青ヶ島編/離島をぐるっとひとまわり。旅ランVol.3

2015.06.19 更新

島ラン・シリーズ第3弾となる今回走ってきたのは、日本国内にある地方自治体の中で最も人口が少ない という東京都青ヶ島村(=青ヶ島)。青ヶ島は伊豆諸島の有人島としては最も南に位置し、人口は約170名です。火山活動のランクCに指定された火山島であり、島を囲む外輪山、そして噴火によってできた内輪山で構成されています。特に最近は、空一面に広がる星空の美しさから注目を集めている青ヶ島。広く青い海にポツンと浮かぶ、まさに絶海の孤島です。

八丈島からヘリコプターで青ヶ島へ

青ヶ島へのアクセスは、八丈島を経由して行います。その手段は「フェリー」と「ヘリコプター」の2つ。ただし注意したいのは、その欠航率です。青ヶ島近海は荒れることが多く、フェリーの欠航率は約5割といわれます。ヘリコプターの欠航率は約2割とフェリーに比べれば高くありませんが、霧が発生すると島に着陸することができません。島へ渡る際には、天気予報をしっかり確認しておきましょう。今回はヘリコプターを利用し、青ヶ島へ向かいました。
八丈島空港内に、ヘリコプター「東京愛らんどシャトル」の受付があります。こちらで30分前までに手続きを完了させ、案内があるまで付近で待機。なお、ヘリコプターは定員数が9名と少なく、主に地元の方が利用しています。しばらく先まで満席という状況が多いため、余裕を持ってスケジュールを立ててくださいね。
手荷物検査を行ったら、いよいよヘリコプターへ搭乗します。ヘリコプターに持ち込める荷物は次の通り規定があり、これを超える場合には超過料金が発生。場合によって持ち込みNGとなることがあるので、注意してください。

・重さ:5kgまで
・大きさ:縦25cm×横40cm×厚み20cmまで

長期滞在する方などは荷物が多いため、あらかじめ荷物のみ郵送しているようです。
ヘリコプターが発ってから青ヶ島へ到着するまでは約20分。いよいよ、青ヶ島へ上陸です。

青ヶ島には5つの宿があります。各宿はヘリポートの近くに所在していますが、予約時に送迎を頼んでおくと安心でしょう。なお、島内には飲食店がほとんどなく、商店が1つあるのみ。基本的に、宿は3食付きとなっています。

内輪山の周りをめぐる約10kmのランニングへ出発!

青ヶ島は面積が小さく、一周走るのにその距離は約10km。そのため、ペットボトル1本分ほどの水分があれば問題ないでしょう。ただしコース上には、ぜひとも立ち寄りたいスポットが点在しています。内輪山には、地熱を活かした調理釜やサウナがあるので、必要に応じて調理する食材やタオル、小銭などを持っていくといいですよ。
青ヶ島に一周道路といったものは設けられていません。まずは青ヶ島本道に沿って、内輪山へと向かいましょう。ここでは分かりやすく、ヘリポートから走り始めます。

・トンネルを通って内輪山へ
ヘリポートを背に待合所横にある道を進んだら、すぐに左折します。すると、いきなり急勾配の下り坂となるので注意しましょう。傾斜角がキツイので、下り坂はゆったり走るのがおすすめ。あまりスピードを出すと、止まれなくなってしまいますよ。転倒などの危険もありますので、無理せずに進んでください。
青ヶ島は内輪山周辺を除き、基本的には急勾配のアップダウンばかりです。スタートから約1.8kmまで、しばらくアップダウンを繰り返しつつ徐々に登っていきます。登り坂は腕をしっかり振ることで身体を前に進めていきましょう。下半身だけに頼ると、すぐに疲れてしまいます。
スタートから約400mで現れるのが、島内で唯一の信号 。ちょうど、青ヶ島小中学校の前にあります。車の通りは多くないため、一見すると不要に思えるかもしれません。しかしこの信号は交通安全というより、子供たちの教育を目的として設置されているようです。確かにいつか島外へ出た際、信号を知らなかったら危ないですからね。
長い坂を登り切った約1.8kmの地点で、左に曲がる道が現れます。ここで登り坂は終了です。ここでは曲がらず、そのまま直進してください。左に曲がると、行き止まりになってしまいます。
ちなみにこの付近で右手側を見ると、生い茂る木々の奥に内輪山が見えます。見た目は、なんだかプリンのようですね。これから坂を下って、あの内輪山の下へと向かいます。
約2kmで現れるのが、平成流し坂トンネル。別ルートもありますが、それは帰りに通ります。行きはこのトンネルを駆け下りていきましょう。
トンネルを抜ければ、目の前には内輪山が。さらに坂道が続くので、一番下まで下って行きましょう。なお、内輪山付近では車の往来も増えるので、注意してください。
スタートから約3km。坂を下りきったら、内輪山の周りを走って一周します。分かれ道になりますが、今回は左折して時計回りに走ってみましょう。

