可愛いかがり手まりが、自分でも作れる!香川の伝統工芸を旅の思い出に
色とりどりの糸でかがられた幾何学模様の、華やかで美しいこと!「讃岐かがり手まり」は、香川が讃岐と呼ばれていた昔から、女性たちの手で受け継がれてきました。そんな伝統工芸品が、初心者でも気軽に手作り体験できる教室があるんです。色合わせや模様が選べるのも楽しいもの。自分だけのかわいい手まりを、香川の旅のお土産にしてみませんか?

草木染めの木綿糸を使った「讃岐かがり手まり」は、優しい色合いが魅力
手まりが生まれたのは、平安時代の宮中。お姫様の玩具としてつくられていたものが、時代が下るにつれて庶民にも広まり、女の子たちは数え唄をくちずさみながら遊んでいたといいます。昔は讃岐国(さぬきのくに)と呼ばれていた香川県では、名産品である木綿の糸を使って手まりがつくられてきました。

ゴムまりの普及で次第に忘れ去られていった手まりを復活させ、現代に伝えているのが「讃岐かがり手まり保存会」。現在は、高松市を拠点にして、代表の荒木永子(あらきえいこ)さんを始めとする保存会の皆さんが手まりづくりを行い、活動の一環として教室やワークショップを開催しています。
旅行者でも気軽に参加できる体験教室は、事前に予約すればOK。基本は2名以上ですが、月に一回程度、ひとりでも参加できるプログラムが用意されています。所要時間は約2時間30分で、料金はひとり5,400円(税込)です。

保存会の中に入ると、ずらりと並ぶ糸の陳列棚に圧倒されます。「150~200色はありますね。糸の染色もこの工房内でしているんですよ」と語るのは、保存会の鳥居加奈子(とりいかなこ)さん。

日本各地に手まりは伝わっていますが、讃岐かがり手まりの特徴は大きく分けて4つあり、保存会で大切に守られています。
まず、讃岐三白のひとつだった、木綿の糸を使うこと。現在は既製の糸を使っていますが、将来的には讃岐の木綿を復活させて使えたらうれしい、とのことです。

2つめは、昔ながらの草木を使って染めること。天然染料ならではの優しい色とマットな風合いは、化学染料では得られない味わいです。重ね染めすることで、濃淡の豊かなバリエーションを作っているそう。

3つめは、籾殻(もみがら)を薄手の紙で包んで、手まりの芯にしていること。稲作の盛んな日本らしい素材で、地元の農家の方から分けて頂いているそうです。


4つめは、ひとつひとつ、手で丁寧に模様をかがること。さまざまなかがりの技法でつくる模様は、100種類以上に及びますが、作る人の個性や色合わせの感性によって、同じ柄でもまったく印象が変わるのだそうです。
「まずは基本の模様かがりを、ぜひ体験してみてください」と鳥居さん。

手作り体験は、模様と色選びからスタート

教えてくれたのは、講師の溝渕友恵(みぞぶちともえ)さん。手芸には自信がないと伝えたところ、「大丈夫です!間違ってもやり直しが簡単にできますし、模様が完成していく過程は楽しいですよ」との優しい言葉にホッとしました。
最初に土台と糸の色を選びます。土台だけでも10色以上、かがり糸は陳列棚に並ぶ100種類以上の中から、好きな色を6色選んでいいと言われ、選択肢の多さにびっくり。土台と糸をあれこれ合わせながら、かなり悩みました。

迷った末に、薄いイエローの土台と、グリーン系、珊瑚色系のグラデーションの糸をチョイス。どんな仕上がりになるのか、始める前からドキドキします。

「まずは“赤道”に帯の模様をかがります」と溝渕さん。まりを地球に例えて、赤道、北極、南極というふうに位置を表すのがユニークです。
長くて太いふとん針にかがり糸を2本通し、針をまりに突き刺してから赤道付近に出します。そこから糸をぐるぐる帯状に巻いていきます。針を刺すと、中の籾殻に当たってサクッといい音!


次は、菊模様の位置決めの準備です。テキストでは紙テープを使う方法が紹介されていますが、体験教室では、さらに分かりやすいよう、あらかじめ線のついた紙が用意されています。この線に沿って、まりに印をつけていきます。

その後、印の場所に待ち針を打って、菊模様の目印にします。ふとん針に糸を通し、待ち針の位置に針を入れて、ジグザグに花びらをかがっていくのですが、終始、玉結びはしません。
「万が一間違えても、糸を切ることなくすっと抜けるので、簡単にやり直しできるんです」とは、うれしい工夫です。

途中で色を変えて、少しずつ薄い色にしてグラデーションを作っていきます。2本どりでかがっていくのですが、難しかったのは、2本の糸をもつれさせないようにすること。糸がきれいに揃って並んでいかないと、美しい面にならないのです。
また、花びらの角に当たる部分は、ほんの少しだけ針を通すのですが、思い通りの場所に針の先端が出せなくて苦労しました。とはいえ、最初に言われた通り、徐々に模様ができていくのが楽しくなってきて、気が付けば無心の極地でした。


体験教室に割り当てられた時間は2時間30分ですが、ここまでで既に2時間経過。「早い方でも、できるのは半分くらい。花びらの部分は基本的に同じパターンの繰り返しなので、残りは頑張って家で完成させてくださいね」と溝渕さん。
残りの時間で教えてもらったのは、帯留め模様である「千鳥かがり」。最初に巻いた帯の部分を、ジグザグに糸を通してかがっていきます。



糸をもつれさせず、きれいに揃えることを念頭に置いて、家に帰ってからさっそく続きを開始。またもや無心になること3時間余り、ついにマイ手まりが完成しました!


自宅で手掛けた反対側の面は、糸の線もきれいに揃って、グラデーションもいい感じ。「一度体験したら、ハマってしまう方も多いんですよ」と保存会のお二人も言っていたように、次は他の模様にもチャレンジしてみたい!という意欲が湧いてきました。
アートのような作品や、暮らしに馴染む品々も



また、ストラップや香手まりなど、現代の暮らしに馴染む手まり商品も魅力。「手まりストラップ」は、小さいだけに熟練のかがりの技が必要だそう。土台手まりに雅な香りをしのばせた「にほひ手まり」は、美しい色のグラデーションを各種揃えたくなります。


今回、実際に手を動かしてみることで、「受け継がれてきた美しい手仕事を、暮らしの中で愛でる」という、讃岐かがり手まりのエッセンスの一端を感じられた気がします。多少いびつなところもありますが、マイ手まりは可愛らしさもひとしお!手のひらに載せて愛でたくなる、大切な宝物になりました。香川の旅の思い出に、ぜひ自分だけの手まり作りを体験してみてください。
讃岐かがり手まり体験教室
香川県高松市西の丸町12-8
[開催時間]10:00~12:30、13:30~16:00
[開催日]平日 ※希望日の3営業日前までの受付。詳細はホームページの営業案内カレンダーをご確認ください
[定員]2名以上~10名程度(高校生以上) ※月1回程度、1人でも参加できる体験教室を開催
[体験料]5,400円(税込)※材料込(土台まり、かがり糸6束、ふとん針、待ち針、紙テープ、テキスト)
087-822-4277(平日10:00~17:00)

puffin
東京でのライター生活を経て、現在は縁あって香川県在住。四国のおおらかな魅力と豊かな食文化に触発される日々。取材で出会うモノ・コトの根幹に流れる、人々の思いを伝えたいと願っている。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
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