右も左もたぬきだらけ!焼きものの里・信楽「たぬき村」で信楽焼体験

2017.05.31 更新

庭先で、玄関の片隅で、飲み屋の暖簾の下で、ユーモラスな表情をたたえながら鎮座するたぬきたち。日本各地で親しまれるこの陶製の置きものは、近江・信楽(しがらき)が発祥の地です。山々の深い緑に囲まれた焼きものの里で、たぬきたちに囲まれながらのんびりと土に触れ、自分だけの器づくりに挑戦してみました。

屋根より高い「大だぬき」と
焼きものの歴史を伝える登り窯

京阪神や名古屋からの日帰りドライブスポットとしても人気の滋賀県甲賀市信楽町。今回は、新名神高速道路の信楽I.C.から約2分の場所にある、その名も「信楽陶苑 たぬき村」を訪ねました。
まず驚くのは屋根より高い「大だぬき」。そしておよそ1万匹もの大小さまざまな姿をしたたぬきたちが出迎えてくれます。その数に圧倒され、みなさんあちらこちらでシャッターをパシャパシャ!
誰もがよく知る信楽たぬきですが、全国に広まったのは実はごく近年のこと。昭和26(1951)年に昭和天皇が信楽に行幸された際、天皇陛下を歓迎する人々に混じって小旗をもったたぬきたちが沿道に延々と並び、その様子が報道されたことがきっかけだったとか。
▲敷地奥にある昔ながらの登り窯。いまも現役です!

たぬきがあまりにも有名な信楽焼ですが、中世から続く歴史ある焼きもので、日本六古窯の一つ。室町・桃山時代以降は茶の湯とともに茶陶としても親しまれるようになり、今も多くの窯元が山里の中に点在しています。

その窯元の一つが信楽陶苑で、たぬき村の敷地内には食事処や売店がある「本館」をはじめ、陶芸教室や陶器売り場を設けた「作陶館」、作家工房や焼き窯のある「たぬき館」が軒を連ね、大型バスの駐車場なども備えた信楽観光の拠点にもなっています。
▲割れたり欠けたりした置物を供養する「狸地蔵尊」。タヌキは“他を抜く”に通じることから出世を願って手を合わせる人も

苑内の本館横にある狸地蔵尊に「器が上手に作れますように」とお祈りして、いざ陶芸体験へ。

本格ろくろコースや、子どもに人気の
気軽な手びねり、絵付けのコースも

今回、器づくりを指導してくれたのは、陶芸が好きで信楽に移り住んだというスタッフの日下あゆみさん。
▲日下さんの手に抱かれているのは、たぬき村・人気ナンバーワンの「お願いだぬき」

陶芸体験にはいろんなスタイルのコースがあり、エプロンなども借りられるので、手ぶらで行っても気軽に体験できます。
写真は完成見本。左奥のように、たぬきを型焼きで手作りするコース(2,000円・税別)もあります。初心者向けの「手びねりコース」(写真右奥)は1,500円(税別)。
また、30~40分と短時間で体験できるのが「絵つけコース」で、こちらは1個500円(税別)~。成形された器に絵を描くので小さなお子さんでも楽しめます。お気に入りのイラストなど図案を持っていくのもおすすめ。

今回は一番人気の「電動ろくろコース」に挑戦です。
では、いよいよ製作スタート!
▲まずは最初の「土づくり」

はりきって腕まくりしましたが…「土づくり」の作業は素人には難しいので、プロの日下さんにお願いします。電動ろくろを回しながら粘土を整え、空気を抜きます。空気が土の中に残っていると割れや破裂の原因になるのだとか。
▲改めまして、ろくろの回転開始。まずは湯呑に挑戦

用意してもらった粘土はすべて使い切ってOK。湯呑なら2~3個ほど作ることができる量です。ろくろ1台1時間使用で一人1,000円(税別)。それに作品焼成料が1個につき500円(税別)~となります。

器は焼きあがると縮むので、それを考慮しながら大きさを決めます。
▲手のひらで囲むようにして土を円柱形にまとめたら、両方の親指を中心に置き、少しずつ力を込めて窪ませていきます
▲器の外側に軽く片手を添えつつ、もう一つの手で厚みを調整
▲形が整ったら、糸で土台から切り離します
▲持ち上げるときは緊張します。両手の指を「ピース」型にして持つのがコツ

