渋温泉「九湯めぐり」で絶対に入っておきたい名湯3選

2017.04.07 更新

約1300年の歴史を持つ信州・渋温泉。石畳の両脇に立ち並ぶノスタルジックな温泉宿が目を引きますが、人気の秘密はそれだけではありません。源泉がすべて異なる9つの外湯(共同浴場)があり、渋温泉の宿泊者だけに特別開放されているのです(大湯を除く)。今回は、その中から特におすすめの3つの温泉をご紹介します。

すべて源泉100%かけ流し!源泉が異なる9つの外湯が点在

長野県の北部に位置する渋温泉は、レトロな街並みで知られる人気の温泉街。37本もの源泉を持つことから、さまざまな湯が楽しめることで知られています。
▲最寄りの湯田中駅からは路線バスで7分ほど(渋温泉下車)。温泉に入るサル“スノーモンキー”で世界的に有名な地獄谷野猿公苑のおひざ元でもある

温泉街には、地元の人たちによって大切に守られてきた9つの外湯(初湯、笹の湯、綿の湯、竹の湯、松の湯、目洗いの湯、七操の湯、神明滝の湯、渋大湯)が今も残っています。基本的には地元住民のためのものなので一般の方には開放されていませんが(大湯を除く)、渋温泉の各温泉宿に宿泊した人に限り、特別に無料で外湯めぐりを楽しむことができます。

ちなみに、9つの外湯をすべてめぐると「九(苦)労を流し、厄除け、安産育児、不老長寿」の御利益があるのだとか。最後に薬師如来を祀る「渋高薬師」にお詣りすることで、満願が成就するそうです。

スタンプラリー感覚で、目指せ九湯コンプリート!

渋温泉の外湯めぐりの一番の魅力は、特徴の異なる9つもの温泉が楽しめるということ。湯の色や効能がそれぞれ違っているばかりか、そのすべてが源泉100%かけ流し!湯量が豊富な土地ならではの特権です。
▲青い幟が、外湯の目印。写真は湿疹などに効くといわれる二番湯「笹の湯」。【泉質】ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉、【源泉温度】65.0度

外湯の営業時間はすべて6時~22時(渋大湯の一般客の入浴は10時~16時)。小さいところは3~4人、大きいところは7~8人と、湯船のキャパシティはそれぞれ異なりますが、どのお風呂にもシャワーはなく、湯船だけの簡素な造りになっています。各施設とも番頭さんなどはいないので、宿泊先から借りた鍵で出入りをします。なお、全体的に湯の温度がかなり高いので、野暮ではありますが、必要に応じて水で埋めましょう。
▲外湯の鍵は9つ共通。チェックインの際に各宿で借りることができる

宿でチェックイン手続きを済ませた後、私も早速部屋で浴衣に着替えて、外湯めぐりに出かけました。
▲石畳が敷かれた情緒たっぷりの街並み
▲外壁に掛けられた温泉街の案内図。徒歩で歩いてまわれる範囲に9つの外湯が点在している
▲外湯はすべて無人。ドアはすべてオートロック仕様になっている

なお、各湯の入り口にはそれぞれスタンプが置かれているので、スタンプが押せる別売りの「祈願手ぬぐい」を購入しておくと、スタンプラリー感覚で湯めぐりが楽しめますよ!
▲各宿で販売しているスタンプが押せる「祈願手ぬぐい」(税込350円)

1日で9つすべてをめぐるのはなかなか大変ですが、今回は翌日のチェックアウトまでに、全部のお風呂をめぐりました。その中から、おすすめの3つの温泉をご紹介します。

美人の湯として名を馳せる、六番湯「目洗の湯」

入ると肌がきれいになる「美人の湯」と聞き、まっさきに立ち寄ったのが六番湯「目洗の湯」。その昔、大勢の人の眼病を癒したといわれていることから、この名前がつけられたといいます。効能は、筋肉もしくは関節の痛み、またはこわばり、冷え症、胃腸機能の低下など。
▲九湯の中でも広い部類に入る、六番湯「目洗の湯」の外観

鍵を開けて中に入ると、小さな玄関と靴箱が。脱衣場には木の棚が据え付けられていて、荷物が置けるようになっています。浴室は、湯船も床板も年季の入った木でできていました。使い込まれて風合いのある感じが、旅の気分を盛り上げます。置いてあった洗面器でかけ湯をして、いざ湯船へ!
▲【泉質】ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉、【源泉温度】50.6度

湯船は思いのほか深く、お尻をつけると顎の下まで湯につかってしまうほどです。湯はほぼ透明で、白い、大きな湯の花がゆらゆらと舞っていました。最初は「ちょっと熱いかな」と思ったのですが、慣れてくるとそんなこともなく、ずっと入っていられそうなほど気持ちのよい湯でした。
▲外に置かれている、湯めぐり用の朱肉とスタンプ
▲まずは1つめのスタンプをゲット!

