知床で夜の動物ウォッチング。エゾシカ、キタキツネ…ヒグマにも会えるかも!?

2017.07.29

北海道北東部オホーツク海に突き出た知床半島。大自然と呼ぶにふさわしいダイナミックな景色が広がり、その中に多種多様の野生動物が暮らしています。エゾシカやキツネなどは日中でも道路沿いでその姿を目撃することができますが、彼らが最も活動的になるのは夜!そんな夜の野生動物たちを安全かつ手軽に観察できる、ウォッチングツアーに参加してきました。

▲活発に行動する野生動物たちを車の中からウォッチング(写真提供:知床ネイチャーオフィス)

ホテルへの送迎もあり。車で移動できるお手軽ツアー

夜の動物ウォッチングを提供しているのは知床半島の西側、斜里町ウトロ地区にある「知床ネイチャーオフィス」。当ツアーの他にも、知床五湖一周ツアー、夜空の星を眺めるスターウォッチングなど、自然ガイドとともに半島を巡るツアーを行っています。

ツアーは日没後、午後8時から約2時間の行程。ウトロ地区にあるホテル・旅館であれば送迎をしてもらえ、車で移動しながら、車内から野生動物を観察します。
▲知床半島の西側、オホーツク海に沈む夕日。どんな動物が見られるか期待がふくらみます
▲宿泊先の玄関まで迎えに来てもらえます。遅刻しないように早めにロビーで待機を

まずは出発前に、この日のガイドである佐々木恵さんから「参加者のみなさんに野生動物を探す楽しさを体感してもらい、動物たちや知床の環境について知ってもらうことが、自然を守ることにつながります」とツアーの説明が。

同行するネイチャーガイドは知床半島の野生動物のことはもちろん、自然のことも知り尽くしています。安全で楽しいツアーにするために、彼らの話をしっかりと聞き、指示に従いましょう。
▲探索に必要なライトと双眼鏡は貸してもらえます。参加者自身がライトで暗闇を照らして野生動物を探します

なお、天気の良い日は星を観察するために車外に出る場合があるので、アウターなどは準備しておきましょう。夏でも気温が10度を下回る場合もあります。春や秋はさらに、帽子や手袋の用意をしておいたほうが良いです。
▲ツアーに同行してもらった自然ガイドの佐々木恵さん

ツアーで巡るのは知床半島の北側、ウトロ地区から車で5分ほどの知床国立公園のエリア。大自然の森の中を移動しながら野生動物を探します。どんな動物に会えるのか、期待しながらいざ出発!

出発するとすぐに遭遇したエゾシカの群れ。狩りをするキタキツネも!

出発してしばらく進むと、さっそく佐々木さんが何かを見つけました。ライトで照らした先を見ていると…山の斜面に数頭のエゾシカの群れがいます。「ライトが当たって光る生き物の眼を探してください」と、探索のコツを教えてくれました。
▲車の中からライトを照らし、野生動物を探します
▲約50m先にエゾシカの群れを発見。ライトの光が反射し、眼が光っています

エゾシカは知床半島で昼夜問わず活動しており、最も見ることが多い野生動物で、あまり人を警戒しません。「発見したらライトを生き物の眼から離して観察を」と言われ、ライトをずらし、その姿を見ていましたが、逃げることなくその場で草を食べていました。
▲日中道路に現れるエゾシカ。知床半島では日常的な景色です。急に飛び出してきたり、衝突事故もありえるので運転の際は気をつけて

さらにゆっくりと車を進めていくと、今度は道路沿いのガードレールの外側で休んでいる2頭のエゾシカがいました。
▲よく見ると、手前のオスは春先に生え変わった新しい角がかなり成長している

佐々木さんによると「エゾシカの角は、春から秋にかけて成長し、春先に抜け落ち、再び生え変わります。このエゾシカの角は立派になりそう」とのこと。
野生動物たちをただ見るだけではなく、知識を身につけられるのもガイド同行ツアーの魅力です。
▲森で拾った抜け落ちたエゾシカの角も見せてもらえました。すごくきれいで立派です
▲秋、角が成長したエゾシカ(写真提供:知床ネイチャーオフィス)