・木々に囲まれた内輪山の周りを走る
約3.7km地点、瓦礫の置かれた場所に分かれ道がありますが、右側のカーブに沿って進みましょう。このあとも細い分かれ道が数多く出てきますが、基本的には道なりに、内輪山に沿って回っていきます。
約4km前後で多く見られるのが、オオタニワタリという植物。オオタニワタリは南方系のシダ植物で、日本国内で見られる場所は限られているとのこと。島内では至るところで見られますが、特にこの近辺は群生地となっています。
スタートから約5.4kmで、大きく左に折り返す道があります。こちらを左折すると、到着するのは島内唯一の港 である三宝港。コースは、左折せず直進していきます。
スタートから約5.5km付近の岩場に近づくと、硫黄臭が鼻を刺激するでしょう。付近は地熱が発生しており、岩場をよく見ると湯気のようなものが見えます。これが、噴気孔群です。青ヶ島が火山島であることを物語っていますね。
少し進んで約5.9kmに、右折路が現れます。こちらを右折すると、地熱を利用した「ふれあいサウナ」のあるエリアに到着。コースでは、右折せずにそのまま直進しましょう。
スタートから約6.9km。これで、内輪山の周りを一周して戻ってきました。再び直進して坂道を登り、ヘリポートへと戻り行きましょう。

気分を変えて違う道を通って帰ろう

往路と同じく平成流し坂トンネルを経由することもできますが、全く同じ道を戻るのも面白くありません。トンネルへの坂道の途中、約7.4km地点で左折してみてください。
少々急な坂道ですが、内輪山を眺めながら進むことができます。この素晴らしい景色こそ、青ヶ島で一番の楽しみではないでしょうか。
しばらく登れば、平成流し坂トンネルに合流。あとは、来た道をそのまま戻ってヘリポートを目指しましょう。
約10km走ったところ再びヘリポートに到着。これにて青ヶ島一周ランニングは終了です!

ランニング中に立ち寄りたいおすすめスポット

今回走った一周コースには、途中で立ち寄れるおすすめスポットがいくつかあります。少し走行距離は延びてしまいますが、せっかくなので寄り道してはいかがでしょうか。
・三宝港
コース約5.4km地点にあった、左への折り返し道。こちらを左折するとすぐにトンネルが現れますので、この中を進みます。車やトラックの往来が激しいので、よく耳を澄ませてください。下り坂になっているので、あまりスピードを出し過ぎないように走りましょう。
トンネルを抜ければ、そこは三宝港です。今回はヘリコプターを利用しましたが、フェリーでの渡航時にはこの三宝港に到着することとなります。港にはお店など特にありませんが、せっかくですので波の音に耳を傾け、波打つ青々とした海を眺めてみてはいかがでしょうか。
・ふれあいサウナ
コース約5.9kmにあった曲がり角を左折してしばらく登り坂を進むと、「ふれあいサウナ」があります。こちらは地熱を利用したサウナで、利用料は300円 (税込)。入口には、島内では数少ない自動販売機が設置されています。
ただし営業時間が限られているので要注意!あまり早い時間に来ても入れないかもしれません。
・地熱釜
ふれあいサウナのすぐ近くに、地熱釜が設置されています。なんと利用は無料。釜の下にある元栓を開けると、釜の中に熱い蒸気が充満します。この釜に食材を入れてしばらく待つと、地熱の蒸気によって美味しい蒸し料理が完成するんです。
宿を予約する際、「地熱釜に行くので、お昼はお弁当にしてほしい」と頼んでみましょう。すると、こうして食材を持たせてくれます。卵に魚、ウインナー、時間があればじゃがいもも美味しいですよ。
大自然の中、地熱で調理したお弁当を食べる。まさに、青ヶ島だからこそ実現する贅沢なランチではないでしょうか。ただし、ゴミはちゃんと持ち帰りましょうね。
・尾根道と御富士様
地熱釜での調理中におすすめなのが、内輪山の散策道です。尾根道を進むと、島の神社「御富士様」を経由してぐるりと内輪山の上部を回ることができます。
道中に現れる御富士様。足場は舗装路ではなく山道となっていますので、くれぐれも注意してください。
頂上部には展望エリアがあり、周囲を一望できます。目線を下に向ければ、ふれあいサウナや地熱釜も見えますよ。散策道は、ゆったり走ると20~30分程度で一周できるはずです。

