キリンビール横浜工場で「一番搾り」のうまさの極意を体感!

2015.10.13

ひと仕事終えた後や休日のリフレッシュにビールが欠かせないという人も多いはず。あのおいしさの秘密を知ることができるツアーを「キリンビール横浜工場」で開催していると聞き、さっそく工場見学プランの「一番搾り うまさの秘密体感ツアー」に参加してきました。

▲工場内では、実際にビールを作っている大きな釜も見られる

キリンビール横浜工場は「生麦」にあり

京浜急行線の生麦(なまむぎ)駅を出て第一京浜沿いに歩くこと約10分。左手にキリンビール横浜工場が見えてきます。

工場に着いたらエントランスホールで受け付けをすませ、ツアーへの期待に胸を膨らませながら開始時間を待ちます。
▲広々としたエントランスホール

ビールのうまさを知るツアーに出発!

この日のツアー参加者は、埼玉県から来た家族や東京から来たカップルなど約20名。ツアーの開始をいまかいまかと待ちわびている様子。
▲この日のツアー案内人、天坂光(てんさか・ひかる)さんがツアーの説明をしてくれた
ツアーの所要時間は約50分。参加者はツアー用に整備された建物内の通路を進み、ビールの原材料や醸造の方法などの製造過程について学びます。

最初の見学場所へ続く通路を進むと、なんだか甘い香りが……。工場でビールをつくっている香りだそう。空間に漂う良い香りにワクワクしながら、通路を奥へと進みます。

たどり着いた見学場所では、勝間田(かつまた)横浜工場長がVTRに登場し、明治3(1870)年にできた横浜工場の歴史についても教えてくれました。

一番搾りのこだわりの素材、ホップと麦にさわってみよう!

次の場所ではなんと、「一番搾り」の素材に実際に触れることができます!
「一番搾り」の素材はホップと麦。明るい緑色のホップを手にとって割ってみると、「ルプリン」と呼ばれる黄色いツブが出てきて、華やかでやさしい香りがふわりと漂よってきます。この匂いにはリラックス効果もあるそう。確かに嗅いでいると、気持ちがほっと落ち着いてくるのが分かりました。

ルプリンには、ビールの苦味や香りの素となる成分が含まれるため、ビール作りでは重要な役割を担います。
▲仕入れるホップは、チェコのザーツを中心に毎年現地に赴き、実際に見て手に取って確かめている
麦は、上質な二条大麦に水をたっぷり含ませ、発芽させて麦芽にします。麦芽にする過程で麦の中にあるデンプンが糖に変わります。この糖分がアルコールの素になるのです。
「甘みを味わってみてください」という天坂さんの勧めのもと、手元に配られた麦芽を食べてみると確かにほのかな甘みが!かめばかむほど甘みが出てくるので、何十回もかみしめる子どもたちもいました。苦みが特徴のビールなのに、素材はこんなに甘いと知ってびっくり。
▲麦芽になる前の二条大麦。麦を麦芽に変える行程は、「製麦(せいばく)」と呼ばれる。キリンビールは、国内メーカーでは唯一自社で製麦作業を行っている
▲麦芽。少しやわらかい生米を食べているような食感で、ほのかにデンプンの甘みを感じた
▲パネル展示では、ビール製造についてのポリシーを知ることができる

ビール製造に欠かせない、4種類の仕込み釜

つづいて仕込みの見学場所へ。
進んだ部屋の窓からは、実際に製造で使われている大きな機械「仕込み釜」の上部が見えます。
仕込み釜の周りを囲むようにしてツアー経路が造られているので、さまざまな角度で仕込み釜を観察することができます。
巨大な釜は、通路から見下ろしても圧倒的な存在感を放ちます。
▲4つの仕込み釜が並ぶ。ここではまだ、アルコール成分の入ったビールになっていない
ビールの製造工程は、釜ごとに大きく分けて4つ。それぞれの釜の役割は次のとおり。

まずは「糖化槽」で、“もろみ”と呼ばれる麦のおかゆをつくり、デンプンを糖分に変えます。

次に「麦汁ろ過槽」で“もろみ”をろ過すると、透き通った液体“麦汁”がゆっくりと流れ落ちてきます。このうち、最初に流れ出てくる麦汁が“一番搾り麦汁”です。

「麦汁煮沸釜」に麦汁を移したら、ホップを加えて温めます。

最後に、一度温めた麦汁を「麦汁沈殿槽」内で冷ましながら、ホップの作用により麦汁中のたんぱく質が固まって麦汁が澄んでいくのを待ちます。

「品質のよい素材を使うだけでなく、常識にとらわれない方法で『一番搾り』のおいしさを生み出しています」と、ガイドの天坂さん。

「一番搾り」のおいしさの秘密とは、「麦汁ろ過槽」でもろみから搾った麦汁のうち、最初に流れ落ちてきた汁“一番搾り麦汁”のみを使用しているからだとか。このこだわりが、「一番搾り」という名前に反映されているのですね。

こうしてできた「一番搾り」のもととなる麦汁は、高さ20mもある発酵用タンクへ移し、ビール酵母で発酵させます。
▲左の色が濃いほうが一番搾り麦汁。右が二番搾り麦汁。一番搾り麦汁のほうが、香りも甘みも強く味が濃かった ※麦汁は、いわば麦のジュースなので、アルコールは含まない
“一番搾り麦汁”しか使用していない「一番搾り」は、使う麦の量も同社の他のビールと比較して1.5倍。開発当時に「採算が合わない」という声も上がったものの、「おいしいものを提供したい!」という強い思いから、商品化が実現したそうです。何気なく飲んでいたビールに現場の人たちの熱い思いがあったことがわかると、今晩からの一杯には、より元気をもらえそうです!

