世界遺産・下鴨神社と糺の森 癒しの森の参詣道を、心静かに歩く

2017.05.02 更新

古来より続く信仰の場として崇敬を集めてきた下鴨神社と、その周囲に広がる広大な糺の森(ただすのもり)。神聖な気が満ちる癒しスポットの魅力とともに、京都三大祭のひとつに数えられ、下鴨神社などで行われる「葵祭(あおいまつり)」の情報をご紹介します。

世界遺産に登録された、広大な森の神社へ!

鴨川と高野川に挟まれた地で、古来より人々の信仰を集めてきた下鴨神社は、京都で最も古い神社のひとつ。古代の姿を今に伝える「糺の森」に囲まれた境内は12万4千平方メートルにもおよび、1994(平成6)年に境内全域が世界遺産に登録されてます。

それでは、早速境内を歩いてみましょう!

本殿が見えない!どこまでも続く長い参詣道を行く

南の入り口から境内に入ると、長い参詣道が目の前に。本殿までの距離は約1km。一直線に続く参道は長く、どこまでも続いているような印象です。
参詣道の周囲は広大な森に囲まれています。古来より続く原生林で、うっそうとした木々から差し込む光は神聖な雰囲気を醸しだしています。

現在でも十二分に広いですが、平安時代には約495万平方メートルもの広さがあったと伝わっています。応仁の乱などの戦乱や、明治時代の寺社領の没収を経て、現在の面積になりました。
参詣道から一本横に入ると馬場があります。ここは葵祭の前儀である流鏑馬神事(やぶさめしんじ)が行われる場所です。神聖な場所ですが、行事のないときは普通に通行できますし、フリーマーケットなどのイベントも行われます。
▲早朝の糺の森。朝日が木々の隙間から差し込む様子は神々しさすら感じます
▲取材時(2017年4月6日)はちょうど桜の季節。馬場に咲く美しい桜を愛でに、早朝から参拝者が訪れていました
▲参詣道と馬場の間を流れる瀬見の小川(せみのおがわ)。さらさらと流れる清い水に、心癒されます
南口の鳥居の手前にある森の遊歩道。平安時代からほぼ同じ位置に流れていた小川を再興した奈良の小川(ならのおがわ)や、祭事が行われた奈良殿神池(ならどのかみのにわ)などがあります。

神話の頃より続く信仰の地、京都最古のお社へ

下鴨神社の歴史は古く、その起源は神話の時代に遡ります。紀元前90(崇神天皇7)年に神社の瑞垣(みずがき)の修造がおこなわれたという記録が残っていて、それ以前の古い時代からこの地が信仰の対象であったと考えられています。

正式名称は賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ)といい、賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと)と玉依媛命(たまよりひめのみこと)を御祭神として祀っています。平安時代には都の守り神として、また皇室の氏神さまとして特別の信仰を受け、源氏物語や枕草子などにも登場するなど、古来より信仰や文化の中心にあった由緒正しき神社なのです。
鳥居をくぐれば、お社のシンボルでもある巨大な楼門が。朱色と森の緑、檜皮葺の屋根のコントラストが美しい楼門をくぐり、本殿へと参りましょう。
▲舞殿(まいどの)

楼門をくぐるとまず正面に見えるのが舞殿です。葵祭の際には天皇の勅使が御祭文を奏上され、東游(あずまあそび)の舞が奉納される場所です。国の重要文化財に登録されています。
舞殿の奥には中門、本殿、さらにその奥にも森が広がっています。

東西の本殿は、いずれも国宝に指定されています。撮影は禁止で、特別な許可がないと入れません。
中門の中には、干支の守護神として古くから信仰されている言社(ことしゃ)もあり、参拝者は自分の干支のお社に参拝します。
本殿や言社での参拝を終えたら、御手洗川(みたらしがわ)にかかる輪橋(そりばし)を渡り、御手洗社(みたらししゃ)へ参りましょう。
御手洗社の正式名称は井上社(いのうえしゃ)といい、おはらい・お清めの社として知られています。葵祭に先立って行われる斉王代御禊の儀(さいおうだいみそぎのぎ)や土曜の丑に行われる足つけ神事が有名です。

