「萩焼」のショップ&カフェめぐりで、ほっこりカワイイ器の虜に

2017.03.28

古くから多くの茶人に愛されてきた「萩焼」。山口県萩市には、萩焼を扱うショップやカフェがあちこちに点在し、お店をめぐれば実に多彩な品々に出合えます。伝統的な作品だけでなく、お洒落でカワイイ、雑貨好きにはたまらない器もたくさん!若い人から人気上昇中のスポットや、知る人ぞ知る話題のスポットを訪れて好みの一品を探すうちに、いつの間にかその魅力の虜になっているはずですよ。

萩焼は“茶の湯”のみにあらず。萩では日常生活の器として定番!

ふんわり温かみのある質感と不均一なシルエット、そして、素朴でありながら上品な佇まい――。萩焼は、「萩の七化け」といわれる魅力で知られています。

「萩の七化け」とは、主原料に砂混じりの粗い土を使用することで生まれる萩焼ならではの現象。キメの粗い生地で作った器は貫入(ひび割れ)部分から水分が内部へと浸透しやすく、月日を経て使い続けることによって、その表面の変化は多岐にわたるといいます。つまり、器ごとに、さらに使う人それぞれによって、飲み物の味わいすら深まっていくのです。
▲作家による本格的な萩焼は、「登り窯」で焼成される場合がほとんど

そんな萩焼の起源は、江戸時代初期、萩藩に庇護された朝鮮出身の陶工による御用窯にさかのぼり、現在においても萩市とその周辺に約100以上の窯元が点在。多彩な作家たちによって生み出される作品は、伝統を重んじた茶器はもちろん、日用的な器やオブジェなど、多岐にわたります。
▲茶人の茶碗の好みを表す「一楽二萩三唐津」という言葉があるように、茶道の世界でも萩焼は大変好まれている

伝統的な萩焼の素朴な雰囲気も魅力の一つですが、萩の街を歩くと多彩な“表情”を持った現代的な作品たちに出合えます。専門店や土産物店に加えて、カフェやレストラン、さらに雑貨店などなど。萩焼の魅力を新発見すべく、街めぐりへとご案内します!

王道からカジュアルまで、多彩な品揃えのセレクトショップ「彩陶庵」

最初に訪れたのは、萩焼のセレクトショップ「彩陶庵(さいとうあん)」。世界文化遺産に指定されている城下町エリアの一角・菊屋横町にあるお店です。
▲白壁が美しい菊屋横町と「彩陶庵」。旅番組のロケやガイド本でも紹介される定番スポット

店内には萩焼の第一線で活躍する30人以上の有名作家たちの茶器、花器、オブジェなどの作品が並びます。まず萩焼の伝統や基本、そして最先端を知るためには「彩陶庵」はピッタリです。

陳列されている作品は作家渾身の作品ばかりとあって、価格帯は数千円から数百万円の作品も。土の風合いがあらわれた素朴な器、釉薬によって美しい白や青へと窯変した器など、作品一つ一つに萩焼としての個性を感じることができます。
▲萩焼を代表する作家の作品ばかりで、中には陶芸展入賞作品も。値段を見て少し緊張…

これほど多彩な作品が並んでいる「彩陶庵」はさながら萩焼の美術館のよう。焼き物や器が好きな人、また、茶道に造詣が深い人にとってはたまらない空間といえます。そして、奥の間に進むとさらに重鎮作家の作品が鎮座しています。
▲重鎮作家の作品が並ぶ奥の間。ぜひとも萩焼の頂点にある作品を見ておこう

なお、「彩陶庵」のお隣には姉妹店の「彩陶庵ロフト」があります。こちらは一転してカジュアルな雰囲気で、お洒落な雑貨やかわいらしい器がたくさん!楽しく普段使いができそうな、手頃な価格の萩焼も並んでいて、女性や若い人にオススメです。
▲「彩陶庵ロフト」店内。萩焼以外には地元作家の雑貨も並ぶ

まず、目にとまった猫や牛の形をした花入れは「萩焼工房土和窯」の作家・止原理美(とめはらまさみ)さんの作品。このほかにも、いろいろな動物をモチーフにしたマグカップ、香炉、貯金箱といった作品が並びます。かわいい~!
▲かわいらしい猫や牛の花入れ。税別3,500円

続いてひときわ色鮮やかな器が並ぶ一角へ。「工房カネコツカサ」の金子司さんによる碗やポット、さらにはキノコのオブジェがたくさん!金子さんは墨流しという独自技法で美しい模様を生み出すことで知られ、特に女性に人気です。
▲鮮やかな色合いが目をひくポットたち、ふたやキノコの模様も個性的。税別12,000円~15,000円。キノコのオブジェも税別1,000円~購入できる

萩の城下町は、お洒落カフェの宝庫!萩焼で楽しむティータイム

かわいらしい器たちにはしゃいでいると、時間はあっという間…。小腹も空いたので、ちょっとカフェでひと休み。料理や飲み物、スイーツを萩焼で味わえるお店が城下町エリアにはたくさんあるのだとか。

まずはオススメの1軒目、江戸屋横町の「木戸孝允旧宅」向かいにある「Kimono Style Cafe(キモノスタイルカフェ)」へ。カフェのほか、萩焼をメインに和雑貨が販売されているショップも併設されており、着物や浴衣のレンタル(要予約)もできます。
▲かつて萩藩士が暮らしていたという古民家を利用している「Kimono Style Cafe」

同店では萩焼の素晴らしさを知ってもらおうと、碗タイプの器にゼリーを入れたり、平皿にケーキをのせたり、さらにはカップにフロートを注いだりと、メニューそのものが “萩焼の使い方の提案”となっています。
▲人気の「萩珈琲セット」(税込700円)。萩焼を使って自宅でこんなおもてなしをしたら、とっても喜ばれそう~

注文したのはお店で一番人気の「萩珈琲セット」。マグカップにコーヒーが注がれているその雰囲気はなんともしっくり。そして、チョイスした抹茶シフォンケーキの緑色が、青い平皿によく映えます。とっても素敵!

