食べるだけじゃ飽き足りない!本場讃岐でうどん学校へ入学

2015.09.24

香川県琴平町。年間約300万人の人が訪れるという「金刀比羅宮(ことひらぐう)」、通称「こんぴらさん」の参道の入口近くに、うどん作り体験の学校があります。その名も「中野うどん学校」。ここでクセになるユニークな授業をしていると聞き、実際に体験してきました。

中野うどん学校琴平校の正面入口
目の前にドーンと立ちはだかるのは、金刀比羅宮の本宮まで785段、奥社まで1,368段続く石段。いつもならばシュラシュシュシュと階段を駆け上がり、金刀比羅宮へ参拝するところですが、今日の目的は「さぬきうどん作り」。参道に向かって左側に建つ、「中野うどん学校琴平校」へ。こちらでは、足踏み・手打ち・手切りの昔ながらのさぬきうどん作りが体験できます。
1階のお土産屋
中野うどん学校の母体である「中野屋」は、創業100年を超える老舗の土産物店。本館の1階部分は売店になっていて、パック詰めのうどんやしょうゆ豆など、讃岐ならではの逸品がずらりと並んでいます。「なになに、うどんキャラメルだって!? 味付けは、やはり出汁なのかな…」。一風変わった土産物に思わず目がとまります。
うどん風味のキャラメル
▲問題の「うどん風味キャラメル」。実食できなかったのが心残り

「いかんいかん。今日はうどんを打ちに来たんだった」。土産物に後ろ髪をひかれつつ、エレベーターに乗って2階の教室へ。ドアが開くやいなや、「いらっしゃい!今日はどっからきたん」と満面の笑みで女性が出迎えてくれました。今回、教鞭(?)をふるっていただく校長のまっちゃん(一番好きなうどんの種類はかけうどん)です。うどん学校教師歴24年のベテラン先生です。
校長のまっちゃん先生と新入学生の伊藤
広々とした教室に入り、まずは学校オリジナルのエプロンをキュッと締めて気合を入れ、授業に臨みます。夏休みシーズンなこともあり、小学生のお子様連れのファミリーや大学生グループで大賑わい。ワクワクしながら授業開始を待ちます。
教室の内観
「こんにちは、今日の授業を担当するまっちゃんです。うどん学校の講師の中では最年少、ピッチピチの63歳(笑)。今日みなさんに体験していただくのは、昔ながらのさぬきうどん作りです。機械を一切使わず、手で打ち、足で踏み、熟成させて包丁で手切りしたうどんはふわふわもっちりして本当に美味しいの。今日はそんな昔ながらのさぬきうどんを一緒に作ろうと思います。最後までよろしくお願いします!」。開始早々、まっちゃんのマイクパフォーマンスが冴えわたります。
まっちゃん先生のマイクパフォーマンス
まずは、レッスン1「手打ち・包丁切り」体験から。あらかじめ学校で準備していた熟成後の「うどん玉」を伸ばしていきます。「1.2.3!1.2.3!リズム良くいきましょう」。先生の掛け声に合わせ、腰を入れて伸ばしていきます。
うどん玉を伸ばす
麺棒の長さくらいまで伸ばせたら、折りたたんで包丁切りします。「ゆでると膨らむから、それを考えて少し細めに切ってね」と先生が言っていたにもかかわらず、太くなってしまったのはご愛嬌。
伸ばしたうどん玉をたたむ
同じ細さに切りそろえる
切りそろえた麺を自慢げに掲げる
▲自慢げに切った麺を掲げているけど、太い、太すぎる!

