権禰宜さん解説!国宝・大崎八幡宮のここが見所パーフェクトガイド

2017.06.06 更新

大崎八幡宮は1607(慶長12)年、仙台総鎮守として開かれました。そこには伊達政宗公の「家臣や仙台城下に暮らす庶民の幸せを願う想い」が込められていました。今なお仙台市民の心のよりどころである大崎八幡宮、その必見ポイントを詳しくご紹介します。細部まで観察すれば参拝のご利益がアップするかも。

巨大な鳥居をくぐり、表参道へ

仙台地下鉄南北線・北四番丁駅からバスで約10分、大崎八幡宮前停留所を降りてすぐにある巨大な「一之鳥居」が大崎八幡宮の正面玄関。境内は小山のような形状で南北に細長く、本殿などは鳥居の奥に見える森の中にあります。
▲国道48号線に面している一之鳥居
▲鳥居に付いている篇額(へんがく)は畳4畳分もの特大サイズ!「八」の文字が鳩になっているのがチャームポイント
一之鳥居をくぐると石造の二之鳥居が見えてきます。一之鳥居よりは小ぶりですが、四代藩主伊達綱村が寄進し、1668年築という由緒ある鳥居で、宮城県の有形文化財に指定されています。石材は現在の岩手県一関市からわざわざ取り寄せた花崗岩です。
▲今回の取材を受けてくださる権禰宜(ごんねぎ)の宮崎さん。よろしくお願いします
▲二之鳥居をくぐり、四ツ谷用水掘りに架かる橋を渡り、石段へ

四ツ谷用水は伊達政宗公の命により整備された用水です。藩政から昭和の時代まで、仙台市民の生活用水、農業用水、防火用水などに使われてきました。2016年度の「土木学会選奨土木遺産」に認定されています。
▲両脇の木は常緑樹の榊(さかき)。生命力を表しているそう

「石段の段数は98段。踊場を2段と数えると100段になるのですが、どちらでもよいことにしています(笑)。ちなみにこの石段、仙台市の登録文化財なんですよ」と宮崎さん。登り切ると「三之鳥居」があります。
▲「本殿はこの先にありますが、先に鳥居の左側を見ていただこうかな」(宮崎さん)
▲と案内された場所は長さ約180m、幅約20mの細長い広場
「ここは、1月は松焚祭(どんと祭)、9月は例大祭で行われる流鏑馬(やぶさめ)の会場になります。左側の木立ちの中には社務所があり、これまた国の登録文化財に指定されています。では表参道の右側に移動しましょう」(宮崎さん)
▲「石の台座に石の絵馬が乗っているなんて、なんか変でしょ?」(宮崎さん)
1925(大正14)年に建てられた際は馬の銅像が乗っていましたが、太平洋戦争時に金属資源として徴収。空席の台座に銅像代わりの石造の絵馬が置かれ、現在の「石絵馬」になったのは1959(昭和34)年のことだそうです。
▲国指定登録文化財の「神馬(しんめい)舎」。昭和20年頃まで実際に馬を飼っていたそう
▲神馬舎の左隣にあるお休み処「鞍(くら)」
「鞍」は境内で唯一の飲食スペースを兼ねた甘味処です。メニューは水ようかん、かんてん、しるこ、みたらし団子などで、いずれも抹茶付きで300円(税込)です。
▲参拝前に手水舎で両手を清めましょう
▲左手、右手の順に洗い、左手で水を口に含んでゆすぎ、再度左手を洗います
▲手水舎の左隣に建つのは「金刀比羅社」。1983(昭和58)年に氏子が建てたもので、奥には境内の整備に尽力した沼田家八代目茂密(しげみつ)の石像が鎮座

本殿に向かう前に、表参道の左側も見ておきましょう。戦没者の慰霊碑や、神社の境内の中にさらに複数の神社が建っている区画があります。
▲邪気を懲らしめ福を招く神、大元帥明王が祀られている「大元社」
▲写真一番奥の大元社から手前へ、水を守り生命を司る神を祀る「諏訪社」、武道の精神や決断力の神を祀る「鹿島(かしま)社」、天地を創造した神を祀る「北辰(ほくしん)社」、雨水を司る神を祀る「龍神社」の4社が並んでいます
▲境内に植栽された木々も見所のひとつ。桜は品種が多く、例年の見頃は3月末~5月上旬頃までと長めです

参道見物もいよいよ大詰め。「長床」の向うには国宝の「御社殿」!

