国宝・松江城の「堀川めぐり」。松江市内を遊覧船でぐるっと観光してみた

2017.06.07

国宝・松江城は、島根県松江市のシンボル。平成27(2015)年に国宝に指定されて以降、ますます注目を浴びています。実はこの松江城、城を囲む堀(堀川)が現在も残っており、小船でめぐりながら古い石垣や四季折々の動植物を間近で楽しむことができるんです。途中下船もしながら、城下町の見どころをぐるっと観光してきました。

▲取材に訪れた春。桜が咲く堀川をゆっくり進む遊覧船
▲夏は城の周りに生い茂る緑の中を遊覧船でくぐり抜ける

「水の都 松江」を体感できる「堀川めぐり」

国宝・松江城がある島根県松江市は「水の都」と呼ばれるほど、水とともにある町並みが美しい城下町です。城を囲む堀もその一つ。築城(1611年)と同時に造られた堀の一部が、城とともに現存する城下町は全国でも貴重。この堀を小船でめぐる「堀川めぐり」は水の都・松江の風情を体感するのにぴったりです。
▲遊覧船から望む国宝・松江城天守

「堀川めぐり」の発着場は松江城周辺に3カ所あり、途中下船もできるので、城下町の見どころを効率よく観光したい人にもおすすめです。
▲城下町をぐるっと一周するコースの全長は約3.7km、遊覧時間は一周約50分です

さっそく乗船!動植物を楽しみながら内堀を進む

今回は、15分間隔で定時便が出ている「ふれあい広場」乗船場からスタート。川辺の景色を楽しみながら「カラコロ広場」乗船場を経由し、「大手前広場」で下船して松江城の桜を見に行くことにしました。
▲15分間隔の定時便が発着する乗船場は、ふれあい広場と大手前広場の2ヵ所(カラコロ広場は乗下船客がいる場合のみ停船)
▲一日乗船券(中学生以上1,230円、小学生610円 ※いずれも税込)を買っていよいよ乗船!

「堀川めぐり」の通常チケットは一日乗船券。同日中は何度でも乗り下りできるのでノープランでも慌てることはありません。
▲船内を和やかな雰囲気にしてくれる明るい船頭さん

お天気にも恵まれ、さわやかな風を感じながらの船旅がスタートしました。最初に通る松江城西側の堀には、桜、梅、椿などの木々が生い茂ります。
▲船からは亀や水鳥などの小動物を間近で観察できるのも楽しい
▲正面に見えるのは島根県立図書館。デザインが特徴的なモダニズム建築

島根県庁舎や島根県立図書館などの公共施設も堀川沿いに建てられています。「この辺りは昔、松江城三の丸と言って、お殿様たちが仕事をしていた場所なんです」と船頭の林信三郎さん。昔、お殿様が働いていた場所が、今はお役所になっているとは面白いですね。

外堀に出ると景色が一変!

城西側の内堀を出発し、10分ほどで外堀に出てきました。自然の風景から一変、今度は市街地の中心部を優雅にくぐり抜けます。
▲堀川のまわりに立ち並ぶ飲食店
▲松江市内を周遊する真っ赤な「レイクラインバス」にも遭遇!
▲このクラシカルな建物は「カラコロ工房」。旧日本銀行松江支店の建物を改装して造られた施設です

そして、あっという間にカラコロ広場乗船場に到着。乗船場のすぐそばには、手作り体験ができたり、カフェやレストランが入ったカラコロ工房があります。ここで一度船を下りて、カラコロ工房や周辺を散策したり、食事をしてもいいでしょう。
▲カラコロ工房では、職人に教わる「松江の和菓子づくり体験」(税込1,080円/要予約)もできる

また、カラコロ工房の中庭にある「ピンクの幸運のポスト」は、縁結びスポットとして人気。このポストから手紙を送ると、受け取った人に幸運が訪れるとか。旅の記念にここから絵ハガキを出してみてはどうでしょう。
▲1階インフォメーションで記念スタンプを押してもらえる。ポストカードや縁結び切手も販売されています
▲カラコロ広場乗船場に隣接する松江京店商店街。老舗の和菓子店や飲食店が軒を連ね、お買い物やランチにおすすめ

散策を楽しんだら、カラコロ広場乗船場から再び船に乗ります。カラコロ広場乗船場には定時便がないので、再び乗船する際はスタッフに声をかけ、次に来る船に乗せてもらいましょう。

そして、いざ松江城方面へ。堀川には17もの個性ある橋がかかっており、そのうち4つは橋げたが低く、船の屋根を下げて通ります。船頭さんの声掛けに合わせて、乗客も頭を下げます。
▲橋げたに屋根がぶつからないかハラハラドキドキ。これも「堀川めぐり」名物のひとつ

「今日は天気が良いから、亀がたくさん甲羅干しをしているよ」と船頭さん。見ると亀と一緒にカルガモまで日向ぼっこしていました。
▲甲羅干しをする亀と、日向ぼっこをするカルガモ。水鳥も多く見られる

この辺りは川幅も狭く、脇には民家が立ち並びます。船頭さんはマイクを切り、静かに船を進めます。生活する人々の息づかいが聞こえてきそうで、水の都の暮らしに溶け込むひと時でした。
▲しばらく川沿いに民家が続く

住宅街を抜けて城の内堀に近くなると、一気に川幅も広がり、石造りの古い橋がいくつも続きます。
▲季節によってスイセン、アジサイ、ショウブなどの花が咲き乱れる

国宝・松江城で桜と眺望を満喫!