美人の湯というだけあって、お風呂あがりはお肌がさらさら、すべすべに!湯船も広めなので、ゆっくり湯浴みを楽しみたい方にもおすすめのお風呂です。

婦人病に効き、子宝に恵まれるといわれる八番湯「神明滝の湯」

続いて向かったのは、婦人病によく効くといわれている八番湯「神明滝(しんめいだき)の湯」。源泉は裏山の神明山から湧き出しているそうで、昔は滝のような打たせ湯で疲れを癒したといわれています。子宝にも恵まれるという言い伝えもあり、「子宝の湯」とも呼ばれているのだとか。効能は「目洗の湯」と似ていて、腰痛や神経痛、打撲やねんざなどによいとされています。
▲八番湯「神明滝の湯」の外観。「目洗の湯」に比べるとだいぶコンパクトな造り

浴槽は木でできていて、先ほどの「目洗いの湯」が7~8人用だとしたら、こちらはその半分ぐらいの大きさ。湯は、やや白みがかっていて、しじみ汁のような色をしていました。
▲【泉質】ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉、【源泉温度】58.7度

「さて、ここのお風呂は、どんなお湯かしら?」
張り切ってかけ湯を試みるも、手もつけていられないほどの衝撃の熱さ。熱い!熱すぎる!
「私の我慢が足りないだけなのかも」と歯をくいしばって再トライしてみるも、同行のカメラマンも悶絶の表情。
「……水を入れましょう」
やむを得ずさし水。しばらく誰も入っていないお風呂は、とんでもない熱さになっているので要注意です。
▲大き目の湯の花が大量に舞っていた

湯上がりは身体がポカポカに。肌は先ほどとは変わって、ふっくらとしたような感覚がありました。

フォトジェニックな被写体がいっぱい!町歩きも楽しい渋温泉

さて、身体も温まったところで温泉街をちょっと散策。渋温泉には、町のあちこちに細い路地があり、思いもよらない探検気分が味わえます。
▲格子が施された情緒たっぷりの建物と入り組んだ配管のコラボ
▲町角で見つけた源泉スポット。もくもくと立ち上る湯気からは、ほのかに硫黄のにおいが
▲旅館「古久屋」の軒先で売られている温泉卵(1個税込50円)

誰でも気軽に楽しめる無料の足湯もありました。武田氏の家紋である「四つ割菱」の形をした足湯。その昔、武田信玄も戦の傷をこの湯で癒したといいます。
▲4つに区切られた足湯。それぞれ温度が違っているので、お好みの湯を探そう

この日は、夜までに、一番湯「初湯」、二番湯「笹の湯」、三番湯「綿の湯」、七番湯「七繰の湯」と、全部で6つのお風呂に入りました!
▲胃腸の湯の異名を持つ一番湯「初湯」。【泉質】ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉、【源泉温度】65.0度
▲切り傷や皮膚病などにいいといわれている三番湯「綿の湯」。【泉質】ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉、【源泉温度】65.0度
▲外傷性の障害や病気の回復にいいとされる七番湯「七繰の湯」。【泉質】ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉、【源泉温度】50.5度

街灯が灯る夜は、昼とはまた違った雰囲気に。無料で楽しめる卓球場や射的のお店など、温泉街ならではの娯楽スポットも点在しています。
▲木造の旅館やお土産屋、饅頭屋などが軒を連ねる温泉街。写真手前は昔懐かしい射的のお店
▲情緒たっぷりの夜の街並み。外湯は22時まで入浴できる

宿泊客以外も湯浴みが楽しめる九番湯「渋大湯」

2日目は、早朝から四番湯「竹の湯」と五番湯「松の湯」を堪能。そして、いよいよ結願(けちがん)の湯であるラストの九番湯「渋大湯」へ!
▲慢性痛風などに効果があるといわれている四番湯「竹の湯」。【泉質】ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉、【源泉温度】70.5度
▲神経痛や病気の回復時によく効くとされる五番湯「松の湯」。【泉質】ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉、【源泉温度】70.5度
▲9つの中で一番大きな九番湯「渋大湯」。入り口は男女横並びではなく、建物の表裏で分かれている

9つある外湯のうち、ここ「渋大湯」だけは、渋温泉の宿泊者以外も入ることができます(宿泊客以外の利用可能時間は10時~16時)。ただし他の外湯と同様、番頭さんなどがいるわけではないので、日帰り入浴の方はあらかじめ、渋温泉旅館組合事務所または渋温泉駐車場で入浴料(税込500円)を支払って、大湯近隣の旅館または商店で鍵を開けてもらいましょう。もちろん、宿泊者は無料で入浴することができますよ。
▲【泉質】ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉、【源泉温度】60.2度

その名前のとおり、湯船も格別に大きいこちらの湯。熱湯(奥)とぬる湯(手前)、温度の異なる2つの湯船がありました。湯の色は、鉄分をたっぷり含むことから、黄土色をしています。万病に効くといわれていますが、特に神経痛やリウマチなどに効果があるとか。

浴室には、ほのかに金属のにおいが立ち込めていました。インパクトのある色とにおいをしていますが、湯の感触は思いのほかあっさり。湯上がりは肌がさっぱりとして気持ちよかったです。
▲9つの外湯の中で、唯一蒸し風呂を完備。地下にある源泉の湯気を利用しているそう
▲「渋大湯」の上には、無料で楽しめる足湯もある。こちらはかなり熱めなので、覚悟が必要。湯上がりは肌が真っ赤に!

最後に、温泉街を見守る薬師如来様を参詣

これで、ようやく9つすべての外湯をコンプリート!満願成就を叶えるべく、温泉街の裏山に立つ「渋高薬師」を目指します。
▲急な階段を上って、目指すは「渋高薬師」!
▲渋温泉のパワースポット「渋高薬師」。病を癒す薬師如来が祀られている
▲最後のスタンプを中央に押して、九湯めぐりを達成。ご利益がありますように!

さまざまな温泉が気軽に楽しめる渋温泉「九湯めぐり」。私は1泊2日でコンプリートしましたが、さまざまな湯が楽しめるので、チャレンジする価値はありますよ。温泉好きな方はぜひトライしてみてくださいね!
(写真・平松マキ)
松井さおり

松井さおり

出版社勤務を経て、フリーランスのライター&編集者に。雑誌や書籍を中心に、主に、食・旅・くらしなどにまつわる記事を執筆している。現在は、東京から長野県長野市に拠点を移し、県内外を奔走する日々。(編集/株式会社くらしさ)

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