表参道をさらに進むと「長床(ながとこ)」が建ち、これを通り抜けると正面に本殿の「御社殿」、右側にお守りなどを頒布(はんぷ)している「祭儀棟」、長床の右側手前には樹齢約400年と推測される立派な大木・高野槇(こうやまき)が植栽されています。
大崎八幡宮の長床。一般に長床とは本殿前に建つ細長い寺社建築物のことを指します。

大崎八幡宮の長床は、派手な社殿とは対照的に、あまりにも地味で素朴な木造建築に見えますが、いやいや侮ってはいけません。こう見えて国指定の重要文化財なのです。建築年は不詳ですが、古書により1686(貞享3)年にはその存在が確認されていて、「長床」としては宮城県内最古のものになるそうです。
また、長床の名称で国の重量文化財に指定されているのは、熊野神社(福島県喜多方市)とここの2ヶ所だけという、とても貴重な建造物なのです。
▲長床に奉納されている東北楽天イーグルスの必勝祈願絵馬

「大崎八幡宮は厄除け、除災招福、必勝、安産を願って創建されました。ということで、仙台に本拠地を置くプロスポーツチームは毎年、シーズン開幕前に必勝祈願にいらっしゃるんですよ」(宮崎さん)
▲男子と女子のサッカー、バレー、バスケの各チームの絵馬も長床に奉納されています
▲選手の決意のコメントなどもあり、ファンは必見
▲長床には仙台張子の「松川だるま」超特大サイズも奉納されています

仙台張子は江戸時代から続く伝統工芸品。仙台藩士が庶民に何か楽しみをと創造されたと云われています。だるま、福助、虎などの形があり、中でもだるまは縁起物として大人気。後述の「祭儀棟」でお手頃サイズを入手できます。
▲豪華で煌びやかなデザインが美しい御社殿。手前が拝殿で奥が本殿という「権現造り」になっています

ついに「御社殿」とご対面!桃山建築の傑作と謳われ、仙台市内の建造物としては唯一となる国宝です。政宗公の命を受け、日本全国から名だたるトップクラスのアーティストたちを招き、1604(慶長9)年から3年もの歳月をかけて創建されました。
▲内外ともに漆塗りという贅沢さ!そしてその漆黒がただならぬ風格を漂わせています
▲極彩色の彫刻と飾金具の見事さは思わず見惚れてしまうほど
▲拝殿の奥に続く本殿は御社殿の左側から見られます
「2016年の秋から美装工事を行っております。漆塗りの部分がツヤツヤでしょう(笑)。この工事はもうしばらくの間、断続的に続く予定です」と宮崎さん。完成時には政宗公が見たのと同じような状態を見られるのは貴重かも。「内部は一般公開しておりませんが、ご祈祷やお祓いでご参拝いただければ、その際に内部の漆塗りも見学できますよ」(宮崎さん)

国宝を背におみくじひいて御守り選び。なかなかレアな体験です

御守り、御札、おみくじなどは御社殿の右側に建つ「祭儀棟」(営業時間9:00~17:00、無休)で入手できます。ご祈祷やお祓いの申込み、御朱印の発行もここで行っています。待合スペースもあり、御社殿の修復工事を追ったドキュメントムービーの上映や、御社殿の意匠の模型展示なども行われています。
▲祭儀棟内に展示されている御所殿外壁意匠の実寸レプリカ。意匠の細部を間近でチェック
▲修復工事の模様を常時上映。修復だけでも大がかりな事業だったんですね
▲祭儀棟の外には大小さなざまな御守りがずらり。「松川だるま」も並んでいます
「仙台総鎮守」だけあって、無病息災、縁結び、旅行安全、合格祈願、学業成就などご利益の範囲も広く、ベガッ太(ベガルタ仙台)、クラッチ(楽天イーグルス)、ティナ(仙台89ERS)、キティちゃんといったキャラクターとコラボした御守りもありました。
▲御社殿正面の鈴を模した御守り(1,000円)も
交通安全の御守り(500円)をいただいて、おみくじ(200円)をひいてみました。え?何が出たかは秘密です。
▲おみくじや絵馬は大木・高野槇(こうやまき)の周りに結び付けましょう
大崎八幡宮にはもう1つの参道「北参道」があります。今回は一之鳥居に戻らず、北参道から帰ることにします。駐車場(無料)は北参道側にあるので、マイカー利用の場合は北参道からの入場が便利です。
150mほどの北参道。「秋は紅葉に染まって、また違った趣になるんですよ」(宮崎さん)
北参道入口の「北参道鳥居」も高さ約7m、幅約8mという特大サイズ!推定樹齢約300年の青森ヒバで造られ、木造鳥居では宮城県で最大だそう。
自動車専用の「自動車祓所」もあります。日常生活上で起こりそうな禍はなんでも祓ってくれるんですね。さすが仙台総鎮守!
「元気いっぱい!という方よりは、やはり何かしらの問題を抱えている方がいらっしゃるわけですよ。神様にお参りして、ここで朗らかな気持ちになっていただければ幸いです」と宮崎さん。

確かに普段の生活とは異なる空間に身を置き、静かに物思いに耽る時間も大切かもしれません。とは言え、国宝や重要文化財の数々はそれだけでも見応え十分!お悩み事の有無に関わらず、一度訪れてみてはいかがでしょう。
さとう謙一

さとう謙一

アパレル業界から脱サラし2002年頃から断続的にフリー執筆者。企画、編集、指導もこなす。 これまでの担当件数は約6,000件、現地取材は東北地方を中心にのべ4,000カ所を超える。趣味はロックバンド活動と犬の動画を見ること。特撮オタクでもある。仙台市出身&在住。

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