禅の里「永平寺」の拝観がもっと楽しくなる!見所全て紹介します

2017.06.09

一年中多くの人が参拝に訪れる「大本山永平寺(以下、永平寺)」は、フランスで発行されている旅行ガイド『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』でも二つ星とされた、国内外から注目されるお寺です。今回は特別に修行僧の方に案内していただきながら、見所をたっぷりご紹介。これを読むと、永平寺の参拝が何倍も楽しくなること間違いなしですよ!

▲圧倒的な美しさの天井絵も必見です

「お寺や神社を訪れたい!」
そんな気持ちになることはありませんか?普段、仏教が身近でない人も寺社の神聖で荘厳な雰囲気に身を置きたくなるのは、日本人ならではの感情なのかもしれません。

新年度も始まり、毎日の慌ただしさに荒んだ心を清めたい。
そんな五月病まっただなかの私が、今回やってきたのはこちら!

曹洞宗の大本山永平寺です。
▲永平寺に到着です!

電車の場合、JR福井駅からえちぜん鉄道に乗り、永平寺口駅からバスで約10分、電車を使わない方は、JR福井駅から永平寺門前までの直通バス(所要時間約30分)も毎日運行しているので便利です。

木々が生い茂る参道に一歩足を踏み入れると、空気がスッと変わり一気に参拝モードに。まだ永平寺の中に入っていませんが、背筋を伸ばしたくなるような雰囲気が漂っています。
▲見上げれば新緑の濃い緑。降り注ぐ陽の光がまぶしい
▲地面には苔むした岩が陽に照らされてピカピカ光っています

永平寺ってどんなお寺?

まずは簡単に、永平寺についてご紹介しましょう。

永平寺は、道元禅師(どうげんぜんじ)によって開かれた坐禅修行の道場で、曹洞宗の大本山です。寛元2(1244)年、道元禅師が47歳のときに、道場の名を永平寺と改め、修行僧を熱心に指導しました。770年以上経った今も永平寺の修行は禅宗の中で最も厳しいと言われ、約160名の雲水(うんすい)と呼ばれる修行僧が修行生活を送っています。

さぁ、参拝入口に到着しました。
すぐに参拝したいところですが、まずは一旦こちらを通り過ぎましょう。そのまま参道をまっすぐ行くと、最初の見所があります。

それが、こちらの「唐門(からもん)」。
▲樹齢500年と言われる大杉が連なり、根元を見ると岩をものみ込んでいます

参拝入口右手に見える唐門は通常、一般の人は通ることができません。しかし、重厚なつくりは外からだけでも見応え十分!永平寺参拝の際には外せない撮影スポットです。

参拝のマナーもしっかり確認!

▲永平寺は朝のおつとめの時間帯も参拝が可能(5~10月は朝4時頃から。11~4月は朝5時半頃から。※参拝ができない時間帯もあります)。早朝の参拝も気持ちが良さそう

先ほどの参拝入口に戻り、拝観チケット(大人500円)を購入したら、いよいよ中へ。
まずは「吉祥閣(きちじょうかく)」という、一般参禅者が坐禅体験や写経体験をするための研修道場に入ります。
▲こちらが吉祥閣。鉄筋5階建ての立派な建物です
▲入口の常香炉で煙を浴びて身を清めます

なかは参拝順路があるので、はじめての方も安心です。立ち入り禁止の場所以外は自由に見学できますが、注意事項もいくつかあるのでしっかり確認しましょう!

一、参拝の際には身心を整え、左側通行で静かにお参りすること
一、鐘や太鼓などの鳴らし物には手を触れないこと
一、雲水(修行僧)には、直接カメラを向けないこと
一、酒類に酔って他人に迷惑をかけないこと
一、タバコは定められた喫煙所で
一、携帯電話は電源を切るか、マナーモードで
一、廊下の外、建物の外には出ないこと

写真は雲水に直接カメラを向けなければ自由に撮影してよいそうです。
マナーを守って気持ちの良い参拝を!

