賞味期限30分!夏限定の幻のスイーツ「水信玄餅」を求め、金精軒へ行ってきた

2017.07.17

山梨土産の定番といえば「信玄餅」を思い浮かべる人が多いと思いますが、現地の名水で作られている「水信玄餅」なるものがあることをご存じでしょうか?食べられるのは毎年6月~9月の土日のみで、予約はできず、1日700食限定。しかも賞味期限30分というから、お土産に持ち帰ることもできない、まさにそこでしか味わえない逸品なのです。

「山梨の夏に水信玄餅と言う幻のスイーツがある。信玄餅とは別もので、毎年行列ができるほど入手困難らしい…」そんな噂を聞いてから早数年。2017年もようやく水信玄餅の販売開始時期を迎え、この目と舌で実態を確かめに、いざ山梨県は北杜市に行ってきました!
▲豊かな緑に囲まれた北杜市

水信玄餅を販売するのは、和菓子屋「金精軒」。南アルプスの天然水の採水地として知られる北杜市に、本店(台ヶ原店)を構えています。中央自動車道長坂I.C.から車で約15分、近くの市営駐車場に車を停めてお店を目指すと、周りにも続々とお客さんの姿が。なんだかテーマパークへ向かう時のようなドキドキ感がありますね。
▲金精軒の本店があるのは甲州街道の宿場町「台ヶ原宿」の一角。車で20分ほどの場所にもう1店舗の韮崎店があります

まずは整理券をゲット!

この日お店に着いたのは開店時間の30分前となる8時半頃。お店の前には既に行列ができていました。
▲人が集まっていたので、お店の場所はすぐにわかりました
▲木造の趣がある店構え

お店に着いたら、まずはスタッフさんが配布している整理券をゲットしましょう。整理券には水信玄餅を購入できる時刻が記されています。なお、水信玄餅は賞味期限30分のためイートインのみで、お持ち帰りはできません。
▲整理券をもらうのは代表者のみでOK
▲水信玄餅の購入は、1人1個までなので何人で来たかを伝えます

この時点で整理券No.82。100人以上が8時半より前に並んでいる模様です。ちなみにスタッフさんによると、この日一番早い人は群馬から来て早朝5時から並んでいたそうな…。
▲9時に開店したお店で先にお土産を買っておくのもいいかもしれませんね

なお、整理券に書いてある時刻までに戻ってくればいいので、近くを散策して待っていると意外とすぐに時間は過ぎました。「金精軒」の周辺には、南アルプスの名水を醸した山梨の銘酒「七賢」の蔵元(9~17時)や、ハンドドリップのコーヒーが飲める喫茶店もあります。
▲金精軒の斜め向いにある「七賢」。中には糀を使ったドリンクやスイーツを味わえる「くらかふぇ糀’s」(10~16時)もあります

いよいよ「水信玄餅」とご対面!

さて、9時20分にお店の前に戻ってくると、お店横の白壁門をくぐって中へと進むように促されます。さぁ、いよいよ水信玄餅とご対面!と思いきや、中庭にも行列が……。すぐに水信玄餅を食べられるとは考えが甘かったです。
▲最後は屋根のない場所に並ぶので、帽子など日除けアイテムを持参するといいですよ

そして並ぶこと20分ほどでついに!レジでお会計をして水信玄餅を受け取り、中庭にある休憩所で早速いただいてみます。
▲型から出したばかりの「水信玄餅」が手渡されます
▲中庭には休憩用のテントとベンチが設置されおり、その奥には屋内の休憩処もあります
▲「水信玄餅」(1個・税込300円 ※冷茶付き)

ウワサに聞いてはいましたが、見た目は信玄餅とは全くの別ものです。でも黒蜜ときな粉が添えられている点は信玄餅と同じですね。太陽の光が反射しキラキラと輝く水信玄餅は、まるで雨上がりに葉っぱについた雫のよう。まさに壊してはいけない芸術品!

▲見てください、このぷるんぷるんとした感じ!思わず動画を押さえちゃいました(笑)

スプーンを投入してみると、ピシャっと弾けて水が溢れ出てきそうなイメージだったのですが、意外としっかりしています。
▲スプーンに乗せた時には柔らかめのゼリーのような感覚

いざ口へ!まずは黒蜜ときな粉を付けずに食べてみます。
わわわ!口にふくむとすぐになくなってしまいました。つるんとしたゼリーの食感とも、ふわっとしたかき氷の食感とも違う、初めての感覚!暑い外で食べるとヒヤリと涼しく、体の中に水が浸みわたっていく感じがします。

そしてお味はというと、水信玄餅自体にはほとんど甘さを感じず、美味しい水を食べているような。黒蜜ときな粉を絡めて食べると、まさに信玄餅の“水”バージョンになります!
▲繊細で上品な味わいの水信玄餅。朝から並んだ甲斐がありました~

原料は水、寒天、砂糖のみ!

