伊豆大島編/離島をぐるっとひとまわり。旅ランVol.1

2015.06.17 更新

日本に住んでいながら、なかなか足を運ぶ機会のない場所。その中の1つに、「離島」があるのではないでしょうか。日本には数多くの離島が存在しており、土地ごとにさまざまな特徴があります。もし島を訪れたとしても、レンタカーを借りて移動するという方が大半だと思いますが、自らの足で島を巡ってみると、車では気付かなかった発見が多いんです!しかも、実は1周を走って回るのに適した距離の島がいっぱい。そこでこの「離島をぐるっとひとまわり。旅ラン」シリーズでは、日本国内の“走って回れる”島々を、実際に走った視点からご紹介します。普段とはちょっと違った、面白い旅に出会えるはずですよ!

今回走ってきたのは、伊豆諸島で最大面積を誇る「大島」です。島内には平成25年時点で約8,200名が居住しています。この大島は、夏になれば大勢の海水浴客などが訪れる観光スポット。ダイビングも盛んで、ライセンス取得を目的としたスクールなども多数あります。その他、ランニングやサイクリングに訪れる人も少なくありません。きっと、走りがいのあるコースに違いありません! 実際に走ってみると、大自然に囲まれた癒やしの一時が待っていました。

いざ、フェリーで大島へ!

大島への渡航手段は「飛行機」「フェリー」の2つです。飛行機は調布飛行場、もしくは羽田空港から。フェリーは竹芝(東京)、横浜、久里浜、熱海、伊東から出ています。
フェリーにはジェット船と大型船があり、それぞれ航行時間と料金が異なります。また、悪天候の際には運休となる場合があるようです。今回は「ジェット船」を利用し、竹芝から大島へ向かいました。
竹芝旅客ターミナルは、ゆりかもめ「竹芝」駅に隣接しています。その他、JR線「浜松町」駅からは徒歩約8分、都営地下鉄線「大門」駅からは徒歩約11分です。
ターミナル内に入ったら、案内所で乗船券を受け取ります。乗船は当日窓口での手続きも可能ですが、事前にインターネット上からの予約も可能です。乗船案内を待つ間に、乗船票へ必要事項を記入しておきましょう。
※入港地に注意!※
案内所の入口前には、大島の入港地が掲示されていました。大島には「元町港」「岡田港」という2つの港があり、天候等によって毎朝入港地が決まります。多くの宿では送迎を行ってくれますが、最寄りの港についてはあらかじめ確認しておきましょう。送迎がなく入港地と異なる港近くの宿に宿泊する場合、港からバスで移動することとなります。

必要なものは走る前にチェック

島を走る場合に注意したいのが、事前準備です。コンビニエンスストア等はないため、途中の買いものは自動販売機や商店のみ。しかし数が少ないので、基本的にはあらかじめ必要な飲食や食料をバックパックに詰めておくといいと思います。
大島では山道を走るため、スタート時に晴れていても、突然天気が変わることが少なくありません。そのため、シェルウェアなどの雨具も用意しておくと安心ですよ!
どうしても途中で走れなくなってしまったら、バスを利用しましょう。そのため、少しお金を持っておくのがおすすめ。もちろん、ランニング中に観光を楽しんだり、食事したりするのにも利用できます。

