話題の「西の原」は、波佐見焼好きを満足させるオシャレスポットだった!

2017.07.10 更新

シンプルで使いやすく、なによりオシャレなデザインで人気の波佐見(はさみ)焼。そんな波佐見焼を、器だけでなく食事や雑貨でも楽しめる場所、それが長崎県波佐見町の「西の原」です。どの店に行っても「素敵…」とため息をついてしまう、そんなオシャレ女子必見のスポットへ行ってきました。

元々波佐見焼は、400年以上もの歴史を持つ伝統工芸。西九州にはやきものが多く、2016年にはやきもの発祥である唐津焼や有田焼とともに「日本磁器のふるさと肥前~百花繚乱のやきもの散歩~」のストーリーが日本遺産に認定されました。
▲唐津焼。1580年代ごろに朝鮮から陶工を招き、やきものは始まりました(写真提供:佐賀県観光連盟)

歴史と伝統はあるものの、購買客や観光客はほぼ年配者だった波佐見町。2001(平成13)年、江戸時代から続く窯元「幸山陶苑」が営む製陶所「福幸(ふっこう)製陶所」が廃業。
それに伴い広大な敷地に製陶所の建物を生かした店の複合スペース「西の原」が誕生しました。
▲古い製陶所の建物が約1,500坪に点在します

それは、ちょうど若い世代の職人たちによる、伝統を踏襲しつつも機能的かつデザイン性の高い波佐見焼が脚光を浴びるようになってきた頃。製陶所の建物に、波佐見焼やオシャレな雑貨を扱う店とカフェができ、そこは波佐見焼の人気観光スポットになりました。
▲一部の建物(福重邸、モンネ・ルギ・ムック、monne porte、HANAわくすい)は国の有形文化財と長崎県のまちづくり景観資産に登録
▲敷地内にある福重邸は、現在も住居として使用されている

「西の原」はその後店舗数も増え、波佐見焼を通じて日々の暮らしを豊かにするアイデアが詰まった、オシャレなスポットとして人気を集めています。
波佐見焼の器はもちろん、雑貨や喫茶、レストラン、中庭まで。どこを向いても写真を撮影したくなっちゃう(そして、すべて写真映えする!)素敵なお店を紹介します。

何かを表現したくなる、画材や文具がたくさん。「monne porte」

まずは、製陶所のろくろ場だったという「monne porte(モンネ・ポルト)」へ。コンクリートの広い場所は、ライブや展覧会などのイベントを開催するオルタナティブ・スペース。そこから左へ入ると、画材や文具、雑貨を取り扱うショップがあります。
▲オルタナティブ・スペースには、福岡在住の作家による作品「魚人」も展示
▲ショップの扉が歓迎してくれます

ショップに入ると、所狭しと並べられた文具や雑貨の数々。どれもが手に取りたくなる可愛さ!
▲ちょっとユニークで可愛いものが揃います
▲カラフルなポストカードは150円~200円(税抜)
▲オリジナルの波佐見焼マグネットは1,600円(税抜)

店長の中谷さんによると、「国内・海外問わず、良いと思ったものをセレクトしています」とのこと。その“良い”という基準は何ですか?との質問にこう答えてくれました。

画材類は「長く使われ、愛されているもの」、雑貨や文具は「わくわくするような面白いもの」。「monne porte」はオルタナティブ・スペースを含めて“感じて表現する場”になってほしいんです、と。
▲楽しい文具や雑貨を見るとわくわくします、と中谷さん

先程のオルタナティブ・スペースで感じて、このショップで感じたものを表現するツールを買う。そんな使い方が理想だとか。

「手紙とかでも良いんです。今は何でも携帯電話ですぐ伝えられるけど、字や絵を書いて伝えることも素敵ですよ」。

ライターという職業にもかかわらず、最近文字を書いていなかった私。話を聞き、翌日誕生日の友人に手紙を出してみました。
▲オルタナティブ・スペースは自由に使用可。ハガキや便箋を購入すればペンなどを貸していただけます。切手も購入でき、ポストに投函もしていただけますよ

