長良川の鵜飼で雅な日本の伝統に触れる。「ぎふ長良川鵜飼」を楽しむポイント

2017.07.21 更新

鵜を使って鮎などの魚を獲る漁法「鵜飼(うかい)」。1300年以上の歴史をもつこの伝統的な漁法は、いくつかの地域で今も受け継がれています。なかでも「ぎふ長良川鵜飼」は、用具一式が国の重要有形民俗文化財に指定されているほか、獲れた鮎を皇居へ献上する「御料鵜飼(ごりょううかい)」が行われている由緒正しい鵜飼。今回は、生きた芸術との呼び声が高い「ぎふ長良川鵜飼」の魅力をたっぷりとご紹介します。

「おもしろうて やがてかなしき 鵜舟かな」
これは、俳聖として世界的にも知られる松尾芭蕉が詠んだ句。
長良川の鵜飼を見て感動した芭蕉は、趣深い鵜飼の様子と、鵜舟(うぶね:鵜飼の舟)が去った後の何とも言いようのない寂しさを表現したと言われています。

そのほか、あの織田信長や徳川家康などからも絶賛されたという長良川の鵜飼は、時の権力者からの保護を受けて、現代まで守り抜かれてきた伝統文化。現在では生計を立てるための漁としてというより、観光事業「ぎふ長良川鵜飼」として、たくさんの観光客を魅了しています。
▲長良橋にある鵜匠(うしょう)の像

「ぎふ長良川鵜飼」が行われているのは、岐阜県岐阜市を流れる長良川の中流域。毎年5月11日から10月15日まで、中秋の名月と川の増水時を除いて毎夜行われる「ぎふ長良川鵜飼」は、岐阜の夏の風物詩になっています。
▲長良川。右上に見えるのが金華山(きんかざん)にそびえ立つ「岐阜城」(写真提供:岐阜市)

日本の「名水百選」(1985年:環境省)に選定されている清流「長良川」。金華山の山頂にそびえる「岐阜城」を背景に、穏やかに流れるこの川が今回の旅の舞台です。JR岐阜駅から車でわずか15分ほどの距離でアクセスも抜群。新幹線を使えば、東京からでも2時間半ほどで行くことができます。

屋形船で優雅に「長良川」を堪能。鵜飼を見るなら観覧船がオススメ

川の対岸から鵜飼を見学することもできますが、オススメは何といっても屋形船に乗って、間近で鵜飼を楽しむことができる鵜飼観覧船。鵜飼シーズン中、夕方になるとたくさんの屋形船が鵜飼観覧船のりばにズラリと並びます。
▲鵜飼観覧船のりばにズラリと並んだ屋形船

鵜飼観覧船に乗るには、鵜飼観覧船事務所への事前予約が必要ですが(乗合船:大人3,100円~、貸切船:15人乗り40,800円~、ともに税込)、近隣の旅館では船内料理や飲み物がついたパックツアーを実施しているほか、船内で食べられるお弁当の宅配サービスをしている業者があるなど、さまざまなプランがあります。

さらに、鵜飼は基本的に連日夜の19:45ごろから開始されますが、出船の時刻も18:15発、18:45発、19:15発の3パターンがあり、船内でゆっくり夕食を楽しんで鵜飼を見学するか、乗船前に夕食を済ませてから鵜飼見物に出発するかなども好みにあわせてチョイスすることが可能。
▲岐阜市鵜飼観覧船事務所で乗船受付

「せっかく屋形船に乗るなら、ゆっくり船内で食事も楽しみたい」
ということで今回は、乗船料にお弁当とお茶がセットになったお手軽プラン「おまかせパック」(大人5,000円、税込)で「ぎふ長良川鵜飼」を体験することにしました。
▲「おまかせパック」のお弁当引換所にもなっている「観覧船待合所」

「おまかせパック」は18:15発のプラン。17:30から乗船開始となるので、その少し前までに観覧船事務所に行って受付をします。受付を済ませた後は、お弁当引換所でお弁当とお茶をゲット。お弁当引換所のある「観覧船待合所」で乗船開始時刻を待ちましょう。
乗船時刻になったら、のりばへ行き、受付で教えられた自分が乗る船の船頭さんに声をかけましょう。

