初心者でも大丈夫!「歌舞伎座」ではじめての歌舞伎を体験

2018.04.12 更新

日本の伝統芸能の代表格「歌舞伎」。一度は観てみたいと思いながらも、ハードルが高くてなかなか足を運べない方もいらっしゃると思います。そこで、これまで歌舞伎を観たことがなかったビギナーの方も気軽に行けて満足できる、観劇ポイントや楽しみ方をご紹介。芝居見物の前後に楽しめる観光スポットも併せてご案内します!

INDEX

【入門編】知っておきたい歌舞伎の基礎知識(基礎知識、演目の選び方、チケットの購入方法、服装・マナーなど)
【いざ歌舞伎座編】歌舞伎を楽しむ5つのポイント
【周辺編】歌舞伎見物だけじゃない!訪れるべきおすすめスポット

【入門編】其の一/明治生まれの歌舞伎座は楽しさ満載のワンダーランド

江戸時代に発展し、完成された日本の伝統芸能・歌舞伎。その発祥は400年以上前にも溯り、俳優の演技をはじめ絢爛豪華な和の様式美で人々を魅了します。公演は、一年を通じ全国各所の劇場で行われていますが、なかでも最も華やかな舞台として知られているのが、東京・銀座にある歌舞伎興行の専門劇場「歌舞伎座」です。
▲明治時代の第一期歌舞伎座

明治22(1889)年にオープンして以来、多くの歌舞伎ファンを魅了しつづけるこの劇場は何度も建て直され、現在は2013年4月に開場した5代目。4代目の建物の趣と風格を踏襲しながらも傍らに近代的な高層ビルを配し、堂々と銀座の街に威光を放っているのです。  
食事処や売店なども備えた歌舞伎座は、楽しさに胸が躍り、熱い感動がわきおこるワンダーランド。ここ歌舞伎座でこそ叶う非日常の体験が待っています。

【入門編】其の二/初めて観る演目の選び方

歌舞伎座で上演される演目は月毎に入れ替わります。映画やドラマに様々なジャンルがあるように、歌舞伎の演目も実に多彩。 大まかには、ストーリー仕立ての「歌舞伎狂言」と義太夫・常磐津・清元・長唄などによって踊る演目「歌舞伎舞踊」に分けられます。
さらに、歌舞伎狂言には、江戸時代より前の時代を扱った演目「時代物」、江戸時代の庶民階層を扱ったドラマ「世話物」などがあり、市川團十郎家のお家芸である「歌舞伎十八番」などがあります。
 
ここでは参考までに、カテゴリー別に初心者でも楽しめる演目をご紹介しましょう。  

■「時代物」/仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら) 、義経千本桜   
■「世話物」/三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ) 、東海道四谷怪談
■歌舞伎十八番/勧進帳(かんじんちょう)、助六(すけろく)、暫(しばらく)
■舞踊(所作事)/京鹿子娘道成寺(きょうがのこむすめどうじょうじ)、春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)など  

また初心者には、現代の脚本家や演出家がつくる新作歌舞伎もおすすめです。最近では漫画原作やインドの叙事詩なども歌舞伎となり、大勢の観客の喝采を集めています。

【入門編】其の三/知っていると通!?歌舞伎あれこれ

歌舞伎舞台のすべてに息づくのが、数百年にわたる独特の様式美です。絢爛豪華な色彩に目も心も躍る舞台上で繰り広げられるのが、四季折々の情景や風俗、時代を越えても変わらない人と人との愛憎や情、善と悪、営みなどがドラマとなり、観客を感動の渦へと誘います。ここでは見物に赴く前に知っておきたい、歌舞伎の用語やお約束を少々お伝えします。
◎花道/舞台下手にある道のような舞台
◎セリとすっぽん/舞台装置の上げ下げに使う「大ゼリ」、俳優の上り下りに使う「小ゼリ」、花道にあるものが「すっぽん」
◎立役(たちやく:男役)/若い男性の善人役
◎敵役/善人の立役に対して悪人の役
◎色悪/表面は色男だが実は悪人。また色男の悪人
◎女方/男の役に対して女の役全体
◎見得(みえ)/演技の型の一つ。俳優がストップモーションのように静止し、絵姿のようになって睨むこと
◎だんまり/闇の中で無言のまま立ち回りをすること
◎立廻り(タテ)/刀などの小道具を使っての闘争演技
◎ケレン(外連)/「早替り」「宙乗り」「戸板返し」「本水」など、見た目の面白さを狙った演出
◎隈取/紅や藍、墨などの色を使った化粧。色によって役柄を表す

