酒田舞娘の演舞と舞娘弁当が3,800円から楽しめる!港町・酒田の料亭文化を今に伝える「相馬樓」

2017.06.07 更新

「料亭」「舞娘さん」と聞くと、なんだか敷居が高そうと思っていましたが、「リーズナブルに舞娘さんの演舞や料理を楽しめる場所がある」との情報をキャッチ!ここ酒田は、江戸時代に北前船による交易で栄えた港町。港町の繁栄を象徴する料亭文化が残る町でもあります。今回は、非日常の空間を味わえる、とっておきの場所「舞娘茶屋・雛蔵畫廊(ひなぐらがろう)相馬樓」を訪れました。

絢爛豪華な料亭文化を体験してみよう

江戸時代、「相馬樓」がある山形県酒田市は、海上輸送の要所として北前船による京都との交易の拠点となっていた港町。「西の堺、東の酒田」と並んで称されるほど繁栄し、多くの豪商が富を成していました。

京都からはさまざまな物資だけでなく京文化も運ばれ、この地に根付いていきました。その一つが「料亭文化」です。贅沢な調度品を設えた料亭で最高に贅沢な料理を味わう豪商たち。お座敷では、百数十人の芸妓や半玉(はんぎょく)たちが踊りや三味線、小唄などで商人たちをもてなしていたそうです。
▲木造の主屋は国の登録有形文化財に指定されている

1808(文化5)年に当時の贅を尽くして建てられた料亭「相馬屋」。現在は「舞娘茶屋・雛蔵畫廊 相馬樓」として、港町の花柳界の伝統と新しい文化を融合させた観光施設に生まれ変わっています。今回はそこを訪ねて花柳界の雰囲気を体験してきました。
▲厳かな建物にちょっと緊張しながらも、入る前からワクワク!
▲扇形の石畳。「相馬樓」のモチーフは扇形
▲至る所に扇のモチーフが!

暖簾をくぐると「いらっしゃいませー」の声が。なんと、舞娘さんが出迎えてくれるんです。これにはびっくり!
▲サプライズな出迎えにテンションも上がります

最初に受付で入樓料(大人700円・税込)を払うと、樓内と併設された竹久夢二美術館を見学できます(食事、演舞鑑賞は別途料金が必要です)。通常、樓内は写真撮影ができませんが、今回は取材ということで特別に撮影させていただきました。
▲「こんにちは!」ドキドキしながら、舞娘さんにご挨拶

創業からしばらく経った1894(明治27)年の庄内大震災で、蔵以外は全部焼失してしまった「相馬屋」。その後、残った6つの蔵を繋ぐように建て替えて営業していましたが、時代の波には勝てず、1996年には国の登録有形文化財に指定されながらも、やむなく廃業に追い込まれてしまいました。
▲女将の渋谷蘭子(らんこ)さん

「でも、酒田の料亭文化を守ろうと、地元の平田牧場が買い取り、改修の末、2000年に観光施設『舞娘茶屋・雛蔵畫廊 相馬樓』として開樓したんです」と、教えてくれたのは女将の渋谷さん。

「相馬樓」には、京都から北前船で運ばれてきた由緒ある雛人形が今も数多く残されています。「相馬樓」は、こうしたお雛様と酒田舞娘の融合施設をコンセプトに、非日常を思わせる絢爛豪華な空間の中で身近に舞娘さんと会うことができる、とっておきの施設なんです。

懐石弁当と演舞を楽しむ、粋な時間

前もって予約していたのは、「舞娘弁当」を食べて酒田舞娘の踊りを鑑賞し、演舞が終わると舞娘さんとの記念撮影ができるという「舞娘踊りとお食事」プラン(3,100円~・税込。入樓料別)。こんな贅沢なプランが「相馬樓」ではリーズナブルに楽しめるんです。