ここでワンポイントアドバイス。乗合船の場合、一艘の船には20~30名ほどのお客さんが乗りますが、座席は基本早い者勝ち。その日の状況によりますが、鵜飼が見やすい座席は、なるべく船首よりの席です。(注:感じ方には個人差があります)

このあと、のりば前の広場で「鵜飼説明」が行われるので、まだ船に乗る必要はありませんが、いち早くお弁当や荷物を預けて、座席を確保してしまうのがオススメです。
▲鵜匠が長良川の鵜飼について解説する「鵜飼説明」

徐々に観光客でにぎわいを見せはじめる「観覧船のりば」。17:45分ごろから約15分「鵜飼説明」が行われ、鵜匠さんが直々に長良川の鵜飼について解説をしてくれます。

ここで鵜匠について説明しましょう。
鵜飼において、鵜を操る人のことを「鵜使い」とか「鵜匠」と呼びますが、「ぎふ長良川鵜飼」を行っているのは宮内庁から「宮内庁式部職鵜匠(くないちょうしきぶしょくうしょう)」という国家公務員の身分が認められている特別な鵜匠さん。
▲「宮内庁式部職鵜匠」の杉山雅彦(すぎやままさひこ)さん

日本で唯一、獲れた鮎を皇居へ献上する「御料鵜飼」が行われている長良川の鵜飼。「御料鵜飼」は、長良川にある普段鵜飼をすることが禁じられている宮内庁の御漁場で年8回行われる鵜飼。獲れた鮎は、皇居のほか、明治神宮や伊勢神宮へも奉納されています。

そんな由緒正しい「御料鵜飼」を行っているのが「宮内庁式部職鵜匠」というわけです。
▲実際に鵜を見せながら「鵜飼説明」をしてくれる杉山鵜匠

代々世襲制で、親から子へと連々と受け継がれてきたという長良川の鵜飼の技。「宮内庁式部職鵜匠」に任じられているのは、ここ岐阜市の長良にわずか6人、お隣の関市小瀬の3人をあわせて9人しかいないのだとか。

そしてこの日「鵜飼説明」をしてくれたのはその伝統を受け継ぐ9人の匠のうちのひとりである鵜匠、杉山雅彦さん。
鵜匠の伝統的な衣装の説明や、実際に鵜を見せながら、鵜飼の仕組みをわかりやすく解説してくれました。

「『鵜のみにする』という言葉の語源にもなっておりますが、鵜は魚を丸呑みにします。そこで手縄(たなわ)と呼ばれるこの縄を調整して鵜に結びつけておいて、大きい魚は胃に入らず、喉元で止まるようにしておくんですね。そうしますと、ほら」
口から鮎を吐き出す鵜の姿を見て、観客から湧き起こる歓声!
みるみる鵜の体内に消えていった大ぶりの鮎数匹が、鵜匠が軽く首元を握った瞬間、口からまたそのままの姿で現れます。その様子は鵜の体の仕組みを知ってもなお、何だか不思議で、マジックショーを見ているような気分でした。

「鵜飼説明」はシーズン中、基本的に毎日行われています。鵜飼見学の前にぜひ聞いておきましょう。
「鵜飼説明」が終わったら船に乗り込んで出発。屋形船一艘につき、4人ほどの船頭さんが手漕ぎで船を操り、鵜飼の開始地点まで川を上ります。長良川のこのあたりはとてもなだらかなので、激しく揺れることもなく、おだやかな船旅を楽しむことができます。
竹竿を巧みな手さばきで操り、船を進める船頭さんたち。
金華山や川沿いの景色を楽しみながら、まずはお食事タイム!
というわけで、「おまかせパック」のお弁当をご紹介しましょう。
▲「おまかせパック」のお弁当(内容は、日によって変わることがあります)