光が差し込む広いスペースで、友人を思い浮かべながら手紙を書く…。こんな時間こそ贅沢なのかもしれませんね。

食卓がちょっと楽しくなる「GROCERY MORISUKE」

「monne porte」の奥向いにあるのが「GROCERY MORISUKE(グロッサリー・モリスケ)」です。こちらは世界中の食材と雑貨を扱うショップ。
店内には、ワインや調味料などがズラリと揃います。
▲オーガニックやナチュラルなものを中心に品ぞろえ

“いつものダイニングがより一層楽しくなるきっかけ”を提供するショップだそう。一応主婦でもある私、デザインも素敵で体に優しいとなれば、アレもコレも欲しくなります~。

お水とオリーブオイルだけで本格イタリアンができる加工食品「ラ・プロンタ」(手抜きしたい主婦には嬉しすぎる!)や、甘い香りのオレンジワイン、お弁当作りが楽しくなる可愛いカップなど、これさえあれば料理上手になれるんじゃないかと錯覚しそうです。
▲「ラ・プロンタ」は100%ナチュラルな食材を使用。「野菜のクスクス シチリア風」、「サルディーニャ産マグロのからすみスパゲッティ」(各900円・税別)など

ほか、アルコール類も充実!種類豊富なワインやビールなどもありますよ!
▲オレンジワイン3種類。左から「アワーワイン/アメリカ」、「MCNi/日本・滋賀県」、「ビアンコ・サンタニエーゼ/イタリア」
▲これからの暑い季節、お勧めのイタリア産ビール「Rethia(レシア)」(各540円・税別)。味わいもそれぞれ3種類

コーヒーの香りが充満する癒しの場所。「イソザキ珈琲Shady」

次は少し歩いて、「イソザキ珈琲Shady(シェイディー)」へ向かいます。扉を開けると、店内は香ばしいコーヒー豆を煎る香りでいっぱい…!
▲コーヒー豆は常時10種類ほど用意
▲「ゴウン、ゴウン」と音が響きます

こちらはオーナーの磯崎さんが、佐世保で食品卸、その後喫茶店を営んでいたお祖父さんから受け継いだ自家焙煎珈琲豆の店です。お客さんの好みやサイフォン、フィルターなど持っている器具を伺い、対話する中でお勧めの豆を選んでいくのだそう。今まで自分好みのコーヒーなんて考えてもみなかったので、丁寧に教えていただけるのが嬉しいですね。
▲「イソザキ珈琲」がオリジナル焙煎したコーヒー豆は「GROCERY MORISUKE」でも販売しています。コーヒーカップは波佐見焼!

基本的にはコーヒー豆の販売をされていますが、道沿いに喫茶スペースがあり磯崎さん自らコーヒーも淹れてくださいます。
▲テラスにある喫茶スペース。席数は4席ほど

実は磯崎さん、意外にも昔はコーヒーが苦手だったそう。「こんな苦い飲み物どこが美味しいんだ」と思っていたとか。「自分自身が甘~くしてコーヒーを飲んでいたクチなので、砂糖やミルクをたっぷりいれる方の気持ちがわかるんです。コーヒー専門店だからと気を使わなくて良いですよ」とおっしゃっていました。
▲磯崎さんがハンドドリップで淹れてくださいます
▲ぷくぷくと豆が浮き上がり、コーヒーの良い香りが…
▲ブレンドコーヒーは400円(税込)。コーヒーカップも小皿も波佐見焼です。素敵!

淹れていただいたコーヒーは、香り高くガツンと濃い。これぞ、コーヒー!という香りと味わいです。現在は、磯崎さんもすっかりコーヒー中毒で「濃ければ濃いほど好み」だそう。

妊婦や子供にも飲めるカフェインレスコーヒーなどもあるので、少し休憩したい方はこちらでいかがですか。

米や卵から手作りのアイス?「氷窯アイス こめたま」

コーヒーの後、甘い物が食べたくなったら一番奥にある「氷窯アイス こめたま」へどうぞ。こちらは2016年9月にオープンしたばかり。

注文を受けてから作る、出来立てのアイスが食べられます!注文を受けてから作るってどういうこと?と思いますよね。ガラス越しのキッチンに、氷でできた釜があり、そこでオーナーの山口さんが一つ一つ作るのです…!すごい。
▲米作りもされる山口さん

さらにすごいのは、アイスクリームの素材まで。アイスクリームに使用する卵、果てはその鶏のエサになる米まで手作り…!もう、体に優しいどころではありません!