高い場所からの絶景を楽しもう

青ヶ島には、ぜひとも訪れたい絶景の展望スポットが2カ所あります。いずれも宿のあるエリアから近いため、足を運んでみてください。
・尾山展望公園
島内唯一の信号から、青ヶ島小中学校横の坂道を登っていきます。T字路の突き当たりを左折したところに、案内板が見えるでしょう。
道順を示す看板を見落とさないように注意してください。展望公園までは、なかなか急な登り坂となっています。
坂を登り切ると、展望公園に到着しました。こちらは、標高400mです。夜に訪れれば、晴れた日には見上げた空一面に美しい星が輝きます。宿から展望公園までの道中は夜になるとライトが灯りますので、暗闇でも安全です。ただし、不安な方は懐中電灯やヘッドライトを用意しておくと安心でしょう。
▲よく晴れた夜にはこんなにキレイな星空が!天の川もくっきり。(写真:井川俊彦)
のぞきこんでみれば、内輪山とその奥に広がる果てしなく青い海。一周ランニングを終えた後だと、「あそこ通った!」と振り返る楽しみがありますよ。
・大凸部(おおとんぶ)公園
ヘリポートから徒歩3分程の場所に、島内唯一 の郵便局があります。その前にある坂道を登って行きましょう。ちなみにこの郵便局にはATMが設置されています。
こちらも尾山展望公園と同じく、看板を目印に進んでいきましょう。道を間違うと、とんでもない山道に入ってしまうことがあるので注意が必要です。
最も道を間違えやすいのが、こちらの鳥居がある場所。直進してしまいそうですが、ここで左折します。ただし左折する際、鳥居はくぐりません。鳥居奥に看板がありますので、こちらを曲がってください。すると、大凸部公園へ続く階段があります。
階段を登り切ると、目の前に絶景が広がります。こちらは尾山展望公園より少し高く、標高は430m。展望エリアは狭いですが、また違った景色を楽しめるはずですよ。
ただし夜間はライトアップもなく、足元は落ち葉やコケで滑りやすくなっています。星空を楽しみたいのであれば、大凸部公園より尾山展望公園を選びましょう。

島へ渡る際には天候に注意

青ヶ島へ渡る際には、天候によく注意しましょう。悪天候によってヘリコプターやフェリーが動かず、足止めされる可能性が少なくありません。
霧が発生すると、ヘリコプターが飛ばなくなります。ヘリポートが目視できないと、着地時のリスクが高いようです。雨が強くなくても、気温などさまざまな状況から霧が発生します。
フェリーは霧があっても動きますが、今度は波などが大きく影響します。せっかく着港しても、人を乗せずに港を離れてしまうことがあるでしょう。
青ヶ島では、テレビで常に三宝港とヘリポートの状況を見ることができます。適宜こちらで状況を見ながら、それぞれの運行状況について確認しましょう。もし延泊になる場合には、すぐに宿へ申し出ておくことをおすすめします。

青ヶ島の美味いもの

最後に、青ヶ島の美味しい食べ物をご紹介しておきましょう。せっかく青ヶ島を訪れたのですから、この土地でしか食べられないものを楽しみたいものです。
伊豆諸島の名物といえば、やはりべっこう寿司。さまざまな魚を漬けにしたお寿司は、他では味わうことができません。もちろんべっこう寿司だけでなく、鍋料理や刺身など海の幸は最高ですよ。
そしてお酒好きな方に味わっていただきたいのが青酎(あおちゅう)です。島特産の焼酎ですが、同じ青酎でもさまざまな種類があります。宿や商店 、居酒屋 などで購入できますので、味比べするのもいいのではないでしょうか。

東京都において、まさに“秘島”とも言える青ヶ島。天候に注意しながら、ぜひとも島内を走って散策してみてください。
三河賢文

三河賢文

フリーランスライター/エディター。中学校陸上競技部コーチ。法人経営者。"走る"フリーライターを名乗り、主に「マラソン」「トライアスロン」を中心としたスポーツ分野での執筆を得意とする。現在もマラソンやトライアスロンに選手として競技参加。自らの走力を活かしたレポート取材は、ファンランからフルマラソン、ウルトラマラソンまで幅広い実績を持つ。

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