益子で陶芸体験!プライベート感ある作家の工房「風和里」なら初心者でも自信作が完成

2017.08.05

焼き物の町益子。陶器店が並ぶメインストリートからほど近い、陶芸家佐藤仁思(ひとし)さん・大和知子さんが営む「工房風和里(ふわり)」での陶芸体験が人気です。自然豊かな里山にたたずむ作家さんのプライベートな空間で、ろくろも手びねりも両方体験できるプランをご紹介します。

初めてでも心地いい作家さんの工房で、和気あいあいと

栃木県益子町の陶器店が並ぶメインストリート沿いのバス停「城内坂」から徒歩15分ほど。自然溢れる里山の一角に「工房風和里」はあります。
迎えてくれるのは、陶芸家の佐藤仁思さんと大和知子さんご夫妻。ともに陶芸歴45年を超える熟練の作家さんです。イギリスに滞在経験があり、現地の陶芸家やアーティストとの交流もお持ちなので、海外からの体験者にも対応できます。
「益子焼の定義は人それぞれ。もの作りを楽しんで」と仁思さん。
「完成したものを使ったり、飾ったりできるのも楽しいと思いますよ」と知子さん。
今回体験するのは、粘土で形を作る「成形」を行う約2時間のプラン(1人税込3,000円、焼成・粘土代込)。 
希望に合わせて手びねりか電動ろくろ、またその両方とも体験できるそう。料金に含まれている1kgの粘土から湯飲みや小皿など2、3点は作ることができるので、初めての方や気軽に体験したい方にぴったりの内容です。

基本はプライベートレッスンで、1人から15人まで臨機応変に対応してくれるので気軽にご相談を。作家さん個人の工房ということもあり、プライベート感を重視したいカップルやグループに特におすすめです。
準備は汚れても大丈夫な服装であればOK。エプロンとスリッパは貸してもらえます。動きやすい格好の方が思う存分楽しめますよ。

その人に合わせた指導で、作りたいイメージを形に

▲体験で使用する土は白土(左下)と赤土(右下)の2種類。底を見ると違いが分かりやすい

まずはエントリーシートへの記入から、陶芸体験がスタート!
体験の内容や進め方の説明を交えながら、作りたいものをどんな方法で形にしていくかなどを決めていきます。そこでポイントになるのが…
・これまでの陶芸経験の有無
・体験を通してどんなことをしたいか
・「手びねり」と「電動ろくろ」のどちらを体験したいか
・赤土と白土の2種類のうち、どちらを使うか
やりたいことやスキルなどを一通り話してから作業に入るので、その人に合った指導を受けることができます。

初心者だけど、せっかくならトータルで体験したい欲張りな筆者。電動ろくろで白土を使ったカップを、手びねりで赤土を使った受け皿を作ることに決めました(笑)。

作業の準備をしている間、仁思さんと知子さんの作品が並ぶ隣室へ。お2人の作品をヒントに「どんなものを作りたいか」のイメージを固めていきます。
▲仁思さんは「土もみ」の作業中。こねながら空気を抜いており、できるようになるまでにはそれなりの経験が必要だとか

ろくろで使用する土は、前もって「土もみ」と呼ばれる作業が必須。異物を取り除き、また空気を抜くことで焼成中の歪みや割れを防ぐことができるそうです。
▲箸置などの食器類からオブジェまで、ところ狭しと並ぶ多種多様な作品

中央のテーブルに知子さんの、奥の棚に仁思さんの、それぞれの作品がぎっしり。どんなものを作ろうか、漠然としたイメージを具体的な形に落とすヒントが溢れています。
「こういう感じに作れたらいいな」。観ているうちに作家さんの自由な表現力に刺激を受けて、創作意欲も湧いてきました。

何か作ってみたい!という気持ちをカタチにする楽しさ発見

これからが体験の本番。まずは土の感触をしっかり味わいながら作ってみたいと思い、「手びねり」の方を先に体験することにしました。最初にデモンストレーションを見てから実際に作っていくので、初心者にも安心です。
▲粘土の塊からお皿の原型を作ります
▲粘土の両側に板を置いて、均等な厚さにスライス
▲型を使ったお皿の作り方のデモンストレーション

石膏の型の上にスライスした土を置き、上から手のひらでトントントン。土を広げるように叩いていきます。好みの厚さや大きさになったところでほぼ完成。

続いて簡単に模様を付ける方法を教えてもらいました。型と土の間に「蚊帳(かや)」を挟んでトントントン。
▲型から外すと網目模様ができてる!