あっという間に食べ終えてしまったので、「賞味期限30分」の真相を確かめられず…。30分経ったら、水信玄餅は一体どうなってしまうのでしょうか?気になって金精軒の小野允大(ミツヒロ)さんにお話を伺ってみました。

「提供してから30分ほど経つと、和菓子の業界用語でいう“離水”が起こってしまうんです。水が入った水風船から水が抜けてしぼんでしまうイメージでしょうか。よかったら作っている現場を見てみますか?」
▲金精軒・広報担当の小野允大さん

幻のお菓子と聞いていたので、てっきりその製法は企業秘密なのかと思いきや、工場を見学できるというので特別にお邪魔させていただくことに。

「材料は水と寒天と砂糖のみ。工程も材料を混ぜてよく溶かして型に入れるという、とてもシンプルなものなんですが、寒天の量が少ないのがこのお菓子の特徴です。1個に使っている寒天の量は手の平に乗せても分からないくらいですよ」(允大さん)
▲水と寒天を鍋に入れ、寒天がダマにならないようによく混ぜるのがポイント。思いの外小さな鍋で驚きましたが、一度に200食分を作るそう

30分ほどかけて寒天がきちんと溶けたところで砂糖を加え、寒天の濃度が一定になるまで煮詰めていきます。
「この時の水分量の調整が肝です。天候によって蒸発量が異なるので、職人が何度も測りながら仕上がりを見極めます」(允大さん)
▲水分量が定まったところで、濾してから型に入れていきます。職人さん曰く、表面張力があるから型入れも難しいそう
▲型に入った水信玄餅がズラリ!このまま冷蔵庫で一晩置いたら完成だそう
▲カップから出したばかりの水信玄餅は、まるで水晶のような輝き!
▲この日は11時前に700食が完売していました(※韮崎店でも700食を限定販売しています)

地元の名水を最もシンプルに味わえるお菓子

提供されてから30分経つとその形状が変わってしまう、まさに幻のスイーツである水信玄餅。「地元の美しい水を最もシンプルに味わうことのできるお菓子を作ろう」と、2012(平成24)年に女性の職人さんによって開発されたものでした。

「職人さんから無茶苦茶柔らかいゼリーを作ってみたから試食してくださいって言われて。一口食べると口の中ですぐになくなって、『何コレ!?』を連発しちゃいました。お菓子でもゼリーでも氷でもない、初めて食べたあの感動は忘れられないですね」

そう話すのは、金精軒・4代目の奥様である小野雅子さんです。
▲初めて食べた時の感動をお客様にも伝えたいと、水信玄餅の商品化を手掛けた雅子さん

販売開始当初は売れても20個くらいで、余った分を近所に配って歩いたと振り返る雅子さん。ところが2013(平成25)年にローカルラジオの社員さんがtwitterで発信したことをキッカケに、大ブレイク!一晩で1.5万リツイートがあったといい、その週末にいきなり100人くらいのお客様が押し寄せたんだそう。
▲南アルプスの天然水が流れる近くの川。本店の近くには、サントリー白州蒸留所もあります

なお、水信玄餅の肝ともいえる地元の名水について、雅子さんは次のように語ってくれました。
「水信玄餅は甲斐駒ケ岳の伏流水じゃないと作れないんですよ。花崗岩で濾過されている軟水なんですが、同じ軟水でも他の地域の水だと水信玄餅は再現できないみたいで。不思議ですよね」

賞味期限3日の「生信玄餅」もおすすめ

実はこの水信玄餅を生み出した「金精軒」は、山梨銘菓である信玄餅の生みの親でもあります。1902(明治35)年創業の金精軒は、冠婚葬祭用の餅屋として始まり、現代表で4代目の小野光一さんのお父様(故3代目)が信玄餅を発案したそう。山梨県にはお盆に柔らかいお餅に黒蜜ときなこをつけて食べる習慣があり、それをお土産として販売できないかと商品化したといいます。
▲「信玄餅」(6個入り・税込980円)。黒蜜ときなこをつけるのは、静岡の安倍川餅が由来とか(写真提供:金精軒)

信玄餅の材料は、砂糖、餅米粉、黒蜜、きな粉、水飴。どれも品質にこだわって厳選した素材だけを使っており、防腐剤、合成保存料は一切使用していません。さらに光一さんは、「お餅本来の甘さをもっと引き立てた信玄餅を作りたい」という思いから、水飴を極力減らした「生信玄餅」を2009(平成21)年に開発したそう。通常の信玄餅の賞味期限が11日のところ、生信玄餅は3日です。
▲「極上 生信玄餅」(5個入り・税込770円)。本店と韮崎店で常時販売、東京・日本橋にある「富士の国やまなし館」でも毎週水曜日に限定販売しているそう

生信玄餅は、通常の信玄餅に比べてお餅の大きさが3倍ほどで食べ応え十分。モチモチとした生のお餅の食感も楽しめ、黒蜜ときな粉で自分好みの甘さに調整ができるのも嬉しいところです。残念ながらお土産として持ち帰れない水信玄餅の代わりに、生信玄餅をお土産にしてみてはいかがでしょうか。
そこに行かないと食べることができない、水信玄餅。涼を味わいにこの夏、金精軒へ出掛けてみませんか?
長谷川浩史・梨紗(株式会社くらしさ)

長谷川浩史・梨紗(株式会社くらしさ)

広告出版社を退職後、世界一周、日本一周を経て「くらしさ」を設立。全国各地のモノ・コト・ヒトを伝え、つないでいく活動に尽力している。全国の仕事人に会いに行ける旅「Life Design Journey」も運営。 http://lifedesign-j.com/

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