ジャーン。
なんとも豪華。
海老や茄子、レンコンの天ぷらに、里芋やきんぴらごぼうの炊きあわせなど、20品目以上の和食おかずが、めいっぱい詰め込まれたお弁当。ご飯は引換時まで保温されていたため、まだ温かいまま。こうした小さな心配りもうれしいポイントです。
なかでもお目当てはやっぱり鮎。
この日のお弁当には、塩焼きと甘露煮にされた2種類の鮎が入っていました。

今から行われる鵜飼に向けて、お腹を空かしている鵜を差し置いて、一足お先に鮎をパクリ。
素朴な川魚である鮎ですが、長良川のうえで食べると感慨もひとしおです。
景色を楽しみながらお弁当に舌鼓を打っていると、ほどなくして観覧船は川岸に停泊。引き続き食事を楽しみながら、ここで鵜飼開始を待ちます。

ズラリと一列に並んで停泊する屋形船。停泊中は、川原へと降り立ち、辺りを散策することもできます。
少し川上では、鵜飼に使われる鵜舟がすでに停泊していました。
「今日は、川の水位の関係ですぐそこで鵜匠さんたちが準備していますね」
船頭さんによると、鵜匠さんたちは「まわし場」と呼ばれる待機場所で漁の開始を待つのだそう。通常もっと上流の川原が「まわし場」となるそうですが、この日はなんともラッキー。鵜匠さんたちが準備をしている様子を見学することができました。
準備を終えた鵜匠さんたちはそれぞれ言葉少なに川原で精神統一。
まだ腰箕(こしみの)は着けていませんでしたが、風折烏帽子(かざおりえぼし)と呼ばれる篝火(かがりび)の火の粉から髪の毛を守る被り物など、伝統的な装束を身にまとった鵜匠さんたちは貫禄十分。
川原に腰掛けて水面を眺めているだけでも何とも絵になります。
▲鵜飼開始前の鵜匠といっしょに鵜舟に乗り込み鵜舟を操る「艫乗り(とものり)」や、鵜匠や艫乗りの助手を務める「中乗り(なかのり)」と呼ばれる人たち
鵜舟の船首に吊るされた篝火に火が灯り、いよいよ鵜飼開始が迫ってきました。
観覧船に戻って出発を待ちます。

大迫力の鵜飼を間近で堪能できる「狩り下り」!

「さあ、そろそろですよ。あちら側から4発の花火があがると、鵜飼開始の合図。鵜舟が川を下り始めますよ」
時刻は19:45。観覧船に戻り、鵜飼開始を待つ一同に船頭の方が解説をはじめました。

すると、
「ヒュ~~、ドン!」
川下の方で打ち上がった大きな花火。鵜飼開始の合図です。
「さあ、始まりました。今からまずご覧いただくのは『狩り下り(かりくだり)』です。一艘ずつ順番に鵜舟が川を下っていきます。私たちは3番目の鵜舟と並走して川を下っていきますからね」

船頭さんによると、「狩り下り」は鵜舟に付いて、いっしょに川を下っていきながら鵜飼を観覧する観覧方法のこと。鵜匠の手縄さばきや鵜が鮎を捕らえる様子を間近で見ることができると言います。
「お~ 来た来た!鵜もいる!!」
一艘、二艘と、屋形船の前を通過して川を下っていく鵜舟。豪快に火の粉を撒き散らしながら燃える篝火の下をよくよく注意して見ると、船首で鵜匠が握りしめる手縄につながれた鵜たちの姿が。

「鵜匠さんは、あのように10~12羽の鵜たちを手縄で繋いで操りながら漁をします。鵜匠さんたちはそれぞれ20羽ほどの鵜を飼育しているんですが、鵜の体調や空腹具合などを観察してその日の漁に連れていく鵜を選びます。あそこにいる鵜たちは、餌をおあずけにされてお腹が空いているので、夢中で川の中の魚を探しに行くんです」
と船頭さん。
放射線状に水中へと伸びる手縄につながれた鵜たちは、水上にちょこんと顔を出しては、また次々と篝火の灯に照らされた川の中へと潜っていきます。
淡々として見える鵜匠さんですが、水中を自由に泳ぎ回る鵜たちの手縄を絡まらないようにさばきながら、篝火に薪を補充して、鮎を捕まえた鵜を舟上にあげてと大忙し。
▲この日「鵜飼説明」に登場した杉山鵜匠も華麗な手縄さばきを披露