デモを元に、作るものの形や大きさを具体的に決めます。乾燥から焼成にかけて1割5分ほど縮むので、その分も考慮するのがポイント。作りたいイメージを伝えたら、いよいよ自分の番です。

デモを見ながら以前に網目模様の素敵なお皿をお店で見たことを思い出し、模様付けして雰囲気ある1枚を作りたい気持ちに。スライスまでやってくれたので、形作りに集中できます。

見よう見まねで土を叩いてみると「ペチペチペチ」。仁思さんが叩いていた時の音と全然違います。少し力を加えてやってみると、似た音になってきました。
広がっているのかどうか分からないまま叩いていると「その辺で大丈夫かな」と声をかけてくれました。あっという間にお皿が完成! 

初心者でも平らな表面を簡単に作れてしまうこの方法。叩くことで土が締まり、表面部分の空気も抜けるので割れにくくなるのだとか。また、蚊帳を使って模様付けをしたものは石膏の型から剥がしやすくなる利点も。

細やかな仕上げはプロの技術で

▲縁のギザギザを削ってから水を含ませたスポンジでなじませることで、手触りよく滑らかに仕上がる

縁の仕上がりや段差、大きさは、手でなじませたり、道具で削ることで好きに調整することができるそうです。

「大きさはこれくらいでいいですか?縁をきれいに整えたいだとか」と仁思さんに促され、手で縁を少し滑らかにすることに。ところがどうも手の動きがぎこちなくて、思うようになりません。プロの技をお借りして縁のギザギザを手触りよく滑らかな仕上がりになるよう、微調整をお願いしました。
▲手びねりの基本的な技術「ひも作り」のデモンストレーション

ひも状に作った粘土を積み重ねるように巻いて形を作る「ひも作り」は、焼き物の作り方の中でも応用がきくため、覚えておくといいのだそう。最初は円形でも途中から変形させることができ、自由自在に形作ることができます。ろくろで作った回転形にひも作りを組み合わせることもできるので、オリジナリティを追求したい方におすすめだそうです。

土を重ねていく仁思さんの手元をジーっと見て、やり方を頭に入れていきます。「さあどうぞやってみて」と仁思さんに促され、まずは土をひも状に形成する作業からスタート。
初めてのことを体験する時のワクワクとドキドキが入り混じった気持ちが新鮮で、楽しくも感じられます。土をこねながら、子どものころに工作で作った粘土細工を思い出しました。

隙間ができないように重ねることだけに気を取られていると、形がいびつに(笑)。これは試行錯誤しながら、じっくりと作りたい方に合うかもしれません。
▲手びねりは裏面の底に日付と印を刻んで仕上げます

没頭できるプライベート感は、まるで自分の工房にいる気分

手びねりに続いて、子どものころからの憧れ「電動ろくろ」を体験。どんな風にしたいのかをイメージしてから手を動かさないと、形もうやむやになってしまいます。くり返す失敗に若干へこみますが、仁思さんの丁寧な指導を頼りに気を取り直してもう1回。具体的に「ここはこうしよう」とイメージできると、手も動いてくれて形になっていきます。
▲自分に集中!思うようにならない歯がゆさがクセになりそう

集中してくると、小鳥のさえずりや物音も耳に入らなくなっていました。人の気配も気にならないほどに没頭できたのは、プライベートな空間だからですね。
こんな感じでいいかなと形状に納得できたら、縁をなめし皮で滑らかに整えます。糸で底を切ってもらい、ろくろから離します。恐る恐る、慎重に力加減を探りながら人差し指と中指で底部を支えて、そっと持ち上げて。離れて軽くなった感触に「できた!」達成感が込み上がって来ました。