食事は12時からということで、早速、2階の大広間へ。「舞娘踊りとお食事」プランを予約された方は人数に関係なく、大広間で食事と踊りを楽しみます。

「舞娘弁当」は4種類あり、プラン料金が異なります。「懐石弁当」と「うな重」が3,500円(税込)で、「宝石ちらし」と「とんかつ弁当」が3,100円(税込)。今回は「懐石弁当」をいただくことにしました(いずれも1名料金で2名から受付。要予約)。
▲大広間を仕切る華やかな襖は2000年の改修の際に新しくしたもの。反対側の襖には違う絵が描かれています。市松模様の紅花染めの畳も印象的
▲反対側の襖絵も色鮮やか
▲一つ一つの料理の量は少なめに品数多く…この贅沢さが女子にはたまりません(笑)

運ばれてきた「懐石弁当」に「わぁ~」と思わず声が。二段のお重に旬の食材を生かした料理が美しく盛り付けられています。品数が多く、どれから箸を付けようか迷ってしまうほど。
▲左手に置かれた「上の重」には14種類の料理

この日の「上の重」の料理は、庄内地方の郷土料理のむきそばなめ茸あん、湯田川地区で採れた孟宗竹の煮物、サクサクの歯ごたえが美味しい山菜の天ぷら(うど)、牛八幡巻き、鰻蒲焼など地元の食材を惜しみなく使った料理ばかり。
▲右手の「下の重」には6種類の料理と、庄内の漬物、水菓子が

「下の重」にも、平牧三元豚味噌漬け焼き、サーモン味噌粕漬け焼き、紫蘇巻きなど、庄内で育まれた食材を使った料理が並びます。
▲白米は、山形のブランド米「つや姫」

素材そのものの甘みや旨みを生かした優しい味付けと、色合いも鮮やかで目にもおいしい料理の数々。一つ一つを噛みしめながらいただきたい「懐石弁当」です。

食事を終えると、12時半から舞娘さんの演舞が始まります。あでやかな舞娘さんたちの登場に部屋の中の空気が変わります。
▲19歳の小夏さん(写真左)と21歳の桃華さん

演目は庄内の民謡から「庄内おばこ」「酒田甚句」と、月毎に変わる季節の長唄など合わせて3曲。地方(じかた)の小鈴さんの三味線と歌に合わせ、演舞が始まります。
▲舞娘さんたちの師匠でもある小鈴さん
▲「庄内おばこ」の「おばこ」は、庄内地方の方言で若い年頃の娘のこと。前掛け・襷がけ・あねさんかぶりをして舞娘さんが踊ります

「コバエテ コバエテ」
舞娘さんたちの囃子ことばがとっても可愛い!
▲踊りの時間は20分ほど。艶やかな花柳界の世界を体験!
▲舞娘さんの艶やかさにうっとり

1965(昭和40)年頃まで全盛を誇っていた酒田の花柳界ですが、こちらも時代の流れとともに衰退していき、数人の芸妓さんだけになってしまったのだとか。しかし、「今まで伝承されてきたものを残そう」と地元の経済人たちが中心となり、町おこしの一環として1990年に「酒田舞娘」として復活させました。

その後、2000年の「相馬樓」開樓に伴い、市内にあった置屋は樓内に拠点を移すことになります。
▲樓内を見学していると、踊りの稽古をする舞娘さんの姿を発見!

「京都では舞妓さんですが、酒田は “舞娘”です。かんざしや帯の結び方にも違いがあります。港町の商人気性からか、華やかな色合いの色彩のものを好まれるお客さんが多いように思いますね」と話す小鈴さん。
▲舞娘さんからいただいた花名刺

「舞娘踊りとお食事」プランの“締め”は舞娘さんたちとの記念撮影。食事と踊り、そして記念撮影まで約1時間の贅沢な時間です。
▲舞娘さんに囲まれて、つい顔もほころびます

お弁当なしで踊りの鑑賞と記念撮影がセットになった「舞娘・演舞鑑賞」プランもあります(1,000円・入樓料込・税込)。

舞娘さんたちとお話しながら、お座敷で過ごす贅沢なひとときを体験してみては?

