直径6mの巨大鍋でつくる「日本一の芋煮会フェスティバル」で、山形の秋を満喫!

2017.09.01

山形の秋の風物詩といえば「芋煮会」。秋になると、家族や友人、会社の仲間、学校の行事等で、芋煮鍋を囲む人たちで県内各地の河原はとても賑わいます。山形県民にとって「芋煮会」は、アウトドアな社交の場。この芋煮会を全国に発信しようと、「日本一の芋煮会フェスティバル」が毎年9月に開催されます!

▲県内外から訪れる人たちに3万食が振る舞われます

芋煮ってどんなものなの?

芋煮の発祥については諸説あり、山形市に隣接する中山町では、江戸時代に最上川を航路に発展した舟運の船頭が河原で棒鱈と里芋を煮て食べていたことが起源といわれています。また、明治時代、現在「日本一の芋煮会フェスティバル」が行われている山形市の馬見ヶ崎川を改修する際に、工夫たちが秋に収穫された里芋等を河原で煮て食べたとの説もあります。
▲村山地方の芋煮汁

芋煮は芋の煮付けではなく芋煮「汁」です。山形県は山形市のある村山地方、最上地方、置賜地方、庄内地方の4つの地方に分けられ、気候や慣習、食文化等、それぞれに違いがあります。芋煮の材料や味付けも異なり、村山地方では牛肉を使ったしょう油味であるのに対し、庄内地方は豚肉を使ったみそ味に仕上げます。

「日本一の芋煮会フェスティバル」で煮るのは村山地方の芋煮汁。新鮮な里芋と、たっぷり入れた牛肉をメインに、こんにゃく、ねぎ、シメジ等を入れ、しょう油、酒、砂糖で味付けします。山形では一般家庭でも作りますが、河原で作って食べる芋煮は格別です!
▲「日本一の芋煮会フェスティバル」。2017年は9月17日(日)に開催されます

スーパーや地元の店では「芋煮セット」として材料や薪を販売し、鍋道具一式を貸してくれるサービスが定着しているので、河原で気軽に芋煮“パーティー”を楽しむことができます。芋煮を囲んで親睦を深める山形ならではのコミュニケーションの場、それが芋煮会なのです。

直径6mの大鍋を使ったイベントのスケールが凄い!

こうした山形の芋煮文化を全国に発信しようと、1989(平成元)年から開催されているのが「日本一の芋煮会フェスティバル」です。

市街地の東側を流れる馬見ケ崎川(まみがさきがわ)の河川敷を会場に、今年で29回を数える一大イベント。「日本一」と付いているだけあって、そのスケールは想像以上。直径6mの大鍋で作る芋煮汁は圧巻です!
▲前日の大鍋の移動からイベントは始まっています

直径6mの大鍋の材料は里芋3t、牛肉1.2t、こんにゃく3,500枚、ねぎ3,500本、味付け醤油700l、隠し味に日本酒50升、砂糖200kgと桁違い。さらに山形の水6tを入れ、6tの薪で煮炊きします。
▲イベント当日は朝3時にスタート。芋洗いの工場を借りて、剥き終えた大量の里芋を洗う作業から始めます
▲洗った里芋はトラックで会場の河原へ
▲会場に着いたら、里芋を大鍋に。3万人分の量って凄い!
▲その年の実行委員長が火入れ役

朝6時に火入れをして、里芋が煮えるのは約3時間後。その後、他の材料を入れて味付けし10時頃に完成します!
▲直径6mの大鍋となるとかき混ぜるのも大変!
▲クレーン車で大きな蓋を吊って持ち上げた瞬間、ものすごい湯気が立ちのぼる!
▲まもなく芋煮汁が完成です

「お玉」の代わりをするのはバックホウ(ショベルカー)です。「え、これですくうの?」と思う方がいるかもしれませんがご安心を。製造されてから一度も作業をしていない新車を手配。各可動部分の潤滑油(グリース)等は全て洗い落とし、代わりにマーガリンやバター等を塗っています。また、オールステンレス製の芋煮専用バケットを装備しているので衛生面の心配はありません。
▲鍋が大きすぎて、芋煮を作る人が小さく見えます
▲煮る、盛る、その迫力と奇抜さを間近で見てください
▲完成した芋煮は直径1m程の鍋に移し替えます
▲盛り付けを手伝う地元の高校生たち
▲芋煮汁の完成!協賛金として1杯300円で提供されます

大鍋で芋煮汁を煮る様子は豪快でスケールが大きく、見ているだけで圧倒されます。
完成した芋煮汁は、とろっとした粘りのある里芋と軟らかい歯ごたえの牛肉がたっぷり。アツアツのうちにめし上がれ!
▲老若男女一緒になって食べる芋煮は最高!