回廊で結ばれている永平寺

永平寺は33万平方メートルの敷地に70を超えるお堂と楼閣があり、なかでも「七堂伽藍(しちどうがらん)」という修行に欠かせない7つの建物が回廊で結ばれています。
▲こちらが長い回廊。毎朝、雲水がぴかぴかに磨き上げます

その7つとは「山門」、「仏殿」、「僧堂」、「大庫院(だいくいん)」、「東司(とうす)」、「浴室」、「法堂(はっとう)」のこと。
建物の並びは坐禅を組んだ人の形にも例えられ、法堂は頭、仏殿は心臓などとも言われているそうです。

今回は、特別に雲水の方に案内していただき、この七堂伽藍を中心に回っていきたいと思います!(2017年5月現在、雲水による諸堂案内は団体のみ受けつけています)
▲お顔を写せないのが残念ですが、案内していただいた雲水の方は凛とした佇まいで、とても気さくな方でした

230枚の日本画が美しい「傘松閣」

最初に向かったのが、「傘松閣(さんしょうかく)」、別名「絵天井の間」。
1階は参拝の方々のための控室や研修・宿泊のための部屋ですが、2階は156畳敷きの大広間があり、その天井には昭和初期の有名な画家144人による230枚の日本画が埋め込まれています。

そのほとんどが花鳥風月をあらわした日本画なのですが、この中に鯉、唐獅子、栗鼠(りす)が描かれた5枚の絵が隠されています。
▲5枚の絵、みなさんも探してみてくださいね

とにかく一枚一枚の絵がとても美しく、つい見とれてしまいます。時間がどれだけあっても足りないので、次に向かいましょう。

雲水の修行の場、「僧堂」

次に向かったのは雲水の修行の場である僧堂。浴室、東司と並ぶ「三黙(さんもく)道場」の一つで、私語は厳禁です。
永平寺では365日の生活すべてが修行だと言われていて、雲水は一畳ほどのスペースのなかで坐禅や食事・就寝など、日々の修行に励んでいるそうです。
▲僧堂は雲水の修行の場であることから「雲堂」とも言います

雲水の生活に鳴らし物は欠かせません。
朝3時半の起床時には振鈴(しんれい)という鈴の音が鳴り響き、食事の際には大きな魚鼓(ぎょく)が打ち鳴らされます。
▲巨大サイズの魚鼓

現在、過去、未来の仏が祀られている「仏殿」

仏殿は七堂伽藍の心臓部分にあたる建物です。
▲中国宋時代様式の二重屋根が美しい

須弥壇(しゅみだん)と呼ばれる壇の中央には永平寺のご本尊、釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)が祀られており、そのほかに未来を司る弥勒仏(みろくぶつ)、過去を司る阿弥陀仏(あみだぶつ)も祀られています。
▲よく見ると三体の如来が確認できます

欄間には12枚の彫刻がはめこまれていて、こちらもまた見とれてしまうほどの美しさです。
▲細かい彫刻の欄間は禅宗の逸話が図案化されています

永平寺の宮大工は、もともと永平寺の門前にある大工村で暮らしていました。江戸中期~後期には数百人規模にもなり、永平寺だけでなく、富山や滋賀など近隣へ出向き、各地の寺社造営も手掛けていたそうです。

説法の場「法堂」

次に向かったのは説法の道場である法堂。朝のおつとめなどの各種法要がこの建物で行われます。
▲中央には「聖観世音菩薩(しょうかんぜおんぼさつ)」が祀られています

なんと参拝したこの日は、年2回行われる「制中(せいちゅう)」という百日修行に入る特別な日。制中の間は道場にこもり、修行僧のリーダーである首座(しゅそ)を中心に、さらに厳格な修行が行われるそうです。

ただでさえ一番厳しいと言われている修行がもっと厳しくなるとは……。
▲雲水の皆さん、頑張ってください!と手を合わせました

法堂は七堂伽藍の最も高いところに位置しているので、ここから四季折々の美しい景色が眺められます。時間がある方はゆっくり景色を楽しむのもおすすめです。
▲鳥のさえずりが聞こえ、風がとても気持ち良かったです

