静岡・御殿場の和カフェ「とらや工房」。アウトレットに行くなら絶対に立ち寄りたい!

2017.05.27

標高およそ500mに位置する静岡県御殿場市は、冷涼な気候が魅力のエリア。なかでも、「御殿場プレミアム・アウトレット」の南側に広がる東山エリアには、秩父宮記念公園をはじめ、かつて御殿場が保養地や別荘地であったことを感じさせる施設がいくつもあります。そのひとつが和カフェ「とらや工房」。広大な敷地にあるこのカフェが一体どんなところなのか、実際に行って見てきました!

閑静な別荘地にある、和カフェ「とらや工房」へ

東名高速道路御殿場ICから箱根方面出口を出て、国道138号線を箱根方面へ走ること信号1つ分。「湖水前」の交差点を左に折れ、緑の中の狭い道を進んでいくと、右手に「とらや工房」の文字が書かれた大きな看板が目に留まります。

とらや工房のある東山地区は、かつて、秩父宮雍仁親王をはじめ、西園寺公望や岸信介、黒澤明や白洲正子などの別荘があった場所。閑静な別荘地の雰囲気が、今も色濃く残っています。
駐車場に車を停め「とらや工房 入口」の矢印のほうへ目を向けると、風に揺れる竹林が見えます。どうやらあそこが入り口のよう。早速行ってみることにしましょう。
▲白い看板が入り口の目印
昭和2(1927)年からこの地にあるという茅葺屋根の山門をくぐります。
一歩中に入るとそこは清々しい空気に包まれていて、まるで別世界に迷い込んだよう。聞こえてくるのは、鳥のさえずりや、葉が風に揺れる音。葉が風に揺れるたびにサワサワとやさしい音が耳を撫で、木漏れ日が目を楽しませてくれます。
歩くこと1分足らず。道が二手に分かれます。
入り口にある案内図を見ると、敷地内はぐるりと回遊できる造り。入ってすぐの分岐点を左へ進むとすぐに喫茶室や販売所、厨房などがある建物に到着できることがわかります。
せっかくだから、美味しい和菓子を真っ先に食べたい!と思い、まずは工房を目指しました。
道沿いには小川が流れています。透き通った水がお日様の光にキラキラと輝いて、とてもきれいです。この小川の源を探しながら歩いていくと、木立の向こうに建物が見えました。
▲この建物が、和菓子やお茶をいただける「とらや工房」

とらやの羊羹の多くが、御殿場市内にある工場で作られていることをご存知ですか? 水の良さと東京や京都へのアクセスの良さから御殿場を選び、1978(昭和53)年に御殿場工場を、1980(昭和55)年に直営店である御殿場店をオープンしたとのこと。それからおよそ30年。和菓子屋の原点を今の時代に再現して見たいという想いから、2007年10月にとらや工房をオープンしました。

オープン当初は、御殿場市が発行する広報誌や、地域で購読されている岳麓新聞という小さな新聞に広告を出す程度だったそう。その後、とらや工房の近くにある御殿場プレミアム・アウトレットやゴルフ場を訪れる人たちの目に留まるようになり、口コミでじわじわとその存在が広がっていきました。
▲この建物、とてもかっこいいですよね!

設計を手がけたのは、建築家で東大名誉教授の内藤廣(ないとうひろし)さん。「とらや 東京ミッドタウン店」を手がけたことでも知られ、実は「とらや 御殿場店」も内藤廣さんが設計したものなのだそう。そう聞くと、両方訪れたくなりますよね。

元々は個人の別荘だったという敷地に建てられた建物。庭を店内のどこからでも眺めることができるよう設計されています。とらや工房の職人さんたちは、四季折々の景色を眺めながら季節を感じさせる和菓子を作っているのですね。
▲実際に椅子に掛けてみると、庭がまるで絵画のように見えてとても素敵

出来立てほやほやの和菓子を、オリジナルブレンドの静岡茶と共に

さて。早速、建物の中へ入ってみましょう。その入り口で“いろはカルタ”なるものを発見! 実はとらや工房は、セルフサービスのカフェで、好きな席を選べます。席をキープする際に使うのが、このいろはカルタ。好きな言葉のカルタを選んで、空いている席を探します。
薪ストーブのある室内や、壁がなくオープンになっている空間などがあり、どこに座ろうか、迷ってしまいます。
ちなみに、奥のオープンスペースと建物は、2017年3月に増築されたエリア。お日様の光と緑が眩しく、気持ちよく過ごせます。
席を決めたら店員さんのいる販売所へ。ショーケースには、美味しそうな甘味が並んでいました。あんみつ(1,005円・税込)、お汁粉(1,005円・税込)、ところてん(菓子付き。735円・税込)。ほかに、季節の食材を使った軽食もあります。どれも美味しそうで、目移りしてしまいます。
甘味のショーケースの先に目をやると、職人さんたちが和菓子を作っているところが見えました。実は、とらや工房に並ぶ和菓子は、こちらで作られているもののみなのです。

「とらや」と聞くと上等な和菓子が思い浮かびますが、とらや工房に並ぶのは大福やどら焼きといった、私たちの暮らしに身近な“日常的な和菓子”。食べる人と作り手の距離が近い、和菓子屋の原点を目指しているのだそう。作り手の顔を見ながら出来立てを食べられるからこそ、大きな安心感があるのです。
▲和菓子を頼むとこの木箱から出し、懐紙に乗せてくれる

