これが工場!?日本食研の工場が「宮殿」という噂は本当だった!

2017.06.25 更新

愛媛県今治市の海岸沿いに建つ白亜の欧風宮殿。ここはオーストリアのウィーンにある「ベルベデーレ宮殿」をモチーフに建設された、日本食研「KO宮殿工場」です。「ホントに宮殿で作ってる~♪」とCMで歌われている通り、この中ではなんと焼肉のタレなどの調味料が製造されています。「宮殿食文化博物館」という名も持つ宮殿を味わい尽くす工場見学ツアーに参加してきました。

道を曲がると、そこはウィーンだった

JR今治駅から車で約15分。海沿いの道を折れると、木々に囲まれて建つ白い宮殿の姿が目に飛び込んできました。
▲曲がり角の先に宮殿が!

突然の別世界のような光景に、我が目を疑うほどです。敷地内への入場ゲートもテーマパークのよう。なんだかワクワクしてきます!
▲入場ゲートで守衛さんに名前を告げて中へ

この日本食研本社工場は事前申し込みをすれば見学が可能です。工場の生産ラインの見学、加えて世界の食文化に関する様々な展示も楽しむことができます。
見学コースは約1時間15分の「宮殿コース」と、昼食を含む約3時間30分の「食文化博物館コース 」とがあります。今回はKO宮殿工場をメインにした「宮殿コース」を見学することにしました。(見学料:大人1,000円、小中高生600円、小学生未満無料 ※全て税込)
▲綺麗な円錐形の木々が並ぶ並木道の向こうに本社ビル

社員のかたが見学の案内をしてくださいます。本社ビル1階の「バンコ・ショップ」で受付を済ませ、この日の案内の藤田さんと合流し、さっそくスタートです。
▲「なんでも聞いてくださいね」優しい笑顔の藤田さん

ここだけの味!本場ドイツ仕込みのハム・ソーセージ

宮殿工場見学の前に、まずは「世界ハム・ソーセージ博物館」を見学します。本社ビルを挟んで宮殿とは反対側の建物へ。途中あちらこちらに姿を見せる日本食研のキャラクター「バンコ」もお見逃しなく。
▲「バンコ」と仲良く並ぶ創業者の大沢会長像
▲バンコたちが周りを囲む大鍋の真ん中に、焼肉のタレのボトルが!

「世界ハム・ソーセージ博物館」では、自社ハム・ソーセージ製品の製造工程の見学と、原料や器具、製品の種類などを説明した展示の見学ができます。
▲「ようこそ!」楽しいイラストパネルがお出迎え

建物に入ると、香ばしい燻製の香りが漂ってきます。
「昭和46(1971)年にハム・ソーセジ製造用の調味料販売で創業した会長でしたが、どうしても自分でハムを作りたかった。13年後の1984年にドイツを訪れて技を学び、ヴィットマン社と1986年に業務提携をし夢を叶えたのです」と藤田さん。
現在の工場長は、2年間の技術留学中にオーストリアの展示会で3つの金メダルを獲得した腕前だそうですよ。
▲本場ドイツの技と日本食研の情熱から生まれた製品の数々
▲肉の部位やソーセージの種類を説明したパネル

製造工程は撮影禁止なのですが、「機械での大量生産なのでは?」という想像を覆す、とても丁寧な「手作り」の現場でした。機械は使うものの、下ごしらえから成形まで、どの工程も必ず人の手で作業が行われるのです。良いものを作ろうという真摯な気持ちが伝わってくる、素敵な作業風景でした。

日本食研の新入社員は必ず最初にハム・ソーセージの製造を体験するそうです。全てを知っているからこそ、自信を持ってお客様に勧められるというわけです。「入社1年目で10kg太りました。試作、試食を繰り返しましたから」と笑う藤田さんの表情は、誇りに満ちていました。
▲ここだけの貴重なチャーシューとソーセージを試食できます

残念ながらこれらは一般に小売されておらず、ホテルや外食産業などの業務用のみ。味と品質にこだわり、添加物も最小限に抑えているので日持ちがせず、小売には適さないのだそうです。でもこの見学コースでは、オリジナル商品の試食ができます。そして本社ビルの「バンコ・ショップ」で購入可能なので、ぜひ買って帰りましょう!

果たして宮殿の中は?本当に工場なの!?

さて、いよいよKO宮殿工場へ。敷地内には広大な庭園があり、芝生や木々、色とりどりの花、大小の噴水がハーモニーを奏でているような美しさです。その庭園の中を、バンコ像を探しながら歩いていきます。
▲敷地内には30体のバンコ像があるそう

宮殿に到着!その迫力のある美しさに圧倒されます。これが工場だとは、とても思えません。
▲左右対称の直線的なフォルムでありながら、どこか女性的な優雅さを持っています

この宮殿は、オーストリアのウィーンにあるベルベデーレ宮殿を模して作られています。ベルベデーレ宮殿は長きに渡り中世ヨーロッパに君臨したハプスブルグ家の英華の象徴。マリー・アントワネットの母親である女帝マリア・テレジアが所有し、絢爛なヨーロッパ宮廷文化の舞台となった場所でもあります。
▲青空映える白亜の宮殿。バンコの姿も見えますね

