カメラ女子必見!粟島のアートとフレンドリーな島人に出合う旅

2017.04.06

香川県本土から船に乗り、たった15分ほどでたどり着く粟島。昔から外交が盛んで、和洋折衷のかわいい建物や現代アート、観光客をもてなすために住民が趣味で描いたユーモアあるオブジェなどが点在するフォトジェニックな島です。今回はカメラ女子が1泊2日の粟島旅で訪ねるべきスポットを紹介します。

▲粟島の人はとってもフレンドリー。写真のリクエストにもノリよく対応してもらえた

粟島に向かうには香川県の詫間(たくま)駅から三豊市コミュニティバス(100円・税込)で須田港に移動し、粟島汽船(330円・税込)に乗ること約15分。辿りついた粟島は人口200人余。最年少の方で40代後半(それも1人だけ!)、ほとんどが70歳以上のこの島は、住民が来島者にフレンドリーなことでも知られています。

※住基上は247人(平成29年1月1日現在)。20代の方4名が粟島に住所を置いているが、週末に粟島に戻ってくる生活を送っている。
▲須田港からこの粟島汽船に乗って粟島にレッツゴー!船乗り場にいると粟島の人たちが声をかけてくれて楽しい

さっそくフォトジェニック!カラフルな粟島港

粟島港を降りて一番に目につくのがカラフルなキノコのオブジェ。かわいい!とシャッターを切っていると、オブジェにペンキを塗っている島の第一村人発見。聞けば、すべてこちらのお父さんが手がけたそう。

にこにこと解説し、「近くでお店をやっているんや。いくか?今日は休みやけど」と連れていってくれました。
▲第一村人の武内信和さん。粟島港は武内さんのアートで染まっている
▲御歳88歳(取材時)という武内さん。「見えんやろ!」と元気に話す姿の若々しいこと。粟島には、「実年齢より10歳は下に見られる」という島民の方が何人もいらっしゃいました
▲港から徒歩1~2分の細い路地にある「武内商店」。(営業時間7:00~18:00、日曜定休)

ついたお店は「武内商店」。お菓子に飲み物、日用品や食料品までなんでも揃う、自称・コンビニたけうち。「子供が遊べるところがないから」とぶんぶく茶釜や一寸法師などの童話のオブジェの他、射的やけん玉などもサービスで用意してくれています。優しいなぁ。
▲店先に飾られた、ぶんぶく茶釜の綱渡り
▲無料で自由に遊べる射的・けん玉・輪投げ・サッカー。「子供がきたらずっと遊んどるぞ」と武内さん

無人サービスのレンタサイクルで気軽に巡る

武内さんに別れを告げ、粟島港から徒歩5分くらいの場所でレンタサイクル店を発見。なんと無人でした…びっくり!看板娘「大口しま子」の口に500円を入れて借りるシステムです。
▲無人の自転車レンタルサービス。「大口しま子」の口に500円を入れて自転車を借りる

なんとユニーク!自転車には鍵もかかっていないので、近くにいたおっちゃんに「盗まれたりしないんですか?」と尋ねると、「大丈夫!そのカメラをこのへんに置いててもちゃんと夜まであるで。確かめてみぃ」と笑い飛ばされました。
▲出発!お金を入れるだけなので、ぱぱっと自転車を借りたり返せたりできて楽

「自動アシスト自転車 1台1回¥1,000」と書いているのに、自動アシスト自転車が見当たらなくておっちゃんに尋ねると「俺が大抵この辺におるから声をかけてくれたら出してくる」と言う。ゆるい…(笑)。

今回はしま子ちゃんの口にお金を入れて、アシストなしの自転車を借りました。
▲牡蠣を養殖しているおっちゃんたちにばったり。大量の牡蠣に驚いていると「食うか?」と殻のまま口に運んでくれるユーモアさ
▲粟島港付近の主要スポットへの道はどこも平坦なので安心して廻れる
▲まずは島のオブジェ巡りを。タコや魚、島の名物である海ほたるなどユーモア溢れるオブジェが島のあちこちにある
▲こちらには、パンダやキリン、ライオンなどいろんな動物がいる
▲島を巡ると出合いがいっぱいで楽しい

島を代表する人気現代アート「漂流郵便局」

港付近のオブジェ巡りを楽しんでいると「漂流郵便局」を発見!ここは、2013年に開催された「瀬戸内国際芸術祭」で日本の現代美術家・久保田沙耶さんが手がけたアート作品。亡き人、過去や未来の私へ。届けたくても届けることができない想いを手紙に綴り、この郵便局に届けることで、想いが届いたような気がする。そんな、漂流する想いが集まる郵便局なのです。
▲空き家になっていた旧粟島郵便局を生かした「漂流郵便局」
▲郵便局の局長・中田勝久さん