大島1周ランニングのメインは全長約43kmの「大島一周道路」

さぁ!いよいよ島一周ランニングへ出発です!大島には「大島一周道路」というものがあり、マラソン大会等でも利用されています。距離は約43km。フルマラソンと同程度です。島を一周して戻ってくるため、スタート地点は宿近くで決めると良いですよ。
ここでは、元町港の程近くにある「大島町役場」からスタートします。今回は時計回りに一周しますが、もちろん反時計回りも可能。反時計回りの方が、よりアップダウンのキツいコースとなるようです。
・まずは岡田港を目指す
スタートからいきなり登り坂。まずは、「岡田港」方面を目指していきましょう。約3km走ると左へ曲がる道が現れますが、そのまま道なりに直進します。 左折してしまうと、海沿いに出てスタート付近へ戻ってしまう ので注意です!
スタートから約6km地点で、左に大きく下る道が見えてきます 。元町港や大島空港側から走ってきましたが、もう1つの港である「岡田港」へと続く坂道です。港までは900mありますが、「元町港に着港したから、岡田港も見てみたい」という方は、ちょっと足を伸ばしてみてください。岡田港の周りには定食屋などもあるため、時間によってはここで食事するのもいいかもしれません。一周ランニングは、左折せず道なりに進みます。
・景色を楽しみながら山道へ向かう
大島一周道路には、いくつも絶景スポットがあります。約7km地点で立ち寄っていただきたいのが、こちらの展望台。なお、こちらの建物1階部分はトイレになっています。これ以後はしばらくトイレがないので、ついでに済ませておくと安心ですよ。実際に登ってみると…
目の前には海が広がり、パノラマガイドが設置されています。天候が良ければ富士山まで見えるとのこと。双眼鏡などを持っていけば、楽しみが広がるかもしれませんね。
もちろん、周囲を取り囲む山と海だけでも絶景!これぞ、離島ランニングの醍醐味とも言える景色ではないでしょうか。写真撮影などを楽しんだら、先へと進んでいきましょう。
スタートから約8.5km、「ちび」というラーメン店を通り過ぎてすぐの場所に細い曲がり角があります。コースはそのまま直進ですが、「喉が渇いた」という方はこちらの道へ入ってみてください。
そこには、無料開放されている水道が。大島は海に囲まれていることもあり、家庭の水道水に塩気を感じることがあるのだとか。そのため、気になる人はここへ来て、飲用水を持ち帰っているそうです。
これから山道に入ると、自動販売機や商店はなくなってきます。必要に応じて、ペットボトルに水を入れるなどしておくと安心ですよ!
・走りながら観光スポット巡り
約10km付近からは、ひたすら山道を走っていきます。すべて舗装路ですが、アップダウンが激しくなります。また、歩道がなくなってくるため、車などに注意しながら無理せずに走りましょう。特に約16km付近までは登り坂の傾斜角が急になります。まだ序盤ですので、後半に疲れを残さないよう無理せず走ってください。つづら折りは内側になるほど角度が上がるので、少し外側に膨らむ形で走るのがおすすめです。ただし歩道がないエリアですので、前後から来る車にはくれぐれも注意しましょう。呼吸が乱れやすくなるので、しっかり息を吐いて、常に新鮮な酸素を取り入れられるようにするものおすすめですよ。

「途中で観光を楽しみたい」という方は、約12km地点へ少し余裕を持った時間で到着するのがおすすめです。なぜなら…
観光スポットである「海のふるさと村 (東京都立大島公園)」が現れます。こちらは、敷地内に「椿園」「椿資料館」「植物園」「動物園」 を含む大きな公園。ちょうど疲れてくる頃ですので、休憩に立ち寄ってみるのもいいと思います。
「椿資料館」に入ってみると、足元に大きな島の地図が。出発地点と現在地を確認すれば、「もう、こんな場所まで来たのか」と驚くかもしれません。資料館にはテラスが設置されており、そこからの眺めも最高です。
さらに1km程進むと、「石の反り橋」という看板があります。よく見れば、看板の左には奥へと進む道があるようです。恐る恐る、道無き道を入ってみます。
周囲にはロープが張られ、人が通れなくなっていました。そのため草が生い茂っていますが、確かに石でできた橋を発見です。
看板から橋までは片道500m程でしょうか。ただし舗装路ではなく、足元は不安定になっています。見に行く際には、転倒などしないようくれぐれもご注意ください。
コース上でたびたび目にする土管のようなものは、火山弾を避けるためのシェルター。まさに、活火山のある大島ならではと言えるものですね。