ろ過機の迫力にびっくり

麦汁が発酵しきってビールになったら、必要以上の発酵を止めるために、酵母を取り除かなければなりません。次の見学場所では、大型のろ過機を見られます。
ろ過機は、10ミクロンの大きさの酵母を取り除くとともに、仕込み段階で凝固したデンプンも取り除いて雑味をなくします。
絶妙な味わいと、スッキリとしたのどごしや後味は、このろ過作業のおかげで生まれていたのですね。
▲ろ過機。「一番良いタイミングで素早くろ過を行うのが、おいしい“一番搾り”を作るコツ」だそう
▲ろ過機の構造美に釘付けの参加者たち
できたビールを缶やびんに詰める出荷準備の様子も映像で説明され、ベルトコンベアの上を流れる缶の速さにびっくり!ビール缶は1分間に1,500~2,000本詰められるそうです。

キリンビールの環境にやさしい取り組み

最後の見学場所では、環境に対するキリンビールの取り組みが紹介されます。
麦芽の搾り粕は、牛の飼料やキノコの培地にするなど、再資源化100%に取り組んでいるそう。
ビール缶も、使うアルミを薄くするなどして資源の量を減らすと同時に、プルタブや飲み口の形を変えるなどして、より飲みやすいように工夫もしているそうです。
▲ビールびんは、軽量化の取り組みにより605gから475gになった。その結果、トラック1台に積める数も384箱から432箱に増え、資源の削減のみならず、排気ガスの削減にもつながっている

ツアーのしめくくりは、参加者とともに乾杯!

見学の後は、お待ちかねの「一番搾り」の試飲。できたてのビールは1人3杯まで楽しめて、2杯目からは「一番搾り」以外のビールを飲むことができます。
試飲できるビールの種類は時期によって違いますが、この日は、「一番搾りスタウト」が提供されていました。季節限定のビールが出されることもあるそうです。

ビールが飲めない方や子ども向けには、リンゴジュースやお茶などの清涼飲料も用意されているので、ご安心を。
▲カウンターでスタッフが注いでくれる
▲それぞれの飲み物をもって乾杯。あまりのうれしさに、写真がぶれました……
▲お待ちかねの一杯!亀田製菓と共同開発したという柿の種(工場限定販売)がおつまみとして提供される
ツアーでおいしさの秘密を学んだ後なので、感慨深い気持ちでひと口。程よい苦味と心地よいのどごしに、「これが一番搾り麦汁の力かぁ……」と改めておいしさを実感!参加者のなかには、2杯目の「一番搾りスタウト」とも飲み比べている人もいました。微妙な味わいの違いに気づくことができると、ついついお酒もすすみ、すっかりほろ酔いに。

ビールの豆知識も教えてもらえる

乾杯の後には、天坂さんから“おいしい缶ビール”の注ぎ方が伝授されました。
まず、高いところからビールをグラスいっぱいに注ぎ、泡がグラスの5分の1ほどになったところで、再び静かに注ぐのがコツ。そうすると、グラスの上部にこんもりと盛り上がる、きめが細かく密な泡のビールが楽しめるそう。注ぎ方ひとつで、味わいもかわってくるとは……。
▲用意するのは、よく冷えた缶ビール。高い位置から勢いよくグラスに注ぐ
▲グラスについた泡のラインの数で、何口でビールを飲んだか分かる
見学を終え、建物の外に出ると緑豊かな広場が。生物多様性保全を目的としたビオトープがあり、横浜工場では、工場見学の後にビオトープの散策ができる「自然の恵みを感じるツアー」も実施しています(要予約)。
ビオトープには池と木立があり、それぞれ「池のビオトープ」、「緑のビオトープ」と呼ばれています。カワセミや絶滅危惧種であるヨコハマメダカやホトケドジョウ、夏頃にはナミアゲハやモンキアゲハなどが見られます。
▲池のビオトープ。周辺は静かでのんびりとした雰囲気 (写真提供:キリンビール)
▲緑のビオトープでは、さまざまな虫を観察できる
▲ビオトープのそばの小道を進んでいくと、生産工場に併設された出荷工場へたどりつく
▲横浜工場に129本ある貯蔵タンクも見える
▲おなじみのキリンビールのケースがたくさん積まれているのが壮観!
「このツアーは1991年の開始当初からたくさんの方に楽しんでいただいています。仕込み釜をすぐ近くで見られるのがこの横浜工場の特徴なのですが、北海道の千歳や仙台、名古屋の工場ツアーでも、工場ごとに楽しめる特徴があります。」と天坂さん。

老若男女問わず楽しめる「一番搾り うまさの秘密体感ツアー」。みなとみらいにも近いので、中華街や横浜美術館などを訪れる横浜の観光プランのひとつに入れてみてはいかがでしょうか。

※車での来場者や未成年者、妊娠中や授乳期の方は、ビールなどの酒類を試飲できません。また、飲食物の持ち込みなどは禁止されています。HPにてそのほかの注意事項をよくご確認のうえ、お申し込みください。
松本麻美

松本麻美

編集者、ライター。鎌倉育ち。美大卒業後、出版・編集プロダクションデコに所属。移住に関する雑誌『TURNS』や、その他小冊子、ウェブ媒体の編集・執筆などを手がける。デコ新刊:『新幹線を走らせた男 国鉄総裁 十河信二物語』『増補 健康半分』『顔望診をはじめよう』『サバイバル登山入門』など

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
PAGE TOP