阿智村「天空の楽園 日本一の星空ナイトツアー」は、息をのむ美しさだった!

2017.07.05

環境省による全国星空継続観察で、「星が最も輝いて見える場所」第1位(平成18年)に認定された長野県阿智村。人口6,600人程度の小さな村ですが、美しい星空を堪能できる「天空の楽園 日本一の星空ナイトツアー」が、いま大ブームとなっています。満天の星を求めて、多い時には一晩で2,000人以上もの観光客が訪れるそう。そんな話題の、天空のツアーに、実際に参加してきました!

山々が複雑に入り組んだ独特の地形が生み出す、“日本一の星空”

長野県の南西部に位置する阿智村は、岐阜県中津川市と隣接している県境の村。美肌の湯で知られる「昼神(ひるがみ)温泉」を有する温泉郷で、花桃の里としても知られています。
▲毎年4月上旬~5月中旬が花桃の見頃。東京や大阪からは約3時間半(中央自動車道経由)、名古屋からは約1時間半(中央自動車道経由)で行くことができる

何よりも有名なのが、“日本一”として名を馳せる星空!山々が複雑に入り組んでいる土地柄、集落の灯りや都市部の光が山で遮られ、美しい星空が楽しめるのだそうです。
この美しい星空に目を付け、“村おこし”の一環として2012年に考案されたのが、いまや大人気の「天空の楽園 日本一の星空ナイトツアー」。シーズン中、約15万人もの観光客が美しい星空を眺めにやってきます。

一晩で2,000人以上もの観光客が訪れる、星空ガイドツアーへいざ出発!

▲会場となる山頂には、ここからゴンドラに乗って向かう(事前予約不要)。中央自動車道園原ICから約1kmの場所にある

ツアーの舞台は、標高1,400mの高原にあるスキー場「ヘブンスそのはら」。スキー場が休止している4月から10月までのグリーンシーズンの間(梅雨の時期を除く)、ほぼ毎晩行われています。さまざまな演出の下、ガイドの説明を聞きながら日本一の星空を楽しむことができ、雨天・曇天時も映像を使った専用プログラムが用意されているので、諦めずに会場入りすることをおすすめします(荒天時は中止)。
▲まずは、駐車場にある窓口でツアーチケットの購入を。販売時間18:30~19:30。大人・高校生2,200円、小中学生1,000円、幼児無料(ゴンドラ往復料金、ツアーガイド料を含む※税込)
▲山麓にあるゴンドラの駅の名称は「ステーションベガ」。駅の内部は宇宙ステーションのような非日常的な空間になっている

本ツアーのテーマは、“宇宙への旅”。宇宙船に見立てたゴンドラに10人前後で乗り込み、観賞地点である山頂を目指すのですが……なんと、ゴンドラスタッフの衣装はNASAの制服を模したものでした。細やかな演出に、宇宙旅行気分も盛り上がります。それでは、飛行士になった気持ちでいってきます!
▲山頂駅行きのゴンドラ運行時間は18:30~19:30
▲全長約2,500m、高低差約600mの道のりを行く、片道約15分の空中さんぽ

ゴンドラ内のアナウンスによると、私たちを乗せた“宇宙船”は、銀河の彼方にある“ヒミルガ”という星を目指して上昇しているのだそう。ヒミルガ、ヒミルガ、ヒミルガ……ヒルガミ!
▲私たちが目指すヒミルガの天体イメージ。アナウンスに合わせてモニター画面に映し出される映像が変わり、乗車中も飽きさせない工夫が施されている

深い谷や、うっそうと茂る樹々を眺めながら、山の奥へ奥へと向かっていくゴンドラ。山頂に着くと、少し日も落ち、やや薄暗くなっていました。いよいよ、ヒミルガに到着です!一体、どんな星空が待っているのでしょうか!?

足元にランプが灯る、ロマンチックなツアー会場

▲ようやくたどりついた山頂駅「ステーションデネブ」。プログラム中はすべての照明が落ちるため、19:30で山頂駅行きのゴンドラ運行が終わる

会場内は、足元にランタンが灯り、ロマンチックな雰囲気。至るところに芝生が張ってあり、すでに場所取りをしている人たちでにぎわっていました。
▲足元を照らすランタンの光
▲多くの人でにぎわっていた会場の様子

ナイトツアーは、ごろりと寝転び、ガイドの天体解説を聞きながら夜空を楽しむというスタイルなので、会場に着いたら、まずはレジャーシートを敷いて場所とりをしましょう。風が吹くため、シートを固定するペグを用意しておくと便利ですよ。
▲会場には、どのあたりからだと星が見やすいかを示した「星見マップ」も(写真は、イベント「アルテミス」の際のもの)

この日(5月上旬)の山頂付近の気温は約10度。夏でも涼しく、風が吹き抜ける場所なので、時期を問わず、防寒着やブランケットなどを持参しましょう。
▲ゴンドラを降りたすぐ先にある、カップルに人気の記念撮影スポット
▲山頂ステーションデネブにある売店。温かいドリンクやスープ、チュロスなどのおやつも販売しているので、観賞前に飲食物を調達しておこう。トイレも完備されている

プログラムが始まる20時までは自由時間。おやつを食べたり、おしゃべりをしたり、記念撮影をしたり、ステーションデネブに展示されている星空写真を眺めたり……。思い思いに過ごしましょう。
▲ステーションデネブで行われている、星景写真家の宮坂雅博氏と小松由利江氏による常設展

カウントダウンと共に浮かび上がる、満点の星!