やりたいことが叶った上に、初めてとは思えない出来栄え

▲左の皿3つが手びねり、右のカップ2つが電動ろくろで作った作品

「工房風和里」ではできるだけ自由に作ることができるように指導してくれるので、やりたいことが叶う体験になるんですね。作るほどに楽しくなっていきました。豊かな経験と感性は作家さんならでは。具体的な指導でとても分かりやすかったです。

最後は完成品の重さを計り、焼成する作品を選びます。もしも1kgを超えた場合は、追加料金(粘土代・焼成代込)が加算されます。また、粘土の追加は1kg焼成代込みで1,000円、時間の延長は1時間1,000円で対応しています(ともに税込)。
▲どの釉薬にしようかな。色見本を元に焼成後をイメージ

全部焼成したい気持ちを抑えて今回は、1kgに収まる範囲で作品を選ぶことにしました。続いて、色見本を元に釉薬を決めます。
焼成する作品と釉薬が決まったら、作品を前に写真撮影。仕上げの作業や焼成後に、誰の作品なのかを識別するために必要になるそうです。

時計を見ると、ピッタリ2時間が経ったところ。「お疲れさまでした!」
夢中になった後の、何かを出し切った解放感!イメージを立体的な形で表現できる陶芸に、新たな好奇心が芽生えました。
▲ろくろの作品は高台(こうだい)を作る「削り」を行うため、作家さんが日付と印を刻んで仕上げます

作品の受け渡しは焼成後になるため、当日は持ち帰ることができません。成形後の乾燥から窯焼きまでの工程は、作家さんにお任せします。窯のサイクルにもよりますが、原則2カ月はかかるそうなので、焼き上がりの予定を確認しておきましょう。また、配送を希望する場合、送料は梱包手数料込みで別途かかります。
焼き上がった作品を手に取る日が待ち遠しいです。

夢中になった後のなんともいえない解放感!

▲一連の体験を終えた後は、お茶を飲みながらひと休み

今回で4度目となるリピーターさんが来られていたので、お茶をご一緒しました。リピーターさんがお土産に持参したお菓子が付いたので「いつもより豪華だね」と仁思さん。「普段はお茶だけよ」と笑う知子さん。実はイギリス旅行から帰国して2日目だというお2人。まだ旅の余韻が残っている時で、陶芸家の友人が主宰するアートイベントに参加して刺激になったことやパブでのエピソードなど旅の思い出話が尽きませんでした。

完成品が手元に!頬ずりしたくなるくらいに愛おしい

後日、作品が完成したとの連絡をいただき、受け取りに行って来ました。本来は焼成までに原則2カ月はかかるとの説明を聞いていましたが、今回は窯焼きのサイクルにタイミングが合ったため、1カ月過ぎほどで出来上がりました。
▲どことなくいびつな佇まいから伝わってくる、手作りの味わいと親近感

「あれがこんな風になるんだ!」。漠然と想像していたものよりも、ずっと完成度が高くて感激。手に取って眺めるうちに、思わず頬ずりしていました(笑)。愛着が湧いてきて、いつまでも見ていられる感じです。

成形した時には少し大きかったかなと思っていましたが、予想していたよりも縮んでいたので、丁度良いサイズに仕上がっていました。想像していたよりもずっと素敵な作品になってくれたので、また作りたい気持ちにもなっています。
みなさんも、ぜひ心地良い雰囲気の中で陶芸ができる風和里に体験しに行ってみてください!
中島朗子

中島朗子

宇都宮在住ライター。東京に憧れた時期もあり、都内アパレルやIT企業、マスコミに勤務し、サービスやWEBデザインを担当。Uターン後は、とちぎのおいしいもの・居心地のいい場所を発掘するのが趣味。農家さんと食べる人とをつなぐためのWEBマガジンやイベントの企画・運営がライフワーク。

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