【入門編】其の四/チケット入手は事前予約で。約1,000円~2,000円の当日券「一幕見席」はぐっとお得!

歌舞伎座のチケットは、格安な席から、一世一代の贅沢気分を満喫できる席まで多種多様な席が用意されています。
チケットの種類は以下の5つ。
《客席の種類&一名あたりの料金(通常公演の場合)※すべて税込》
◎1階桟敷席 20,000円/2名ずつ入れる堀炬燵式のボックス席で、特別感を満喫できます。 お茶やおしぼり、事前に予約すればお弁当(別途料金)も出てきます。
◎1等席 18,000円/1階及び2階の前方。1階中央の7~9列が最も見やすく最上といわれています。芝居の世界にどっぷり浸りたい人向き。
◎2等席  14,000円/2階後方席。上方から舞台全体を見渡すことができます。
◎3階A~B席  4,000円~6,000円/「○○屋」と声をかける、「大向う(おおむこう)」と呼ばれる歌舞伎通もこのあたりに出没。
◎一幕見(ひとまくみ)席 約1,000円~/4階にある当日自由席。気軽に好きな演目を好きなだけ観ることができる非常にリーズナブルな席。
▲思い立った日に正面玄関に向かって左にある「一幕見入口」に並んで、気軽に歌舞伎見物にチャレンジできます

チケットは、劇場窓口の切符売場ほかインターネットで購入できる「チケットWeb松竹」(モバイル版もあり)や電話で申し込みできる「チケットホン松竹」もあり、前売り開始日より購入可能です。
当日の開演直前でも残席がある場合なら、どの席のチケットでも一幕見席の切符売場で取扱っています。

【入門編】其の五/どんな服装がベスト?持ち物やマナーは?

敷居の高いイメージがある歌舞伎座。服装や持ち物、マナーなどにも決まりがありそうで…と、不安に思う人も多いのではないでしょうか。でも、ご安心ください。ジーンズやTシャツなど何を着て行っても大丈夫です。でも、せっかく歌舞伎座へ出掛けるのであれば、自分なりにおしゃれしていくことをオススメします。例えば和服を着て行けば、よりいっそう非日常感が味わえ、日本の伝統文化に浸ることができる一日になることでしょう。
持ち物としては、持参すると数倍楽しくなるアイテムが「双眼鏡」です。どんなに至近距離からであっても双眼鏡を覗けば、俳優の指先や表情がさらにアップに。細部まで実に細やかな芸をしていることがありありとわかります。案外気取らない歌舞伎座は座席での飲食もOK。しかし、上演中にもそもそ音をたてるのは禁物。また、芝居に夢中になって前方に乗り出すのも観劇中のNGマナー。常に周囲の人への配慮をお忘れなく。

【いざ歌舞伎座編】其の一/開演30分前に入場しよう

基本的な事柄も学び、チケットも入手したら、いよいよ歌舞伎座へと参りましょう。

アクセスも非常に便利な歌舞伎座は、東京メトロ日比谷線・都営浅草線、東銀座駅の改札から歌舞伎座ビルの地下2階に直結しており、売店や食事処が並ぶ「木挽町(こびきちょう)広場」の脇にある、エスカレーターやエレベーターで地上に上れば、正面玄関へ到着します。
一歩エントランスに入るだけで、まるで別世界のような華やかな空間が待っています。メインロビーを艶やかに飾る鳳凰が舞う緋色の絨毯は、豪華な手織りの山形緞通(だんつう)。2階をはじめ各階の壁にかかる絵画も、有名な画伯たちが描いた由緒あるものばかりです。

せっかく奮発して歌舞伎座へ訪れるのなら、ぜひ開演30分前に到着して、館内を巡って雰囲気を楽しみましょう。華やかな雰囲気を楽しみながら、売店をのぞいてもよし。お弁当やおやつを調達してもよし。幕間(まくあい)時間は短くばたばたしがちなので、早めに到着しておくことが、ゆったり優雅に観劇するポイントです。

【いざ歌舞伎座編】其の二/上演前に手に入れるべき優れものアイテムはこれ!