冷静に状況を判断しながら、スマートに手縄をあやつる姿は見事の一言。船頭さんのお話では、鵜匠は、鵜ごとにそれぞれ手縄の締め具合いを調整するなど、さまざまな工夫をこらして鵜たちが魚を獲りやすい環境をつくっているのだとか。さすが伝統の技です。
3番目の鵜舟に並走して川を下り始める屋形船。鵜舟のすぐ近くまで、近づいていきます。
火の粉を撒き散らしながら赤々と燃える篝火。間近で見るとこれまた大迫力です。

そして、
「あ!!魚をくわえてる!!」
水上に顔を出した鵜の口には魚の姿が。
魚を捕らえた鵜は、頃合いを見て舟に引き上げられ、魚を吐き出してはまた水中に戻っていきます。

「ほら、すごい!今、舟の上で魚を吐き出したよ。見た?ていうか撮った?」
目の前で繰り広げられる鵜飼の様子に興奮しながら、相棒のカメラマンの様子を伺うと、
「う~ん。わからん」
なんとも頼りない返事が。

「暗いし、揺れるし、鵜は動き回るしで、実際目で見るのより、写真撮るのは難しいのよ」とカメラマン。
「あんたプロでしょうが!そこをなんとか!」
やんややんやと騒ぎながらの一枚がコレ。
決してカメラマンを擁護するわけではありませんが、鵜たちは、めまぐるしく、活発に動き回ります。さらに魚を捕らえる瞬間や舟の上で魚を吐き出すのは一瞬のできごと。
決定的瞬間を写真に収めるには、運と連日連夜鵜飼に通いつめる根性が必要かもしれません。

ということで決定的瞬間シリーズ!!
▲(写真提供:岐阜市)

こうなって、
▲(写真提供:岐阜市)

こうなって、
▲(写真提供:岐阜市)

こう!

間近で見る鵜飼の迫力伝わりましたでしょうか?ぜひ現地で自身の目で体感してみてください。
15~20分ほど川を下り、観覧船のりばまであと1/3くらいを残す地点まできたところで「狩り下り」は終了。鵜舟は減速しはじめました。
楽しい時間はあっという間と言いますが、興奮していたせいか、本当にあっという間のできごと。

鵜を使って漁をする風景も迫力があってとても興味深いですが、篝火に浮かび上がる鵜舟がいる川の風景がとても美しく、まるで古の時代にタイムスリップしたかのような「いつまでも見ていたい」風景でした。

「総がらみ」は、闇夜に浮かぶ篝火が幻想的!

「狩り下り」の余韻にひたりながら、帰路につくのかと思っていると
「最後に、鵜舟6艘が一斉に魚を追い込む漁『総がらみ』を見ていただきます」
と船頭さん。

屋形船は、一旦鵜舟を追い越して、のりば手前の長良橋のふもとの川岸に停泊しました。
屋形船の停泊位置から100mほど上流を見ると、先ほど一艘ずつ順番に「狩り下り」をしていた鵜舟がズラリ。川幅いっぱいに横一列に並んでいます。
「『総がらみ』はこのように鵜舟が隊列を組んでいっしょに魚を追い込みながらする漁なんです。あそこから今私たちが泊まっているこの浅瀬まで、魚を一斉に追い込んでくるんです」と船頭さん。

闇夜にぼんやりと灯る篝火が川の水面に反射して6本の光の筋を描き出す景色はとても幻想的。「狩り下り」とはまた違った迫力があります。
「総がらみ」をスタートさせた鵜舟は、外側から少しずつ位置をずらして、徐々に川の左手側の浅瀬へ近づきながら進んできます。
「鮎は逃げるとき、川上へ逃げる習性があるんです。なので外側から順に少しずつ川上に陣取って追い込んでいくんです」と船頭さん。
▲川幅いっぱいに鵜舟が広がる「総がらみ」は観覧船に乗らない人でも川岸から見学できます(写真提供:岐阜市)