芸術祭終了後、漂流郵便局を撤去させるよう通知が来たけれど、せっかくの手紙を捨てるのは忍びないと自らお金を出し、管理をし、来る人をもてなしているという局長・中田勝久さん。粟島郵便局に45年間勤務し、局長を17年務めてきた人です。

芸術祭が閉幕した後も、第2・4土曜日の13:00~16:00に開局。開局時間以外でも手紙を受け付けていて、2017年3月までに計21,100通以上の手紙が届いているそうです。開局時間内に訪ねれば、どの手紙も読むことができます。
▲今でも日本中から届く手紙。読んでいると胸が締め付けられる

「ここに届く郵便物の内容は、行き所のない心の想いを綴ったものがほとんどだね。一番多いのが亡くなった人への想い。他にはかつて愛した人や、生き別れした家族に向けた想い。10年後の『私』に向けた想いや、直接言うには恥ずかしい感謝の気持ちを綴ったものもあるよ。『ありがとう』『ごめんね』という言葉があちこちの郵便物に綴られているんだ」と中田さん。
▲局内に入ると見学者が15人ほどいた。ほとんどが若い女性。1日60人ほど訪れるそう
▲何人ものカメラ女子が写真を熱心に撮っていた

笑顔が素敵で気さくな中田さんは「一緒に写真撮ってくださーい」という声かけにも喜んで応えてくれました。今後も郵便局が続きますように…。

心が温かくなって笑みが溢れる「民宿 ぎんなん」と「ブイブイガーデン」

自転車を返却し、今度は粟島港から船で15分。粟島にあるもう一つの港・上新田港に到着しました。今日はこの港にある名宿「ぎんなん」に宿泊します。
▲粟島港から上新田港までは徒歩1時間以上かかるので船移動がおすすめ。料金もたった160円(税込)

下船すると1人のお母さんが笑顔で迎えてくれました。この女性が「ぎんなん」の女将・ゆみちゃん。気の張らないキャラクター、和むなぁ。
▲上新田港まで迎えにきてくれた「民宿 ぎんなん」のゆみちゃんと、さっそく会話が弾む
▲右側にあるえんじ色の屋根の建物が「ぎんなん」。きれいな浜を独り占めできる
▲「ぎんなん」の外観。集落の端にあるので、人通りが少なく静か。目の前に広がる海の景色をゆったり楽しめる
▲客室。1日1組限定、5名まで泊まることができる

「ぎんなん」に着くとゆみちゃんの助っ人・えっちゃんも迎えてくれました。夕食までの時間にえっちゃんが案内してくれたのが、ぎんなんの傍にある「ブイブイガーデン」。「ブイブイガーデン」はえっちゃんの家の庭で、「ブイ」とは漁業に用いられる「浮き」のこと。捨てられたブイを使ってオブジェを作り、花を育て、訪れた人をもてなしているのです。
▲えっちゃんが作ったおひなさま。表情がさまざまで見ていて飽きない
▲88体くらいあるお地蔵さんや浦島太郎など、いろんなキャラクターがいる
▲すべて表情が違う、222(にゃんにゃんにゃん)匹の猫。すべてえっちゃん作
▲これまで咲いた花や、知り合いが持ってきた花の種を蒔いて、後は自然に咲くのを待っているという(写真は2011年5月のもの)

半径500歩以内で採れた食材のみを使った夕食に舌鼓

「ぎんなん」の食事は“半径徒歩500歩以内の食材のみで作る家庭料理”がコンセプト。ゆみちゃんが採ったワカメや、えっちゃんの旦那さんが獲った魚、えっちゃんが育てた野菜などを調理するというこだわりぶり。
▲ワカメを採るゆみちゃん。ご近所さんも岩牡蠣を獲ってご馳走してくれた
▲ブイブイガーデンと同じ敷地内にある畑で、えっちゃんは常に10種類以上の野菜を無農薬で育てている