それにしても、なぜ宮殿なのでしょう?藤田さんに伺いました。
「100年保つ工場を作ろうと考えて、ヨーロッパのお城に思い至ったのです。それに中世ヨーロッパの宮廷晩餐会は食文化の発展の源。それにあやかり、日本の食文化を世界へ広げようという思いが込められています」。
なるほど、思いの丈を形にしたのが、この壮大な宮殿なのですね。
▲近くで見ると、細部まで凝った作りなのがよくわかります

それでは中へ入ってみましょう。
外観の雰囲気そのままに重厚感のあるエントランスホールは、深い色味の木壁と絨毯、天井には大きなシャンデリアが輝く荘厳な雰囲気です。
▲ベルベデーレ宮殿の上宮にあるギャラリー名にちなんで名付けられた「マーブルホール」
▲16世紀中世ヨーロッパの甲冑のレプリカも飾られています

ホールの脇にあるのが華やかな装いの「ロイヤルダイニングルーム」。マリー・アントワネットの部屋をイメージしているそうです。ここにはプロジェクターやスクリーンの設備もあり、お客様との打ち合わせなどに使われているそうです。この豪華な部屋が実用だなんて、驚きです!
▲優美な曲線を描く家具類の脚、明るい色の絨毯や椅子の刺繍など、どこを見ても華麗です

エレベーターで4階まで上ります。この宮殿工場では焼肉のタレやから揚げ粉などが製造されています。
製造ラインはやはり撮影はNGですが、宮殿を縦に貫く大きなじょうご型の機械を用い、4階で投入された原料が徐々に製品になり、最後に1階で袋に入り箱詰めされるまでの一連の工程が見学できます。
最新鋭の機械の活躍と、人が行う細やかな作業。両者が淀みなく協働し製品が出来上がって行く様は一見の価値ありです。
▲見学通路から製造の様子を見下ろす角度で見学できます
▲「晩餐館」シリーズの焼肉のタレがここで生まれています

このKO宮殿工場は「宮殿食文化博物館」という名も併せ持ち、博物館としても見どころが満載です。
「キングズ・バンケット」というエリアでは、ハプスブルク家の食卓を再現しています。盛り付けや食器にも凝った宮廷料理が並ぶ食卓に、バンコ夫妻がちょこんと座っています。
▲左から、ザリガニ、フォアグラとトリュフのゼリー寄せ、右に鱒とエビなどの料理

通路の途中で藤田さんが「ここからの庭園の眺めは最高ですよ」と窓を指して立ち止まりました。窓から外を眺めると、美しく型取られた庭園が真正面に!
▲「うわー!」思わず歓声が上がります

この庭は、フランスのベルサイユ宮殿の幾何学式庭園をモチーフにしているそうです。
ちなみに庭の見学だけなら、事前予約がなくても可能だそうです。

しばし窓からの眺めを堪能した後、2階へ移動しました。世界24カ国の王室御用達の食器や調理器具と、61カ国の調味料がずらりと並ぶコーナーが通路沿いに続きます。これだけでひとつの博物館と思える数です。食を楽しむことに、世界中の人々がいかに知恵と情熱を注いできたかを実感してほしい、そんな思いを込めたコレクションなのだそうです。
▲世界24カ国の王室御用達の品々。各国とも個性豊かです
▲調味料の数は602種類!パッケージにもお国柄が表れているよう

宮殿コースの見学ルートを全て見終わり、最後に焼肉のタレなどのお土産までいただきました。

もっと隅々まで味わい尽くしたい人へ

盛りだくさんの「宮殿コース」でしたが、もう一つのコース「食文化博物館コース」ではさらに「世界食文化博物館」「日本食研歴史館」「日本食研商品展示館」も見学できます(見学料は宮殿コースと同じ。ただし昼食代が別途必要)。その内容も少しご案内しておきましょう。

「世界食文化博物館」は本社ビル10階。世界の食文化について様々な視点で紹介しています。
▲世界99カ国それぞれの代表的な料理を、196種類のレプリカで再現
▲世界の調理器具。中華料理、フランス料理の鍋などに、各国の習慣の違いが見えます

9階の「日本食研歴史館」「日本食研商品展示館」では、日本食研のこれまでの歩みや商品を全て見ることができます。
▲「日本食研商品展示館」は商品とそれを使った料理のレプリカも並ぶ楽しい展示

そしてここには「社内恋愛神社」が!取材に伺った2017年5月には、社内結婚641組目が誕生したそうです。
▲出雲大社に落慶法要をしていただいているのでご利益もお墨付き?!

「食文化博物館コース」では社員食堂で昼食をとることができ(別料金)、週替わりで各国の料理を味わえる「今週の世界料理」などのメニューが楽しめますよ。
▲本社ビル上層階からは海を望む全景が見られます

「二度、三度と見学に来られる方もいらっしゃいますよ」という藤田さんの言葉も頷けるほど、まだまだじっくり見たいと思わせられるツアーでした。「宮殿」というユニークさにばかり目が向きがちですが、世界の食文化をありとあらゆる視点からたっぷりと楽しむことができます。ぜひ訪れて、「食」の面白さを存分に味わってみてください。
矢野智子

矢野智子

愛媛県在住。愛媛県出身ながら高校卒業後ほとんどの時間を県外で過ごした後、生活の拠点を愛媛に定めた現在、改めて気付く地元の魅力に感動しきり。 人生を豊かにするものは「食」と「読」と信じ、そこに情熱を傾ける日々。

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