上演が始まる前にぜひゲットしておきたいのが、「イヤホンガイド」と「筋書(すじがき)」です。歌舞伎ビギナーでも演目のことを無理なく理解することができる必須アイテムといえるでしょう。
「イヤホンガイド」(レンタル料700円※税込)は、筋立てやドラマの背景、難しくて聞き取れないセリフを、分かりやすく解説してくれる音声ガイド。傍らに通な友人がいるかのように、俳優が登場するたび誰それと教えてくれたり、衣裳や隈取り、小道具、歌舞伎特有の約束事などの意味合いをレクチャーしてくれるので、ぜひ借りておきましょう。
ほかにも解説やセリフを文字で読める「字幕ガイド」(レンタル料1,000円※税込)もあるので、お好みで使い分けてもいいですね。
※イヤホンガイド、字幕ガイド共に別途保証金1,000円が必要(保証金は返却時に返金)

物語のあらすじをしっかり頭に入れたいなら、映画やコンサートなどのプログラムにあたる「筋書」(1,300円※税込)を入手しましょう。俳優の顔写真をはじめ配役、ストーリー、見所などが一冊に収められ、観劇の記念にもなるのでぜひ一冊お手元に。

【いざ歌舞伎座編】其の三/歌舞伎の世界に思い切り浸ろう

では、いよいよ歌舞伎座の舞台へとご案内します。
1~4階までに総客席数1,808席(幕見席96席を除く)ある歌舞伎座は、舞台の横幅が27.573m、高さは6.363m。俳優が登退場する花道の長さは18.18mある大劇場です。

幕があがると同時に桜や紅葉など四季の風情が艶やかな装置が現れ、ちょんと鳴る柝(き)の音、三味線や語りや唄などの音楽。俳優がまとう豪華な衣裳…すべてが一体となり、浮世絵のように美しい世界へ観るものを誘います。
劇場全体が一体となるライブ感を、肩肘張らず、思う存分感じたままに味わいましょう。目で、耳で、匂いで、五感にうったえてくる生の歌舞伎を一度観れば、その臨場感や迫力に一挙に虜になってしまうかもしれません。

【いざ歌舞伎座編】其の四/幕間の食事も楽しみの一つ

通常、昼と夜の2部立てになっている歌舞伎座の公演。それぞれ3演目ほどが上演され観劇時間が4時間程に及ぶため意外と長丁場です。でもご安心を。演目と演目の間には「幕間」と呼ばれる休憩時間(15~30分ほど)があり、ほっと一息つくことができます。この幕間に食事をしたり、お茶をするのも歌舞伎見物の楽しみの一つとなっています。
歌舞伎座内には3カ所の食事処と喫茶があり、豪華な食事をいただくなら3階「東京吉兆」、しっかり食事をするなら3階「花篭(はなかご)」と2階「鳳(おおとり)」。お茶を飲むなら1階の喫茶室「檜(ひのき)」と、予算や希望に応じて飲食を楽しむことができます。これらの食事処で食事をしたい方は、歌舞伎座のホームぺージでの事前予約や入場時に予約を取るのがおすすめです。

また、売店で売っているお弁当などを劇場内に持ち込むこともOK。座席でゆっくり食べられます。チケットの半券を持っていれば場内外の出入りも自由なので、歌舞伎座近隣の蕎麦屋などへ赴く人も多くいます。