切った麺はお櫃に一時保管して、続いてはレッスン2の「うどん生地作り」体験へ。さぬきうどんの材料はシンプルで、小麦粉・塩・水の3つだけ。季節によって分量が変わるそうです。自宅でも作れるように、季節ごとの配分表や熟成時間も教えてくれます。
まっちゃん先生が見かねて手伝ってくれた
まずは、ボウルに入った小麦粉全体に塩水がいきわたるよう手早く混ぜ、一つの玉になるようにまとめていきます。ポロポロだった粉がだんだんまとまっていくのが、なんとも楽しい。
まとまってきた粉
手をとめ、ふと教室前方に目をやると、先生方が一列にゴザを敷いています。「はい!みなさん、うどん玉がまとまったらビニール袋に入れて、それを持ってゴザの上に並んでー!」。先生に促されるままに、靴を脱いでゴザの上に並びます。
ゴザの上にビニールに入れたうどん玉を置き、上から踏む
「さぬきうどんはコシが命。これからうどんにコシを出すために足踏みしますよ。さぁミュージック、スタート!」。先生の合図とともに流れ出したのは、ゴールデンボンバーの「女々しくて」。もうこれは踊るしかありません。テレビで何回か見たうろ覚えの振付を踊りながら、足踏み!足踏み!足踏み!親の仇かのように踏みまくります。これぞ名物「うどんダンシング」。
タンバリンを持ち、みんなを鼓舞するまっちゃん先生
曲が終わったら、平たくなったうどん玉を折りたたみ、また袋に入れて2曲目へ。次のナンバーはAKB48の「ヘビーローテーション」。そして、気づけばまっちゃん先生の手にはタンバリンが(笑)。先生に励まされ、三代目J Soul Brothersなど、ダンスナンバー4曲に合わせて踏みまくること約10分、足踏み終了!「ぜーぜー。これ、ダイエットにもいいかも」。
ダンシング終了後
▲ケロッとしている子どもたちを横目に、肩で息をする伊藤

渾身の力を込めて踏んだうどん玉は、乾燥しないように丸めて袋に入れ、熟成させます。(このうどん玉は自宅に持ち帰って手打ちします)これにて45分間の授業は終了。まっちゃん先生に圧倒された、なんとも濃密なひとときでした。
踏みまくったうどん玉
授業を受けた証として卒業証書をいただきます。実はこの証書、巻物状になっており、一番下の棒は「麺棒」。持ち帰ったうどん玉をこれで打てますね。
卒業証書を受け取る伊藤
▲校長のまっちゃんから卒業証書を恭しく頂戴する

昭和56(1981)年にスタートしたこのうどん学校、当初は座学中心の“ちょっと堅め”な内容だったそう。それを変えたのが、何を隠そう校長のまっちゃん。「せっかく琴平にきてもらったんやから、ただうどんを打つだけやなくて、楽しい思い出をつくって帰ってほしい」と、現在のような形の授業に変えていったそう。そのユニークな教室がウケ、今では年間3万人の人が入学する人気学校となっています。リピーターも多く、中には10回以上参加している強者もいるとか。
まっちゃん先生
また、うどん踏みの際、毎回同じ曲じゃつまらないと、ダンスナンバーは月替わり。そのために若者の間で流行っている曲をテレビなどでいつもチェック。「お客さんの年齢層に合わせて変えることもあるんよ。お子さんが多かったらアンパンマンとか、大人の方が多かったら歌謡曲とかね」とまっちゃん。「みんなを楽しませたい」という想いが、人気を呼ぶのだなと実感しました。
うどんが茹で上がるのをまつ伊藤
そして最後は、お楽しみの実食!3階の食堂で、先ほど自分たちで打って切ったうどんを釜あげでいただきます。ゆでること数分、ふわっと麺が浮かび上がってきました。「ではではさっそく」。麺を鍋からすくいあげます。
ゆであがった麺
「ふ、太いっ!(汗)」。まるできしめんのような太さです。

しかし、肝心なのは味と食感。中野うどん学校特製のツユにつけていただきます。さぬきうどん特有のモチモチとしたコシ、ふわふわした食感で美味しい!自分で打ったせいか、なおさら美味しく感じます。さぬきうどんはずっと「食べる専門」だったので、自分で打つことができて新鮮でした。
うどんセット
▲自作うどんに追加で「天ぷら」(税別300円)もいただきました

クセになる「うどんダンシング」が魅力の「中野うどん学校」へ、みなさんも入学してみませんか。
伊藤秀美

伊藤秀美

愛媛生まれ、愛媛育ちの編集者。地元の出版社でタウン情報誌、女性誌の編集を経て、旅雑誌「四国旅マガジンGajA」の編集長に。食べること・飲むこと・自然の中で遊ぶことが大好きで、不便さや田舎っぷりもひっくるめて四国を愛している。リサーチ(仕事)と称し、年中、四国中をふらふらしている。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
PAGE TOP