白狐が見つけた美肌の湯「湯田温泉」。浸って飲んで体の中からも美しく!
山陽随一の湯量を誇る名湯といわれ、“白狐伝説”が伝わる山口県山口市の「湯田温泉」。そのやわらかいお湯は、肌にしっとりとなじみ、湯上がりは“すべすべ”になると女性に人気です。立ち寄り湯はもちろん飲泉場や趣向を凝らした足湯も多数点在する湯田温泉の楽しみ方を紹介します。

約800年の歴史を誇る名湯。見つけたのは白狐!?
開湯は約800年前とされ、“白狐伝説”が温泉発見の由来として伝わっています。権現山と呼ばれる山の麓にあったお寺の境内で、傷ついた足を池につけている白狐を見かけた和尚さん。その池の水をすくってみるとなんと温かい、さらに池を深く掘ってみると熱いお湯がみるみる湧き出し始めた、というものです。
このため湯田温泉は「白狐の湯」ともいわれ、いたるところでかわいらしい白狐のマスコットたちに出会えます。

例えば、JR湯田温泉駅では高さ8mの白狐「ゆう太」が観光客をお出迎え。さらに、駅から徒歩10分ほど、温泉街の中程に位置する湯の町通りには、店頭ごとにふくよかなスタイルの「招き白狐」が並んでいます。


まずは「狐の足あと」で足湯を堪能しながら温泉街の情報収集



館内には3種類の足湯「窓辺の湯」「四季の湯」「言音の湯」があります(大人税込200円、小中学生税込100円)。お湯に入るのは足だけとはいえ、5分もすれば温泉の熱が全身へと伝わりポカポカに。白狐になった気分で足を温めましょう。



こちらの施設には、無料でレンタルできる入浴衣装も用意されています。もちろん、着替えなくても足湯には入浴できるのですが、すべての足湯を堪能するなら、スカートやズボンの裾を気にせずにくつろげる、専用の衣装がオススメです。

なお、3カ所どの足湯でも、お湯に浸りながらカフェメニューが味わえるそう。カウンターで注文をしておけば、入浴場所まで持ってきてもらえます。
メニューを見ると…、わわ、ここにも白狐にちなんだメニューがいっぱい!なかでも人気の高い「狐のカフェラテ」「白狐アイス」「白狐外郎パフェ」を注文してみました。

「白狐アイス」をいただこうとすると、ん?油揚げ~!?しっかり油抜きした油揚げでバニラアイスを包んでいるのだそう。これは初体験…クレープよりもふんわりした食感で、風味もアイスクリームともびっくりの相性良し、とっても美味しい~。


そして、スイーツだけでなく「獺祭」「東洋美人」など、山口県内にある18酒蔵の地酒が揃う利き酒メニューも人気!3銘柄ずつ(税込500円)のセットのほかに個別(税込200円)でも味わえます。


湯田温泉観光回遊拠点施設 狐の足あと
山口県山口市湯田温泉2丁目1-3
[営業時間]8:00~22:00
[入館料]無料(足湯のみ有料:大人200円、小中学生100円 ※税込)
[定休日]なし
083-921-8818
神に仕える白狐が守る温泉を飲めば、運気も上昇!


最高で72度もある温泉はさすがに手ではすくえません。そこで、案内所で飲泉用に販売されている「開運飲泉ぐい呑み」を購入しました。かわいらしくてお土産にもぴったり!

なぜ飲泉で開運?…というのも、湯田温泉を風水の「四神相応」における西の守りの地にあたり、その守りを「白虎」(四神の一つで西の方角を司る霊獣)に変わって温泉ゆかりの「白狐」が務めているからだとか。財運を招くといわれる「白狐」の運気を、温泉を飲むことで得られると考えると、なんだかとてつもないご利益がありそうです。

