気分はターザン!屋久島の森を空中から楽しむ自然派ジップライン

2017.08.10

日本で初めて世界自然遺産に登録された屋久島。縄文杉や映画「もののけ姫」のモデルともいわれる「苔むす森」は誰もが一度は見たいと憧れる観光スポット。「ただ、登山は早朝出発で装備もハードルが高くて…」という方に朗報です!屋久島の大自然を気軽に楽しめ、爽快感とスリルもたっぷり満喫できる「ジップライン」をご紹介します。

空中アクティビティ「ジップライン」で鳥になる

屋久島が世界遺産として評価された重要な項目のひとつが「照葉樹林」です。屋久島の西部林道の照葉樹林は、日本最大と言われる規模を誇ります。
▲照葉樹やシダが生い茂る屋久島尾之間の森

照葉樹の葉はいつも緑色をしているのが特徴で、どの季節に訪れても一面緑色に覆われた景色を楽しむことができます。そんな屋久島の照葉樹を五感で堪能できるという「ジップライン」を体験してきました。
▲大きな花崗岩(かこうがん)の上に立つ「梢回廊キャノッピ」

今回お世話になる「梢回廊キャノッピ」は、屋久島の南東部、原(はるお)集落にある隠れた人気スポット。高速船「トッピー」乗り場のある安房(あんぼう)港からは車で約20分の距離です。巨大な岩盤の上を流れる落差60mの滝「千尋(せんぴろ)の滝」を目指していくと、途中「梢回廊キャノッピ」の看板が現れます。
日本に2つしかない直接海に落ちる滝の1つ「トローキの滝」や、島のお土産が豊富に揃う「ぽんたん館」に立ち寄れるのも嬉しいポイントです。
▲キャノッピの受付の外側からは尾之間(おのあいだ)温泉がある尾之間集落のシンボル「モッチョム岳」を眺めることができます

今回体験するジップラインとは、木と木の間に張られたワイヤーをプーリーと呼ばれる滑車を使って滑り降りるアクティビティ。疾走感、爽快感、程よいスリルを味わえることから日本でも人気が高まっているそう。身長や体重に多少制限はありますが、子どもから大人まで気軽に楽しむことができますよ。ちなみにキャノッピのジップライン体験者の最高齢は、なんと78歳だそう!

日本各地にあるジップラインの中でも、照葉樹林を駆け抜けるジップラインはおそらくここだけではないでしょうか。これを体験しない手はありません!
▲店内にはジップラインに使用する様々な道具が。ワクワク気分が高まります

今回体験するジップライン「キャノピーロープ」は全長100mのコースを、地上15mの高さから滑り降りていきます。森の中には様々な虫や植物がいるため、肌の露出が少ない服装がおすすめ。靴はつま先まで覆われたスニーカーなどが望ましいです。

100mを1回体験する「お試し」(大人:1,200円)と3回体験できる「正規」(大人:3,000円)の2種類から選ぶことができます。
「お試し」では、体験者のハーネス(安全帯)の後ろに取り付けられるバックロープにて、スピードが出すぎないよう調整してもらえるので、安心して滑空することができます。
「正規」ではバックロープを解除して自分でスピードをコントロールできるので、より自由に滑空することができます。

コースの説明の後、外に移動して、ヘルメット、ベルトと順に装備を着けていきます。キャノッピの代表・中田さんが慣れた様子で手順を説明してくれました。
▲中田さんの指導のもと、装備を着けていきます
▲難しくはないので、初めてでも安心

中田さんは四国出身。昆虫採集をきっかけに訪れた屋久島の自然に魅せられて、1990(平成2)年に移住。エコツアー企画運営会社の経営を経て、2006年にキャノッピを開園しました。「屋久島の昆虫ガイド」など、昆虫に関する書籍も多数手がけており、夜行性小生物や「光るキノコ」を観察する「ナイトツアー」(大人:3,000円)も主催しています。
▲滑空姿勢の事前練習。腹筋に力が入り、これだけでも体幹が鍛えられそう

ブレーキのかけ方の説明や、滑空姿勢の練習を終えて、なんとなくイメージが湧いてきたところで、森へ入っていきます。森の入口へ向かう道にも大きなシダや緑が生い茂っていて、まるでジャングルのよう。

屋久島は山岳信仰が色濃く残っている島で、昔から山や森には神様が住んでいると信じられています。壮大で豊かな自然が残っている証でしょう。森へ入る前に、自然への畏敬の気持ちを込めて、神様に挨拶をします。
▲森の入口で、まずは森の神様にご挨拶。「失礼します」と頭を下げます
▲森へ入ると、一面緑色の景色が広がります

森の中はまるで別世界に入り込んだかのような景色。木々やシダが生い茂り、どこを見ても緑が目に入ります。新鮮な空気と鳥や虫の声に包まれて、これからの体験に期待が高まります。
▲スタート地点。見下ろす景色に、思わずへっぴり腰になってしまいます

