ビーチサイドキッチンで屋久島と戯れる、美味しいシーカヤックツアー!

2017.08.08

海から眺める世界遺産の島・屋久島。そこで出合ったのは複雑な入り江や洞窟、海に流れ落ちる滝、プライベートビーチ、引き潮によって現れた磯など、陸からはなかなか見えなかったもう一つの屋久島の顔。握り締めたパドルで波をしっかりと捉えたら、屋久島の海へ向かって漕ぎ出そう!

海抜0mの世界から、緑の山岳島を仰ぎ見る

九州最高峰の宮之浦岳(標高1,936m)がそびえる屋久島。大海原に島影がぽっかりと浮かぶ姿は、まさに緑の山岳島です。今回は、そんな急峻な山々を海抜0mの視点から堪能するシーカヤックツアーに参加しました。そこに広がっていたのは、世界最大級の潮流である黒潮の海が育んだ、山の緑よりも濃く、空よりも青い海でした!

選んだのは、屋久島の海を遊んで、知って、味わうことができる「屋久島カヤックトリップ ショアーズ」の「シーカヤック・デイキャンプツアー」(1人税込14,000円~)。たっぷり漕いで、潜って、ゆらゆらと屋久島の海を楽しんだら、ときには真剣な表情で釣り糸を垂れてランチのメインディッシュをゲット。上陸した浜に設営したビーチサイドキッチンで、獲れたての新鮮魚介を味わうという盛りだくさんの内容です。

ツアーの所要時間は送迎(島内全域)を含めて約8時間。代表の田脇総徳(ふさのり)さんにガイドいただきました。
▲ショアーズ代表の田脇さん

田脇さんは2002年に東京から屋久島へ移住し、現在はモッチョム岳(標高944mの岩峰)の麓で家族と暮らしています。豊富な経験を持つ海のエキスパートであり、「屋久島セーフティーシーカヤック協会」の会長も務めています。

ツアーのコンセプトは、“人と自然の精神的なつながり”を再発見すること。古来より山を崇め、里に暮らし、森や海から糧を得て暮らしてきた人々の自然観や努力を今に伝えます。
▲波穏やかな原(はるお)漁港で出艇準備。装備はすべて無料でレンタルできるので、参加者は水着や濡れても問題ない服装であればOK

出廷前のレクチャーでしっかりシミュレーション。パドルを頭上に掲げたときに、肘の角度が90度になるように。また、パドルは腕だけでなく、腰を回して漕ぎ、沈(ちん=転覆のこと)したときはあわてずにスカート(水の進入を防ぐカバー)を外してから浮き上がるなど、大事なポイントを頭と体に擦り込みます。
▲パドル操作のコツは腕だけでなく腰を上手に使うこと。沈しても決して慌てないことが大切
▲まだ見ぬ大海へ向かって、滑り出すようにいざ出艇。高い堤防の間を抜けると…
▲そこは視界を遮るものがない大海原!

パドルで着実に波を捉えながら、ゆっくりと自分のペースで漕いでいきます。エンジン音がないから耳に聞こえるのは波の音だけ。運がよければ産卵準備で回遊するウミガメにあえるかも!?とのことでしたが、残念ながら姿は見えず。田脇さんによるとウミガメにも性格の違いがあるようで、怖がりのカメもいればオットリとしたカメもいるとのこと。
▲左を見ればそそり立つ山々、右を向けば遥かな水平線が広がっています

大きな海のただ中にいると、自分の存在の小ささに気がついて途方に暮れてしまいます。と同時に、漕げば漕ぐだけちゃんと前に進むことができるので、人力の凄さも再確認。なんて感慨にふけっていると、田脇さんが背負っていた釣り竿を(まるで刀を抜くかのように)サッと取り出しました。
▲お昼ごはんの魚の調達です!狙うは高級魚のハタ(アラ)です

カヤックフィッシングの魅力はフットワーク(この場合はパドルワーク?)の軽さと、エンジン音やスクリュー音に邪魔されずに魚に忍び寄ることができること。ですが、デメリットは針が岩場にひっかかるとバランスを崩して転覆する可能性もあるとのこと。一眼レフカメラを剥き出しで抱えていた筆者は不安でいっぱいです。

ポイントを変えながらしばらく釣り糸を垂らしましたが、本日の釣果は小魚1匹…。
気を取り直して海水が緑色に澄んだ入り江に向かいます。
▲遠くからは水が流れる音が聞こえてきますが、その正体とは…?
▲急峻な屋久島の山肌を落ちてきた滝が、直接海に流れ落ちる「トローキの滝」です!

