでは花火師たちの見送りトーチに対して観客がペンライトを振ってお礼する「エール交換」もお馴染みとなりました。

花火の街が花火一色になる日。今年は8月27日に開催される予定です。
行けば必ず熱狂する「大曲の花火」。あのお腹に響く音と光と熱狂をぜひ体感してください。
高橋ともみ

高橋ともみ

大学で日本美術史を学んだ後、博物館や美術館、新聞社、制作会社等に勤務。東北を中心にのんびり、気ままに活動中。 (編集/株式会社くらしさ)

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