湯田温泉観光案内所
山口県山口市湯田温泉2-1-23
[営業時間]9:00~18:00
[定休日]なし
観光案内:083-901-0150、宿泊案内:083-922-1811
白狐伝説の舞台・権現山のふもと。人気のお宿で立ち寄り湯
湯田温泉には立ち寄り入浴のできるスポットが8カ所ありますが、今回は「名勝 山水園」(以下、山水園)へ。温泉街の北東の端、白狐伝説の舞台・権現山のふもとにある旅館で、見事な和風建築は登録有形文化財にも指定されています。

「山水園」には温度の異なる3本の自家源泉があり、それらをブレンドすることによってすぐに温度調節が可能で、湧き出たばかりの源泉100%かけ流しのお湯が堪能できます。「良質のお湯であっても、湧きたてを新鮮なまま使わなければ効能は生かされない」と何よりもお湯の鮮度にこだわっているそうです。

アルカリ単純硫黄泉のお湯は、神経や関節の痛み、打ち身、冷え性など効能は多岐にわたります。質感はつるりとしていてとてもなめらか、じんわりと優しく温かさが浸透していく感覚です、気持ちいい~。
山水園
山口県山口市緑町4-60
[立ち寄り入浴営業時間]10:00~22:00(受付21:00まで)
[立ち寄り入浴料]大人税込1,600円(満70歳以上は税込1,300円)、小学生以下税込800円
※家族湯は入浴料の他に貸切料1時間税込2,000円
[定休日]毎月最終火曜
083-922-0560
国内でも指折りの名物女将が圧倒的パフォーマンス!「西の雅 常盤」の「女将劇場」

2017年に52年周年を迎える「女将劇場」は、パンフレットによると、マジック、太鼓演奏など多彩なステージパフォーマンスで構成されている様子。人気の秘密を目の当たりにすべく、早めに良い席を確保しましょう!


高美女将の勇壮なかけ声による「トコトンヤレ節」で開演、続いて「SL太鼓」と銘打った太鼓演奏、日本の伝統奇術「胡蝶の舞」、水芸、さらにはマジックショーなど、次々に多彩な演目が繰り広げられます。


その中心には常に女将がいて、時にとても70歳代とは思えないほどの派手なアクションも!度々お客を巻き込んでのコミカルなやりとりも交えながら、ひたすら全力なパフォーマンスに、きっと誰もが「驚き」と「笑い」の“女将ワールド”に引き込まれることでしょう。

「見た人が元気になれるように」と思いが込められた女将の全力パフォーマンスに圧倒されっぱなしの60分。持ちネタは86もあり、水芸や髪筆文字などの人気ネタ以外は日替わりで上演されるそう。湯田温泉を訪れるたびに、たとえ別の旅館に泊まっていても「女将劇場」に必ず足を運ぶ人も少なくないのだとか。
西の雅 常盤「女将劇場」
山口県山口市湯田温泉4-6-4
[会場]コンベンションホール「瑞祥」
[上演時間] 20:45~21:45
[休演日] 12月31日・1日1日
※女将不在時はオリジナルショー
[観覧料]無料
083-922-0091
また、毎年4月初旬に開催される「湯田温泉白狐まつり」(2017年は4月8日・9日)では、指定旅館の内湯開放や、幻想的な「白狐の嫁入り松明行列」など、普段では体験できない内容が盛りだくさん。

日帰りも良し、宿泊すればなお良し。「山水園」「常盤」はもちろん、立ち並ぶ旅館も素敵なお宿ばかり。何度も「湯田温泉」を訪れているうちに、きっと狐たちもうっとり見とれるほどの美肌になっているはずです。
湯田温泉
山口県山口市湯田温泉
083-920-3000(湯田温泉旅館協同組合)

兼行太一朗
フリーライター・カメラマンとして、山口県を拠点に活動中。 主に旅行、グルメ、歴史、地方創生などについての書籍やウェブサイトを中心に取材・執筆を行っている。拠点とする山口市では、歴史資源を生かした地域活性化に取り組むNPO法人「大路小路まち・ひとづくりネットワーク」にも所属し、守護大名大内氏や幕末に関する史跡、ゆかりの場所や人物についての取材を担う。(編集/株式会社くらしさ)
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