栃木・埼玉・群馬の日帰り氷旅行/小池隆介のかき氷あっちこっち食べ歩きvol.16

2017.03.20

かき氷の食べ歩きに行く前に、必ず調べておく事がある。夏季のみ提供の店が多いので、行く時期にかき氷が提供されているかどうかのチェックをしたあと、定休日は勿論の事だが提供時間をしっかり調べていかないと、せっかく足を運んだのに提供時間外でガッカリ、ということがある。複数店舗の食べ歩きに出るなら、効率良くテンポ良く食べたい。鉄道ファンが時刻表を眺めてルートを作るが如く、僕らはかき氷食べ歩きルートを作り上げてから食べ歩きに出かけるのだ。

▲「楽-gaku-」の抹茶プリンレアチーズオレオ850円(税込)

かき氷で世界一を目指す「寿氷」

まず食べ歩きのスタートに選んだのは真岡(もおか)鉄道線真岡駅から徒歩15分、栃木県真岡市にあるかき氷専門店「寿氷(じゅひょう)」。真岡市の歴史と文化を伝える「久保記念館」からまっすぐ延びる道筋に2014年9月に開店した。40歳を越えてボランティアを辞め実家のよろず屋の店先でかき氷専門店を始めたという店主は、かき氷を通して地元真岡の魅力を伝えたいと話す。
純氷を適温にもどしてから、ふわふわと削り出す氷をほぼ固めることなく器の上に美しい円錐状に積み上げる。机から氷の山の頂点までの高さはおよそ32.4cm。器の直径から美しく見えるように計算されているようだ。
▲ふわふわバナナ600円(税込)

果物はできるだけ地元の物を使い、注文ごとにミキサーにかけて果物100%の蜜を作る。自家製糖蜜と果物蜜を丁寧に重ね、最後は客席に運んで氷山のてっぺんまで果物蜜をかける。ここでは、最初の一口はスプーンを使わずにそのままパクリと食べるのがお決まりで、子供も大人も楽しそうにパクリとてっぺんを頬張るのだ。
▲とちひめ900円(税込)

この日食べた「とちひめ」は地元で採れる苺を使っているのだが、摘んでからの日持ちがあまりしないため、このあたりでしか食べられない希少品種の苺らしい。酸味が少なく真っ赤な苺蜜は香りも甘みもとても強く、ミルクをかけるのが惜しいほどだ。
▲キウイフルーツ800円(税込)

この他にも、さくらんぼ・桃・メロン・キウイ・梨などなど、季節折々の果物が揃っていて、どの果物も丁寧に1つ1つ甘さを調整しながらかき氷に仕上げている。ふんわりとした食感のバナナも、つぶつぶがアクセントになっているキウイも、果物の特性を活かして氷との相性を見極めながら作っているように見える。

栃木の美味しい果物を使ったかき氷を提供して、日本全国の人を、それから世界中の人を真岡に呼びたいと願う「寿氷」の想いは、きっと遠くない将来叶うだろうと思っている。

駅から0分、果実酢の酸味が心地いいかき氷「もっちり庵」

電車で食べ歩きをしているなら、こんなに便利なロケーションの店も少ないだろう。2軒目に訪れた埼玉県羽生(はにゅう)市にある「もっちり庵」は東武鉄道羽生駅のロータリーに面して店があり、電車を降りてすぐに到着できる。
小さな店内に並べられた席では、学校帰りの学生や買い物帰りのご婦人が並んでかき氷を食べている。通年提供のかき氷は、純氷か天然氷を選ぶことができるので学生たちは安価な純氷を注文。ご婦人は「一度食べてみたかったのよー」と天然氷を選んだようだ。
▲キャラメルミルクティー600円(税込)※純氷

明るく楽しい店主の人柄を慕って、何人もの学生たちが店の扉を開けて顔を出す。学校帰りの学生たちが気軽に寄れるようにであろう、この店には500円以下のメニューが多く並んでいる。その他に果物を使った限定かき氷や、流行りのホイップクリームを使ったものもあり、あれこれ目移りして注文に迷っていると店主が果実酢を使ったかき氷を勧めてくれた。
▲りんご酢マンゴー680円(税込)※純氷

マンゴーの果肉を食感が残る程度に潰したマンゴー蜜とりんご酢を組み合わせた「りんご酢マンゴー」かき氷。これは初めて食べるタイプのかき氷だ。隠し味に果実酢を使ったメニューは食べた事もあるが、これはりんご酢が主役。マンゴーと合わせてあるせいかさほど酸っぱくなく、むしろ酸味が心地よく思える不思議な感覚だった。
▲カフェモカ600円(税込)※純氷

店の外には線路を眺められる席が用意されていて、気候のいい時期ならば行き交う電車を眺めながらかき氷を楽しむこともできる。ロケーションといい、かき氷といい、ちょっとひねりの利いたいい店だ。