「ドン!ドン!」
艫乗りが舟べりを舵棒で叩き、水面の魚たちを脅かしながら舟を進めます。
▲(写真提供:岐阜市)

そして
「ホウホウ」と掛け声をかける鵜匠さんたち。
船頭さんによるとあの掛け声は、鵜たちをはげますための掛け声なんだとか。
魚の逃げ道をふさぎながら近づいてくる鵜舟は、観覧船が停泊する川岸へ。停泊する屋形船と屋形船の間に舟を泊めて「総がらみ」が終了。こちらもあっと言う間のできごとでしたが、そこがまた儚い感じがして、日本のわびさびを感じさせる、とても素敵な光景でした。
▲観覧船の真横に鵜舟を泊めて後片付けをする鵜匠

真横に泊まった鵜舟で、後片付けをはじめる鵜匠さんたち。

「ガーガー」
鵜たちが次々と舟上にあがってきて、騒ぎ出しました。

「これから餌の時間。鵜たちはおあずけにされていた餌がほしくて鳴いているんです。鵜匠さんたちは鵜飼で獲れた鮎以外の魚を餌として鵜に与えます。明日の鵜飼のことも考えて、それぞれの鵜に与える餌の分量を見極めているんですよ」と船頭さん。
▲この日鵜飼で獲れた鮎

そして、船頭さんが鵜匠さんからこの日獲れた鮎の一部を借りてきて見せてくれました。
よく見ると鵜のくちばしの跡が。

船頭さんによると、鵜は鋭いくちばしで一瞬で魚を捕らえるため、鵜飼で獲れた鮎はとても鮮度が良く、今では一般の市場にはなかなか出回らない貴重なものとなっているんだとか。いくつかの旅館などでは鵜飼で獲れた鮎を食べることができるそうなので、気になる方はお試しあれ。
「ぎふ長良川鵜飼」は、至高のエンターテインメントショー。その幽玄な風景は、夫婦やカップルがしっとりロマンチックに大人のひと時を過ごすのにピッタリ。
はたまた、家族や友人でワイワイと宴会を楽しみながら、大迫力の鵜飼の世界に浸るのもオススメです。
1300年以上の伝統を誇る「ぎふ長良川鵜飼」をぜひ一度体感してみてください。

伝統の技をスタイリッシュに伝える「長良川うかいミュージアム」

最後に番外編として、オフシーズンや昼間でも鵜飼を楽しむことができるスポットを紹介しましょう。

「鵜飼見物で岐阜に来たけど、昼間に立ち寄れる観光スポットはないの?」「鵜飼を見たいけど夜まで待てない」という方にも朗報。長良川鵜飼を見学する際に、ぜひあわせて立ち寄って欲しいのが「長良川うかいミュージアム」です。
「長良川うかいミュージアム」は、鵜飼の観覧船のりばから歩いて15分ほど、車なら約5分のところにある鵜飼の資料館。
正式名称を「岐阜市長良川鵜飼伝承館」というこの施設は、「鵜飼のオフシーズンでも、鵜飼の魅力に迫れる資料館を」と2012年に岐阜市が建設したものです。
▲建物の裏手には、長良川を挟んで金華山の頂上にそびえ立つ岐阜城が

長良川鵜飼に関するさまざまな資料を展示しているこのミュージアムは、鵜飼の予習・復習にピッタリ。しかも、さまざまな趣向がこらされていて、楽しくおしゃれな空間に仕上がっているんです。

それでは順番に紹介していきましょう。
建物内に入り、受付を済ませたら、順路の案内に沿って2階へと上ります。すると、そこには「景観ラウンジ」と呼ばれる一面ガラス張りの広々としたスペースが。
▲のんびりと長良川や金華山の景色を眺めることができる「景観ラウンジ」