和菓子は、どら焼き、大福、最中、人形焼の定番4種類(各281円・税込)に季節の菓子が3種類。お菓子の価格プラス303円(税込)で煎茶付きになります。春には桜餅や味噌まんじゅう、夏には葛まんじゅうや水羊羹、秋には芋きんとん、冬には酒饅頭など、四季折々の和菓子が登場します。

芋きんとんには市内にある畑でとらや工房のスタッフが栽培しているサツマイモを、どら焼きには沼田ロマンチック街道沿いにある「さくら玉子」の卵を、味噌まんじゅうには御殿場の醤油蔵「天野醤油」が仕込む味噌を使用するなど、地産地消を意識して、地元・御殿場のいいものを積極的に取り入れています。

煎茶も同じで、御殿場市内にある老舗のお茶屋さん「荒井園」がブレンドしています。茶葉にはとらや工房の隣にある茶園で収穫したものも使用。とらや工房の和菓子にマッチするようブレンドしてもらっているそうです。
▲建物の前に広がる梅林。花の見頃は2~3月頃

敷地内の梅林で収穫する梅も、お菓子に使われることがあるそうですよ。
ショーケースを眺めながらどのお菓子を選ぼうか悩んでいると、職人さんがどら焼きの皮を焼き始めました。ドラサジから流れる生地がどれも同じ大きさに広がっていく様子は惚れ惚れするほどです。
今度は、焼きあがったものから順に、サワラの木でできた箱へしまっていきます。そのリズムは一定で、隙がありません。

銅板の上をよく見ると、には丸い跡がついています。一見“型”のように見えますが、これは型ではなく“跡”。毎日毎回同じ場所で、同じ大きさの生地を焼いていくので、自然と跡がついてしまうそう。見事な職人技を間近に見ることができ、列に並んでいる間も退屈することはありません。
▲たくさんある和菓子の中から選んだのは、一番人気の「どら焼き」と煎茶のセット(584円・税込)※どら焼き単品は281円・税込

とらや工房の「どら焼き」は、小倉餡と白小倉餡の2種類があります。今回はあまり見かけない白小倉餡をチョイスしました。小倉餡には北海道産の小豆を、白小倉餡には、栽培が難しいと言われる白小豆を使用しています。白小豆を栽培しているのは、群馬県にある契約農家。ほっくりと上品な甘さの餡と、香ばしい皮のハーモニーがたまりません。

お茶はおかわり自由。カウンターへ湯呑みを持っていくと、新たに淹れた湯呑みをテーブルまで持ってきてくれます。
レジ前で見つけたMAPは「きょうの猫村さん」の作者であるほしよりこさんの手によるもの。敷地内の様子が、はんなりとしたイラストで描かれています。これはとらや工房と隣接する「東山旧岸邸」の入り口のでのみ手に入れることができるアイテム。気になる人はチェックしてみて下さいね。
地図を片手に、敷地内をどう歩こうか考えるのも楽しいひととき。美味しい和菓子とまろやかな煎茶を味わいながら景色を楽しむのも贅沢で、ゆったりとした時間を過ごせます。

緑豊かな広い敷地を、のんびりと歩く

さて、せっかくなので敷地内をお散歩してみましょう。建物を反対側から眺めると、こんなにスタイリッシュ。とらや工房には、建築を楽しみに訪れる人も少なくないというのも納得です。
とらや工房の建物からゆっくり歩いて1~2分。東山旧岸邸へと続く小道がありました。東山旧岸邸は、かつて首相を務めた岸信介の自邸として1969(昭和44)年に建てられた建物。元々個人の別荘だったとらや工房と東山旧岸邸は、生垣で遮られていて行き来ができない状態だったそうですが、東山旧岸邸を一般公開する際、往来できるように整備したそうです。

伝統的な数寄屋建築の美しさと住まいとしての現代的な機能美を兼ね備えた邸宅は、建築家・吉田五十八の晩年の作品。建築好きにはたまらない場所ですね。
さらに先へと足を伸ばします。木々の緑を眺めながら歩いていくと……
小さな祠にいらっしゃる道祖神や
大きな東屋、そして、
なんと、畑もありました!

こちらの畑では、とらや工房の新入社員の皆さんが野菜を植え、育てています。
梅林の梅のように、収穫した野菜や、春になると竹林にニョキニョキと顔を出す筍なども、喫茶メニューとしてお目見えするそうです。
再び竹林と出合ったら、そろそろ山門に到着する合図。
和菓子とお茶、そして、緑とともにゆったりと流れる時間を満喫できる和カフェ・とらや工房。セルフサービスにしているのは、誰にも何にも邪魔されず、ここで過ごす時間を楽しんで欲しいという気遣いなのだということに、山門まで来て気づかされました。

ここは、訪れたら何時間でも過ごしたくなる。そんな居心地の良さのある場所です。わざわざ訪れたいのはもちろん、御殿場プレミアム・アウトレットでの買い物ついでに寄るのもオススメです!
永井理恵子

永井理恵子

日大芸術学部写真学科卒のフリーライター。食いしん坊(飲んべえでもある)。東京の荒波に15年揉まれて気づいたのは、生まれ育った静岡県と御殿場市が思いのほか素敵な場所だったってこと!地元のいいところを発信すべく鋭意活動中。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。

こちらもおすすめ

もっと見る
PAGE TOP