世界遺産の知床で、クジラやイルカに出会うクルーズツアーへ!

2017.07.05

ヒグマやエゾシカ、キタキツネなど多くの野生動物が生息する世界遺産、北海道の知床半島。陸上だけではなく、その周りの海も世界遺産に登録されており、プランクトンや魚など数多くの海洋生物が生育しています。そんな知床の海には、クジラやイルカといった本来遠洋にいる海生哺乳類なども豊かなエサを求めて陸地近くまでやってくるそう!そこで、海の生き物たちに出会う自然探索のクルーズツアーに参加してきました!

▲クジラ、イルカそしてシャチに会いに知床・羅臼の海へ!(写真提供:知床ネイチャークルーズ)

世界有数のクジラやイルカのウォッチングスポット知床羅臼

オホーツク海に約70km突き出た北海道北東部に位置する知床半島。2005(平成17)年に沿岸海域とともに世界自然遺産に登録され、その美しい自然と、そこに生きる野生動物たちに魅せられた人々が季節を問わず多く訪れています。
▲知床半島の東側、羅臼町沖から眺める知床連山。陸と海の両方に、多くの命が力強く生きています

知床の海には流氷が運んでくる大量のプランクトンが含まれており、それをエサとする大小の魚類も非常に多く繁殖。命の躍動にあふれた豊かな海を形成しています。
▲植物プランクトンを多く含んだ流氷は、知床の生き物たちの命の源(写真提供:知床ネイチャークルーズ)

そしてそれらを追って回遊してくるのがクジラやイルカ、シャチなどの海生哺乳類たちです。半島の東側、羅臼町沖は彼らと出会える確率が高く、港を出てすぐの海域でも観察できる世界有数のウォッチングスポット。時には体長10mを超える巨大なクジラが潮を噴き、華麗に泳ぐ迫力の姿を船の上から間近で見ることができます。

そんなクルーズツアーが羅臼町の港より出航していると聞き、5月中旬に参加してきました。
▲運がよければ、尾びれを上げるマッコウクジラを間近に見られることも(写真提供:知床ネイチャークルーズ)
▲シャチの家族たち。はたして彼らに出会うことはできるのでしょうか?(写真提供:知床ネイチャークルーズ)
▲巨大な体が宙を舞うザトウクジラのジャンプ。こんなダイナミックな光景もみられるかも(写真提供:知床ネイチャークルーズ)

期待に胸を膨らませ、いざ出航!

ツアーでお世話になったのは「知床ネイチャークルーズ」。元漁師の長谷川正人船長をはじめ、スタッフ全員がツアー参加者を安全・安心に案内してくれる海のプロです。
ツアー開催期間は5月~10月、午前9時と午後1時の1日2回出航(ゴールデンウィークと夏休み期間中は1日3回、詳細はホームページでご確認ください)。2時間半ほどの航海となります。
空きがあれば当日の受付も可能とのことですが、人気のツアーです。早めに予約を!
▲当日の乗船手続きは「道の駅知床・らうす」の裏手にある事務所で。出航時間の30分前までに済ませましょう

事務所の向かい側には船長の娘、佳香(よしか)さんが店長を務める「知床雑貨カフェcho-e-maru」があります。クジラやシャチをモチーフにした手作り雑貨や、「知床ネイチャークルーズ」オリジナルグッズの販売 、さらにカフェスペースもあるので乗船までの待合所としても利用できます。
▲乗船前後にぜひ立ち寄ってみてください
▲船長の奥さんが手作りした雑貨や、 店長の佳香さんがデザインしたTシャツやポストカードなどオリジナリティのあるグッズがズラリ

事務所から港へは徒歩5分。港にも駐車場があり車でも移動できます。ツアーで乗船する船は、最新鋭の航海設備を備えたクルーザー「エバーグリーン」。定員は50名で、景色やクジラ、イルカなどが見やすい2階にもデッキを備え、快適なクルージングが楽しめます。
▲ライフジャケットを装着し、15分前までに乗船を
▲ツアーで乗船するクルーザー「エバーグリーン」。その船名は、長谷川船長が漁師時代に乗っていた漁船「長栄丸」を引き継ぎ、英語にしたものだとか(写真提供:知床ネイチャークルーズ)

乗客全員が乗船すると、いよいよ出航です。船が岸壁を離れるとともに始まるのがこのツアーの名物、知床・羅臼の海を知り尽くした長谷川船長のマシンガントーク!

「クジラやイルカが陸地近くまでやってくる羅臼の海は、世界でも珍しい場所です」などの発言を交えながら、見られるであろう動物たちの発見法やその特徴、知床半島やその対岸にある北方領土の自然や歴史、羅臼漁港で水揚げされる海産物のことなどを、愛にあふれたトークで紹介してくれます。
▲羅臼町で3代続く漁師の家に生まれたという長谷川船長。自身も4代目として漁業に従事していましたが、スケソウダラといった漁業資源の激減により平成14(2002)年に漁師を辞め知床観光の道に(写真提供:知床ネイチャークルーズ)

そんな長谷川船長のトークを聞きながら、さっそくウォッチングスタートです。場所は知床半島と北方領土・国後(くなしり)島の間にある根室海峡。国後島側にある日・露中間ラインを超えないように動物たちを探索します。
▲船上から見える国後島。知床半島から最短約25kmの距離にあり、長さは約120km。沖縄本島よりも大きい

船の乗り心地は意外にも、波が穏やかで快適なものでしたが、油断できないのが気温です。筆者が乗船したのは5月中旬でしたが、陸地では天気が良く暖かくても、海の上では吹き付ける風で長時間外のデッキにいると寒く感じました。船上でレインコートを貸してもらえますが、春・秋は手袋やニット帽、夏場でもパーカー等長袖の羽織るものを持参するのを忘れずに。
▲船上で借りられるレインコートには手描きのクジラやシャチのイラストが