保温性の高さ、萩焼ならではの軽さといった機能性を実感できるだけでなく、食材の色合いによってどのお皿を使うかなど、萩焼の楽しみ方を手に取って味わいながら体験。そして、実際に使われている器はなんとすべて店内で購入できるんです!
▲市内5窯作陶の萩焼が並び、窯元に特注した同店だけのオリジナル品もある
▲着物レンタルは要予約。萩の城下町は着物での街めぐりもオススメ。秋には「着物ウィークin萩」というイベントもある(写真提供:Kimono Style Cafe)
カフェめぐりの2軒目は、伊勢屋横町の入口にある「晦事(コトコト)」。こちらは築200年ほどの町家を再生したお店で、お洒落な雑貨や衣類もそろい、もちろん萩焼も購入できます。
▲町家を再生した「晦事」。城下町を歩けばまるでタイムスリップしたような気分になれる
▲庭に面したカフェスペース。雑貨スペースとともに「和」の空間がとてもお洒落に演出されている

同店で取り扱っているのは、萩市内にある「大屋窯」という窯元の器。「大屋窯」では陶器だけでなく萩では希少な磁器も製造していて、同店では料理や季節によって陶器か磁器かをチョイスして使っているということです。陶器だけでなく萩には磁器も存在するとは新発見ですね!
▲この日のオススメは「黒糖カフェオレ」(税込500円)と「ハニートースト」(税込400円)。マグカップ、平皿、小鉢はいずれも「大屋窯」の陶器

ちなみに、1800年代の前半、萩では陶器だけでなく白磁も盛んに製造されていたという記録が残っています。細々と受け継がれていたものの1945(昭和20)年にいったん途絶えてしまったのですが、萩における焼物のルーツを大切にしたいと、「大屋窯」が2001(平成13)年に復活させたのだそうです。

次から次へと登場する萩焼はかわいくてお洒落なものばかり。「晦事」のスタッフさんによると、城下町エリアから車で15分ほどの場所にある「大屋窯」では直接買い物もでき、さらに豊富な種類の器が並ぶそう。これは行ってみるしかありません!

なんと磁器の萩焼!?若い人や女性の間で知る人ぞ知る存在の窯元「大屋窯」

「大屋窯」は萩の市街地の南、日輪山の麓にあります。陶芸作家・濵中月村(はまなかげっそん)さん、濱中史朗さん、そして濱中孝子さんによる窯元で、陶器、磁器ともに普段使いしやすく、温もりのあるデザインが人気。若い人や女性を中心に知る人ぞ知るという存在で、県内外から多くの人が訪れています。
▲ショップ横には「登り窯」がある。事前に連絡をすれば、敷地の一部やギャラリースペースなどが見学できる場合も(繁忙状況による)
▲見ているだけで心が躍るお洒落でかわいらしい器たち。「大屋窯の定番の品々です」とスタッフさん

ショップ内には所狭しと、陶器や磁器が並びます。日用使いにぴったりな湯呑みにマグカップ、平皿、碗、小鉢、そしてコーヒードリッパーも!また、ジュエリー作家・濱中孝子さんによるセラミックパーツを使った作品もあります。

先ほど紹介した「晦事」以外にも、旅館や飲食店など、「大屋窯」の器を愛用しているお店は萩市を中心にたくさんあります。常連さんの中には、大きめの平皿をトレーとして使ったり、小鉢をアクセサリー入れとして使ったり、固定観念にとらわれない自由な発想で同窯の萩焼を楽しんでいる方もいるとか。
▲人気の磁器「フェイス」「ネコ」シリーズ(税込648円~)

「自分用」を買いに来る人がほとんどで、中には2、3時間もかけて“自分の時間を豊かに満たしてくれる器”を探す人もいるそうです。「何を入れたいか想像しながら探すのがコツです」とスタッフさん。
▲ほっこりした温もりのある雰囲気の磁器マグカップ(税込3,240円)

山の麓の斜面に広がる敷地内からは萩の町を見渡せ、四季ごとに美しい自然も間近に満喫できます。「大屋窯」の器とともに、その空間に癒やされてみては。
▲「何ともいえない懐かしさを感じられる」と評判の「大屋窯」
萩焼を知るには、とにかくご当地・萩の街めぐりが一番!カフェやレストラン、雑貨店など素敵な“萩焼スポット”は市街地の至る所に点在しています。

なお、毎年5月の「萩焼まつり」、10月の「萩・田町萩焼まつり」と同時期には、「大屋窯」をはじめさまざまな窯元でイベントを開催。作陶を体験できる窯元もあり、多くの焼き物ファンでにぎわいます。
▲毎年5月1日~5日の「萩焼まつり」は、萩市民体育館が会場となり約50の窯元が出店する(写真提供:公益社団法人萩市観光協会)

さあさあ、かわいらしい器にお洒落な器、多種多彩で個性豊かな器たちが、萩の町であなたとの出合いを待っています。ほっこり和む萩焼のある暮らしを楽しんでみませんか?
兼行太一朗

兼行太一朗

記者兼営業として、地元山口の地域情報紙に14年間勤務。退職後はNPO法人大路小路ひと・まちづくりネットワークに籍を置き、守護大名大内氏や幕末における歴史資源の取材に携わる。同時にフリーライターとして活動しながら、たまに農業も。自称ネコ写真家。(編集/株式会社くらしさ)

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