※山道は霧に注意!※
標高が高くなると、天候によって霧が発生します。視界が悪くなりますので、注意しながら進んでください。
スタートから約26km手前で見えてくるのが「筆島」。海中から切り立ったその穂先が筆に似ているため、「筆島」と名付けられたそうです。筆島が見える場所には、写真を撮りに車で訪れる観光客の姿も見られました。
尚、約20kmから筆島付近までは、一気に下り坂を駆け下りることとなります。ただし無理は禁物。下り坂はついスピードを上げがちですが、まだまだアップダウンも多いコースが続きます。身体を前傾させて足を後ろに流すように走ると、上下運動が減って地面から受ける衝撃が少なくなるはずです。力でスピードを挙げようとせず、流れるように走るイメージを持ちましょう。
山道を抜ければ、今度は目の前に海が広がってきます。山道では常に鳥の声が聞こえていましたが、海の波音に耳を傾けてみるのも良いものですね。
さらに少し進んで、スタートから約28km地点には「波浮港見晴台」があります。
港にはたくさんの船が。近くには商店や自動販売機、トイレもあるので、ベンチで少し休憩していくのもおすすめですよ。
約30kmの地点で、T字路に当たります。右手側に「下地駐在所」があるので、目印にしましょう。看板が立っていますが、このT字路は右に曲がってください。
大島観光で欠かせないものといえば、「地層断面」です。約36km地点から右手側を見れば、何層にも重なった地層が見られるでしょう。この地層断面は、約1kmにわたって続いています。
この辺りでは疲れが出始めることもあり、長く続く道が途方もなく感じられるかもしれません。そんなときは先を見るのではなく、景色に目を向けると気が紛れるでしょう。地層断面だけでなく海もキレイに見えていますので、たまに立ち止まって写真撮影なんていうのもおすすめですよ。
・山道を抜けて元町へと戻る
地層断面を過ぎると、再び木々の生い茂る山道に入ります。なお、元町に近づくにつれて車の通行量が増加します。特に約38km以降はトラックも多く行き交うため、注意して走りましょう。基本は歩道、歩道がない場合には道路左側を走ると安心です。
しばらく道なりに走ると、元町へ戻ってきました。ここまでの距離は約42km。山道を抜け、次第に海が見えてきます。
海へ目を向けると、奥にいくつもの建物が見えると思います。いよいよ、大島一周ランニングも終わりが訪れようとしていますね。
そして約43km、スタート地点である「大島町役場」に戻ってきました。
これで、大島一周ランニングは完了です!
アップダウンが多く、ある程度の走力は必要かもしれません。しかし距離は約43kmなので、朝スタートすればウォーキングを交えながらでも夕方までに帰ってこられるでしょう。新鮮な空気を吸い込みながらのランニングは、何とも言えぬ爽快感があります。

三原山で雄大な景色と大地のエネルギーを感じる

時間があれば、伊豆大島のシンボルともいえる三原山まで足を運んでみるのもおすすめです。活火山の火口を見る機会は、とても貴重な体験となるでしょう。伊豆大島は日本ジオパークとして認定されており、三原山は噴火の歴史が学べるとともに、地球が生きていることを実感できるスポットです。
特に訪れたいのが裏砂漠。日本において唯一「砂漠」と称され、噴火での噴出物である石に似たスコリアによって覆われています。スコリアによって一帯が真っ黒な裏砂漠は、まるで別世界のような雰囲気を味わえるはずですよ。
「大島町役場」から時計回りに約2km走った位置に、「三原山登山道路」の入口があります。三原山へのルートはいくつかありますが、山頂まで続くこの登山道路はすべて舗装路 なので走りやすいでしょう。三原山では、一周道路とはまた異なる素晴らしい風景が見られます。
雨上がりに見られる「幻の湖」や外輪山の岩壁に刻まれた「必殺必勝」の文字などは、三原山へ登れるならば是非とも訪れていただきたいスポットです。もちろん、火口を見下ろす眺め、そして山頂からの景色も最高でしょう。新芽が出る2月中旬~5月頃には、明日葉採りも楽しめます。
ただし三原山の山頂部付近は、未舗装路が多くなっています。特に裏砂漠などは岩がゴツゴツしているため、怪我などに注意してくださいね。山頂には売店・自動販売機などがないため、飲み物の持参も必須ですよ!

旅ランのすすめ

最後に、今回の旅ランの終わりに出会った、素晴らしい景色をご紹介しておきましょう。
夕焼け空に、クッキリと見える富士山。幻想的な風景に、思わず息を呑んでしまいました。夕方の空が赤みを帯びていたら、ぜひ港などに足を運んでみてください。これも離島の旅の醍醐味です。
そして、旅といえばその土地に根づいた食の楽しみも。大島と言えば海の幸。中でも唐辛子醤油に刺身を漬けた「べっこう」は、伊豆諸島の郷土料理として親しまれています。また、元町付近には温泉施設も点在。ランニングで汗をかいた後は温泉に入り、美味しい食事を楽しむなんていう過ごし方もおすすめです。

いかがでしたか?離島をめぐる「旅ラン」シリーズ、ぜひ次の島もお楽しみに!
三河賢文

三河賢文

フリーランスライター/エディター。中学校陸上競技部コーチ。法人経営者。"走る"フリーライターを名乗り、主に「マラソン」「トライアスロン」を中心としたスポーツ分野での執筆を得意とする。現在もマラソンやトライアスロンに選手として競技参加。自らの走力を活かしたレポート取材は、ファンランからフルマラソン、ウルトラマラソンまで幅広い実績を持つ。

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