トローキの滝は、落差6mの滝が太平洋に直接落ちる全国でも珍しい滝。「トローキ」の名前の由来は「轟く」からきているのだとか。“滝つぼは太平洋”というダイナミックな特徴を持つ名滝です。
▲トローキの滝近くのビーチに上陸!海も陸も満喫します!
▲みんなで協力しながらタープの設営。陽射しさえ遮れば、海を渡る風は涼やか

フィッシング、シュノーケリング、流木拾い、貝殻拾い、イソモン(磯の貝殻・甲殻類)獲りなど、ビーチでの過ごし方は自由自在。シーカヤックのレベルや海遊びのリクエスト、天候や波の状況によってもツアーのポイントが変わるため、ロケーションもアクティビティも様々に楽しむことができます。
▲使えるものは石でも流木でも、なんでも使ってタープをしっかりと固定
▲枯れ木や流木を集めて火をおこせばビーチサイドキッチンの完成
▲ベースキャンプは無人のビーチを独占したかのような贅沢な空間

薪拾いの合間に屋久杉の欠片を発見。波に洗われて滑らかな手触りになり、屋久杉独特の樹脂の香りがふんわりと残っています。島人は迷わず薪として火に投げ込みますが、記念にポケットに忍ばせて持ち帰ってきました。
▲屋久杉の欠片。拾ったままの姿で、指輪置きとして活用しています

未踏の岩場を目指して、イソモンハンターはゆく

ベースキャンプが整ったところで、次はイソモン獲りに挑戦!当日は大潮の干潮時刻ということもあり、かなり遠くの岩場まで歩いていくことができました。水着&ライフジャケット着用のままなので、水溜りや潮溜りはもちろん、海の中だって平気でズンズンと進んでいきます。無料レンタルの磯足袋(いそたび)なるものをはじめて履きましたが、ゴツゴツとした岩場や、ツルツルとした石の上でも安定したグリップをもたらしてくれます。磯足袋ほしい!
▲切り立った岩場をぐいぐいと進みます
▲大潮の干潮ということもあり、岩場は続くよどこまでも
▲普通ならあきらめるような離れた瀬もなんのその。ザブンと渡ります!

屋久島ではトコブシ、ニシンコ、ジンガサなどの貝類がよく獲れます。屋久島グルメとしておなじみのカメノテは、実は貝ではなくエビやカニに近い甲殻類です。

田脇さん曰く「イソモン獲りは貝との戦いではなく、他の島人との獲るか獲られるかの勝負」なのだとか。
▲未踏の岩場にはカメノテがびっしり
▲一番に狙うは、見た目も味わいもアワビにそっくりなトコブシ
▲時が経つのも忘れてイソモン獲りに夢中
▲ほんの小一時間でこれだけの収獲

獲って、食べる。本能で噛み締める屋久島の味覚

田脇さんが手がける調理にレシピはなく、「塩、あるだけ」「コショウ、男らしく」というワイルドすぎる目分量ですばやく調理していきます。当日のメニューはシーカヤックフィッシングとイソモン獲りの収穫しだい。「シェフの気まぐれランチ」ならぬ「屋久島の海のきまぐれランチ」です。
▲ベースキャンプに戻って調理開始です
▲鶏のダシで炊いた、お焦げ付きのご飯

鶏のダシと、おこげの香ばしさがしっかりと効いたご飯はほどよい塩加減で美味。夏の塩分補給にもぴったりです。
▲トコブシはお刺身に。鹿児島ならではの甘い醤油がよく合います
▲道中で釣り上げた小魚(唯一の釣果)は、おき火でじっくりと焼き上げて

釣った魚、獲ったイソモンをその場で焼いて、食べるよろこび。合わせた両手に感謝の念を込めて、ありがたくいただきます!
▲屋久島の特産品である「サバ節」とたまねぎのサラダ

魚も釣れず、イソモンも獲れないときはおかずなし。ということはありません!蒸し鶏や、サバ節とたまねぎのサラダなどが準備されているので安心。安全管理上アルコールは飲めませんが、屋久島の味覚に気持ちよく酔うことができます。
▲田脇さんのご自宅で飼っている鶏の卵でつくった目玉焼きがご飯にのったらいただきます!
▲火にあたって濡れた体を乾かしながら、海のきまぐれランチに舌鼓

お腹が満たされたら、木陰で休んだり、海で泳いだり、貝殻を拾ったり、それぞれの時間を過ごします。そういった時間はまさにプライスレス。お腹も心もはちきれんばかりの満腹状態。
滞在時間は3~4時間程度で、その間にランチ、イソモン獲り、フィッシング、昼寝、貝拾いなどを各自で自由に楽しみます。もっとカヤックを満喫したい人は陸地時間を削ってひたすら漕ぐのも選択の一つです。
▲ゴールが見えてくると心なし寂しさがこみ上げます。時間をおかずにまた次のアドベンチャーへ行きたくなりました

屋久島旅行に行くなら、登山の装備だけでなく海遊びの準備も忘れずに。屋号にもなっている「ショアーズ(Shores)」とは「海辺の民」のことであり、それはまさに田脇さんそのもの。そして大海原の真ん中でこっそりと「ヨーソロー!(そのまま前進)」と呟いた筆者も、ちょっとだけ海辺の民の仲間入り?この夏は心の羅針盤にまっすぐに従って、進路は世界遺産の島・屋久島へ!
高比良有城

高比良有城

1978年、長崎市生まれ(現在は鹿児島市在住)。写真学生時代に屋久島をテーマに撮影をはじめ、20歳で移住。島の情報誌制作に携わりながら丸4年を過ごす。のちに鹿児島市に拠点を移し、フリーランスのフォトグラファー、ライターとして活動。屋久島はもちろん、種子島、奄美群島、トカラ列島、甑島列島など鹿児島の個性あふれる島々にカメラを向ける。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。

こちらもおすすめ

もっと見る
PAGE TOP