いよいよスタート地点に到着しました。中田さんが「もう一歩前に出て」と指示をくれます。ほんの数歩先が途切れている台の上で、恐る恐る足を踏み出します。勇気を出して、足元の途切れた先を見渡すと、広がるのはたくさんの木々が生い茂った壮大な森の景色。初めてのジップライン体験。怖さとドキドキもピークです!
▲視線の先の着地ポイントを目指して、イメージトレーニング
▲タイミングよく木の枝に蝶々が止まりました!「ガンバレ」と応援してくれているようです

中田さんのセッティングが終わり、滑空まで、「3、2、…」とカウントダウンが始まりました!
「1!」と聞こえた直後、中田さんが固定していたバックロープを緩め、ついに走り出しました!
▲照葉樹がキラキラと輝く森の中を駆け抜けます

ファーストランは40m。地上15mから森の中を颯爽と駆け抜けます。開放感は抜群!スピーディーに森を駆け抜けるスリルに、思わず子どものように「キャーー!」と大声で叫びたくなります。さっきまで遠くに見えていた着地点が、あっという間に目の前に迫ってきます。無事に足が着くと、滑走前までの怖さは消えて、「たのしーー!!」と叫んでいました。
セカンドランの60mは、よりリラックスして周りの景色を楽しめるようになります。眼下に流れる沢と、沢を覆うシダやきらめく照葉樹が見えました。木と木の間をすり抜けて、まるで鳥になった気分です。
▲人が埋もれてしまいそうなほど緑深い森の中を駆け抜けるのは超爽快!

耳をすますとかすかに聞こえる沢の音。日常では体験できない鳥や虫たちの目線は、周りの景色をより鮮明にしてくれます。

そして何より、森の中に滑車ひとつで浮いていると、森を独り占めしているかのような贅沢な気分を味わえるんです!上も、下も、左右どこも、見渡す限り、目に入ってくるのは自然だけ。全身で自然に飛び込んでいくような感覚は、今までに味わったことのないもので、すっかりやみつきになってしまいました。

ジップラインと合わせて楽しみたい!空中散歩を楽しめる「キャノピーウォーク」

▲空中を歩きながらじっくり森を観察できる「キャノピーウォーク」

キャノッピのアクティビティの中でキャノピーロープと共に人気なのが、空中散歩を楽しめる「キャノピーウォーク」(大人:1,000円)。全長300mのボードウォークでスタートから徐々に高さが上がっていき、最高地点は12mに達します。コース中には様々な仕掛けや自然に関する説明書きが設置されていて、最後まで歩く人を飽きさせない工夫が詰め込まれています。所要時間は約30分。
▲最高地点から見える雄大な太平洋にしばし時間の流れを忘れてしまいます

「キャノピー=木のてっぺん」に込められた屋久島の自然への思い

▲キャノッピの周りには、昔のままの照葉樹林が残っています

可愛らしい響きのあるキャノッピという施設の名前。由来は「木のてっぺん」を意味する英語「キャノピー」だそうですが、なぜ木のてっぺんなのでしょうか。中田さんに伺いました。
屋久島の観光は、「縄文杉」「白谷雲水峡」などの有名どころに観光客が集中する一極集中型。山道は細く、往復で同じルートを通る場所も多いです。その道の中で、どうしても木の根が踏まれてしまうのを見ていて、どうすれば木の根を踏まずに屋久島の自然を守る形の観光ができるかを考えた結果、空中のアクティビティを考えついたのだそう。
▲キャノッピを訪れた人は日本地図の出身地にピンを刺し、海外からの方はこの地球儀にシールを貼ります。観光客が世界中から訪れていることがわかります

キャノッピのアクティビティにはキャノピーロープ、キャノピーウォーク、ツリーハウスカフェなど空中で楽しむものがたくさんあります。木のてっぺんの高さから空中で自然を観察すれば、自然の見方が変わり、木の根が踏まれずに自然が守られます。そして登山などの際にも、木の根を跨ぐ意識を持って歩いてほしいという中田さんのメッセージも込められています。
▲遊び心を感じる装飾にもほっこり

里にも魅力的な自然がたくさんあることを知ってもらい、山への一極集中が減ることで環境への負荷を分散し、屋久島の美しい自然を守りたい。
キャノッピという名前には、中田さんの自然に対する深い愛情と思いやりが詰まっています。

空中から屋久島の自然を楽しむという新たな発想と、その裏側にある屋久島の自然への思いに触れて、またひとつ屋久島の魅力を再発見することが出来ました。屋久島は縄文杉や白谷雲水峡だけではありません。ぜひ「梢回廊キャノッピ」で、スリルと爽快感あふれる空中アクティビティを体験してみてください。

※記事内の料金はすべて税込です
上口遼

上口遼

1986年富山生まれの北海道育ち。高校卒業後、10年間東京在住。奄美大島への一人旅がきっかけとなり、2016年2月屋久島へ移住。現在はゲストハウス運営の傍ら、フリーのライターやデザイナーとして活動。夢は九州のすべての離島を旅すること。そしてまだ知られていない島の魅力を発信したいと思っている。

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