フレーバーは常時10種類ほどあり、卵バニラやキャラメル、生チョコなどは通年あるそう。取材時はいちごミルクや桃ミルクなど季節限定のフレーバーもありました。

アイスは3つの食べ方を選べます。コーン(これも手焼き!)、シューはテイクアウトも可能。自家製もち米のモッフルは、店内のみ提供。コーンとシューは420円、モッフルは500円です!(すべて税込)

迷いましたが今回は卵バニラをモッフルで注文。
▲卵バニラのモッフル(500円・税込)。きな粉と黒蜜付き。お皿はもちろん波佐見焼です

よく濃厚なバニラを口にするのですが、この卵バニラはさっぱりしていてクセがない味わい。山口さんにそう伝えると、目から鱗の答えが。「こちらの卵バニラは米で育てた鶏の卵だから卵の1/3を占める脂肪分の組成が一般の卵と比べてがらりと変わり、口どけの良い脂肪になるため、クセがないんです」と。いつも食べている濃厚なバニラとの違いに驚き!!だから卵バニラと名付けたのですね~。

食べてビックリのこだわりが詰まったアイス、ぜひ一度ご賞味ください!

新進気鋭の5つの波佐見焼ブランドを販売。「南創庫」

さて、ショップ巡りの最後は波佐見焼の器を扱う「南創庫(みなみそうこ)」へ。
ここは製陶所の出荷事務所として使用されていた場所。「essense」「HASAMI PORCELAIN」「The Porcelains」「Common」「Sabato」の5ブランドの作品を展示販売しています。その中で3ブランドをご紹介。
▲箸置き、マグカップ、皿、茶碗…目移りする可愛さ

「HASAMI PORCELAIN」は装飾性を省き機能性を重視した直線のフォルムと、天然の陶土によりうまれる陶磁器。カップやトレイが同じサイズなので、重なることでさらに美しさが増します。種類は、ブラック・ホワイト・クリア・ナチュラルの4色。
▲左・中/ミルクピッチャー(注ぎ口付き)1個各2,000円(1,800円)、シュガーポット1個各1,400円(1,000円) 右/ボトル3,500円(ナチュラルのみ)※()内はナチュラルの値段※各税別

「essense」は、その名前通り、生活にエッセンスを与える色やデザインが特徴。人気の高いバイカラーのマグカップは、購入できるのは通常4色ですが、ココ南創庫と公式オンラインショップでは写真の5色のカラーも取り扱い。合計9色を購入できます。
▲マグカップ(小)1,800円、(中)2,000円、(大)2,200円 ※写真は中サイズ、各税別

一番遊びゴコロ溢れるデザインなのが「The Porcelains」。こちらはクロスステッチデザイナーと陶磁器デザイナーによるブランド。見てるだけで元気になれるような楽しいデザインの陶磁器が揃います。
▲ダルマや寿司などユニークなイラストが!小皿かと思えばこちらは箸置き!各600円(税別)

また、南創庫ではオリジナルの波佐見焼を作れる「切り絵付け体験」もできます。絵付け体験だと、そもそも絵心なかったら可愛くならないし…と躊躇していた私。これは折り紙のようなカラフルなシートをハサミや型抜きで切り、白い陶器に張り付けるだけ!小さい子供でも絵心なくても可愛く仕上がります!
▲「切り絵付け体験」の一例

しかも、体験料金は600円(税別)。それに器代がかかるのですが、15cmほどのお皿で350円(税別)という嬉しい価格(送料別)。自分だけの波佐見焼作りなんて、きっと素敵な思い出になりますね。※前日までに要予約

波佐見焼でいただくヘルシーランチ。「monne legui mooks」

最後は、敷地内一番手前にある「monne legui mooks(モンネ・ルギ・ムック)」で遅めのランチをいただきます。「monne legui mooks」は、カウンター席、テーブル席、ソファー席があり、営業時間中は常にお客さんがいる評判のカフェレストラン。
▲地元の方にもファンが多いそう