ほどなくして、船のスピーカーから「右前方にミンククジラがいます!」と長谷川船長のアナウンスが。見てみると、黒く大きな背中が浮き沈みしているのが見えます。船がさらに近づくと、その約7mの巨体がよくわかり、さっそくの出会いにツアーの幸先の良さを感じます。
▲さっそく、ミンククジラが大きな背中を現しました!
▲海面から頭をだすミンククジラ。オキアミなどのプランクトンをエサとし、数万羽のハシボソミズナキドリとともに春先に多く見られるそうです(写真提供:知床ネイチャークルーズ)

ミンククジラから離れると、船は他の生き物を探してさらに沖へ。デッキの上でスタッフと一緒にツアー参加者も船の周りを探索しますが、いち早く見つけるのはやはりスタッフ。はるか前方にいくつもの水しぶきが上がっているのを発見しました!
▲デッキの上からスタッフと一緒に周囲を探索(写真提供:知床ネイチャークルーズ)
▲穏やかな海上に複数の水しぶきを発見

船が近づくと、おなかが白く「シャチかな?」と思いましたが、スタッフからイシイルカとの説明が。5月~10月によく見られ、2mほどの大きさで遊泳速度が時速約55kmと、とても速いのが特徴だそうです。
特に警戒する様子は無く、船と平行に水しぶきをあげて勢いよく泳いでいるさまに、「水族館では見ることのできない光景です」と長谷川船長。筆者をはじめツアー参加者全員が感激です。
▲船の真横を勢いよく泳ぐイシイルカ。しばらくすると船を追い越していきました
▲時には、船首に寄ってくる複数のイシイルカを見ることも(写真提供:知床ネイチャークルーズ)

次の観測スポットへ移動している間は、スタッフがそれぞれの生き物ごとの生態や特徴、習性などについて写真やイラストを使い丁寧にガイドしてくれます 。「さっき見たミンククジラはヒゲクジラ類で、主に動物プランクトンをヒゲで濾して食べているんですよ」など、貴重な知識を深めることもできます。
▲生き物たちのことを知れば、思い出がより深まります
▲本物のミンククジラのヒゲも見せてもらいました!

その後も探索を続け、イシイルカに3度ほど遭遇!ちなみに、今シーズンはシャチがかなり見られているという情報があり期待していたのですが、当日は海域に滞在していなかったらしく見ることができませんでした。

そうしているうちに船は港への帰路に。生き物たちの他に、標高1,661mの羅臼岳を最高峰とする峰々が織り成す雄大な景色も見逃せません。シャチが見られなかったことが心残りとなりましたが、船が港に着くと長谷川船長から「また乗りにきなよ」と声をかけてもらい、次に来る楽しみができました。
▲シャチと知床連山。このような景色を見るために、また来ようと思いました(写真提供:知床ネイチャークルーズ)

もっと見てみたい!クルーズツアーで出会える羅臼の海の動物たち

今回のツアーで見られたのは、ミンククジラとイシイルカでしたが、ツアーで見られる生き物はこれだけではありません。季節や運にもよりますが、知床・羅臼の海で見ることができる主な生き物を紹介します。
▲その巨体から想像できない美しいジャンプを披露するシャチ。こんな光景にもいつか出会いたいものです(写真提供:知床ネイチャークルーズ)

まず人気があるのはなんといってもシャチ。羅臼沖は多くのシャチが集まる世界でも珍しいスポットです。クジラやサメなども襲う最強の海洋生物と言われますが、家族の結びつきが強く、群れで泳ぐ姿はとても優雅です。本ツアーでは5月~7月上旬に見ることができます。
▲青い海に白黒模様が映えるシャチの群れ。人にはほとんど警戒しないようで、間近で観察することができます(写真提供:知床ネイチャークルーズ)

くちばしのようなとがった口先が特徴なのは、ツチクジラです。体長が9m~11mと大きく、10頭前後の群れで行動します。通年見られますが、遭遇率は低いとのことです。
▲とがった口の先が木づちに見えることから、ツチクジラの名前がついたそう(写真提供:知床ネイチャークルーズ)

そして羅臼の海で見られる最大の生き物が、7月~10月ぐらいにやってくるマッコウクジラです。体長は雄で大きなものは約18mにもなり、息継ぎのため四角い頭を海面に出す姿はまさにダイナミック!
▲クジラといえば潮噴き!マッコウクジラは噴気孔が頭の左側にあり、左前方斜めに潮があがります(写真提供:知床ネイチャークルーズ)

ちなみに、知床・羅臼の海には滅多に滞在しないのがザトウクジラ。ネイチャークルーズでは2年に1度ぐらいの割合でしか出会えないそうなので、見られたらものすごくラッキーですね。
▲大きく口を開けてエサを食べるザトウクジラ。出会えればこんな迫力の瞬間も近くで見られます(写真提供:知床ネイチャークルーズ)

知床・羅臼の青い海で、力強く美しい生き物たちに出会う感動のツアー。雄大な自然、クジラやイルカたちと海を走る心地よい感覚を、ぜひ生で体験してもらいたいです。知床半島を訪れたら、陸だけではなく海にもぜひ目を向けてみてください!
長尾悦郎

長尾悦郎

北海道十勝地方でカメラマン、ライター、新聞記者として活動中。撮影ジャンルは広告、風景、人物など幅広く。地元観光協会勤務やご当地キャラマネージャーなどの経験を生かし、地元をもっと盛り上げていきたいと思っています。(編集/株式会社くらしさ)

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