いよいよ待ちに待った夕食です。一品一品提供してくれるのですが、なかでも印象的だったのが「ワカメ」。シャキッとした食感、味わい深い濃厚な旨み。これまで私が食べてきたワカメと別物でした。特にしゃぶしゃぶにすると旨みが凝縮され、香りも立って感動!
このように旬の地元食材を、存分に楽しませてくれるのが「ぎんなん」の良さなのです。
▲ワカメのしゃぶしゃぶ。鰹だしにサッと潜らせると鮮やかな緑色になる。濃厚な旨みに驚いた
▲鯛の漬け。食前酒の自家製梅酒には梅の花も入っていて香りが良い
▲さっきご近所さんが獲ってくれた岩牡蠣。ポン酢に収穫したての橙を絞り、すりおろした青大根を混ぜて食べる。澄んだ爽やかな風味
▲カサゴのから揚げ。頭から尻尾まで全てサクサクと食べることができる
▲左上から時計回りに、カボチャの煮物と高野豆腐、まんば(高菜の1種)の煮物、自家製ひじきの煮物、黒メバルの煮付け、ハブ茶の茶粥
▲「一番のご馳走だよ」とシメと一緒に出てきた自慢のたくあん。えっちゃんが種から大根を育て、冬の北風にさらし、糠床に漬けて作ったそう
▲食事中はずっと席を共にして、ざっくばらんにおしゃべりをしてくれる。笑いが絶えない

夕食を楽しんだら、静かな波の音に包まれながらぐっすりと就寝。朝起きて窓の外を眺めると、心が洗われる海景色が広がっていました。
▲窓から見える景色。眺めていると心が浄化されるのを感じる
▲朝食でも地元の食材を使った心温まる料理が提供された

「ぎんなん」の料理はどれも繊細な味わいが活きていて心に染み渡ります。私がこれまで食べてきたご飯のなかで、最も美味しい料理をあげたら3本の指に入るかも!なお、「ぎんなん」はランチのみの利用も可能(4~5日前までに要予約)。宿泊が難しい人はぜひランチだけでも立ち寄ってみてくださいね。
▲ランチは日替わりで8品ほど出る(1,500円・税込)。時間はお客様の希望に応じてくれる。「朝から夕方までゆっくりしている人もいるよ」とゆみちゃん
▲上新田港まで送ってくれ、船が見えなくなるまで手をふってくれた、ゆみちゃん(左)とえっちゃん(右)

このあったかいお母さん2人が迎えてくれる「ぎんなん」。来る人のほとんどがリピーターだそう。また「ただいま」と訪れたくなる宿です。

カメラ女子の心をくすぐるノスタルジックな「粟島海洋記念館」

翌朝再び粟島港に戻り、港から徒歩5分くらいのところにある「粟島海洋記念館」へ。明治30(1897)年にできた日本初の海員養成学校です。昭和62(1987)年に廃校になった後も保存され、昔の船舶機器や模型などさまざまな資料を展示しています。
▲エメラルドグリーンの壁に和洋折衷のしつらえ、大正硝子。カメラ女子の心をくすぐるかわいさ!
1階に展示されている資料には、月に一度の娯楽として「豆掴み競争」が行われたことや、広島まで1隻に20人が乗って手漕ぎで修学旅行に行ったことなど、当時の様子が記されています。
▲学生の思い出を書き込んだ世界地図も

この世界地図には、とある生徒がシンガポールへ航海中にたった1人だけ命拾いしたことや、赤道通過時は「赤道まつり」を踊ることなど、想像を超える航海中のエピソードがたくさん書かれていました。

なお、同じ敷地内にある宿泊施設「ル・ポール粟島」では6~9月に「海ほたるショー」を開催。スタッフが海に連れて行ってくれて、海ほたるが光るマジックをかけると、目の前一面がキラキラと輝く幻想的な景色を楽しむことができます。おすすめ時期は8月下旬から9月初め。もしくは6月だそう。
▲海ほたるが輝く様子(写真提供:ル・ポール粟島)
気さくで明るい粟島の人たちが、おもてなしの気持ちを込めて作った心くすぐるアートや現代芸術、そして美味しいごはんにきれいな風景……。写真を撮っておしゃべりを楽しんでいるうちに、心も体もリフレッシュ!粟島のみんなにもまた会いたいし、また来よう!
黒島慶子

黒島慶子

醤油とオリーブオイルのソムリエ&Webとグラフィックのデザイナー。小豆島の醤油のまちに生まれ、蔵人たちと共に育つ。20歳のときに体温が伝わる醤油を造る職人に惚れ込み、小豆島を拠点に全国の蔵人を訪ね続けては、さまざまな人やコトを結びつけ続けている。 (編集/株式会社くらしさ)

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。

こちらもおすすめ

もっと見る
PAGE TOP