歴史と共存する新しい異空間

2000年の改修時には伝統を随所に残しながらモダンさを加えて修復された「相馬樓」。樓内には、歴史ある雛人形や古美術品の数々が展示されています。

プロデュースしたのは、これまで金沢の「東廓・懐華樓」、金沢料亭旅館「滝亭」の俳諧処「春夏庵」「秋冬庵」などの設計・デザインを手掛けてきた戯遊詩画人の泉椿魚(いずみちんぎょ)氏。

2階に上ると、椿の絵が印象的な客間があります。ここは、第45・48~51代内閣総理大臣・吉田茂の息子でイギリス文学者の吉田健一氏が執筆活動をしていたという部屋だそう。
▲2階の客間の襖は、改修の際に泉氏がこの場で描いたもの
▲屋根にはガラスで作ったシャチホコが!

樓内すべての部屋で欄間やガラス戸などのデザイン、また、置かれた調度品の設えが違うので、部屋ごとにいろんな発見が!
▲モダンレトロなガラス戸の部屋
▲障子の桟が「相馬樓」のシンボルである扇形にデザインされている部屋も
▲鴨居のデザインも部屋それぞれ
▲北前船が京都から運んだ文化、侘び寂びの世界

かつて庄内大震災での被害を免れた6つの蔵は「雛の蔵」「蔵画廊」として、雛人形や書画、古美術品が展示されています。
▲「蔵画廊」には横山大観、円山應擧、富岡鐵齋、竹久夢二の掛け軸や絵画など、樓主・新田嘉一さんの貴重なコレクションを展示
「雛の蔵」に飾ってある「相馬樓」オリジナルの現代雛(写真)をはじめ、鵜渡川原人形など、全国から集められた土人形も見応え有り!享保雛や古今雛は、毎年3月1日~4月3日まで期間限定で展示しています。

さらに、「相馬樓」には「竹久夢二美術館」が併設されています。夢二の世界に陶酔している樓主が、夢二ゆかりの地である酒田に2008年に開館したものです。
▲「相馬樓」を訪れたらぜひ覗いてみたい「竹久夢二美術館」

画家であり詩人である夢二は明治から昭和にかけて酒田を訪れ、創作活動を行ったそうです。夢二の描く抒情的な作品は「夢二式美人」と呼ばれ、今でも多くのファンを魅了しています。
▲肉筆画や版画、写真など、数多くの作品が展示されています

樓内をひと回りして喉も乾いたので、「くつろぎ処」で休憩。
▲「相馬樓」のことが紹介されている雑誌などを眺めながらお茶がいただける「くつろぎ処」(写真手前)。奥の間の襖は、「人生丸く、皆様にご縁がありますように」との意味を込めて金色の円を描いたそう
▲天気が良いので縁側でお茶をいただくことに。持ってきてくれたのは、なんと舞娘の桃華さん。サプライズの連続!!
▲抹茶(写真左)とお菓子のセット600円、珈琲(写真右奥)400円。※いずれも税別
▲中庭を眺めながらまったり!

今回紹介した他にも、目を見張るほど大胆な意匠が施された空間が樓内各所にあります。気の置けない友達と、家族みんなで、グループで、歴史と共存する新しい異空間の中に身を置き、建物の持っている力と満ち足りた時間を体感してみては。

撮影:佐藤友美
佐藤昌子

佐藤昌子

エディター&ライター。山形県知事認可法人アトリエ・ミューズ企業組合専務理事。山形県内を中心にタウン誌、フリーペーパーや企業広報誌等ジャンル問わず、印刷物の企画、取材・編集の仕事を手掛ける傍ら、モデルハウスのディスプレイやリメイク等『気持ちの良い暮らし方』も提案している。

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