カツオのタタキだけじゃない!地酒もすすむ高知のご当地海鮮料理

2015.10.06 更新

カツオのタタキは高知を代表する郷土料理だが、地元ではタタキ以外の料理やマニアックな魚介も酒肴にして、毎夜地酒に酔い、「おきゃく」(土佐弁で「宴会」)を楽しんでいる。そこで、今回はそんな知られざる高知の海鮮グルメを紹介する。

注文を受けてからさばくからうまい!納得のタタキを味わう前に。。。

高知県在住者なら誰しも、自分なりのお気に入りの「タタキのうまい店」を一軒や二軒は持ち合わせているものだ。今回紹介する「一八の食家(いはちのめしや)」は私のそのうちの一軒。

2015年3月にオープンしたばかりの店ながら、店主・池澤伸将(いけざわのぶまさ)さんの魚の目利きは確かで、提供される海鮮料理で裏切られたことはない。

ただし玉にキズなのが、注文を受けてから魚をさばくので、少々待たされること(笑)。しかしこれも鮮度保持のためのこだわりなのだから仕方がない。すぐに出てくるメニューも同時にオーダーしておくのがここの流儀なのだ。
酒盗

名前の由来は「酒を盗むほどうまい」。見た目はイマイチだが、その名に偽りなし!

タタキが出来上がるまでに楽しめる高知ならではの酒肴といえば「酒盗(しゅとう)」(税別500円)。「酒を盗むほどうまい」と言われているが、見た目はややグロテスクで、初めての人は戸惑うかもしれない。

この正体はカツオの内臓の塩辛。内臓を日本酒でよく洗って塩で漬け込むから、臭みはまったくない。コリコリとした歯応えと噛むほどに広がる旨みが左党にはたまらない一品だ。ここはキュッと土佐の地酒と合わせたい。
高知の地酒

土佐湾で獲れた魚介にはスイスイ飲める土佐酒が相性抜群

池澤さんのご実家は代々酒販店を営んでいた。そのこともあり「高知の酒をもっと飲んでもらいたい」という思いが人一倍強い。お店の日本酒のラインナップは常時10種類以上(税別一合350円~)。そのほとんどが高知の地酒だ。

春の「新酒」、夏の「生酒」、秋の「ひやおろし」など、季節に応じた種類も並ぶので、旬の魚介と合わせて楽しみたい。

ちなみに現在高知にある酒蔵は18蔵。その味わいは「淡麗辛口」で知られ、いくらでもスイスイ飲めるゆえに、つい飲みすぎてしまいがち。その飲み口の良さから全国にファンが多いのも事実。

高知の酒が淡麗辛口になったのは、諸説あるものの、黒潮の影響で年間を通じて比較的温暖な気候のため、さっぱりした味わいが好まれた、ともいわれている。
カツオのハランボ

四季折々の土佐湾の恵みを楽しむ。タイミングを逃さずレアものも味わいたい

高知ではカツオの身はタタキや刺身で、それ以外の部位も酒盗のように工夫して食べられるところは全部食べる。そこで次におすすめしたいのが「ハランボ」(税別700円~)。カツオのお腹の部分をシンプルに塩焼きしたものだ。

ハランボは柔らかな身にたっぷり脂がのって美味。骨もなく食べやすいのでガブリとかじりついても大丈夫だ。

ほかにも珍味として知られるカツオの心臓「チチコ」を提供してくれるお店もある。
どろめ
カツオ以外の高知ならではのご当地海鮮メニューも楽しみたい。

ほぼ年間を通じて味わえるが、春が一番の最盛期となるのが「どろめ」(税別700円~)。カタクチイワシの稚魚を生のままポン酢などでいただく。
ねっとりとした舌触りとほのかな身の甘さが特徴で、チビチビつまむには最適な酒肴だ。

実はカツオの一本釣りでは、生きたカタクチイワシを撒き餌として使用する。高知ではカツオだけでなく、カツオの餌まで食べてしまう。
ちゃんばら貝
夏から秋にかけて旬を迎えるのが「チャンバラ貝」(800円~)。同店では日によって茹でたり、焼いたりして提供している。

やたら物騒な名前の由来は、身の先端部分を振り回し、チャンバラのような動きをすることから。食す際には爪楊枝で身を刺して、くるりと貝殻を回すようにして引っ張り出す。

少々コツがいるが、何度かやっていくうちにうまく肝の部分まで取り出せるようになるはず。コリコリとした食感と旨みがやみつきになる。
新子
地元で愛されるレアもの魚介といえば「新子(しんこ)」(税別1000円~)に尽きる。旬は8月下旬から9月上旬で、その期間は一ヵ月もあるかないかだ。

高知で新子といえば、基本的に宗田(そうだ)ガツオの幼魚のこと。とにかく足が早いので、水揚げした港周辺だけで消費されてきた。近年は輸送ルートの整備や保存技術の向上で、高知市内でも楽しめるようになった。

細長く切った身に、たっぷり仏手柑(ブシュカン)を搾って味わうのが楽しみ方。もちもちっとした食感と身の甘さが、仏手柑のさわやかな酸味とベストマッチ! この味を求めて、水揚げの多い須崎市や中土佐町まで足を運ぶ人もいるほどだ。

ちなみに新子には2種類あり、「しろす」がスマガツオ、「くろす」が宗田ガツオになる。(写真は「しろす」)
たたき

分厚く切ったカツオのタタキのうまさに悶絶。塩かタレか食べ比べもあり

いよいよ「カツオのタタキ」(税別1,000円~)の登場だ。もともとタタキはユズなどの柑橘酢を使った「タレ」で味わうのが主流だったが、近年では「塩」で味わうのも人気。

塩はできたてで表面が温かいタタキに適していると言われる。せっかくなので、今回は塩をオーダーした。分厚く切った身はひと口では入りきらないほどのボリューム。塩がカツオのうまみを存分に引き立てている。

池澤さんは冷凍のカツオを一切使わない。そのためカツオを提供できない日もある。冷凍物は臭みがでることもあり、本来のおいしさを楽しめないからだ。つまりカツオがメニューに掲げられている日は安心してオーダーできるというわけだ。
うまいカツオと地物の魚介、それに合わせた土佐酒が楽しめる「一八の食家」。夜の繁華街からは少し離れているが、商店街に灯る大きな徳利のちょうちんが目印なのですぐにわかる。

厨房を池澤さん一人でこなしていることと、一本から魚をさばくことから、料理の提供まで少々時間がかかることがある。その点を理解した上で、くれぐれも時間と心に余裕を持って足を運びたい。
藤川満

藤川満

清流・仁淀川流れる高知県いの町在住。出版社勤務を経て「撮って書く」フォトライターに。カヌーやトレッキングなど自然と親しむ一方で、利酒師の資格を有する日本酒党。またジャズライブの撮影はライフワークのひとつ。

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