御手洗池の地底から吹き上がった水泡をかたどったものが、みたらし団子の発祥と伝えられていて、境内にあるお団子屋さんで味わうこともできます。
楼門の外にある相生社(あいおいのやしろ)。古代より縁結びの神さまとして知られている産霊神(むすびのかみ)を御祭神として祀っています。縁結びのご利益を求め、多くの参拝者が訪れています。
連理の賢木(れんりのさかき)。相生社の隣にあり、縁結びの神の御神威(注:神様のご威光)によって二本の木が1本に結ばれたと云われ、こちらも縁結びや安産子育てのご利益があります。ちなみにこの木は四代目ですが、代を次いで糺の森の中に生まれてくることが、京の七不思議のひとつに数えられています。
▲国歌にも歌われるさざれ石。細かい石が集まり、年を重ねて大きくなることから神聖な力が宿るといわれています。
いかがでしたか?
取材で訪れた早朝の森は人も少なく、清々しい光と空気に包まれていました。そんな癒しの森を歩き、様々なご利益があるお社を巡れば、身も心も清められ神聖なエネルギーが満ちていくことでしょう。

京都三大祭のひとつ「葵祭」のみどころを紹介

葵祭は古くは賀茂祭(かもさい)と呼ばれ、下鴨神社と上賀茂神社の例祭で毎年5月15日に行われています。平安時代以来、国家的な行事として行われ、数ある日本の祭りの中でも王朝風俗の伝統が残されている祭りなのです。

見所は約8kmにもおよぶ行程を練り歩く、「路頭の儀」と呼ばれる王朝行列。勅使、検非違使、内蔵使、斎王代など平安貴族そのままの姿の行列が、京都御所から下鴨神社、上賀茂神社へ向かいます。
▲行列が下鴨・上賀茂両社に到着した際、それぞれの社頭で行われる社頭の儀(しゃとうのぎ)
葵祭当日の行程ですが、まず京都御所を出発(10:30)し、堺町御門から丸太町通を東へ向かい、河原町通を北上。今出川通を越え、出町橋を渡って下鴨神社の参道へと到着します(11:40)。社頭の儀を執り行った後、下鴨神社を出発(14:20)し、下鴨本通を北上、洛北高校前(14:40)へ。続いて北大路通を西へ向かい、北大路橋(14:55) を通過後賀茂川堤を通り、最後は上賀茂神社に到着(15:30)します。

上記各ポイントの沿道で観覧可能ですが、当日はかなり混雑が予想されます。ゆっくりと優雅に祭を見たいという人には、有料の観覧席がおススメ。京都御苑と下鴨神社参道に設置されるので、利用してみてはいかがでしょうか。
葵祭に先立ち、5月から数々の前儀も執り行われます。ニュースなどでも報道され、全国的にもよく知られているのが流鏑馬神事です。葵祭の道中の無事を祈ってお祓いをする神事で、公家の装束を着用した射手が、疾走する馬の上から的を射抜きます。
他にも、斎王代などが御手洗池に手を浸して身を清める斎王代禊の儀や、沿道を清める歩射神事(ぶしゃしんじ)、御蔭山から神霊を迎える御蔭祭(みかげまつり)が下鴨神社にて執り行われます。
雅な平安の雰囲気を間近に感じられる葵祭。新緑も美しいこの時期、京都を訪れる機会があればぜひ足を運んでみてください。
妙加谷 修久

妙加谷 修久

京都市在住の旅行系ライター兼ディレクター。全国各地に足を運び、旨いモノを食べ、温泉に浸かる日々。ここ京都を中心に、知っているようで知らない「日本のイイトコロ」を紹介します。日本酒好きが高じて利き酒師の資格を取得しました。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。

こちらもおすすめ

もっと見る
PAGE TOP