引き続き車は、川沿いを走りながら、森の奥に入っていきます。参加者はツアー中盤ぐらいになると、野生動物を探すコツも掴めてくるので、このあたりからがより楽しくなってくるそうです。筆者もエゾシカを何度も見つけることができました。
▲筆者が見つけたエゾシカの群れ。向こうもこちらを不思議そうに見つめています

車で行けるいちばん奥の広場まで行き、そこで折り返しです。ここまではエゾシカしか見られていませんが、佐々木さんから「他の野生動物もまだ見られる可能性がありますよ」と言われ、期待が高まります。

と、そのとき車の前をキタキツネが歩いていきました!こちらも我々に警戒することなく、道に落ちている虫を食べていました。
▲車のライトを当てられても気にすることなく、エサを探すキタキツネ

キタキツネも知床半島ではよく見ることのできる野生動物です。

「6月ごろから巣穴から出てきた子ギツネを見られるようになります。子ども達に与えるねずみなどを忙しく狩っている親ギツネの姿なども見られますよ。子ギツネは8月に入る頃には親と区別がつかない程成長して、8月中旬~9月ごろには独り立ちします」(佐々木さん)

見た目は可愛らしいキタキツネですが、可愛いからといってむやみに近づいてはいけないそうです。

「人を恐れず、可愛らしく近寄ってくることもありますが、自然の生き物ですので決して食べ物は与えないでください。またエキノコックスという、人に感染する寄生虫を宿しているので触るのも厳禁です」(佐々木さん)
▲可愛らしく、まさに北海道のマスコットというべきキタキツネですが、自然の中で生きているということを忘れてはいけません(写真提供:知床ネイチャーオフィス)

ツアーも終盤に差し掛かったところで、佐々木さんが道路わきのエゾタヌキに気がつき、教えてくれました。北海道に住んでいてもなかなか見ることができないレアな動物です。筆者も北海道に長年住んでいますが、はじめて見ました!
▲北海道全体ではエゾシカやキタキツネに比べると圧倒的に見る機会が少ないエゾタヌキですが、知床半島には割と生息しているようです
▲当日は雨にぬれていましたが、乾いているとモコモコとした毛並みが可愛らしいです(写真提供:知床ネイチャーオフィス)

来た道を戻り、出発地である宿泊先のホテルまで送ってもらうとツアーは終了です。今回は小雨が降る中でのツアーとなりましたが、エゾシカ、キタキツネ、エゾタヌキに出会うことができました。

ヒグマに遭遇したら、ガイドさんの指示に従って

今回のツアーでは出会うことはできませんでしたが、知床半島の野生動物の中で最も大物なのは、なんと言ってもヒグマです。北海道の中でも知床半島はヒグマの生息数が飛びぬけて多く、日常的に目撃されていますが、ツアーで出会うことは稀とのこと。屋外で出会うことは非常に危険ですが、ガイドに従い移動している車からであれば安全性は高まります。ぜひ見てみたかった野生動物でした。
▲出会ったら間違いなく危険ですが、大きく力強い姿は魅力です(写真提供:知床ネイチャーオフィス)
▲人の食べ物の味を知って、人に近づき人命がともなう大事故が起きる可能性もあります。観察には、一定の距離が必要です

もうひとつ雨天でのツアーのため、見られなかったのが星空。人口の光に邪魔されない闇の中、満天の星を眺められるのも夜のツアーの醍醐味です。
▲夜空に輝く天の川や、流れ星を見られる可能性も(写真提供:知床ネイチャーオフィス)

北海道で生活していると、日常生活の中で野生動物を見かける機会も多く、身近な存在として捉えていました。しかし今回改めて、北海道の中でも特に自然が濃く残っている知床半島の夜の野生動物たちを見て、その美しさや力強さを再認識できました。また、ガイドの佐々木さんの解説によって、今まで知らなかった動物たちの生態を知ることもでき、より身近に感じることができました。

大自然の中に生きる野生動物たちの魅力を感じ、手軽に観察できるこのツアー。どの動物にも100%会えるわけではありませんが、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか?

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長尾悦郎

長尾悦郎

北海道十勝地方でカメラマン、ライター、新聞記者として活動中。撮影ジャンルは広告、風景、人物など幅広く。地元観光協会勤務やご当地キャラマネージャーなどの経験を生かし、地元をもっと盛り上げていきたいと思っています。(編集/株式会社くらしさ)

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