山形産にとことんこだわった材料

「日本一の芋煮会フェスティバル」で使用する里芋は、主催者である山形商工会議所青年部のメンバーが生産者やボランティアと一緒に5月に定植し、丹精込めて育てたもの。イベント直前に芋掘りをして、芋洗いまでを自分たちで行っています。山形の土壌が、粘り強く、ほっこりと柔らかい里芋を育てます。
▲「日本一の芋煮会フェスティバル」で使う里芋を栽培している畑
▲本番に向けて順調に育っています
▲里芋の収穫。芋を傷付けないように根元から深く掘り起こします
▲背丈ほどある茎。収穫作業は二人がかり
▲ボランティアの支えがあってこそ、美味しい芋煮ができます

牛肉は、なんと「黒毛和種」の山形牛を使います。牛肉をたっぷりと入れるのも山形芋煮の醍醐味!

ちなみに、山形県はこんにゃくの消費量が全国1位(2016総務省統計局「家計調査」より)。こんにゃく芋の露地栽培の北限が山形県付近というのも興味深いところです。また、長ねぎも山形市内の農家の畑で栽培されたものを使用。砂糖以外は全て山形産で「日本一の芋煮会」の芋煮は作られているのです。

2017年のテーマは「つなげ!芋煮魂」

2017年に実行委員長の大役を務める高橋竜彦(たつひこ)さんは、「これだけ大掛かりな“食”のイベントが、民間ボランティアや企業の協力を得て継続できているのは全国的にも珍しい」と語ります。

「2018年は30回の記念大会。2017年はその1年前ということで、これまで29年間続けてきた芋煮のイベントを新しいステージへ繋ぐ年です。全国からおいでいただいた皆さんの心の中に残るようなイベントにしていきたいですね」と意気込みを話してくれました。
▲実行委員長の高橋さん

2017年のテーマは「つなげ!芋煮魂」。1992(平成4)年から25年間活躍した2代目の大鍋「鍋太郎」が2017年で卒業し、翌年の30回記念大会には3代目「鍋太郎」が登場します。2代目から3代目へ、そして未来へこのイベントが続いていくようにという思いが込められています。
▲日本一の芋煮会フェスティバル協議会、山形商工会議所青年部、ボランティアスタッフ等、総勢700人のスタッフが県内外からの観光客を迎え入れます

楽しいのは芋煮だけじゃない!

会場では大鍋の芋煮を味わうことがメインですが、他にもいろんな料理ブースが充実しているので一日中楽しむことができます。「直径3m鍋で作った『塩芋煮』の振る舞いや『サンマ祭り』も人気ですよ」と高橋さんは教えてくれました。
▲「一尾一尾丁寧に焼いたサンマもおいしいよ!」

また、2017年ならではの企画と言えるのは、“平成29年”と“第29回”を記念した「肉(29)フェスタ」です。牛肉、羊肉、豚肉、馬肉、ダチョウ肉といった県内各地の食肉がここに集合。目の前で焼かれる山形牛のサイコロステーキや、山形豚厚切りトンカツ、トリモツバーガー、ダチョウ肉の料理等を一度に堪能できます。
▲会場ではマスコットキャラクター「芋煮マン」も大活躍!

「日本一の芋煮会フェスティバル」を楽しむために

最後にイベントを楽しむためのコツをご紹介します。大鍋の芋煮を味わうには「芋煮引換整理券」(整理券発行所にて発行)が必要です。整理券の配布は8時から。3万食分が無くなり次第、終了になります。芋煮が煮上がる時間は10時半~11時頃なので到着時間の目安にしてくださいね。
会場周辺には駐車場はありませんので、公共交通機関での来場がおすすめです。JR山形駅から路線バスで「沼の辺行き」もしくは「千歳公園行き」に乗り、「山形消防署前」で下車(片道税込240円)。

また、車の場合は特設駐車場に駐車し、そこからシャトルバスを利用すると便利です。特設駐車場は、「山形国際交流プラザ 山形ビックウィング」「山形県庁駐車場」「山形市立第一中学校 東側県庁駐車場(山形県総合研修センター向)」「山形市中央駐車場(山形市役所前)」の4か所です。
山形では、秋シーズンに何度も「芋煮会」を楽しむ人が少なくありません。それほどまで芋煮を愛する山形県民。2017年の「日本一の芋煮会フェスティバル」は9月17日(日)!芋煮イベントを河原で楽しみながら、山形の早秋を感じてみませんか?

撮影:佐藤友美
写真提供:日本一の芋煮会フェスティバル協議会事務局
佐藤昌子

佐藤昌子

エディター&ライター。山形県知事認可法人アトリエ・ミューズ企業組合専務理事。山形県内を中心にタウン誌、フリーペーパーや企業広報誌等ジャンル問わず、印刷物の企画、取材・編集の仕事を手掛ける傍ら、モデルハウスのディスプレイやリメイク等『気持ちの良い暮らし方』も提案している。

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