「景観ラウンジ」は、シンプルにまとめられていて、すごくおしゃれな空間。
窓の外、すぐ目の前を流れる長良川の景色を、ソファに腰掛けながらのんびりと眺められるようになっています。

「ちなみに、このソファはカッシーナ製で特注なんですよ」
とスタッフの方。
大きなソファは、背もたれの角度がとても鈍角に作られていて、ソファというよりもはやベッド。快適なソファの上で、長良川の景色を独り占めしたような気分が味わえます。

快適空間でひとしきり豊かな自然の景色を堪能したあとは、いよいよ展示を見て回ります。
▲6人の鵜匠と代々受け継がれる屋号が篝火を背景に浮かびあがる「篝火トンネル」

展示エリアの最初にあるのが「篝火トンネル」と呼ばれるスペース。まっすぐに伸びる廊下沿いに6人の鵜匠のシルエットが篝火を思わせる照明にぼんやりと浮かびあがる、現代アート美術館顔負けのおしゃれな作りです。
▲原寸大の鵜舟と絵巻物型のスクリーンに映る映像で鵜飼を紹介する「ガイダンスシアター」

「篝火トンネル」を抜けた先にあるのが「ガイダンスシアター」。こちらには、原寸大の鵜舟に乗った鵜匠たちの模型のまわりに、スノーボードのハーフパイプのような形状の映像スクリーンが設置されていて、鵜飼の様子がリアルに再現されています。

「私どもは絵巻物型スクリーンと呼んでおりますが、まるで絵巻物の中に入り込むかのように鵜飼の世界を体感していただけます」
スタッフの方がいうとおり、まるで縦長の絵巻物を読み進めているかのような説明映像。
そして、鵜舟の模型とその後ろのスクリーン、そして鵜舟前の床のスクリーンに映し出される映像が見事にリンクし、まるで目の前で鵜飼を見ているような迫力のある展示になっています。
▲水中の世界をイメージした1階展示室

「ガイダンスシアター」の脇にある階段を下りて次の展示室へ。

こちらでは、水中での鵜の様子の映像をはじめ、長良川鵜飼の歴史など、さまざまな展示があります。
▲本物の約4倍サイズの鵜の模型は大迫力。中には鵜の体のしくみを紹介した動画が

実際の鵜飼の様子を見てもなかなかよくわからない鵜の生体や、鵜匠の一日など、鵜飼に関するさまざまなトリビアが盛りだくさん。
展示方法にも、体の中に映像が仕込まれている大型の鵜の模型やクイズ形式の展示など、さまざまな工夫が散りばめられています。
▲鵜匠気分で鵜につながれた手縄を引くと、クイズの答えが現れる!
▲篝火を動かして、川の中の鮎を探そう!

たとえば、こちらの展示。
鵜舟の篝火は、篝棒と呼ばれる棒に吊るされているのですが、鵜匠はこの篝棒を動かして篝火の位置を調整しながら、鵜飼漁をしているのだとか。こちらの展示では、篝火に照らされると床の鮎のイラストが光るようになっていて、実際に篝棒を動かして鮎を探す体験ができます。
▲清流長良川に関する展示。足元を泳ぐ鮎に近づくと鮎が逃げていく!?

そしてこちらは、清流長良川について紹介しているコーナー。床面に映し出される川の映像。泳いでいる鮎を踏んづけると、なんと鮎がそそくさと逃げていきます。

さまざまな情報技術を用いた仕掛けを盛り込んで、1300年続く伝統の「鵜飼」を紹介する「長良川うかいミュージアム」。体験しながら楽しく長良川鵜飼について学べるようになっていて、子どもはもちろん大人も大満足間違い無し。夫婦やカップルで訪れてもいいかもしれません。ぜひ旅の予定に入れてみてください。
James

James

イギリス人と日本人とのクォーター。大学では工学部、情報システムを専攻したかと思えば、ミュージシャンとしてギタリスト、MC、DJとして活動。TVやラジオなどでも活躍。その後(株)アドビジョンにて、デザインやコピーライティングなどマルチに活躍。バックグラウンドを活かした独自の視点が人気のライター。

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