これで一つ完成です。せっかくなので次はお皿にトライ!
▲立ち上がりは湯のみのときと同じ要領。ただし、お皿は土を薄く横に広げるので少し難易度が上がります
▲厚さを整えていた指を恐る恐る横に倒していくと…お皿になってきました!!
▲「少し模様をつけてみましょうか」という日下さんのアドバイスで、ろくろを回したままお皿の中央に指を落として渦巻模様を作ってみました
▲なんとか完成!でも…よく見ると土が薄くなりすぎた部分があって、縁が欠けてしまっています
▲こんなときは「エイ!」とばかりに「片口」にしてしまえば万事解決
▲完成!どうでしょうか?なかなかの出来栄えです。所要時間は1時間ほどでした

この大きさなら焼成料は湯呑500円(税別)、片口600円(税別)とのこと。釉薬の色も緑、黄、白の3種類から選べて、グラデーションなどの特別色はプラス200円(税別)。焼き上がりは50~60日後になります。

焼きあがったら自宅へ送ってもらうことができ、送料は1か所につき全国一律1,000円(税別)。もちろん引き取りもOKで、完成品を取りに来て、また体験して、と繰り返す人もいるんだとか。確かにこの達成感と土の感触はハマるかも。

信楽名産「朝宮茶」や
近江牛を使った料理に舌鼓

作陶に集中していると、あっというまにお昼に…。
ということで食事処に行ってみました。
たぬき村のなかには、お食事処「茶つみ亭」があり、地域の特産品を使った料理を楽しめます。
▲本館2階に座敷30席、テーブル150席を備えた「茶つみ亭」のほか、たぬき館、作陶館にもお食事処があり最大380人に対応

今回いただいたのは、信楽の名産品「朝宮茶」を使った緑茶しゃぶしゃぶ。
もちろん器は信楽焼で、天ぷらには茶塩が添えられ、椀物も茶そば。土鍋に入った緑茶からは爽やかな香りが立ちのぼり、お肉をさっとくぐらせると余分な脂が落ちてさっぱりとした味わいに。しかも、緑茶が肉の旨味をぐっと引き出してくれます。
▲「朝宮緑茶しゃぶしゃぶと季節の土鍋めし御膳」は2,000円(税別)

ほかにも、たぬき型の釜がかわいい「国産牛ハリハリうどんとたぬき釜飯御前」(1,200円・税別)や「たぬき鍋御前」(1,500円・税別)、「国産牛すき焼会席」(2,000円・税別)のほか、滋賀の名物・近江牛を使ったコースは2,500円(税別)~。お子様メニューもそろっています。

なお、料理はいずれも昼食のみ。要予約です。個人で訪れる場合は、できれば1週間前までに電話でご予約ください。
有名作家の個展が開かれるギャラリーや、信楽焼の販売コーナーもあり、大きなものでは手水鉢や風呂釜なども並んでいます。おもてなしの器や贈り物、普段使いの食器まで、種類も豊富。
▲作家作品のたぬきたち。柔道着や剣道着、ギターをもった姿も
▲信楽焼は大物が作られることでも有名。写真は風呂釜

お土産コーナーも充実していて、お菓子や漬物など信楽ならでは、滋賀ならではの品々がずらり。自作の湯のみで楽しめるよう朝宮茶を買っていくなんていかがでしょう?
自分だけの、そして世界に一つだけの器で味わうお茶や料理はきっと格別。近江を旅するならぜひ信楽焼に挑戦してみてください。

2ヶ月後、待ちに待った作品が到着!

取材に行った日から約2ヵ月、焼き上がった作品が自宅に届きました!割れやひびがないかドキドキしながら梱包を解いてみると…
びっくりするほど本格的に仕上がっていました!釉薬が掛かると「これぞ信楽焼」という風合いになって、なかなかの出来栄えです。

ただ…かなり縮んでしまっていました。湯呑みのつもりが少し大きなお猪口ぐらいに…。
指導していただいた日下さんに、「もう少し大きいほうがいいですよ」とは言っていただいていましたが、成形に精一杯でやり直す余裕がなかった当日の私。
これはぜひ再トライせねばなりません!
(こうやってハマっていく人がいるのでしょう。と思いながら、少し小さめ?の器は毎日大切に使わせてもらっています…)
若林扶美子

若林扶美子

フリーのライター&プランナー。京都をはじめ関西を中心に、雑誌、書籍、PR誌の企画・執筆を手掛け、伝統文化や地域情報などを発信している。6匹の猫とともに滋賀在住。

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