あぶりまshow付き、こんがりかき氷「ざくろ」

お次は東武小泉線・成島駅から徒歩10分、群馬県館林市にある「ざくろ」。ラーメン好きの店主が素材と製法にこだわって仕上げる創作系ラーメンが人気のラーメン専門店だ。3年ほど前から、ラーメンを食べた後のデザートにと提供し始めたかき氷が意外なほどに評判が良く、今ではかき氷目当てのお客さんがやってくるほどになったという。
▲ピスタチオミルフィーユミルクココア700円(税込)

特に評判なのは「ミルフィーユミルクココア」。ミルクシロップの染み込んだ氷にたっぷりのココアパウダーをふりかけていて、口に含んだ途端に濃厚なミルクココアとなり口いっぱいに広がってとろけてゆくのだ。今日はこれを食べようと思っていたのだが、メニューを見ると更にピスタチオのパウダーがトッピングされた「ピスタチオミルフィーユミルクココア」を見つけてあっさりと心変わりしてしまった。
運ばれてきたかき氷には小さなスポイトが刺さっていて、中にはスイーツ用にアレンジした黒みりんが入っているという。途中お好みで垂らしてくださいという事らしい。この演出がなかなか楽しいではないか。ココアの後から追いかけるように香るピスタチオはミルクやみりんとも相性が良く、見た目も味も楽しめるかき氷だ。

もう一つ選んだのは、2016年から始めた”炙り氷”だ。ふんわりと削った氷をラーメン丼いっぱいに詰め、焼き芋風カスタードで氷をコーティング。グラニュー糖を振ったらガスバーナーで砂糖が溶けてカリカリの飴状になるまで炙ってくれる。これが香ばしくて旨い!
▲焼き芋(あぶりまshow付)750円(税込)

かき氷に使う食材の隠し味に、ラーメン仕込みに欠かせない美味しいみりんや醤油を使い、味に深みをもたせたり隠し味に使ったりしていると話す店主。ラーメンとかき氷の共通点を見出した店主のセンスに面白さを感じた。

極太うどんに可憐なかき氷、「楽-GAKU-」

最後に訪れたのは東武小泉線・小泉町駅から徒歩5分、群馬県邑楽(おうら)郡石打の「こぶ観音」前にある、創作うどん(冬季のみ)とかき氷の店、「楽-GAKU-」。2014年の開店以来、地元の人を始め、珍しいうどんとかき氷を求めて訪れる人々で店内は賑わっている。
▲野菜焼きカレーうどん850円(税込)

名物の創作うどんは、今まで見たことがないほどの超極太麺!「トマトチーズベーコン鍋焼きうどん」や「めんたい豆乳うどん」、「野菜焼きカレーうどん」などなど、大きな具材がたっぷりのった魅力的なうどんがずらりと揃っている。
かき氷は、蜜かけ(昔ながらのかき氷蜜)と果物を使った手づくり蜜、クリームやキャラメルを組み合わせたスイーツ系のかき氷もあり、アイデアが固まったら新作が追加されるので、メニューの幅がとても広い。季節の果物を使ったかき氷が短期間で入れ替わるためメニュー数がとても多く、券売機の上には今まで提供されたかき氷の写真がずらりと貼り出されている。
▲オレンジショコラ800円(税込)

最近最も人気で定番化したというのが、オレンジシロップにチョコレートクリームを組み合わせた「オレンジショコラ」だ。小さなケーキのように氷を型抜きしているが、すくって食べると口どけも滑らか。このかき氷に一目惚れした女子が、立て続けに3杯もおかわりしたことがあるそうで、あまりの評判の良さにレギュラーメニューになりつつあるのだという。
▲キャラメルマキアート780円(税込)

この他にも渦巻きのように垂らしたキャラメルがなんとも可愛い「キャラメルマキアート」は、トッピングされている塩気の効いたナッツが甘いかき氷を引き締めてくれる。最後に食べたホイップ系のかき氷「ブルーベリーヨーグルトホイップ」は、見た目よりもさっぱりとしたヨーグルトシロップが僕好みで、アクセントのブルーベリーもいい働きをしている。
▲ブルーベリーヨーグルトホイップ800円(税込)

それにしても、次から次へといろんなアイデアが湧くもんだなぁ、としきりに感心してしまった。
この数年で増えてきた、かき氷の通年提供店や専門店のおかげで、冬でも美味しいかき氷を食べ歩くことができるようになった。ありがたいことだなぁと思いつつ、もう少しするとまた忙しい季節がやってくるのだから少しゆっくりしてくださいね、と考えたりもするのだった。
小池隆介

小池隆介

かき氷のフードイベント『かき氷コレクション』実行委員会代表。かき氷専門ガイド本『かきごおりすと』の編集・発行者。一般社団法人日本かき氷協会代表。日本中のかき氷を食べ歩いて取材し、日本古来の食文化で伝統食でもあるかき氷を広く伝える為に活動。かき氷にとどまらず、氷雪業(氷の卸しや販売、製造)全体にも精通している。

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