大手前広場に到着しました。この乗船場は松江城のふもとにあるので、城に行くならここで下りるのが良いでしょう。船を下りて、さっそくお城に向かいます。
▲大手前広場乗船場。ここから船旅をスタートする人も多い

松江城の城山公園は「日本さくら名所100選」に選ばれており、松江市民にとっては定番のお花見スポット。国宝・松江城の下でお花見ができるなんて、とっても贅沢ですね。もちろん桜以外にも秋には紅葉、冬は雪化粧をした天守など、年間を通して様々な表情を楽しめます。
▲質実剛健な天守とピンク色の桜のコントラストが美しい

屋根についている鯱鉾(しゃちほこ)は高さ2mあり、日本現存の木造ものでは最大なのだそう。天守閣に登れば、松江市内から宍道湖(しんじこ)まで一望することもできますよ(大人560円、小・中学生280円 ※税込)。
▲5階まである松江城。築城時からある桐の階段を登っていく
▲最上階の望楼からは、松江市の町越しに宍道湖の絶景をのぞむことができる
▲城のふもとの本丸からは、城山公園に咲く桜や市街地の町並みまで一望できる

園内には、ソメイヨシノ・ヤエザクラ・シダレザクラなど約200本の桜があり、毎年4月上旬~中旬にかけて見頃を迎えます。また、他にも樹齢900年を超えるクロキや、白い花を咲かせるヒトツバタゴ(通称ナンジャモンジャ)なども名物となっています。城山公園に入るのは無料なので、ゆっくり散歩してみてはいかがでしょう。

再び乗船し、地ビール館を目指す

松江城を楽しんだら、再び大手前広場から乗船し、スタート地点のふれあい広場乗船場へ戻ることにしました。目的は、乗船場と同じ敷地内にある「松江堀川地ビール館」です!
▲場所毎で景色が全然違うので、何度乗っても全く飽きません
▲内堀では松江城の見どころの一つである石垣を間近で見られるのも嬉しい

乗船からほどなくして、右手には塩見縄手(しおみなわて)と呼ばれる通りが見えてきます。ここは江戸時代、中級武士の屋敷が立ち並んでいたところで、堀沿いに長屋門や塀が続き、松江市内で最も城下町らしい佇まいを残しています。
▲塩見縄手に立ち並ぶ屋敷の中で唯一、江戸時代当時のまま保存されている「武家屋敷」は一般公開されている ※平成30年3月末まで修復の為休館

「日本の道100選」にも選ばれている塩見縄手。お土産店や蕎麦屋なども並んでおり、観光客に人気のスポットです。着物レンタルのお店もあるので、着物に着替えて散策すると江戸時代にタイムスリップしたような気分を味わえますよ。
▲堀沿いに並ぶ老松は、くぐると縁起が良いと言われている。散歩するのも楽しい

ここからふれあい広場乗船場までは、内堀の自然風景が続きます。
内堀は特に緑が多いのですが、その理由を船頭さんが「城を隠すために、ほとんど常緑樹が植えられているの。だから一年中、緑が楽しめますよ」と教えてくださいました。
▲7~8月には夏の風物詩として「風鈴船」を運航。風鈴の音色と城下町の風景がマッチして風流なひとときを過ごせる
▲城のまわりにはたくさんの植物が茂り、秋は紅葉に染まる
▲秋には、松江城周辺を行灯でライトアップする「松江水燈路」が。「堀川めぐり」の夜間運航も実施される ※夜間運航は土・日・祝のみ(年度により期間変動)
▲水鳥が一番多い冬はバードウォッチングも楽しめる
▲「こたつ船に乗って堀川めぐり」は松江の冬の風物詩

松江地ビールで船旅の打ち上げを

堀川を一周すると色々な景色を堪能できて大満足。そして、スタート地点のふれあい広場に戻ってきました。船を降りたら、乗船場に隣接する「松江堀川地ビール館」へ。
▲この看板が目印

ここでは、松江の地ビールを製造・販売するほか、ビールカウンターやレストランで地ビールをいただけます。ビール好きの方はここで船旅の打ち上げを。
▲1階ビールカウンターではビール工場をガラス越しに眺めながら5種類のビールを味わうことができる

2階はビアレストランになっており、松江地ビールをお供に「しまね和牛」の焼肉や、宍道湖の名産しじみ汁のついた定食、おつまみなどが楽しめます。
▲樽生で頂く「お試しセット」(3種類・税込1,000円)

松江地ビール「ビアへるん」は伝統的な製法を用い、日本人の繊細な味覚にマッチするよう仕上げた新しい味わいのビール。「インターナショナル・ビア・コンペティション」という国際ビール大会で何度も受賞経験があるなど、クオリティは本格派です。
▲1階の物産館では、松江地ビールはもちろん松江名物の銘茶や銘菓、宍道湖珍味などの特産品を販売

乗船前にビールカウンターで一杯飲むのも良し、船旅を終えてからビアレストランでゆっくり食事をしながら飲むのも良いですね。クラフトビール好きの方におすすめ!お酒が飲めない方もお土産を買うのにちょうど良い場所ですよ。
松江城の堀を小船で巡る「堀川めぐり」、いかがでしたか?堀川沿いの景色を楽しみながら、城下町を効率的に観光するのにぴったり。観光の方はもちろん、松江に暮らす筆者でも季節ごとに乗りたくなるほど、気持ちの良い遊覧観光船でした。

水の都・松江ならではの船旅、ぜひ体験してください!
小島有加里

小島有加里

島根県在住のグラフィックデザイナー。島根県の観光情報サイト、フリーペーパーなどでライターも務める。山陰のおいしいもの・楽しいこと・素敵な場所を発掘するのが趣味。(編集/株式会社くらしさ)

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
PAGE TOP