出汁やドレッシング、ソースなどすべて素材から作る料理は、地元産の野菜がふんだんに使われています。ランチメニューは日替わりで、カレー、ライス(ご飯もの)、メイン(おかずとご飯)の3種類。サラダや前菜のサイドメニューは5種類あり、こちらはカップルや友達など大人数でシェアできるようになっています。
▲入口にある看板。素朴な佇まいでまた素敵

人気というカレーは、ココナッツミルクカレーで、具材は季節によって替わるとか。チキンベースで仕上げたマイルドな辛さで、エスニック好きな方は堪らない味!ゴロゴロと入った揚げ茄子やカボチャなどの野菜とほろほろの鶏肉がまたおいしい~。たっぷりのったパクチーも女子には高ポイントです!
▲「鶏肉と揚げ茄子とかぼちゃのココナッツミルクカレー」は850円。サイドメニューは、「ナッツ仕上げのグリーンサラダ キヌアとキャロットラペ添え」500円。※各税別

そしてもう一つ。取材日のメインはゆで鶏と春ジャガイモ。鶏のスープで柔らかく茹でた鶏肉と、春ジャガイモやキャベツ、茄子などを添えたもの。野菜たっぷりですが、新鮮だからなのでしょう、味がしっかりしているので十二分に満足感を味わえます。
▲「スープ茹で鶏と雲仙春ジャガイモの冷製 畑ルッコラの香り」は850円。サイドメニューは「きのことジャガイモのスパニッシュオムレツ」400円。※各税別

使用されている陶磁器はすべて波佐見焼。座席には、使用している皿の窯元を紹介した案内メニューもありました。この器で、この雰囲気で、この食事…。土日に行列ができるのも納得です。プラス300円でドリンク付き、プラス200円でデザート付きにもできますよ。※各税別
▲事前予約はできないのでご注意を

前述した通り、土日などの休日はどうしても並ぶことが多いので、食事利用するならまずは店頭で名前を書き、ショップ巡りを楽しむのがお勧めです。席が用意できれば電話があるので、行列に並ぶ必要がありません。

ゆったりのんびり過ごすのが「西の原」の楽しみ方

色々なショップを紹介してきましたが、「西の原」での過ごし方は自由です。
敷地内には至る所にのんびりできるスペースが設けられています。「GROCERY MORISUKE」の奥にある倉庫には、自由に使用できる図書館が。
▲2階にあがると…
▲図書室が!専門書や文庫、漫画などジャンルも様々

最初に紹介した「monne porte」のオルタナティブ・スペースには「ポルト文庫」があり、ココでも絵本や美術本などを無料貸出しています。
▲「ポルト文庫」の本は中庭などで見ることもできます

「monne porte」の入口には鯉が泳いでおり、何とものどか。
▲小さなプールには…?
▲立派な金魚が!!

最後に話を伺った「monne legui mooks」のオーナー岡田さんは、「西の原」が誕生した当初からここを見守り続けています。元々は東京で働いていた岡田さんが、バイクで日本一周をし、縁あってたどり着いたのがこの波佐見町なのだとか。

「ここは、作り手さんが近くに見える場所なんです。陶磁器をこう使ったらいいよ、とか、こんな過ごし方どう?とか。ただデパートとかで購入するんじゃなく、人と人が間接的にでも対話ができる、というか。作り手さんの人柄とかを感じてもらいたいんですよ」。
▲三世代が緊張せずに使用できる空間を作りたい、と話す岡田さん

携帯電話で検索すれば、何でも分かってしまう現在。ちょっと休憩してその場で感じる感情に身を任せ、ゆっくり過ごすのはいかがでしょう。器に触れて、ユニークな雑貨や食品にわくわくし、丁寧に作られたコーヒーやスイーツ、ランチをいただく。どれを選択しても良いし、どれを選択しなくても構わない。
「西の原」での楽しみ方はきっと自由なんだと思います。

そこでどんなことを感じるのかはあなた次第。でもこれだけは保証します。

きっと、素敵な一日になりますよ。
桑野智恵

桑野智恵

フリーの雑誌ディレクター/ライター。福岡生まれ、福岡育ちの博多女。3つの出版社を渡り歩き、雑誌編集歴20年弱。食育アドバイザー、フルーツ&ベジタブルアドバイザー。

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