曹洞宗の聖地「承陽殿」

法堂から西の回廊を進むと、永平寺でもっとも神聖な場所と言われる「承陽殿(じょうようでん)」があります。
こちらは道元禅師の御真廟(ごしんびょう)、つまりお墓にあたるもの。日本曹洞宗発祥の根源であり、聖地ともいえるとても大切な場所で、永平寺歴代住職の位牌も祀られています。
▲道元禅師は「承陽大師」とも呼ばれていたことからこの名前がつきました

雲水たちの台所「大庫院」

大庫院には雲水の食事をつくる台所があります。1階には「典座寮(てんぞりょう)」と呼ばれる場所があり、食事担当の雲水は毎日午前1時半頃に起きて、皆の料理をつくるそうです。

午前1時半って下手すれば私、まだ寝る前かも……。
大庫院の正面に祀られているのは足の速いことで有名な守護神「韋駄尊天(いだそんてん)」。温かいものは温かく、冷たいものは冷たい状態で食事を運べるように、火事が起こったときにいち早く火を消せるように、などさまざまな説があるそうです。

そして、大庫院の前に掛けられた長~い「すりこぎ」も見所の一つ!
▲左側にあるのが「大すりこぎ棒」。なんと全長4m!

もともとは黒だったのが、みんなに撫でられ、すっかり木目が現れています。
▲私もしっかり撫でてきました。料理上手になるといいなぁ

お風呂もお手洗いも修行の場

次に向かったのは三黙道場である「浴室(お風呂)」と「東司(お手洗い)」。身も心も清めるために水を大切に使う考えのもと、浴室と東司での所作も作法に従って厳粛に行われます。
▲浴室の入口。中に入ることはできません

雲水たちは、“四と九の付く日(四九日、しくにち)”が入浴日と定められ、そのほか、夏場などには淋汗(りんかん)と称した沐浴も許されています。
▲浴室の中の様子は写真でどうぞ

生涯でたった2回だけ通ることが許される「山門」

最後の重要な建物は山門です。永平寺最古の建物で、雲水が正式に入門する時、そして修行を終えて永平寺を出る時にしか通ることが許されない、まさに「永平寺の玄関口」なのです。
▲覚悟を持つ者しか受け入れない、そんな意志のようなものを感じます

正面の両柱には右、左にそれぞれ「聯(れん)」という大きな木札がかけられています。
▲「ここから先は厳しい修行の場であり、覚悟を決めて訪れた者のみ山門をくぐることが許される」という意味の言葉が記されています
▲山門の両側には仏教の守護神である四天王が祀られています。すごい迫力
▲上部に永平寺の山号の由来である「吉祥(きちじょう)の額」が。山門は福井県の文化財にも指定されています

案内していただいた雲水の方に入門時の様子を伺うと、冬の雪深い中、山門の前で何時間も待ちながら修行の許しを得たそうです。

また、修行期間は雲水自身が決めるとのこと。
お話を伺った雲水さんは、「まだしばらくここで頑張ります」と力強く仰っていたのが印象的でした。

まだまだ永平寺の見所は続く

永平寺の七堂伽藍をしっかり見学し、大満足の私たち。
永平寺散策にはこのほかにも「瑠璃聖宝閣(るりしょうぼうかく)」という宝物殿や、門前町でのお店めぐりなど、まだまだ楽しめるスポットがたくさんあります。
▲瑠璃聖宝閣には永平寺に伝わる貴重な古文書や書画などが多数収められています
▲めぐって楽しい門前町。駐車場と提携しているお店も多数

今回、雲水たちの厳しい修行の場をほんの少しだけ知ることができ、一層、永平寺が身近になりました。

なんと永平寺には参拝のほかに、一般の人も雲水と同じような生活を体験できる3泊4日の修行もあるのだとか。
いつか私も……!密かにそう思いながら、門前町を下っていったのでした。
石原藍

石原藍

ローカルライター。 大阪、東京、名古屋と都市部での暮らしを経て、現在は縁もゆかりもない「福井」での生活を満喫中。「興味のあることは何でもやり、面白そうな人にはどこにでも会いに行く」をモットーに、自然にやさしく、心地よい生き方、働き方を模索しています。趣味はキャンプと切り絵と古民家観察。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
PAGE TOP