【いざ歌舞伎座編】其の五/売店でスイーツ&お土産ハント

幕間のもう一つのお楽しみが、甘味やお土産探し。1階「お土産処 木挽町」、3階「座・のれん街」と、館内には売店がたくさんあり、大福や人形焼き、アイスもなか、鯛焼き、マカロン、プリンなど和洋のスイーツも充実しています。
また、御祝儀袋やポチ袋、手拭いや扇子など江戸テイストの小物が揃い、歌舞伎座でしか入手できないものも。ご贔屓の俳優のブロマイドやグッズなどもあるので、つい手にとってみたくなります。ぜひ幕間や観劇の前後に立ち寄って、甘味や佃煮、工芸品などお土産などを探してみてください。

【周辺編】其の一/いつもお祭り気分で賑わう「木挽町広場」

ここからは、歌舞伎座に来たならぜひ立ち寄りたい観光スポットをご紹介。観劇の前後はもちろん、観劇しない場合でも歌舞伎気分を楽しめます。
地下鉄東銀座駅直結の地下2階「木挽町広場」は、出店がずらりと並ぶ下町の広場みたいに開放的なフロア。お土産処やお食事処、カフェやコンビニまであり、いつ訪れてもお祭のような賑やかな雰囲気に包まれます。
歌舞伎は観なくても、待ち合わせやちょっと気の利いた和風のお土産やお菓子を探しに立ち寄るにも便利。かんざしや箸、和装小物、水引細工などの出店を巡りつつ、歌舞伎座と大きく描かれた提灯の下、そぞろ歩くだけでも気分が高揚するスポットです。

【周辺編】其の二/歌舞伎座タワー内には癒しの日本庭園が

歌舞伎座の背後に佇む「歌舞伎座タワー」5階へ行くと、青空の下に緑眩い屋上庭園が広がっています。歌舞伎に関する記念碑や出雲のお国の桜などもある、心がほっと寛ぐ癒しスポットです。
庭園から続く朱の欄干が美しい五右衛門階段を降りると、歌舞伎座内の4階回廊へ。途中、歌舞伎座の座紋「鳳凰丸」が刻まれた瓦が並ぶ屋根があり、その中に、見つけると幸せになれるという「逆さ鳳凰」も。訪れた際は、ぜひ探してみましょう。

【周辺編】其の三/「歌舞伎座ギャラリー」で役者気分を満喫

屋上庭園がある歌舞伎座タワー5階には、歌舞伎初心者や外国人観光客が、気軽に歌舞伎に親しむことができる体験型スポット「歌舞伎座ギャラリー」があります。
「菅原伝授手習鑑」「寺子屋」の舞台に上がってみたり、花道で「白浪五人男」や「藤娘」の登場人物になりきって記念撮影をしたり。実際の歌舞伎の舞台を体験し、役者気分を味わえます。ほか様々なトークイベントも随時開催。舞台を支えるスタッフによるこぼれ話なども必聴です。

思い立ったら吉日。ぜひ気軽に歌舞伎座へ

敷居が高いと思われがちな歌舞伎座ですが、気軽に通えるリーズナブルな席や一幕だけ観られる当日券もあって、実はコストパフォーマンスもなかなかのもの。丁寧に解説してくれるイヤホンガイドなども充実しているので、初心者も芝居を堪能できるはず。

食や買い物も楽しめる歌舞伎座は、ほぼ年中興行しています。思い立ったら吉日とばかりに、ぜひ気軽に歌舞伎座へ出掛けてみませんか。一度体験すれば二度三度と通いたくなる、魅惑に満ちためくるめく世界が待っています。
ゴトウヤスコ

ゴトウヤスコ

ホテル、レストラン、神社、婚礼、旅、食、暦&歳時記、ものづくりなどの広告コピー、雑誌記事、インタビュー記事などを多数執筆し、言葉で人と人をつなぎ、心に響くものごとを伝える。旅は、基本一人旅好き。温泉、パワースポット、絶景、おいしいものがあるところなら、好奇心がおもむくままどこへでも。得意技は、手土産&グルメハンティング。最近は伝統.芸能、日本刀、蓄音機など和文化への興味を深堀中。読書会なども開催。(制作会社CLINK:クリンク)

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