涼風を運ぶ美しい団扇。京都「竹笹堂」「阿以波」そして甘味

2015.09.07

まだまだ残暑の厳しい京都。ここで暮らす私たちは、建具を夏用に替えるなど、あの手この手で、「涼しい気分」を演出中。その小道具として昔から愛用されている団扇は、京都のお土産としてもおすすめです。

町家には涼しい工夫がいっぱい、などと言いますが暑いものは暑い! 私の事務所も町家(というか長屋)ですが、クーラーは必須です。
が、しかし。未だにクーラー無し、風呂無しの昔ながらの暮らしを実践している友人もいて、彼にとっての三種の神器は扇風機と団扇、扇子(!)
さすがに35度を越えると焼け石に水ですが、お盆を過ぎ、夕刻になると少し涼しさが感じられるころには、団扇の風も心地良く感じられます。
おすすめは、職人が手がける手作りの団扇。竹製の骨がよくしなるので、思った以上に良い風を届けてくれます。見た目にも美しいので、夏のプレゼントにも喜ばれます。

老舗コラボの美しい団扇

▲絵柄を選ぶのも楽しみな京うちわ各5,000円(税別)
私が愛用している団扇は、「竹笹堂(たけざさどう)」のもの。ここは浮世絵なども手がける木版工房・竹中木版の店で、手摺りの木版和紙を使った団扇がとても素敵です。
オリジナルの絵柄が美しく、好みの柄を選んでオーダーすることもできるので、贈り物にもぴったりです(1~2ヵ月かかります)。京扇子にも仕立ててもらえるので、こちらもおすすめ。
ちなみに、ここに並んでいる団扇を仕立てているのが、京うちわ専門店として知られる「阿以波(あいば)」です。老舗の職人技コラボで作られているので、京都らしさ満点。「阿以波」にも、オリジナルの美しい団扇が並んでいるので、ぜひ立ち寄ってください。
「竹笹堂」は、京都らしい路地にあります。四条通と綾小路通の間にあるので、ちょっと迷ってしまうかも。
店内には、京うちわのほか、ぽち袋やブックカバーといった紙小物が並んでいて、観光客にも人気です。
京うちわをはじめ、紙小物に使われている木版和紙は、すべてこちらのオリジナルの絵柄で、手摺りされたもの。ざっと90種類もの絵柄があり、京うちわは好みのものをサンプルから選んで仕立ててもらうセミオーダーも可能。
ほかにも、良い音色を響かせる風鈴も夏の必需品。清水焼とコラボした「木版風鈴しきたり」3,500円(税別)なども京都らしさ満点。私もプレゼントに使っています。吊り下げられた短冊が、ちょっと贅沢な手摺り木版和紙です。
竹笹堂の作品を手がける、竹中木版の工房に特別にお邪魔させていただきました。こうして一枚ずつ、摺り師が手摺りしています。他にも、浮世絵なども手がけています。
木版印刷の世界は分業制で、竹中木版は摺りを生業としていましたが、今では版木を作る彫師もいて、ここでオリジナルの版木も制作しています。この版木は、風鈴の短冊に使われている柄。

京都の夏を彩る透かし模様

▲形もさまざまな京団扇。上段に飾られているのが、透かしの美しいタイプ
団扇といえば、「阿以波」。元禄2年(1689年)創業の老舗です。
こちらの団扇は形も美しく、しかもあおぎやすいのが特徴。国産にこだわり、竹製の骨&紙でできています。
だから程よくしなり、ふわっとあおいだだけで良い風が届くので、「あおぎ疲れる」なんてことはありません。
そして独特の透かし模様は、「阿以波」ならではのもの。一枚の和紙から、本当に繊細な絵柄が切り取られ、それが細い竹の骨の上に載せられている。これらはすべて職人さんの手仕事です。
豪華な彩色を施したものもあり、もはや道具というより芸術品。京都の料亭などでも、ここの透かし団扇が飾られているのをよく目にします。
見た目も涼やかで使いやすいものを求めるなら、お値段も手ごろな「小丸型片透かし団扇」2,500円(税別)がおすすめ。ちょっとした夏のプレゼントに活躍します。
見ているだけで、涼しい気分になる団扇。細かな柄に切り抜いた薄い和紙を、竹の骨の上に貼るなんて神技的。もちろん、きちんと裏面も貼られているのですが、ずれていないのが凄い。よく見ると、周囲にも細く縁取りの和紙が貼られていて、本当に繊細なつくりです。
▲私が愛用している団扇。左は竹笹堂のもの、右が阿以波の「小丸型片透かし団扇」でちょっと小ぶりなのが女性的

買い物途中に名物の甘味でひと息

買い物途中の休憩に、京菓子の老舗「大極殿本舗六角店」へ。併設されている茶房「栖園(せいえん)」でいただける「琥珀流し」がお目当てです。
琥珀流しは、もはやこちらの名物。女将さんが「茶房でしか食べられないメニューを」と考案したもので、とても柔らかな寒天でできています。
ぎりぎり固まる柔らかさの寒天は、ゼリーとはまた違った食感で、つるりと喉を滑ります。
しかも、このメニューは月替わり。蜜の味が替わるのです! 全メニューを制覇しましたが、どれもこれも美味しくて、季節のうつろいを感じさせてくれます。
▲店内もとても風格があります。茶房はこの奥にあるのですが、週末には行列ができる人気ぶり
▲琥珀流しとミニわらび餅のセット1,050円(税込)。ぷるんと柔らかなわらび餅は、添えられた黒蜜を掛けていただきます。琥珀流しは単品660円(税込)もあります
取材に訪れた8月の琥珀流しは「ひやしあめ」で、昔から京都で愛飲されてきた夏のドリンク。上のトッピングはしょうがで、さっぱりとした風味は和製ジンジャーエールといった感じ。蜜はもちろん、このつるつるの寒天もたまりません。ちなみに、9月は葡萄です。
内藤恭子

内藤恭子

編集者・ライター。京都出身。関西や東京の京都特集で取材・執筆を20年以上担当している。事務所である祖母の町家で土壁を塗り、モザイクタイルを貼りながらリノベーションしつつ、取材に出かける日々。著書に『竹中木版 竹笹堂 紙と暮らす京の一年』(宝島社)などがある。

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