そして20時。いよいよお待ちかねのプログラムの始まりです。まずはステーションデネブの外壁に、星と神話をテーマにした約10分のオリジナルムービーが投影されます。そしてシートの上にごろりと寝転び、いざ!

「10! 9! 8! 7!……」
目をつぶりながら、会場が一体となって消灯のカウントダウン。ドキドキしながらその時を待ちます。

実は、この日の阿智村は夕方まで超曇天。ダメ元覚悟で会場を訪れてはみたものの、消灯前は星をまったく見ることができず、半ば諦めモードでした。
ところが、「3! 2! 1! 0!」
▲目を開けてびっくり!

会場の照明はもちろん、売店やリフトの灯りもすべて消灯することで、それまでは見ることのできなかった無数の星が暗闇に浮かび上がっていたのです。その瞬間、会場にどっとわき起こる歓声!まるで宇宙空間にいるような気分!!ため息の漏れるような絶景でした。
▲阿智村から見える美しい天の川
それだけではありません。なんと、肉眼で天の川まで見ることができたのです!まさに天然のプラネタリウム。取材日の当日まで天気の悪い日が続いていたので、「奇跡的!」とスターコンシェルジュの方も驚いていました。諦めずにゴンドラに乗った甲斐がありました~!!
▲ガイドや天体観測のお手伝いをしてくれるスターコンシェルジュ

この日は、ジャズの生演奏を聴きながらの星空観賞。スターコンシェルジュの方がレーザーポイントを使った解説をしてくれるので、最後まで飽きることなく星空を楽しむことができます。
「“北極星”の探し方、覚えていますか?」
「これが、“夏の大三角”ですよ!」
子どもの頃に聞いた懐かしいフレーズを聞きながら、しばしの間、日本一の星空を堪能しました。
▲レーザーポインターによる星空解説

30分ほど経つと照明がつき、満天の星は、再び空の彼方へと吸い込まれていきました……。
▲ジャズバンドによる生演奏の様子

このほか、「天空の楽園 日本一の星空ナイトツアー」では、軽快なトークで星空解説をしてくれる星のお兄さんショーや、映像とダンスを融合させたパフォーマンスが楽しめる星空解説など、日によってさまざまなイベントが用意されています。詳細は公式HPのイベントカレンダーをチェックしてくださいね。

月夜も楽しめる!本格的な天体望遠鏡で天体観測

さて、美しい“星空”が売りの「天空の楽園 日本一の星空ナイトツアー」ですが、実は“月夜”でもツアーを敢行していることはあまり知られていません。通常、月の灯りが眩しい日は星空観賞には向かないのですが、それを逆手にとり、「ARTEMIS(アルテミス)」という、満月期にしか体験できない「月」を楽しむ特別イベントを実施しているのです。
▲「アルテミス」は、国内有数の天体望遠鏡メーカー「Vixen(ビクセン)」がイベントに協賛しているため、天体望遠鏡を使った天体観測が楽しめる

星空観察を行う通常の「天空の楽園ツアー」と大きく違うところは、天体望遠鏡を使った天体観測が楽しめるということ。普段は、シートに横たわったまま静かに星空を観賞するのですが、「アルテミス」の日はワイワイガヤガヤにぎやかな雰囲気が印象的です。
▲屈折式天体望遠鏡と反射式天体望遠鏡の2種類を設置。参加者同士、交代して使う
デコボコとした月のクレーターだけでなく、季節によっては木星の縞模様まで見ることもできますよ!本格的な天体望遠鏡に触ってみたい、という方にもおすすめのイベントです。
▲反射炉式天体望遠鏡で覗いた月の様子。月の陰影やクレーターの様子まではっきりと見ることができる

なお、山麓のステーションベガには、天体望遠鏡や双眼鏡など、天体観測に必要なグッズやお土産物が販売されている「スターショップ」や、宇宙空間のようなカフェ「スタービレッジカフェ」もあります。ツアーの行き帰りに立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
▲星をモチーフにした土産菓子からキーホルダー、天体に関する書籍まで、さまざまなものが販売されている。営業時間18:00~(終了時間は日によって変動)
▲星や宇宙にちなんだたくさんのグッズが並ぶ
▲プロジェクションマッピングによる演出が行われている「スタービレッジカフェ」。ドリンクやカレーライスなどの食事メニューも扱っている。営業時間18:00~(終了時間は日によって変動)
▲「ナイトカレー」900円(税込)。星形にあしらったごはんに地元産の鹿肉を使ったオリジナルカレーの組み合わせ

息をのむほど美しい星空が広がる阿智村の「天空の楽園 日本一の星空ナイトツアー」。ぜひ、その目に絶景を焼き付けてください。訪れる日によって演出も違うので、何度参加しても楽しむことができますよ!
(写真・平松マキ)
松井さおり

松井さおり

出版社勤務を経て、フリーランスのライター&編集者に。雑誌や書籍を中心に、主に、食・旅・くらしなどにまつわる記事を執筆している。現在は、東京から長野県長野市に拠点を移し、県内外を奔走する日々。(編集/株式会社くらしさ)

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